ガシャアンッ!
タテハに金属の固まりが襲いかかった
大きな揺れが終わり、金属の固まりが砕かれる
仁「…!」
ダイヤモンド「フフフ…!これで終わりだな瑠璃川タテハ!お前の負けだ!」
金属の固まりが砕かれると、そこには大きな穴が空いていた
そこにタテハがいるのだろうと、キャプテンダイヤモンドは仁を無造作に投げ、穴に向かった
ダイヤモンド「そこか」
仁(タテハ…!そんな…!)
ダイヤモンド「指輪もゲットしたし、後はタテハの変わり果てた姿を見て終わりだな。さぁてどうなってるかなぁ?紙切れみたいにペッちゃんこに…」
キャプテンダイヤモンドは穴の中を見る
だがそこに、タテハの姿は無かった
ダイヤモンド「は⁉いないだと⁉」
?「どこ見て言ってんだ」
ダイヤモンド「⁉」
背後から声がした
キャプテンダイヤモンドは振り返る
そこに潰されたはずのタテハがいた
タテハはいつの間にか仁の横にいた
ダイヤモンド「瑠璃川⁉なんで⁉」
仁(た、タテハ⁉)
仁もタテハが生きてると知って、安堵した
ダイヤモンド「おまっ…!なんで⁉潰したはずじゃ…⁉」
タテハ「いや?潰されてなんかないよ。お前が最初から仁を人質に何か仕掛けてるんじゃ無いかと思ってね。金属で俺を潰すつもりだったのかもしれないけど、俺はその直前で…“仁のエスポワール”を使わせてもらった。そんで床に撃って、穴開けてギリギリ潰されずに済んだって事。あ、ここまでは下通って来た」
と、タテハは左手の薬指を見せる
そこには先程甲板に置いたはずの黒い指輪がはめられていた
ダイヤモンド「はぁ⁉な、なんでこっちは…⁉」
甲板に置いたままの指輪を見る
だがそれは、粘土を真っ黒に染めた偽物だった
ダイヤモンド「なぁ…⁉」
タテハ「ここに来る前に美術室に入って正解だった。黒ペンキや粘土があったから偽物を作り出す事に成功した。俺はお前みたいな卑怯者なんかに、エスポワールを簡単に渡したりしない!」
そう言いながらタテハは仁の拘束を解きにかかる
仁「…っはぁ…!タテハ…!」
タテハ「ごめん仁、勝手にお前のエスポワールを使っちまった…。でもどうしてもお前を助けたかったから…!」
仁「ったくお前な…」
仁は何か言おうとしたが、タテハの右手を見る
右手が傷だらけだ
仁のエスポワールを使った影響かもしれない
それを見た仁はため息をつく
仁「…慣れない武器を使い過ぎるとそうなるんだよ。けど良かった、普通なら腕無くなってるぞ?」
タテハ「え、そうなの?ゴム手袋着けてたからかな…?(・・;」
仁「その指輪、返してくれないか?アマチュアのお前にはまだ早いみたいだしな」
タテハ「ぐ…返す言葉も無い…(・・;」
ダイヤモンド「てめぇら…!よくも俺をコケにしやがって…!」
キャプテンダイヤモンドの怒りが頂点に達したその時だった
…ドクンッ!
ダイヤモンド「うっ…⁉」
突然キャプテンダイヤモンドが苦しみ出した
自分の首を掴む
ダイヤモンド「うっぐ…!」
タテハ「?なんだ?」
仁「どうした?」
ダイヤモンド「ぐっ…あぁぁぁあぁぁぁあっ!」
ブワァァアッ!
ダイヤモンドの口から何か黒い影が出てきた
それはハートレスの様に見えるが、ハートレスではない
影は人型に形を変えた
その姿は、ファントムと同じだった
ファントム「…瑠璃川タテハ、内海仁、よく聞くがいい。私の名前はファントムだ」
タテハ「ファントム⁉」
ファントムと同じ姿の影は、ファントム本人を写しているものだった
ファントム「君達を襲撃し続けた怪物がいるだろう?あれは私の差し金だ。そして、お前達が探している“蝶の虹”は私が持っている」
仁「お前がすべての黒幕ってことか…」
ファントム「心配するな、“蝶の虹”を返してやる。その代わり、黒木大雅のエスポワールを渡してもらおうか」
仁「⁉」
ファントムの目的が分かった
黒木大雅のエスポワール、つまり黒い指輪を渡せと言うことだ
何に使うのかは分からない
だが良くない事に使うつもりだ
さらにタテハや宏一達を苦しめたリルカが盗んだ“蝶の虹”の存在が確認された
アゲハ族にとって、大きな交渉になるかもしれない
しかし
…パチパチパチ
タテハ「?」
仁「素敵な演説をありがとうよ、ファントムさん」
仁は拍手をしながら、影のところへゆっくりと近付く
タテハ「仁…?」
仁「確かにその“蝶の虹”はアゲハ族にとって、すごいお宝だ。だがだからと言って…あんたにこれを渡すわけにはいかない」
ファントム「何?」
仁「これでどうしようか、本当の目的なんて知らない。だがこのエスポワールを使えば世界は崩壊するんだ。そんなこと…許すわけねぇだろ!俺はお前を見つけ出し、“蝶の虹”を本格的に取り返してみせるぜ!」
ガチャッ!とコルト・パイソンを影に向けた
そして
ズガァンッ!
1発撃った
ファントム「ア゛あぁぁぁ!」
キャプテンダイヤモンドの口から、影は消えた
怪人の変身が解けた訳では無いが、影を本当に消すことは出来た
仁はリロードをして、言った
仁「…ここに宣言するよ。ファントムだろうが誰だろうが、この銃を狙ってくる奴は片っ端からやっつける。そしてこれをアゲハ族のために使う!これは黒木大雅の物でも黒木仁の物でも無い!福島県アゲハ族の、内海仁の物だぁっ!」
ズガァンッ!
と、仁は1発空に向けて撃つ
するとあんなに酷かった雨が急に止み、真っ黒な雲が離れ出す
そこから青空と太陽が顔を出し、変わり果てた校舎を明るく照らし出した
タテハ「…すげぇよ仁…!お前、やっぱ最高じゃん…!」