真アゲハ ~第51話 蜂須賀 真魚1~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



○前回までのあらすじ●

→名古屋拘置所から、鹿島現次郎と言う男が出所した。その男は“創造(ビルド)”のネクロで、半グレ組織“烈怒羅夢”に所属する。彼は殺人犯の冤罪で投獄されていた。
 そんな時に以前の職場で知り合いだった茜と出会い、久し振りの再会に2人は様々な事を話す。
 その会話をしているところを何者かに写真を撮られ、翌日発売された週刊誌に、悪く言われて…!?





輝人「…じゃあ、この記事は全くの嘘って事だな?」

今朝発売された週刊誌を見て、栗栖はすぐ日奈子に連絡をした
『殺人犯A、出所してすぐ女と密会!?反省の色なし!』と言うタイトルが見開きページに大きく書かれ、茜と鹿島のツーショット写真も大きく載っている

日奈子「これって…昨日の夕飯の時じゃん!多分私がトイレに行ってた時に…!」

栗栖「茜さん、念のため聞きますが…この鹿島さんとはどう言った関係なんですか?」

茜「建設会社を勤めていた時の…同僚です」

雑誌の話を聞いた茜は、ショックを受けた顔をした
自分の事ならまだしも、鹿島の事をまた悪く言われたのだ

茜「反省の色なし!って…鹿島さんはそもそもやっていませんし、昨日だって私と再会しただけでこんな…!」

日奈子「茜さん…」

輝人「鹿島って人物が犯した事件は知ってる。5年前、師匠が気になっていたからな」

そう言うと輝人は過去の事件のファイルを取り出す
師匠のルチアが、残してくれたのだろう
パラパラ…とめくると、事件の詳細が記載された写真や新聞の切りぬきが保存されていた

日奈子「何々…え?証拠もないのに逮捕!?」

輝人「俺は鹿島って人間がどんな人かは知らないが…茜さんが嘘を付くとは思えない。となると、鹿島は冤罪で拘置所に投獄され、出てきたと思ったらまた悪評を書かれたって訳か」

茜「…斑目様、私からお願いがあります…!」

茜は輝人を真っ直ぐ見る
その顔は、本気だった

茜「鹿島さんは、何も悪くありません。5年前の殺人の件も鹿島さんは全くの無関係ですし、今回の事でこれ以上鹿島さんが悪者になるのは見てられません…!ただの元同僚ではありますが、5年前何も出来なかったせめてもの償いと言いますか…!とにかく、鹿島さんを助けて欲しいんです!斑目様!どうかお力を貸していただけないでしょうか!」

日奈子(こ、こんな必死な茜さん、初めて見たかも…!)

普段の茜からは想像できないくらい必死な形相だった
その行動を見た輝人は

輝人「…俺は弁護士じゃないし、法的な事は無理だ。だが、誰がこんな記事を書いたのか調べることは出来る。茜さんからの本気の依頼、受けますよ」

と、答えた

茜「!…ありがとうございます!」

日奈子「輝人…ありがとう!」

輝人「まぁそれに…丁度この週刊誌の事で、依頼があったからな」

日奈子「え?依頼?」

自分達がお願いしたより先に、他の依頼者がいた
それは昨日依頼してきた蛙間兄弟だった
2人が帰った後、口コミを調べたのだ

輝人「実は昨日出勤してきたゆにに頼んでな、蛙間兄弟の店の事を言っていた口コミを調べてもらった。そしたら…」

バンッ!

丑和「犯人が分かったぞぉ!」

輝人「うおおおっ!ビックリしたぁ!Σ((((;゜Д゜)))」

輝人が説明しようとしたその時、事務所の扉が突然開いた
蛙間兄弟が現れたのだ
兄の丑和は、手に最新号の週刊誌を持っていた

輝人「てめぇら朝早くからくんな!アポぐらいとれや!」

日奈子「わ、ワァ…!」

丑和「ん?あぁ!うちの店にやってきたガキ!なぁにちい○わみたいな声出してんだ!」

以前蛙間兄弟のレストラン『FRIENDSHIP』に調査のため日奈子は潜り込んだが、その結果、上品なレストランは方向性を変えて、観戦しながら食事をするレストランに変わってしまった
その事を思い出したのか、日奈子はこっそりと隠れる
襲われるのではないかと思ったが、すぐ栗栖が反応する

栗栖「あ、あの…どうしたんですか?分かったって?」

丑和「あぁ、そうだ!昨日依頼した口コミのアカウントを徹底的に調べてな、見たところSNSのアカウントっぽいから、すべてのアカウントを探して、この人物が何者なのか調べたんだ」

鎌足「WeTubeにSwitter、CanstagramにTokNok…おかげで寝不足だ!」

輝人「そこは知らねぇよ」

茜「それで…分かったのですか?」

丑和「ようやくな!このアカウントを調べてみたら…とある人物にヒットした!」

そう言うと丑和は手にしていた週刊誌を見せる
その週刊誌は、茜と鹿島のツーショット写真が載っている物だった

丑和「この“週刊WASP”の会社に務めている社長、蜂須賀真魚と言う女だ!」

輝人「…あー…悪いんだが、それもう分かったんだよな…(・・;」

丑和「…え?」

輝人がそう言うと、先程茜や日奈子に見せていた週刊誌の記事を見せる
間違いなく、“週刊WASP”の記事だった

丑和「…だぁー!先を越されたじゃないか!(#`皿´」

鎌足「なんだ!俺が悪いってのか!?(#`皿´」

丑和「だったら何だよ!(#`皿´」

自分達が折角見つけたのだから、驚くだろうと思ったのだろうが、外れた
丑和と鎌足は殴り合いを始める

日奈子(この人達、全然変わってないなぁ…)