真アゲハ ~第58話 財前 彩耶華8~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



彩耶華「……もう、ズルいですわ。日奈子さん。…これで無理矢理、私を元気付けようなんて…本当にお節介ですわね。そのせいで…ここから2人で出なければならなくなりましたわ」

日奈子「!…彩耶華…っ」

突然発生したエスポワールにより、彩耶華に効果を使うことが出来た
その想いが伝わったのか、彩耶華は泣き出したが、同時に笑顔が生まれた
日奈子の優しさが、エスポワールに移ったのかもしれない

彩耶華「それにしても、貴方のその籠手は一体…」

心の闇が浄化され、彩耶華は質問する
咄嗟だったとはいえ、日奈子が自分のエスポワールを見せてしまった
もう後戻りは出来ない

日奈子「…説明は後で、まずはここから」

アサギ「逃げられるとでも思ったぁっ!?」

彩耶華「!」

アサギの声が聞こえると、彩耶華が日奈子を突き飛ばす
直後、2人を隠していた空っぽの本棚に斧の刃先が入る
アサギが居場所を突き止めて、斧で真っ二つに斬ろうとしていたのだ

日奈子「わぁぁっ!」

アサギ「見ーっけ♪お話終わった?」

彩耶華「貴方…!」

アサギ「もう鬼ごっこ飽きちゃった、そろそろ本気で殺させてもらうよ?」

日奈子「っ…!彩耶華!逃げて!」

日奈子は籠手のまま、アサギに飛びかかる
アサギは避けたり、ベース型の斧を盾にして、日奈子の攻撃を防ぐ

日奈子「ハァッ!ヤァッ!」

アサギ「おおっ!ちゃんと格闘術の基礎出来てるじゃん!ちゃんと稽古してるんだねぇ~」

日奈子「このっ…!」

アサギ「でもそれじゃまだ俺には勝てないかな?」

ベース型の斧で防いだ直後、アサギは回転した
終わると同時にアサギの脚が、日奈子の腹に入る

日奈子「ガハッ!」

腹に伝わる激痛で、日奈子は嘔吐する
そのまま吹き飛んでしまった

彩耶華「日奈子さん!」

アサギ「おっとぉ、させないよ?」

彩耶華「!」

彩耶華の前に立ち、道を塞ぐ
ここに近代鉈が無い以上、攻撃は出来ない

彩耶華「くっ…!」

アサギ「どうやら武器も無いみたいだねぇ。そんな状態で、俺に勝てると思ってるの?そう言うの、無駄な足掻きって言うんだよね」

彩耶華「最低ですわね…人に同情したフリをして、最後には悪党の道へ連れていくなんて…!」

アサギ「その悪党に騙されたのは、一体どこの誰かなぁ?」

彩耶華「!」

アサギ「俺から逃げられないよ?」

彩耶華「…逃げた女を追うなんて、未練ですわね」

アサギ「あっそ。それ遺言と捉えて良いのかなぁ?」

アサギが彩耶華に向け、斧を振り上げる
その時だった

?「あぁ、但しお前の遺言だと思うぜ?」

アサギ「え?」

ボォォォオッ!

アサギ「あっづ!Σ((((;゜Д゜)))」

後ろから声が聞こえ、アサギは振り返る
だがそこには火の壁が迫り、アサギの背中を燃やした

アサギ「熱い!熱い!熱い!熱い!((((;゜Д゜)))」

彩耶華「これは…まさか…!」

輝人「ったく、手こずらせやがって!」

彩耶華「!」

彩耶華の前に、輝人が現れた
左手の手袋を外しているところを見ると、輝人が助けたのだろうとすぐ分かった

茜「日奈子様!財前様!」

日奈子の元に茜が駆け寄る
ゆっくりと日奈子は起こされる

日奈子「あ、茜さん…っ」

彩耶華「どうしてここに…?」

輝人「そこのブスがバイトの時間になっても来ねぇし、何も連絡もないから無断欠勤かと思ったんだよ!」

日奈子「あ、ごめん…!忘れてた…!でもスマホ、壊れちゃったから連絡出来なくて…!」

輝人「言い訳は後で聞いてやる!面倒な奴に巻き込まれやがって!」

アサギ「…きらちゃん、久し振りだねぇ。なぁに?お兄ちゃんの顔見に来たの?」

輝人「んな訳ねぇだろこのクズ!」

背中の火を完全に消したが、火傷をしたのか、ヒリヒリと痛む

彩耶華「!…やっぱり兄弟なんですわね…」

日奈子「一応血は繋がってるからね」

輝人「どーゆー意味だ!(-_-#」

アサギ「ったく、きらちゃんが現れてくれちゃったおかげでつまらなくなっちゃった。もう良いや、俺帰るね?」

そう言うとアサギは振り返る
だがすぐ目の前に、鋭い刃先が現れた

アサギ「!?」

炎「よぉ」

その刃先の先を見ると、彩耶華と同じネクロハンターの炎がいた
中国剣を向けていたのだ

彩耶華「先輩…!」

日奈子「炎さん!なんでここに!?」

炎「“館長”がお前と連絡が取れないって言って来たんだ。そんでどうしたのか調査をしていたら、鞄が外に落ちていた」

彩耶華「あ、ありがとうございます…!」

アサギ「へぇ…君がきらちゃんの命を狙ったって言うネクロハンター?思ったより若いね」

中国剣を突きつけられているにも関わらず、アサギは余裕の表情だ
背後には輝人もいて、前も後ろも逃げられない

炎「後輩が世話になったみたいだな。そのお礼として、貴様の命を貰おうか?」

アサギ「あらら?ネクロハンターは人間の命は取らないんでしょ?」

炎「言っとくが手を出すのは俺じゃない。背後にいる奴だよ」

輝人「へぇ珍しい、俺に獲物を分けてくれるなんて優しいねぇ」

炎「敵の敵は味方と言うだろ?」

アサギ「あれ?ヤバい感じ?」