真アゲハ ~第72話 烈怒羅夢7~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



「黒羽って教師…うちにいた?」
「誰だそいつ…」
「生徒の名前…でもないよね?」

厚木(黒羽…って確か花巻女子学園の教師じゃないか。確か先月来たよな?だがどうして…?)

黒羽正臣が何処にいるのか円は呼ぶが、千鳥工業高等学校に黒羽はいない
なのでいくら呼んでもいないのだ

ゆに「…?」

円「チッ」

円は舌打ちをすると、目の前にいる生徒に銃口を向ける
「ヒィィッ…!」と声を出し、生徒は後ろに下がる

円「黒羽先生ー?何処にいるんだぁ?早く出てこねぇと、生徒殺すよー?」

厚木(何故奴が黒羽先生を望んでいるのかは知らないが、もし黒羽先生が花巻女子学園の教師だと言うことを知れば、今度は花巻女子学園の方に行くかもしれない…!被害が広がってしまう前に…!)

円「早く出てこいよぉー?3、2…」

厚木「ま、待ってくれ!」

ゆに「!」

厚木が立ち上がり、円を止める
“烈怒羅夢”のメンバーは、厚木に向けて銃を構える

厚木「えと…黒羽先生は、風邪を拗らせて、休んでいるんだ。だから、今ここには…!」

円「じゃあ呼べよすぐに」

厚木「い、いや…病人を無理矢理動かす訳には…!」

円「あっそう、じゃあ殺していい?」

厚木「!や、止めッ…!」

宗方「待てよ、円」

宗方が円の銃を降ろす
それと同時に円を後ろに向かせる
宗方が、小声で円に話しかける

円「おい、どういうつもり…」

宗方「生徒達の様子がおかしいが、どうやらここに黒羽がいないのは本当みたいだ」

円「じゃあどうするんだ?」

円と宗方が背中を向けて話しているので、隙が見える
厚木は飛びかかって、逆転できないか考えた

厚木(押さえることは何とか出来るかもしれない…!どうやって飛び込むか…)

ゆに(…?先生、ソワソワしてる…?)

宗方「…まずはこいつらが何もしないように脅そう。まだ殺気を感じられるからな」

円「それもそうだな、特に…」

言い終わりそうな瞬間、円は振り返って、引き金に指をかけた

ズガァンッ!

厚木「ぐぅうっ!?」

ゆに「!」

「キャアァアーーーーーーッ!先生!」

弾丸が厚木の腕に当たってしまった
穴が空き、ボタボタ…!と血が流れ出す

厚木「ぐうぅ…っ!」

「先生!大丈夫ですか!?」
「血が…!血が…!」

円「おーい騒ぐなお前ら!次騒いだら殺すよ?先生みたいになりたくないよなぁ!?」

「ヒィィッ…!」

千種「こわっ…!」

飛鳥「あいつヤバいよ…!」

真緒「くっ…!」

ゆに(どうしよう…!輝人さん…!お兄ちゃん…!)

目の前で教師が撃たれてしまった事により、生徒達は完全に怯えてしまった
それほど“烈怒羅夢”が本気だと言うことが分かったのだ

ゆに(何とかして…輝人さん達にこの事を知らせないと…!でも、スマホは圏外だし、どうしたら…!)

丸原「円さん…この後は?」

円「そうだなぁ…とりあえずここにいる生徒や教師全員のスマホを回収しろ。圏外じゃ、使い物にならないからな」

ゆに「!」

円の台詞にゆには気づいた
何でスマホの画面を見ていないのに、圏外だと分かるのだろう?
それは、円達が何らかの方法で圏外にさせたからだ

ゆに(完全に計画的って事…!?)

円「そんで回収したら全員縛れ。言っとくが抵抗したらすぐ殺すからな?」

丸原「お、おい!スマホ出せ!」

銃を向け、大きな袋を広げて、生徒達からスマホなどの連絡手段になりそうな物は回収する
それと引き換えなのか、手首を後ろに回され、結束バンドで拘束される

鹿島「円、こいつは?」

厚木「っう…!」

円「…手当てぐらいは良いよ、どうせ何も出来ないだろうし」

真緒「先生…!」

厚木は一旦離れ、鹿島から簡単な手当てを受ける
その間に生徒や教師達は全員拘束されてしまった

宗方「随分派手なガキだな」

ゆに「痛っ…!」

円「多部、丸原、お前ら外見てこい。何か変化あったら俺に伝えて?」

多部「ワカッタ」

丸原「は、はい…!」

多部と丸原は体育館の外へと出る
見張り役だ

円「さぁて…次はどーしてやろうかなぁ?」

ゆに「…」