真アゲハ ~第42話 龍 炎5~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



ー本殿内ー

妃「獣人術 “豹型” 豹ノ牙」

“龍の一族”の本殿が、『羅刹天ーラクシャーサー』の襲撃を受け、爆弾による爆発が起きている中、『羅刹天ーラクシャーサー』幹部の張と“龍の一族”の長女・妃の死闘は続いていた
薙刀を振り上げ、斬撃を飛ばす妃
一方の対戦相手である張は、その斬撃をかわした
老人とは思えない程の素早さとしなやかさだ

張「飛ぶ斬撃ですか、私にもありますよ」

そう言うと両手を真っ直ぐ伸ばし、刃物を振るような形で妃に向けて飛ばした
その量はとても多く、とても大きい

張「“古竜絶拳 古翼ノ刃”」

自分より大きな斬撃を放つ張
しかし殺られる訳がない
斬撃を良く見て避け、張へと近付く
それは電光石火の様だ

張「おや」

妃「獣人術 “豹型” 豹ノ乱舞」

いつの間にか、妃は張の後ろにいた
この技は先程『羅刹天ーラクシャーサー』の部下達に入れた大技だ
数人相手の技を、張に披露したのだ
しかし

…ズバッ

妃「…!」

切られたのは、張の袖とズボンの裾だけで肉に届いていなかった
その下からは、鉄で出来た腕や脚があった
鉄のプロテクターだ

張「…“古竜絶拳 古鎧ノ装”。防御力が一番高い受け身技です。あの状況で貴方の技を避けるのは難しかったですからね。これは念のための保険です」

妃「…そう」

攻撃が通じなかったとは言え、止めるわけにはいかない
妃はすぐ薙刀を、張に向けて突き出した
張は避け続ける

張「おやおや、せっかちですね」

妃「仕事は早い方がいいでしょ?」

張「確かに、しかしなかなかやりますね」

妃「…鉄を仕込んでいると言うなら、身体にもありそうね」

張「ご名答です。もうバレてしまいましたか」

妃「…ならその余裕な口を切り裂くまでよ」

妃は低い位置だった薙刀を大きく上にあげる
そこは丁度張の顔面を狙える角度だった

張「フフフ…」

顔面に薙刀が迫ってきているが、張は笑う
余裕で止められると思ったからだ
“古竜絶拳 古鎧ノ装”で構えを取り、薙刀を捉えようとする
しかし、それは妃によるフェイントだった

妃「獣人術 “豹”型 豹ノ遊戯」

張「!」

ドガッ!

張「ぬおっ!?」

薙刀が張の顎を捉えると思いきや、突如薙刀を止めた
すぐに体勢を低くして、張の脚を強い蹴りで脚払いをしたのだ
張は突然の事に驚き、体勢を崩してしまう

張「ぬぅっ!」

妃「口を狙うと思ったかしら?脚がお留守だったわね。貴方に怨みは無いけど、死んで?」

体勢を崩してしまった張にさらに容赦なく、薙刀を向ける
それは今までと違う構えだ

妃「獣人術 “豹”型 豹ノ斑」

次の瞬間、薙刀が交互に素早い突きを繰り返した
1本の薙刀が、複数あるように見える
それは全体攻撃に見え、体勢を崩した張に逃げ場を与えさせない程の素早さだ
このままでは、張に当たってしまう

張「…!」

しかしその時だった

…ズガンッ!

妃「…!」

銃声が鳴り響く
それと同時に妃が技を止めてしまった
いや、止めざるを得なくなった
妃の腕に弾丸が当たり、薙刀を落とす

ガロン「…だ、大丈夫か?張さん…!」

金剛丸「ったく無茶しやがって…」

弾丸が飛んできた方向を見ると、同じ幹部のガロンと金剛丸がいた
6男の老と輝人との戦闘でボロボロのガロンを、金剛丸が支えていた事で、妃を狙えたのだ

ガロン「わりぃ、あんま肩上げられなかった…。弾も1発しかねぇし、殺せなかった」

金剛丸「だからもう少し至近距離でやれって言ったんだよ!それよりじいさん逃げるぞ!」

妃「っ…!」

カミラ「あ!張さん見っけ!」

そこに反対側からゾンビパンダに乗ったカミラも現れた
彼女の後ろでさらに大きな爆発が起こる

妃「くっ…」

張「…もう時間の様ですね。私を転ばせるとは驚きましたよ。勝負はここまでにしましょう。貴方と…“黒豹の王妃(クイーンパンサー)”と戦えて良かったですよ」

そう妃に言い残すと、張はカミラのゾンビパンダに乗せられ、共に逃げ出した
ガロンと金剛丸も、その場から逃げ出した

妃「…」

残った妃は腕を抑えながら、『羅刹天ーラクシャーサー』の幹部達を追わずに、別方向へ動き出した
その後ろでは、爆発のせいで火が回りつつある

妃「……張、と言ったわね。覚えておくわ。そして今度会ったら、殺してあげる…」