1月も下旬となり、また寒さが増すこの頃
花巻女子学園の放課後、外を見ると雪が降っていた
千咲「お~、雪が降ってきたねぇ。どおりで寒い訳だ」
梓希「雪見ると自分、興奮するッス!地元を思い出すッス!」
北海道出身の梓希は興奮する
日奈子達は、コートやマフラーを着用し、寒さ対策をして下校しようとしていた
彩耶華「…」
日奈子「どうしたの?彩耶華」
雪を見つめる彩耶華に声をかける
彩耶華「…酷く積もることは無いとは思いますが、今日は早く帰りたいですわね。水道管も、万が一凍ってしまってはいけませんわ」
日奈子「あ…そっか、お家って確か…」
彩耶華の話を聞いて日奈子はハッとした
以前聞いたことがある
彩耶華は両親を亡くしてからは、小さなボロアパートで1人暮らしをしている
昔住んでいた屋敷とは、えらく生活が違うため、自身でやらなければならない
彩耶華「冬になると、水道管が凍ったりもありますし、お湯が出ないから手が悴むこともありますわ。そのために、凍る前に水を汲んで、それで温めたりしてますの。寝る時は毛布をたくさんかけて寝てますわ」
日奈子「お風呂とかは?」
彩耶華「私が住むアパートには、お風呂はありません。近くの銭湯で入浴を済ませてますわ」
日奈子「そうなんだ…。あれ?ネクロハンターのお金って…結構あるんだよね?使ったりとか」
彩耶華「してませんわ。むしろ、貯金しています。今後のためにも…」
日奈子「今後のため?」
彩耶華「もし…両親の遺産の“凍結”が一生溶けなくても、生活に困らないように」
日奈子「そうなんだ…」
元々“財前スポーツ”のお嬢様だとは思えず、ネクロハンターでかなり稼いでいるとはいえ、貧相な生活をしていると感じた
だがそれでも自分なりに考えて貯蓄しているんだと思った
荷物をまとめると、2人は校舎から出る
日奈子「う~寒い!」
彩耶華「そうですわね…」
日奈子「ねぇ、良かったらこれから家に来ない?茜さんが今日パウンドケーキ焼いたって、さっき連絡来てたんだ。温かいミルクティーと一緒に食べると美味しいんだよ」
彩耶華「お誘いありがとうございます。でも…遠慮しておきますわ」
日奈子「もしかして…ネクロハンターの仕事?」
彩耶華「えぇ…先日、かなり大きな戦闘をして、怪我をなされた先輩がおりまして。“館長”もアメリカへお仕事へ向かったそうで、人手が足りませんの」
日奈子「……大変だね」
彩耶華「本当ですわ。炎先輩もタイミング良く抜けたみたいで…正直迷惑ですわ」
日奈子「えぇ…そ、そんなに?」
彩耶華「私に何も言わずに出ていくだなんて…余計に心配しますわ」
日奈子「…やっぱり炎さんの事、気になるんだね」
彩耶華「え?」
彩耶華が炎に対する感情が普通じゃないため、日奈子はついボソッと独り言を言ってしまった
言ってしまったと気付くが、もう言ってしまおうかと彩耶華の方を向く
日奈子「彩耶華ってさ…炎さんの事……」
すると、2人の前にとある黒光りの車が停まった
運転手らしき男が運転席から出ていくと、後部座席の扉を開ける
そこから、スーツ姿の老男が現れた
?「…彩耶華!やっぱり彩耶華だ!」
彩耶華「…え?」
日奈子「え?だ、誰?」
彩耶華を見るなり、名前を呼んだ
老男は微笑む
?「良かった、ずっと探していたんだ」
彩耶華「…?あ、あの…貴方は?」
?「儂を覚えてないのか?…まぁ、最後に会ったのはお前がまだ8歳の時だったから、覚えてないのも無理はないか」
彩耶華「8歳…?」
日奈子「あの…誰ですか?」
光邦「…儂は、醍醐光邦。お前の母親・美江子の父親であって…お前のおじいちゃんだよ」
日奈子「え…?おじいちゃん…?」
彩耶華「おじいちゃん?…!え?ま、まさか…!」
“おじいちゃん”と言う言葉を聞いて、彩耶華はハッとした
幼い頃に見たことがあるその人物は、彩耶華の母方の祖父だった
ースポーツメーカー“DAIGO”社長兼彩耶華の祖父
醍醐 光邦(70)ー
光邦「大きくなったな、彩耶華…!」