アゲハ ~第61話 天草 時貞12~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



時貞「武器を持たずにどう戦うんですか?まさか素手で?」

斗影「それは見てのお楽しみだ!」

斗影はトンファーを使わず、時貞に立ち向かった

時貞「フン、無駄なことを…」

ビュンッ!ドスッ!

時貞は容赦なく斗影に射ち続けた
斗影は矢に当たらぬように、研究室の机の影に隠れながら避ける

時貞(またさっきと同じ様にするのか?だが無駄だ。このエスポワールの前ではそう簡単な攻撃なんてさせやしない…!)

斗影「……」

時貞「…一応言っておきますが、このエスポワールの矢は無限に出続けますので…矢を空にしようとか考えているなら、止めた方がいいですよ?」

斗影「ほぉ、それはご忠告どうも」

時貞(…何なんだ?あの男の余裕は…、まさか本当に突破法を考えたのか…?)

斗影「よっと!」

時貞「埒があかない…こうなったら…!」

時貞は矢を10本持ち、天井に向けて構えた
その矢はすべて、毒の矢だ

斗影「?何を…」

時貞「一気に片付けますね」

時貞は部屋全体に雨を降らすように放った

ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!

斗影「うわっ!」

時貞「逃がしはしませんよ」

10本が終わると、また10本を構えて射ち出す
毒矢の雨が、斗影に襲いかかった

斗影「くっ…!」

時貞「っ…!」

何回も10本射ち続けても斗影は避けてばかり
先程までの威勢はどこに行ったんだと思ってしまう
当たらず、逃げ続ける斗影の姿に、時貞はだんだん腹が立ってきた

時貞「っ…!当たれよ…!なんで当たらねぇんだよ!」

斗影「俺の体が当たりたくないって言ってるんだ。仕方ねぇだろ?」

時貞「クソッ…!ふざけるのも大概にしろォッ!」

ビュンッ!

10本の矢は止めて、また1本に変えた
斗影に向けて、毒の矢を射つ

斗影「っ…!」

時貞「…!」

放った瞬間、時貞は気づいた
今自分はアドレナリンを出していた
それのせいで、今は毒性がかなり強くなっているに違いない

怒らないように気を付けていたのに…放ってしまったのだ

時貞(マズい…またやって…!)

斗影「おい、なんて顔してるんだ?」

時貞「え?」

斗影の声がし、顔をあげる
なんと斗影はギリギリ矢を付かんで止めたのだ

時貞「あ、あんなに逃げ続けたのに…まだ反射神経の気力があるのか⁉」

斗影「逃げ続ける?そんな風に見えたか?にしてもこれ…血の色は同じなのに毒があるって怖いな…」

そう言うと斗影は受け止めた矢の羽から中の血を抜いた

時貞「っ…馬鹿にしやがって!」

斗影「おっと!」

ビュンッ!とまた時貞は射ってきた
斗影は避けながら、受け止めた矢を元に戻した

斗影「“これ”、お前に返すぜ!」

時貞「!」

斗影はその矢を時貞にダーツの様に、思いっきり投げた

時貞「フンッ!」

ビュンッ!と時貞は矢で受け止めようとした
だが

バリンッ!
ベチャッ!

時貞「うわっ⁉」

斗影から投げられた矢がぶつかった衝撃で割れて、中からベチャッとした液体が右手にかかってしまった

時貞「な、んだこれ…⁉」

斗影「面白い薬品www」

時貞「は…?」

時貞は周りを見る
ここは研究室だ
変わった薬品があるのはおかしくないが、危険な薬品があったらそれは大変なことになる

時貞(まさか…逃げていた様に見せかけていたのは、これを見つけるため…⁉)

斗影「なーんて、嘘だよ。それ薬品じゃないから(笑)」

時貞「は?」

斗影「それ接着剤なんだって。少量でも結構粘着力が強いやつ(笑)」

時貞「ハァッ⁉」

斗影「これでお得意の矢も射てねぇな。その接着剤の説明書読んでみたら、40度のお湯じゃないと取れないみたいだぜ?」

時貞「っっ~!ふざけんなよてめぇっ!」

時貞は矢を構えて弾こうとする
だが、ベトベトの接着剤のせいで、弾くことが出来ない
それどころが、徐々に接着剤が固まってきてる

時貞「貴様っ…!勝つのは、悪者に何もしない時だと言ったはずだろ⁉」

斗影「あぁ、言ったよ?だから何もしてねぇじゃん」

時貞「はぁ…?」

斗影「1つ、トンファーを置いてからお前に一切攻撃なんてしてない。2つ、逃げていた様に見せかけて、実は接着剤を探していた。3つ、お前に矢を返すために、矢を“返した”。4つ、ベトベトになったのは俺のせいじゃない。お前が射ったから…だろ?」

時貞「貴様…っ!」

時貞「言ったろ?俺は攻撃しないことにしたってさ」

そう言うと斗影は時貞の前に現れ、時貞の懐から例の解毒剤を確認した
3つあった
1つは斗影が飲んだ

斗影「んじゃ、フェンに渡してくるな」

そう言うと斗影は研究室から逃げ出した

時貞「待てっ…!この…!」

時貞は跡を追おうとしたが、接着剤のせいで動きが取れない
よく見ると、足にも付いており、歩くことも出来ない

時貞「クソッ…!クソォォォッ!」

後ろから時貞の叫声を聞き、斗影は思った

斗影(火傷…見せるつもりじゃ無かったんだけどな)






ー天草 時貞ー






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ロシアの軍兵が復讐のために…!