茜「やっぱりお店で待っていたんですね…!電話で確認して正解でした…!」
茜は急いで絵麻が待っている店へと向かった
土曜日に警備として、名古屋製菓専門学校に行くので、詳しく伝えておこうと思っている
不安にさせてしまうかもしれないが、知らないよりは良い
茜(でも何故でしょう…胸騒ぎが…)
パリィンッ!
絵麻「キャアァ!」
茜「!絵麻さん!?」
絵麻の店から悲鳴と、ガラスが割れる音が聞こえた
すぐに駆けつけると、絵麻が焦った顔で店から出てきた所が目に入る
腰を地面に付けて、震えているところを見ると、腰が抜けてしまったみたいだ
絵麻「や、やめてっ…!」
炎「逃がすか!」
絵麻の後から炎が出てきた
茜の目に炎が入る
茜「!…止めなさい!」
炎「!」
絵麻に中国剣が振られる前に、茜が止めに入った
茜が前に出たことにより、炎は中国剣を止める
炎「!貴様は…斑目輝人の仲間の…!」
絵麻「あっ、茜ヶ久保さん…っ!」
茜「大丈夫ですか!?」
炎「そこをどけ!その女は斬る!」
炎は迷わずに中国剣の刃を向ける
茜は絵麻を守る
茜「どきません!彼女を突然襲うなんて…!一体どういうつもりなんですか!?」
絵麻「茜ヶ久保さん…っ」
炎「どういうつもり?俺がどんな仕事をしているのかは分かっているハズだろ?俺はネクロを狩る者、ネクロを狩るのは当たり前だ」
茜「だからって何故彼女を…!?」
炎「まだ分からないか?お前が守っているその女は、ネクロだよ!」
茜「え…!?」
絵麻「…!」
炎から衝撃的な真実を聞かされ、絵麻を見る茜
絵麻の顔は、みるみる青ざめていく
その表情を見て、炎が話したことは嘘ではない事が判明した
絵麻は、ネクロだった
炎「分かったらさっさとどけ!」
言いたいことを全て言った炎は、再び絵麻に飛びかかる
茜はそれに反応し、絵麻をさらに守った
炎「!?…何故邪魔をする!」
茜「貴方が言ったことは間違いでは無いことは分かりました!ですが…私は尚更、彼女を守ることに専念いたします!」
絵麻「…!」
炎「わざわざ忠告したにも関わらず、それを無視して守ると言うのか?」
茜「簡単に命を奪おうとするなんて…!貴方に人の心は無いんですか!?」
炎「人の心はある。だがそいつはネクロだ。ネクロはこの世に存在してはいけない。その力は必ず人を不幸にさせる。そんな奴を野放しにしてはいけない」
茜「だからって…!」
炎「それに貴様、斑目輝人の仲間だろ?あいつも以前はオーバーネクロになった。そんな危険な奴と共にいて、安全と言えるのか?また再発するかもしれないんだろ?」
茜「ですが、斑目様は反省して、再発を起こさないように動いて…!」
炎「信用ならんな、ネクロと共にいて毒されたか?これ以上邪魔をすると言うなら、人間である貴様も斬るぞ?」
茜「……どうやら、言っても無駄の様ですね」
話しても無駄だと分かったのか、茜は攻撃のために構えのポーズを取る
その様子を見て、炎も本気を感じとり、刃を向ける
ファンファンファンファン……ッ
茜「え?」
その時、パトカーのサイレンが聞こえた
失踪事件の警戒を呼び掛けているため、巡回しているのだろう
このまま見つかってはまずいと思ったのか、炎は中国剣をしまう
炎「チッ、今度邪魔してきたら、貴様の首も盗るからな!」
茜にそう話すと、炎は姿を消した
炎が消えた事で、茜は安堵の息を吐く
茜「絵麻さん、大丈夫ですか?」
突然自分が狙われる身になってしまい、何がなんだか訳が分からなくて混乱しているに違いない
茜は絵麻に向けて手を差し出す
その時
パンッ!
茜「…!」
絵麻「ハァ…!ハァ…!」
茜が差し出した手を、絵麻は力強く叩いて振り払ったのだ
顔は青ざめており、震えて怯えている
絵麻「ごっ…ごめんなさっ…!」
茜「あ!え、絵麻さん!」
絵麻は重たかった腰を何とか起こし、茜から逃げ出した
茜は逃げ出した絵麻を追いかけたかったが、炎の先程の言葉を思い出す
炎『その女は、ネクロだよ!』
茜「ネクロ…絵麻さんが…?」
信じられない事実だが、絵麻の様子を見て、嘘ではないのは確かだ
だがあの様子は、知られたく無かったから怯えている様に見える
茜「絵麻さん…っ」
ー森口 絵麻ー
完
○NEXT●
→絵麻がネクロだと知った茜は、真実を知るために独自調査を行う!
そして迎えた土曜日当日!
“ハーメルンの笛吹き男”が現れ、人々が行動をし出す!
果たして輝人達は止めることが出来るのか…!?