真アゲハ ~第59話 グレイシア7~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



「ワァァァァアッ!」
「きゃあぁ!何々ぃ!?」
「逃げろぉ!氷漬けにされるぅ!」
『すぐに離れてください!』
『テロの可能性があります!逃げてください!』

グレイシアの襲撃があったことで、ハロウィンナイトを楽しみにしていた参加者達は逃げ出す

円「おいおい…サツも結構出てきたな。もうここまでか」

多部「そんじゃ逃げるか」

宗方「ここまで人がいなくなると見つかる可能性があるな。早くアジトに戻ろう」

鹿島「あぁ…(茜さんもどこかに行っちゃった…)」

半グレ組織“烈怒羅夢”のメンバーもすぐにアジトへと戻る
同じ頃、グレイシアの周りに輝人達や多々良、ネクロハンターも姿を現す

多々良「ネクロだから触らなーい!」

バシッ!と警棒を叩き、グレイシアの手首を牙が襲う
ガブリ!と言う感覚に襲われ、グレイシアは咄嗟に手を離す

グレイシア「っう!」

コバルト「ちょっと待てよ…なんだよあの武器は…!」

多々良が使っている武器に、コバルトは興味を示す
だがそれは好意の方ではなく、疑惑の方の興味だ

コバルト(ネクロの灰を使っているけど、あれはそう簡単に手に入る代物じゃないぞ…!?警察があんなの持ってるなんて…那取くんは知ってるのか?)

グレイシア「ぐぅっ…!どいつもこいつも…ふざけんじゃないよ!」

グレイシアは一旦多々良から離れ、炎によって落とした銃を拾う
その銃はグレイシアが手にすると、再び氷の銃となる

炎「銃が凍った…?まさか、あれで氷を撃っていたのか?いやだとしたら弾丸は…」

コバルト「気付いた?炎くん」

炎も気になりだしたのか、コバルトは話しかける

コバルト「あのネクロが持ってる銃はただの銃じゃない。恐らく、アビリティを弾丸代わりにしてるんだと思う。だけど…」

炎「あぁ、あんな武器は見たことがねぇ。だがあんなのを持ってるとなると、“館長”が言ってたのは本当みたいだな」

輝人(噂…?)

グレイシア「死ね!サツが!」

ズガンッ!ズガンッ!

多々良「やべっ…!」

多々良の警棒に弾丸が当たってしまい、弾丸が凍り出す
すぐに手を離すが、警棒全部が凍ってしまった

多々良「あああ…!使えない…!やっぱり今日の星占い当たっていたぁ…!」

グレイシア「はっ、ザマァないね」

栗栖「祐希奈!もう止めてくれ!」

栗栖がグレイシアの前に出る
だがグレイシアは栗栖に向けて銃を構える

グレイシア「言ったハズだよね?私はグレイシア、あんたが知ってる逢坂祐希奈はもう3年前に死んでるの」

栗栖「っ…!」

炎「おいどけ、こいつは俺らが捕まえる。その武器に関して、聞きたいことがあるからな」

炎が栗栖の横から現れる
だが栗栖は炎を止める

栗栖「ま、待ってくれ…!その…!」

炎「まさか、お前あの女の肩を持つつもりじゃねぇだろうな?例えお前の元婚約者でも、今は犯罪を犯したネクロなんだぞ?」

栗栖「それは…そうだが…」

輝人「おい何止まってんだ!避けろ!」

栗栖「!」

グレイシア「死ね」

ズガンッ!ズガンッ!

2発の銃声が響く
栗栖は咄嗟に炎を庇うが、怪我はしていない
その時、珍しい人物のうめき声が聞こえた

グレイシア「ぐっ…うううぅっ…!」

栗栖「…?」

それは、グレイシアだった
グレイシアの両腕から、血が流れていた
弾痕だ
怪我を負わされた事で、2丁の拳銃を落とす

グレイシア「な、なんでぇ…!?」

亜季「逢坂祐希奈だな?貴様を逮捕する」

グレイシアが後ろを振り返ると、そこには愛知県警の烏丸がいた
さらに茉莉花と鈴木もいる

多々良「あらぁ、烏丸警視」

輝人「これはこれは警視様、一体何のご用で?」

亜季「決まっているだろ?その女を逮捕するんだ。貴様らに渡すわけにはいかない」

グレイシア「ぐっ…あ、あんた…!」

亜季「なんだ?」

烏丸はグレイシアに近付き、どこからかカイロを取り出す
そのカイロをグレイシアの首に付けると、すぐにグレイシアは苦しみ出す

グレイシア「ぐっ!あぁぁあっ…!」

カイロの熱さのせいで、グレイシアは苦しみ出した

亜季「なるほど。直接触れると火傷はするが、熱さには弱いみたいだな。ならばこのままカイロを貴様に渡そう。私からのプレゼントだ」

グレイシア「そ、そんなプレゼント…いらないわよ…!」

カイロを払い除けようとしたが、グレイシアの両腕は使えない
すぐさま、烏丸はネクロ専用の手錠をかける

コバルト(ちょ、ちょっと…どうするの?あのネクロ連れていかれるの黙って見てる?)

炎(仕方ねぇだろ)

亜季「連れていくぞ」

栗栖「ま、待ってくれ…!」

烏丸がグレイシアを連行しようとした時、栗栖が止めに入る

グレイシア「千翔也…?」

炎「おい待て、お前まだ…」

栗栖「違う、その腕を…」

栗栖が気になったのはグレイシアの腕の方だった

栗栖「…その腕、治療させてください」