スパムは自身の顔の皮を破いた
その事には驚くが、さらに驚くものを目にした
なんと、スパムの顔の下は肉や骨ではなく、鉄の塊と無数のコードで出来ていた
スパムは人間ではない
アンドロイドだったのだ
宏一「ろろろロボットぉっ⁉」
隆聖「そ、そんなのって…!」
登志夫「人間じゃ…無かったのか⁉」
スパム「Oui.(はい)私はとある科学者によって産まれたアンドロイドです。その科学者とは…私と同名のスパム・マルウェア」
宏一「え…⁉」
アリノス『スパム・マルウェアが…⁉』
電話を通して聞いていたアリノスも驚いた
さらにスパム・マルウェアの資料を読む
人工知能の研究もしていたことを再確認すると、納得した
本物のスパム・マルウェアは死ぬ直前に自身の分身であるアンドロイドを作ったと…
それが、宏一達の目の前にいるスパム・マルウェアだ
アリノス『そう言うことか…!』
隆聖「本当にアンドロイド…なのか?それにしては、人間に近過ぎ…いや人間と同じだと思う…!」
スパム「スパム・マルウェアはより人間と同様のアンドロイドを研究したみたいですね。手足の動きに顔の表情、目の動きに髪の艶に皮膚のハリ…この列車のガラクタアンドロイドとは全くの別ものでしょう?」
そう言うとスパムは剥がした自分の顔を元に戻した
ズレやシワが無く綺麗に貼れて、宏一達は不気味さを感じた
スパム「スパム・マルウェアが死ぬ直前、私にすべてを託してくれました。死ぬ直前にこの世のデータをすべて私に読み込んでくれて、彼が作ったC-VIRUSを受け継ぎました。おかげで私は…完全なアンドロイドになることが出来ます」
アリノス『なるほど、本物のスパム・マルウェアは5年前に既にアンドロイドを完成させていたのか。それが現代になって現れたとは…』
隆聖「何が完全なアンドロイドだ!フィンランド全体を停電にして、おまけにこの新幹線の乗客も危険に晒して…!」
登志夫「そういやフィンランドの電気が必要だとか言ってたな⁉それはなんでだ⁉」
スパム「フィンランドの電気は素晴らしい物ですから、取り入れてみたいんですよ。その電気の力があれば、私は永遠の命を手に入れる事が出来る」
隆聖「永遠の命⁉」
スパム「貴方達人間と同じですよ。誰だって若さや長寿は欲しいものでしょう?それが無ければ人間は歳をとって、死んでしまう結末が待っている。機械は年を取る事はありませんが、長寿の力は無い。何年後になるか分かりませんが、必ず壊れてしまうことがある。そこでフィンランドの電気が必要なんです。コンピュータ先進国のフィンランドが作った電気を取り込めば私は何十年、何百年、何千年と、あるいは人間が全滅する時代にも私だけが生き残れる。そして分からせてやるんですよ、人間が機械に勝てるわけが無い…と」
隆聖「そんな勝手な理由でこんなテロを始めるなんて…!」
スパム「もっと言えば…元々この計画は、スパム・マルウェア自身も望んでいたことですよ」
登志夫「なんだと⁉」
スパム「彼の研究はとてもtre's bien(素晴らしい)でした。賞を取っても良いくらいの物…ですが世間は認めてくれなかった。彼の研究を馬鹿にし、つまらない、くだらない、将来の何の役にも立たないと罵倒され、最後には世間から見放されて…。そんな彼の気持ちが分かりますか?」
宏一「…」
スパム「だが彼は諦めなかった。と言うより、見返したい、復讐してやりたいと言う思いでいっぱいだった。それから長年の月日をかけて彼はC-VIRUSを作った。誰にも削除できない、どんなコンピュータにも入り込む事が出来る最強のコンピュータウイルスを。そして同時に私を作ってくれた。私は彼の意思を受け継ぎ、スパム・マルウェアの研究は実に恐ろしくてpassionnant(魅力的)な物だと世界中に証明するんですよ!その時になって後悔した人間の顔を見るのは、きっと娯楽でたまらないでしょうね!」
高笑いするスパム
その様子に宏一は、静かに聞いていたが
宏一「おい、そこまでにしとけよ機械野郎」
スパム「…え?」
黙っていた宏一の口が開いた
その表情は、怒りを露にしていた
宏一「黙って聞いてりゃふざけた事抜かしやがって…。人間が機械に勝てるわけが無いって?その人間がてめぇら機械を作ってんだろーが」
スパム「……!」
宏一「確かに機械とかアンドロイドとかAIとか賢いし優秀だし、将来の役に立っている事はあるよ。実際この新幹線に乗っててそう思ったし。でも人間にはあって機械に無いものって、お前何か分かる?」
スパム「何です急に、妙なことを聞きますね」
宏一「答えろよ」
スパム「Je ne sais pas.(知りません)一体なんです?」
宏一「“感情”だよ」
スパム「ほぉ…」
宏一「人間には喜怒哀楽ってもんがあって、それの他にも色んな感情がある。感情があるから、様々な行動を起こす事が出来るんだ。この新幹線に乗りたくて数日前から楽しみにしてたり、ちょっとしたすれ違いで怒って喧嘩したり、襲われると思って怖くなったり、それでも立ち向かおうとして戦ったり…感情持つだけでこれだけたくさんの行動を起こす事が出来るんだよ!」
菊乃「宏一くん…」
スパム「フッ、何を言うかと思えばそんなこと…。残念ながら私にはそんな物は必要ありませんね。私は機械ですから、人間が可哀想とか思いませんよ」
宏一「そうか…じゃあお前が1番可哀想だな」
スパム「…は?」
宏一「後悔した人間の顔を見るのは、きっと娯楽でたまらないって言ったみたいだが…そんなのすぐ終わると思うぞ?お前が考えているほど人間って、そんなに愚かじゃないから。お前を止める事に全力を注ぐからさ。まぁそんなことになる前に、お前を潰すけどね」
宏一はそう言うと、自分のエスポワールを起動させる
宏一「本気出した人間の強さ、見せつけてやるよ!その時になって後悔するなよ!」
隆聖「そうだね」
登志夫「て言うわけでアリノスさん、目の前のバカロボット壊して来るんで、連絡後でで!」
アリノス『あぁ!やってこい!』
そう言うとアリノスは電話を切る
登志夫と隆聖もすぐエスポワールを起動させる
宏一「お前を止められるのは……俺達だ!」