真アゲハ ~第56話 ロブスター11~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



ー繊維(ファイバー)ー
使用者:成田 理沙
自分の髪の毛を服に付けることで、その髪の毛を操り、服の繊維に侵入させる。髪の毛は服の繊維に絡み付き、服を自在に操ることが出来る。
しかし、その1本を引きちぎるか斬らなければ、効果は消えない。





輝人「お前、ネクロハンターだな?」

神戸「!」

輝人に指摘され、神戸は反応した
その瞬間を輝人は見逃さず、神戸に向けて火を放つ

神戸「うおっ!あぶねぇ!」

ギリギリのところで、神戸は避けることに成功した

輝人「やっぱりな、こんな攻撃避けられるなんてネクロハンターぐらいしかいねぇ」

神戸「誰だっていきなり火を向けられたら、嫌でも避けるわ!」

一旦避けた神戸だが、ソードブレイカーを向けて輝人に攻撃を仕掛ける
輝人はソードブレイカーを避ける

輝人「うぉっ、お前高校生なのにやるな。あのペンギン女と同じか」

神戸「お前いつから俺をネクロハンターだと思った!?」

輝人「昼間だよ、お前昼間に神宮寺宏美のズボンがくっついていたって話をした時、妙に納得した顔になっていたじゃねぇか。普通の人間なら、あり得ない光景に戸惑うハズだ」

神戸「へぇ。流石探偵を名乗るだけ、見る目があるな。だが好都合だ!どっちにしろあんたを殺す事を命じられたんだ!ここでぶっ殺してやる!」

輝人「勘弁してくれ!俺今日はサーベル持ってきてねぇんだよ!」

すぐに押さえられるだろうと思って、サーベルを持ってきていなかった
攻撃を仕掛けてくる神戸の相手をするが、火の攻撃がソードブレイカーによって斬られる

輝人「ソードブレイカーならサーベルは持ってこなくて正解だったが…やっぱただのソードブレイカーじゃねぇよな!」

神戸「ったりめーだ!お前みたいな奴を殺すために用意されたんだよ!」

理沙「ひっ…!ひぃっっ…!あ、熱いぃぃ~~…!熱いぃい~~…!」

一方髪を焼かれた理沙は、近くにあった幕などの布を使って、髪の消火活動を行った
何とか火は消えたものの、自慢の癖っ毛が酷い有り様だ

理沙「あっ…!わ、私の髪が…!自慢の髪の毛がぁぁ…!」

持っていた手鏡で髪形を確認し、震えて泣き出す
髪を焼かれてしまっては、女優としても、ネクロとしてもアビリティを発動することが出来ない

理沙「やっと…!やっと神宮寺宏美になれると思っていたのにぃ…!」

…ボタッ…!ボタボタボタ…ッ!

強い悲しみと痛み、怒りが混ざり合い、理沙の眼から透明な涙ではなく、黒い涙が流れ出す
それはどんどん流れ出し、理沙の足元に黒い水溜まりが出来る
オーバーネクロの初期症状だ

輝人「…ん!?ヤバい!あいつ…!」

すぐに抑えようと思っていたが、神戸に話しかけてしまったことで遅くなってしまった
神戸も気が付くが、既に遅い
理沙は、黒い液体に飲み込まれてしまった

神戸「しまった!」

黒い液体は徐々に大きくなり、黒い布に変わった
シュルシュル…!と動き出すと形を変えて、中性のドレスの用な姿になった
黒い傘を持ち、眼の部分にはアクセントに金色の仮面が飾られてある、女性型のオーバーネクロとなった

ー成田 理沙
 改め クリスティーヌー

クリスティーヌ「…」

ギョロッ!とクリスティーヌは仮面越しに輝人と神戸を睨み付ける
すると黒いドレスから大きなリボンが動き出し、鞭の様に2人を狙った

輝人「うおっ!びっくりしたぁ!」

神戸「おい!あんたのせいだぞ!髪を燃やすなんてしなければ!」

輝人「いや抑えるつもりだったんだよ!お前も邪魔しなければ!」

クリスティーヌ「ウオオオオ…!」

ドォンッ!と今度は傘を振り回し、ステージを破壊し始める

輝人「チッ!喧嘩してる場合じゃねぇ!早く“核(コア)”を…!」

シュルッ!

輝人「!うおっ!?」

輝人に黒いリボンが巻き付き、強く絞め出した
さらに傘の先端を、輝人に向ける

輝人「チッ!オーバーネクロになっても、理性はあんのかよ…!」

輝人はただでは殺られないと、手から火を出す
すぐにリボンは燃え、解放される

クリスティーヌ「!ウォォォオ…!」

リボンが燃やされると、クリスティーヌは苦しみ出した
さらに傘を大きく振り回す

輝人「うおっ!あぶねぇ!」

神戸「!なるほど…布だけど、身体の一部でもあんのか!」

クリスティーヌの弱点と攻撃パターンを読んだ神戸は、クリスティーヌを倒すための作戦を考える
あとはクリスティーヌの“核(コア)”だけだ

神戸「…探しているうちに見つかると良いが…!」

そう呟くと、上着の内ポケットから2つのある物を取り出した
それは、ネクロの灰が入ったカプセルだった

神戸「俺だって殺られに来たわけじゃねぇぞ!“ロブスター”の力、見せてやるぜ!」