真アゲハ ~第71話 星浦 綺堂10~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



彩耶華の脳に、あの時の光景が蘇る
両親の悲鳴を聞き、駆けつけると激しい炎に包まれて燃え上がる両親
苦しみ悶えるその姿は、忘れたくても忘れられない

自分もこれから、その姿になるのかと思うと、恐怖を感じた

彩耶華「…イヤッ…!イヤァァァァァァアッ!」

電気を喰らってしまったせいで、脚が動かない
このままでは綺堂に殺られてしまう
そう思ったその時だった

?「“炎の弾丸ーフレイム・バレットー”!」

ドォンッ!

綺堂「アヅっ!」

彩耶華「!」

綺堂の腕に突然大きな火が飛んできた
彩耶華に目を向けていた綺堂は油断していたのか、左腕に当たってしまう
何故か、輝人が駆けつけてくれたのだ

彩耶華「あ、貴方は…!」

輝人「おいおい、ネクロハンター2人でネクロに苦戦かよ」

彩耶華「う、うるさいですわね!」

日奈子「彩耶華!」

そこに日奈子と同じネクロハンターの炎が現れる
炎は輝人と共にコバルトの救助へと向かう
火を使って、コバルトの雪を溶かす

彩耶華「皆さん…どうしてここに?」

日奈子「輝人が、彩耶華のご両親を殺した犯人が、最近中国で起きた殺人事件の犯人と一緒だと言うことが分かって、それを伝えるために彩耶華を呼んで欲しいって言われてたんだけど、先に帰ったでしょ。だから探したんだよ」

炎「俺は日奈子から連絡を貰った。まさかお前らでネクロに会っていたとはな」

コバルト「ま、まぁね…うぅ、さぶっ…!」

綺堂「くっ…!」

左腕を燃やされた綺堂は、自身のアビリティで雨を作り、火を消す
ついでに火傷も治すつもりで雨を打たせる
それはシュールな光景だが、輝人達にとってはどーでもいい光景だ

輝人「雪に雨か…間違いないな。お前が“天気(ウェザー)”のアビリティって訳か」

彩耶華「そして私の両親を殺したクズ男ですわ…!」

日奈子「この人が…!」

綺堂「…炎の使い手、斑目輝人か」

輝人「あ?俺を知ってるのか?」

綺堂「あぁ、知っている。劉さんから話は聞いているからな」

輝人「りゅう?どちらのりゅうだ?」

綺堂「中国マフィアと言えば分かるか?」

輝人「!…“羅刹天ーラクシャーサー”か」

綺堂から劉の名前が出るなんて思わなかった
それだけじゃなく、劉と知り合いと言うことは、背後に“羅刹天ーラクシャーサー”の存在があると言うことだ

輝人「まさかまたその名前を聞くとはな」

綺堂「劉さんと言うより、張さんと知り合いと言うのが正しいな。そうだ言っておこう、もうすぐ“羅刹天ーラクシャーサー”が日本にやって来る」

炎「!なんだと…!?」

綺堂「その時を、待っていろよ?お前達だけじゃなく、邪魔をするネクロハンターも潰してやると言っていた」

彩耶華「待ちなさい…!逃げるつもりですの!?」

綺堂「逃げる?勝負は一旦お預けと行こう。どうせ私の首を狙っているんだろう?ここは狭いし、何より部外者が多いからな」

綺堂はそう言うと全身から濃霧を噴き出し、包み込んだ
それに反応し、輝人と炎はすぐに飛び込むが、既に綺堂の姿は無かった

炎「…逃げられたか」

輝人「クソッ…!」

彩耶華「…星浦綺堂…!」

逃げられてしまい、彩耶華は悔しさのあまり、拳を作る
その様子を見ていた日奈子は、心配する

日奈子「彩耶華…っ」

彩耶華「……斑目輝人」

輝人「!」

彩耶華が輝人に近付く
拳を崩し、正面を向く

輝人「な、なんだよ」

彩耶華「…私の両親を殺したのは、貴方では無かったですわ。それなのに、狙ってしまい申し訳ありません」

コバルト「彩耶華?」

彩耶華が輝人の目の前で頭を下げる
間違いで、勘違いだったとはいえ、最初に襲ってしまったのは事実だ
ましてやあの時は、日奈子まで巻き込んでしまった

彩耶華「日奈子さんも…ごめんなさい」

日奈子「え?…あぁ、ずっと前の?いいよ!気にしないで!」

輝人「え~?俺は許さねぇかなぁ?だって滅茶苦茶怨まれていたしぃ~」

炎「大人気ねぇな」

日奈子「ほんと、サイテー」

輝人「んだと!?(#`皿´」

コバルト「おいおい彩耶華ぁ?一応斑目輝人も狙っているんだよ?謝らなくていいんだよ?」

彩耶華「…これでハッキリしましたわ。私が狙うのは、星浦綺堂のみ。私は絶対この手で、奴を地獄に叩き落としてやりますわ…!」

日奈子「彩耶華…」

彩耶華「日奈子さん、申し訳ありませんがこれだけは譲れませんわ。こうでもしないと、私の気が晴れませんわ」

彩耶華の眼からは、決意を感じる
本気の様だ
それを感じた日奈子は、何も言わず黙っておくことにした





綺堂「…申し訳ありませんでした」

逃げた綺堂は、離れた場所で電話をしていた
相手はもちろん、“羅刹天ーラクシャーサー”の副ボス張だ

張『驚きましたよ。空港のニュースに、貴方の姿が映っていましたから。何とかハッキングをして、映像は全て消すことに成功しましたが、警察が貴方に辿り着くまで時間の問題です。大丈夫ですかね?』

綺堂「そこはご安心を、別の隠れ家を既に用意しています。そちらに滞在し、来週はそのままお出迎え致しますので、今暫しお待ちを…」

張『……期待、していますよ?』

そう言うと張は電話を切る
綺堂は、黒いつば広帽子を深く被り、歩き出す

綺堂「…さて、漫画はもう描けないか。どーするかな…」


ー星浦 綺堂ー







『真アゲハ』キャラクタープロフィールの紹介


☆星浦 綺堂

①9月9日
②176㎝
③O型
④味噌おでん
⑤スケッチ
⑥ペン入れを1発描き出来る
⑦漫画家『New堂雲』
⑧なし
⑨天気ーウェザーー
⑩漫画家として活躍している一方で、裏社会では依頼を受ければアビリティで人を殺し、死体をスケッチしてしまう程の快楽殺人犯。彩耶華の両親を殺した張本人。
 描く漫画は『泣ける漫画』としてSNSで話題となっているが、実際はバッドエンドが多く、ハッピーエンドはない。そのため一部の者は「不評」と評価をしている。
 トマトが大嫌い。





黒羽「…ありがとうございました、お疲れ様でした」

「はい、こちらこそありがとうございました」

その日、花巻女子学園の英語教師の黒羽は、用事のため千鳥工業高等学校に来ていた
用事を終わらせ、千鳥工業から出る

黒羽「…さて、花巻女子学園に戻るか。…ん?」

何かを察したのか、黒羽は後ろを振り返る

黒羽(…私を狙う誰かか?気配からして対した腕では無さそうだな。相手にするのは止めておこう)

再び前を見て、ゆっくりと歩き出す
だが、黒羽が考えていた事と全く別な事件が起きようとしていたなんて、思いもしなかった






?「…あ、円さん?ようやく見つけましたよ。奴は“千鳥工業高等学校の教師”です…!」






○NEXT●

→来海を殺した黒羽の居場所が分かった烈怒羅夢は、復讐として黒羽を殺すため、千鳥工業高等学校に襲撃を仕掛ける。
 ゆに達2年生が人質にされ、立てこもり事件が発生してしまった。「黒羽を出さなきゃ全員を殺す」と円は言うが…!?