真アゲハ ~第53話 松房 浩司1~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



ジリリリリリリッッ!

「キャアーッ!火事よぉ!」
「皆起きて!早く!」
「ゲホッ!ゲホッ!」

真夜中
名古屋市内の住宅地で火災が発生した
一軒家が燃え出し、黒い煙が空に漂う
消防隊が駆けつけた時には既に隣の二軒目や三軒目にも燃え広がり、火災が大きくなってしまった

「うわぁーんっ!」
「お家燃えちゃったよぉ~っ…!」
「おじいちゃん!こっちだよ!」

幸い怪我人や逃げ遅れた人もおらず、全員無事だった
消火まで時間はかかったが、完全に火元を消すことが出来た
しかし突然の火事で、家が崩れてしまった

消防隊員「一体何があったんだ?」

火元は何なのか、消防隊員は調査をする
すると別の消防隊員が、近隣住民からとある目撃情報を耳にした

消防隊員「…え!?犯人を見たかもしれない!?」

なんと、犯人と思われる人物を見たのだそうだ
顔は暗くてよく見えなかったが、特徴的な容姿だったそうだ

住民「それが…赤い髪で、左目に眼帯をしていた男なんです。その人はここらで見たことが無かったから…その人を見た後で、赤く燃え出して…」

消防隊員「赤い髪で、左目に眼帯を…?」

この目撃証言があったため、消防隊員は警察に届けを出した
これは、もしかしたら放火事件の可能性が出てきたからだ
そしてこの事件の捜査が、ある人物の逮捕になるとは、誰も思いやしなかった…





輝人「…はぁ?ハロウィンナイトぉ?」

10月の中旬
斑目探偵事務所に、とある依頼が入った
10月31日のハロウィンナイトに参加してほしいとの事だ
もちろん、依頼人はこの人、

ツバサ「そう、すぐそこの『オアシス21』で“東海ハロウィンナイト”が行われるのよ。前回の夏祭り同様、あんたたちもコスプレして警備を行ってもらいたいわ」

輝人の母親・宵町ツバサだ

東海ハロウィンナイト
それは東京の渋谷駅前で行われるハロウィンナイトの様なものだ
ここ名古屋でも、10月31日当日にハロウィンを行う
そのため、輝人達もコスプレをして警備を行ってほしいと言う

ツバサ「当日は日曜日だから、街に人々…いえゴースト達が集まるわ。そんな時に問題はつきものでしょ?だから、イタズラするゴースト達をあんた達も止めてほしいのよ」

輝人「上手い事言うなよな。大体前回の夏祭りでくたくたな思いしたってのに、今度はコスプレまでやんのか?」

ツバサ「一応TPOは守ってもらいたいからね。当日は私達も警備をするから、それなら文句無いでしょ?」

輝人「そー言う問題じゃねぇんだよ」

日奈子「ハロウィンかぁ~、そういや千咲達も行きたいって言ってたなぁ~」

カンナ「麻希や奈緒もですよ」

ゆに「コスプレ結構テンション爆アゲなんですケド!」

航平「良いですね!やりましょうよ!」

始「俺やりたい!」

輝人「俺やだよ、良い年してコスプレなんてバカじゃねぇの?」

栗栖「じゃあ輝人はやらないのか?」

輝人「は?栗栖、お前やる気?」

栗栖「コスプレなんて滅多に出来ないからね。あ、衣装は俺自前の使うから」

カンナ「なら私も」

茜「私もお手伝いしますね。以前デザイナーのお仕事も経験しておりましたので」

輝人「なんでお前らそんなにやる気なの?普段のバイトよりやる気ってどゆこと?」

日奈子(ん?てことは炎さんも来るのかなぁ…?)

ハロウィンナイトに夢中になる日奈子達に、輝人はついていけないと思ってため息をつく
頭を抱えながら、事務所を出ようとドアノブを引いたその時だった
扉の前に、1人の人物がいた

多々良「やっふー(笑)」

輝人「うおおっ!びっくりしたぁ!Σ((((;゜Д゜)))」

そこに愛知県警の屍人対策課の問題児・多々良傑がいた

多々良「どうも私がパトレン1号です、本物です」

始「多々良さん!」

輝人「どうしたんですか?なんでこんなところに?」

多々良「いやな、お前に話があって来たんだよ」

輝人「は?話?もしかしてネクロ関係の事件とか?」

多々良「まぁな、両手出して?」

輝人「え?こ、こうですか?」

多々良に言われるがまま、輝人は両手を前に出す
次の瞬間だった

…ガチャッ!

輝人「…へ?」

栗栖「え?」

日奈子「えぇっ!?」

ツバサ「あら」

輝人の手首に、金属の輪っかがかけられた
手錠だ
その光景に日奈子達は驚く

多々良「斑目輝人、放火の容疑でお前を逮捕する!」

輝人「…は?はぁぁぁぁぁあっ!?」