ー校舎内ー
鮮斗「はぁっ!」
鮮斗はメリケンナイフを装着し、宗方に向けて攻撃を仕掛ける
宗方はレイピアを向けずに、銃を向け、発砲する
宗方「一撃で捉えてやっから、やられてくれね?」
ズガンッ!
鮮斗「っ!そう簡単にはやられねぇよ!」
弾丸を避け、鮮斗は一気に距離を詰める
メリケンナイフが宗方の胸に向けられるが、そこにレイピアの刃が入る
金属音が鳴り響く、そう思ったが、鮮斗のメリケンナイフが胸ではなく、宗方の脇腹に入る
宗方「!」
鮮斗「入ったな…!」
鮮斗の得意のフェイントだ
鮮斗の身体さばきは、細かいフェイントや、並外れた瞬発力とスピードが合わさっている
1人を相手にしているハズなのに、まるで集団に多方面から襲われているかの様な、感覚に陥る
まさに、“ピラニア”だ
ところが
宗方「っ…!」
フェイントをして攻撃を続けたが、受けた宗方は無傷だ
いや、傷は付いているハズなのだが、血が1滴も出ていない
鮮斗「チッ…!」
メリケンナイフも改めてみるが、血なんて付いていない
戸惑う様子に、宗方は「フフフ…」と笑う
宗方「おいおい…俺の事を知ってるなら分かってるハズだろ?俺は夜の間は死なないんだよ」
宗方のアビリティ“骸骨(スケルトン)”は、夜の間、骸骨の身体になる代わり、心臓を切られようが、首を落とされようが死なない身体になっている
炎やコバルトから話を聞いてはいたものの、先程感触も感じられなかったし、ここまで効かないとは正直驚いた
攻撃型の“ピラニア”にとって、相性が悪い
宗方「今度はこっちの番だ!ネクロハンター!」
鮮斗「くっ!」
宗方が一気に距離を詰め、レイピアを向ける
メリケンナイフで受けるが、直後腹に激痛が下る
鮮斗「ガハッ…!」
宗方が鮮斗に強い蹴りを入れたのだ
鮮斗は腹を抑えて、転がる
立ち上がる隙も与えず、宗方は銃を向けて追い詰める
ズガンッ!ズガンッ!
鮮斗「っうわ…!」
宗方「おいおい逃げんなよ、俺を殺すんだろ?」
鮮斗「…はぁ?誰が、逃げてるって!?」
宗方の挑発に乗ってしまい、何とか立ち上がる
だがその時既に宗方も動いていた
宗方「ばぁっ!」
鮮斗「!」
宗方が目の前に現れ、レイピアを向ける
避けることも出来ず、ドスッ!と刃が腹を貫通してしまった
ゴフッ!と鮮斗の口から血が流れる
鮮斗「がっ…あぁあっ!」
宗方「おーお、汚ぇな」
鮮斗の血を浴びるが、吐血した姿をニヤリと笑う
レイピアを抜き、さらに蹴り上げる
鮮斗「ごほっ…!」
宗方「痛そうだなぁ。急所を狙ったつもりだから、あと少ししたらお前も死ぬな」
鮮斗「っ…!そ、そんなこと…!」
宗方「まだ立てるのか?諦め悪くてアホだな、本当。あの天雨議員の息子も…自分から人質になるとか言い出したし、アホばっかだな」
鮮斗「!…なんだと…!?」
宗方の口から出た言葉に反応する
ギロッ…!と強く睨み付ける
宗方「まだそんな眼が出来るのか、壊しがいがあるな、本当。お前、どうしてあのガキの事を助けたいと思ってんだ?お前と関係あるのか?」
鮮斗「あるに…決まってんだろ!」
宗方「おっと」
鮮斗が腹を押さえて立ち上がり、同時にメリケンナイフを向ける
宗方は避けて離れる
鮮斗「天雨克幸は…天雨家の大事な方なんだ…!僕らは…天雨家を守る宿命を受けている…!だから、守るためにここに来たんだ…!」
呼吸を整え、腹の痛みを押さえ込む
鮮斗「克幸様の事をアホとか言ったが…あの方はお前が思っているより立派だ…!大切な仲間を守るために自分の命を張ったんだ…!こんな、無関係な人をたくさん巻き込んで、自分達が有利になるために卑怯な作戦を考えたあんたらの方が、アホ以上にドアホだよ!」
宗方「はぁ?何言ってんだ?その無関係な人間を助けるなんて…本当は自分の命の方が大切な癖に、でしゃばってんじゃねぇよ。そう言うの、偽善者って言うんだぞ?あの時の“女”みたいに… !」
宗方が台詞の途中で何かに気付いた
鮮斗「女?」
宗方「…そうか、思い出した。あのガキが誰かに似てるなと思ったら、あの“女”のガキだったのか」
鮮斗「?何の話をしている?」
宗方「何のって…決まってるだろ?」
ククク…と笑い、鮮斗を見る
次の瞬間、とんでもないことを口にした
宗方「…俺が“殺した”、天雨議員の妻・天雨花恋の事だよ!」
鮮斗「…!」