真アゲハ ~第74話 那取 鮮斗3~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



ー校舎内ー

鮮斗「はぁっ!」

鮮斗はメリケンナイフを装着し、宗方に向けて攻撃を仕掛ける
宗方はレイピアを向けずに、銃を向け、発砲する

宗方「一撃で捉えてやっから、やられてくれね?」

ズガンッ!

鮮斗「っ!そう簡単にはやられねぇよ!」

弾丸を避け、鮮斗は一気に距離を詰める
メリケンナイフが宗方の胸に向けられるが、そこにレイピアの刃が入る
金属音が鳴り響く、そう思ったが、鮮斗のメリケンナイフが胸ではなく、宗方の脇腹に入る

宗方「!」

鮮斗「入ったな…!」

鮮斗の得意のフェイントだ

鮮斗の身体さばきは、細かいフェイントや、並外れた瞬発力とスピードが合わさっている

1人を相手にしているハズなのに、まるで集団に多方面から襲われているかの様な、感覚に陥る


まさに、“ピラニア”だ

ところが


宗方「っ…!」


鮮斗「…!」

フェイントをして攻撃を続けたが、受けた宗方は無傷だ
いや、傷は付いているハズなのだが、血が1滴も出ていない

鮮斗「チッ…!」

メリケンナイフも改めてみるが、血なんて付いていない
戸惑う様子に、宗方は「フフフ…」と笑う

宗方「おいおい…俺の事を知ってるなら分かってるハズだろ?俺は夜の間は死なないんだよ」

宗方のアビリティ“骸骨(スケルトン)”は、夜の間、骸骨の身体になる代わり、心臓を切られようが、首を落とされようが死なない身体になっている
炎やコバルトから話を聞いてはいたものの、先程感触も感じられなかったし、ここまで効かないとは正直驚いた
攻撃型の“ピラニア”にとって、相性が悪い

宗方「今度はこっちの番だ!ネクロハンター!」

鮮斗「くっ!」

宗方が一気に距離を詰め、レイピアを向ける
メリケンナイフで受けるが、直後腹に激痛が下る

鮮斗「ガハッ…!」

宗方が鮮斗に強い蹴りを入れたのだ
鮮斗は腹を抑えて、転がる
立ち上がる隙も与えず、宗方は銃を向けて追い詰める

ズガンッ!ズガンッ!

鮮斗「っうわ…!」

宗方「おいおい逃げんなよ、俺を殺すんだろ?」

鮮斗「…はぁ?誰が、逃げてるって!?」

宗方の挑発に乗ってしまい、何とか立ち上がる
だがその時既に宗方も動いていた

宗方「ばぁっ!」

鮮斗「!」

宗方が目の前に現れ、レイピアを向ける
避けることも出来ず、ドスッ!と刃が腹を貫通してしまった
ゴフッ!と鮮斗の口から血が流れる

鮮斗「がっ…あぁあっ!」

宗方「おーお、汚ぇな」

鮮斗の血を浴びるが、吐血した姿をニヤリと笑う
レイピアを抜き、さらに蹴り上げる

鮮斗「ごほっ…!」

宗方「痛そうだなぁ。急所を狙ったつもりだから、あと少ししたらお前も死ぬな」

鮮斗「っ…!そ、そんなこと…!」

宗方「まだ立てるのか?諦め悪くてアホだな、本当。あの天雨議員の息子も…自分から人質になるとか言い出したし、アホばっかだな」

鮮斗「!…なんだと…!?」

宗方の口から出た言葉に反応する
ギロッ…!と強く睨み付ける

宗方「まだそんな眼が出来るのか、壊しがいがあるな、本当。お前、どうしてあのガキの事を助けたいと思ってんだ?お前と関係あるのか?」

鮮斗「あるに…決まってんだろ!」

宗方「おっと」

鮮斗が腹を押さえて立ち上がり、同時にメリケンナイフを向ける
宗方は避けて離れる

鮮斗「天雨克幸は…天雨家の大事な方なんだ…!僕らは…天雨家を守る宿命を受けている…!だから、守るためにここに来たんだ…!」

呼吸を整え、腹の痛みを押さえ込む

鮮斗「克幸様の事をアホとか言ったが…あの方はお前が思っているより立派だ…!大切な仲間を守るために自分の命を張ったんだ…!こんな、無関係な人をたくさん巻き込んで、自分達が有利になるために卑怯な作戦を考えたあんたらの方が、アホ以上にドアホだよ!」

宗方「はぁ?何言ってんだ?その無関係な人間を助けるなんて…本当は自分の命の方が大切な癖に、でしゃばってんじゃねぇよ。そう言うの、偽善者って言うんだぞ?あの時の“女”みたいに… !」

宗方が台詞の途中で何かに気付いた

鮮斗「女?」

宗方「…そうか、思い出した。あのガキが誰かに似てるなと思ったら、あの“女”のガキだったのか」

鮮斗「?何の話をしている?」

宗方「何のって…決まってるだろ?」

ククク…と笑い、鮮斗を見る
次の瞬間、とんでもないことを口にした











宗方「…俺が“殺した”、天雨議員の妻・天雨花恋の事だよ!」

鮮斗「…!」