真アゲハ ~第68話 森久保 ユウナ4~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



ユウナ「わぁ~!とうちゃ~くっ!」

カンナ「ここって…」

昨晩、ユウナが突然『特別講習を行う』と言い出し、場所を変更し、2人はとある場所に到着した
その場所は

スタッフ「いらっしゃいませ!ようこそ“コノハズクキャンプ場”へ!」

そう、それはキャンプ場だった
レンタカーを借りて、ここにやって来たのだ

このコノハズクキャンプ場は、愛知県のシンボルの鳥であるコノハズクから名前を借り、名古屋市内から車で、30分~40分離れた所にある
都会を忘れさせる程の樹木が並ぶ有名なキャンプ場で、すべてのテントが見渡せる程の広いグラウンドに、手ぶらで来れるグランピング施設にはバーベキューグリルや冷蔵庫も完備してある
近くに川が流れているため、釣りも出来て、釣った魚を食べることも出来る
またトイレや温泉施設もあるため、女性にも人気である

今回はここで日帰りキャンプを行う
ちなみに日帰りキャンプの場合、休憩としてグランピングの部屋を1つ借りられる

ユウナ「うほ~っ!急だったとはいえ、空きがあって良かったぁ~っ!それにキャンプ場とは思えない程ふっこふこだよ~っ!(*>∀<*)」

借りることが出来たグランピング施設の部屋に入り、ベッドにダイブするユウナ
カンナの方は、未だに何故ここに来たのか分からない状態だ

カンナ「ね、姉さん…?なんでここに?特別講習って言うから、どこかの訓練場かと思ったけど…」

ユウナ「細かいことは気にしな~い。さて、行こうか!」

カンナ「え?行くって…どこに!?」

ユウナ「このキャンプ場じゃカヌーや釣り体験も出来るんだって!早く行こっ!」

カンナ「ま、待ってよ姉さんってば!」

ユウナに引っ張られて、カンナは川へと向かう

川の方に到着すると、ザアザア…と自然の音がして癒される
だが少し寒気も感じる

スタッフ「あ~、申し訳ございません。今カヌーはすべて出てしまったところでして、交代まで30分はかかるかと思われます」

ユウナ「あ~そうですかぁ…」

カンナ「姉さんったら」

スタッフ「もしよろしければご予約なさいますか?」

ユウナ「はーい!」

カヌーの順番を待っている間、2人は釣りをすることにした
釣り道具をレンタル出来るし、おまけに釣った魚を焼いて食べることも出来るので楽しみだ

ユウナ「よぉーし!たくさん釣るぞぉ!」

カンナ「姉さんってば!いい加減に教えてよ!特別講習って何なの?」

何も話さずに子供みたいに無邪気に楽しんでいるユウナの姿に、いい加減痺れを切らしたのか質問する
するとユウナはカンナに釣竿を渡す

カンナ「?」

ユウナ「もうとっくに講習始まってるよ」

カンナ「え!?」

ユウナ「まぁちゃんと教えるから!まずは勝負だよカンちゃん!どっちが多く釣れるか勝負!」

そう言うとユウナも釣竿を準備し、バケツに川の水を入れて、スタンバイをする

カンナ「え!?ま、待って姉さん…!」

ユウナ「講習は後で詳しく教えるね!制限時間は20分!それじゃあスタート!」

開始の号令と共にユウナは釣竿を大きく振る
奥の方に届く

カンナ「もう…!」

カンナも釣竿を振るが、ユウナの半分くらいしか飛ばない

カンナ(…姉さんったら何も答えないし、何なのよ。こうなったら、私が勝って、姉さんから講習内容を聞いてやるんだから!)

真剣な顔つきになり、川の中を眺める
ユラユラと、動く何かがいる
魚は間違いなくいる

ユウナ「おっ!来た来た!」

カンナ「え!?」

まだ1分もしてないと言うのに、ユウナの釣竿に魚がヒットした
タイミング良く釣竿を引き上げると、そこには太くて大きなイワナだった
釣竿を上手く外して、バケツに入れる

ユウナ「わ~!やったやった!まずは1匹目~!」

カンナ(嘘…なんで!?)

ユウナはエサを取り付けると、再び釣竿を振る
また遠いところだ
カンナも負けじと、エサと見せるために釣竿をこまめに振るが、魚が引っ掛からない

ユウナ「おっ!また来た!」

再びユウナの釣竿にヒットした
またイワナだ
一方のカンナはまだ釣れない

カンナ「ううう…!」

自分の横でユウナがたくさん当たることにだんだん腹がたってきた
その間にユウナの釣竿にさらに魚がかかる

ユウナ「~♪」

カンナ(…どうして?何がいけないの……?)