哀幻波達は話を終えて、旅館内を捜査した
まず、現場となった部屋を見る
哀幻波「俺がここの入り口に立って、話を聞いていたんだ」
太陽「二人で九十九神也を探してたんだな…言ってくれたら俺も協力してあげたのに」
ジム「それも親じゃねぇのか?大事な子供を巻き込みたくないと思ってあえて言わなかったんだよ」
蒼汰「太陽は本当にお父さんとお母さんに愛されていたんだね」
太陽「あぁ…」
哀幻波「部屋はこんなもんか…」
響「こら君達!」
そこに警部補だった響が入る
響「勝手に入ってはダメだよ」
太陽「あ、すいません…俺の親父とお袋が亡くなったのでつい…」
響「気持ちは分かるが、後は我々警察に」
哀幻波「お言葉ですが、警察は信用出来ません」
響「何?それはどういうー」
太陽「あの、すみません。現場から凶器以外に何か見つかりませんでしたか?」
哀幻波「太陽!」
響「知ってどうするんだね?」
太陽「俺の両親が殺された理由を知りたくて…」
響「悪いが教えるわけにはいかないよ。いくらご遺族の方でも守秘義務があるからね」
太陽「…殺されたのが、棗空大“巡査長”でもですか?」
響「…!」
ジム「え?巡査長って…?」
哀幻波「あぁそっか、知らないんだったなジムは」
太陽「俺の親父、“警察”だよ?」
ジム「ハァッ⁉Σ((((;゜Д゜)))」
ジムは驚く
なんと空大は警察だったのだ
哀幻波「俺は昔から太陽とかのことを知ってるからな」
太陽「すごい優秀だったんだよなぁ、親父w」
ジム「どおりでお前があんな強い訳だ…(・・;」
太陽「あなた響警部補ですよね?親父がよく話してました。優秀ですごく尊敬してるって」
響「そ、そんなことを言われてもだな…」
蒼汰「この人の両親が亡くなってるんですよ?」
響「う…」
響は蒼汰の言葉に迷ったが、その結果
響「…分かった。但し、持って行ってはダメだぞ?」
と許可を貰った
遺留品を見せてもらうと、ほとんどの物が日常で使うものだった
哀幻波「…あれ?」
哀幻波はその遺留品を見て、あることを思い出す
それは昨晩の空大が言っていたこと
空大『ー俺らはそいつの情報を調べ、証拠を掴み、ついにここにやって来た』
哀幻波(証拠を掴んだって言ってたけど…証拠と言えるものが無い)
すべて空大と旭が日常で使っていたものばかり
その中に、証拠と思えるものが1つも無い
九十九神也に持っていかれたのかもしれない
太陽「どれもこれも親父とお袋がよく使っていたものばかりだな」
哀幻波「…そういや、傷口って凶器のクナイと傷が一致したんですか?」
響「あぁ…間違いなく一致。だが指紋がねぇ…」
太陽「そうだ…深さ。傷の深さはどのくらいですか?」
響「深さはクナイの刃の長さと一致した。あんなに深く入れるということは、まず女性は無理だろう。力が弱いからね」
ジム「じゃあ残りの3人の男の誰かって訳か…」
太陽「…親父だったらどうしていたかなぁ?」
響「…さて、もう見せただろ?早くもう行きなさい」
哀幻波「すいません、ありがとうございました」
響に言われ、現場から離れた
蒼汰「…どうする?何も見つからなかったけど…」
ジム「指紋も見つからなかったってことはよほど用心深いんだな。まぁ、どの犯人もそうなるか」
太陽「…なぁ哀幻波、あと親父達はどんな話してた?」
哀幻波「いや…特には…」
太陽「あーあ…推理漫画だったらこういうときにもう事件の真相が見えてきたー!って感じなのにぃ…蒼汰も付き合わせちまって悪いな」
蒼汰「構わないよ。俺も好きで動いているし…そろそろ俺もお客様の予約を調べておかないと」
ジム「おいおい、それってフロントの人間の仕事じゃねぇの?」
蒼汰「匠さん、俺にも扱き使って来るからね。“タヌキ”もいたりとか大変だよ」
ジム「タヌキ?この旅館にはタヌキが出るのか?」
蒼汰「あぁ、違うよ。タヌキってのは旅館の業界用語で“夕食抜きのお客”って意味なんだよ。この間旦那様から教えて貰ったんだ」
太陽「へぇ~面白いなぁ、タヌキなんて(笑)」
哀幻波「……なんか使えそうだな、それ」