真アゲハ ~第67話 白浜 恵介7~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



佐々江「よいしょっと。じゃあ親父ぃ、あいつから金の回収してくる」

鮫津組のアジトの前に1隻の小型船が停まっていた
佐々江は部下を連れて、船に乗り込む

鮫津「あぁ、分かってると思うが奴が払え無かったら…」

佐々江「親父に連絡する。んで親父は女を殺す、だろ?」

鮫津「……行ってこい」

佐々江達を乗せた船が、港へと向かう
白浜から瀬戸組のお金を受け取るため、港までこうして向かっているのだ

鮫津(…恐らく奴らが眼帯の探偵を連れてきてると言うことは、面倒なことになりかねない。奴が金を持ってこようが、持ってこれまいが、どっちにしろ手をつけておくか)

アサギから聞いた情報を思い出し、鮫津は奥の鉄の牢屋へと向かう
その時だった

ドオォォォンッ!

「うわぁぁあっ!?」

鮫津「!」

突然アジトへの入り口が爆発した
鮫津組全員は驚くと、煙の中から何かが飛んで来る
それは鉤だ
鉤の鋭い部分が、岩に引っ掛かる

義丸「オラァ!鮫津組ぃ!今日で納め時だぁ!」

鬼嶋「海の藻屑になりてぇか、鮫の餌になりてぇか、どっちか選びやがれぇっ!」

「うわぁ!な、なんだぁ!?」
「日向と鬼嶋だぁ!」
「瀬戸組が乗り込んで来たぁ!?」

煙の中から瀬戸組の船が姿を現し、すぐに岩場へと乗り移る
突然の事に鮫津組の連中は混乱する

恵介「…!いた!凪だ!」

奥の鉄の牢屋に監禁されている凪の姿を確認する
すぐに白浜は走り出す

炎「こいつらは任せろ、お前は嫁を」

恵介「あぁ!分かった!」

「ふざけやがって!」
「このぉ!」

彩耶華「はぁっ!」

彩耶華も白浜の前に出て、近代鉈を振り回す
久し振りの戦闘のため、気合いが入っている

彩耶華「ネクロに味方をする者に容赦はしませんが、貴方達はネクロ以下の酷い連中ですわね。……それにしても、瀬戸組の皆さんもかなりの武闘派と聞きましたが、変わった武器をお持ちなのですね」

彩耶華が興味を持つのも無理はない
普段目にすることはない武器を、瀬戸組は使用している

義丸「俺が相手だ!」

先頭を進むのは、鉤を投げた日向だ
使った鉤には鎖が繋がれているが、持ち手は長縄だ

重明「日向の兄貴の得意武器は、投げ鉤!通称“須磨留(すまる)”!敵船に鉤をかけて引き寄せる船道具さ!鉄鎖は相手に切り離されないためで、持ち手部分が縄なのは、こちらが切り離して逃げるためなのさ!」

炎「おい急にどうした?」

突然1番舎弟の伊倉が説明し出した
炎は反応するが、日向は須磨留を振り回す
鉤が服に引っ掛かれると引っ張られ、鮫津組の組員は転ぶ
近距離戦も、相手が刃物を向けているにも関わらず、素手や脚で攻撃をする

「ぐぅっ!な、なんだよ!」
「ただの鉤なのにぃ…!」

義丸「ただの鉤じゃなくて、須磨留だ。船にとっては欠かせない道具であり、その名前は“昴星”に由来する。天気を読むにも時を計るにも、第一に昴星を見るため、他の星を見ることはない。その星の名前がついている須磨留を扱えるのは、この俺だけだ!」

「フンッ!かっこつけやがって!このっ…!」

鬼嶋「うちの特攻隊長に手ぇだしてんじゃねぇよ!」

日向の背後に襲いかかろうとした鮫津組の組員がいたが、同期の鬼嶋が攻撃する
その手には、槍のような武器を持っていたが、先端が数本のトゲでいっぱいだ

鬼嶋「ここは俺に任せろ!」

義丸「おう!頼んだ八雲!」

重明「鬼嶋の兄貴の得意武器は、袖搦み!通称“やがらもがら”!先端の鉤と爪で攻撃!そして4列に植え込んだトゲで、相手の服を絡めて、動けなくさせる武器さ!」

鬼嶋「しゃあっ!うらぁっ!」

やがらもがらを振り回すと、先端のトゲが刺さったり、身体に傷ついたりして、相当ダメージを喰らう
そのトゲを服に引っ掻けて、相手を引っ張り、別の方向から来る敵にぶつけたりする
相手も服を絡まれると思っておらず、不意をつかれて引っ張られる

鬼嶋「まだまだ……ウプッ!((((;゜Д゜)))」

出だしは順調に戦っていたが、ここに来て陸酔いが来てしまった
顔は青くなり、隙を与えてしまう

「今だ!やっちまえ!」

三好「させるかよっ!」

バキッ!

「ゴブッ!」

何やら丸くて硬い物が飛んで来た
見ると、三好が何やら縄で繋げた丸い球を持っていた

鬼嶋「す、すまん三好…!(|||´Д`」

三好「こちらで一旦休んでいてください」

重明「三好の兄貴の得意武器は、“投げ炮烙”!土器や銅の器の中に火薬を詰めたもので、遠くまで飛ばせるよう、振り回して投げるために縄をつけた、水軍独特の宝禄火矢さ!」

三好「かかってこい」

しっかりと結びつけ、先端の炮烙を投げ飛ばす
それはハンマー代わりになり、遠距離戦でも戦える強力な武器になる
炮烙自体も硬いので、盾代わりにもなる

影山「三好ぃ!」

三好「!カシラ、大丈夫なんですか?」

影山「あぁ、後は任せろ!」

三好の後ろから影山が降りてきた
影山の手には、2本の包丁がある

伊倉「影山のカシラの得意武器は、“腰包丁”!大きなクジラも切り裂く程の切れ味!こんな武器を2丁使い出来るのは、この影山のカシラだけさ!」

本来ヤクザのカシラのポジションとなる者は、組長同様守られる存在
だがこの影山は違う
自ら戦闘に立ち、暴れる
腰包丁の鋭さが、鮫津組の組員の身体を抉る
すぐに斬れる程の切れ味だ

彩耶華「あんなに素早く…見習いたいですわね」

影山「このっ…ウウウッ!(((((;゜Д゜)))」

しかしここで影山の陸酔いが来てしまった
鬼嶋同様顔が青くなり、頬が膨れ上がる

三好「あああカシラぁ!やっぱりダメなんじゃないですか!…って触んじゃねぇよ!」

彩耶華「前言撤回しますわ(・・;」

重明「カシラぁ!」

義丸「おい重!お前も喋ってねぇで戦え!」

重明「は、はい!」

先程から兄貴達の説明ばかりの伊倉も動き出す
伊倉は背中から、大きな刃物を出す

重明「俺の得意武器は、“海部刀”!抜き身で背中に背負って、水中で闘うために、刀に穴を開けて、紐を使って結んである!泳ぎの達人、水練の武器さ!」

水中で闘うためなのか、振り方がとても軽く見える
切れ味もなかなかだ
さらに伊倉自身も、舎弟とは思えないほどの戦闘力を誇っている

炎「ハァッ!」

重明「おっ!あんたもなかなかやるな!」

炎「フンッ、当然だ」

炎も負けじと、瀬戸組に攻撃をし、進んで行く