アゲハ ~第1話 上野 美知瑠7~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



蝶が静香の家を去って、数分後

静香と美知瑠が帰ってきた

静香「た、ただいま…」

静香はゆっくりと玄関の扉を開ける

すぐに目に入ってきたのは、蝶に撃たれたはずの母親・芳江だった

芳江「静香、どこに行ってたの?」

静香「え?」

芳江「学校の先生から電話があったわ、倒れたから早退させたって…」

静香「あ…」

美知瑠「静香は…確かに倒れました」

芳江「美知瑠ちゃん、なぜあなたがここにいるの?関係ないでしょ?」

美知瑠「いえ…私が」

芳江「早退ならまだしも、こんな時間まで何をやってたの⁉早く部屋に戻って勉強しなさい!」

静香「え…」

美知瑠「倒れたのに勉強させるんですか⁉」

芳江「美知瑠ちゃん、あなたは帰りなさい」

美知瑠「嫌です!倒れた原因が分からないんですか⁉倒れたのに…心配もせずに勉強だなんて…!」

芳江「あなたも知ってるでしょう⁉静香は名門校の受験に落ちたのよ⁉それも1点というミスで!」

美知瑠「だからって…静香の体調も知らずに勉強させるだなんて…!おばさんは間違ってます!」

芳江「何ですって⁉」

静香「や、止めてお母さん!私が…」

?「おいおい、何を騒いでいるんだ?」

その時、玄関の扉が開いた

入ってきたのは、静香の父親と美知瑠の父親だった

ー静香の父親 
 大森 卓造(50)ー

ー美知瑠の父親兼芳江の兄
 上野 恭仁(48)ー

芳江「!あなた…兄さんも…」

美知瑠「お父さん…⁉どうしてここに?」

恭仁「いや…たまたま近くを通ったから、卓造さんに寄ってくかと誘われて…」

卓造「それより、また静香の成績の話をしてるのか?外まで聞こえて…近所迷惑だぞ?」

恭仁「成績の話?あぁ、静香ちゃんすごいからなぁ。美知瑠もちゃんと見習えよ?」

美知瑠「は、はい」

恭仁「いやぁ、静香ちゃんもすごいなぁ!昔の芳江とは大違いだ」

美知瑠「え?」

芳江「ちょっと兄さん?」

卓造「大違いって?」

恭仁「あぁ、芳江は高校2年生まで赤点ギリギリの成績だったんですよw」

静香「え?」

芳江「ちょっ…兄さん!」

とんでもない言葉が出たことに全員は驚いた
さらに恭仁は続けた

恭仁「小学校の時は小5になってやっとかけ算を覚えたり、夏休みの宿題を夏休みが終わる5日前までやらなかったりで。中学校では学年のビリから3番くらいの成績で、高校受験も危ういって当時の担任も言ってて…あ、何とか受かったのは普通の高校なんですけど。いやぁ一時はグレるんじゃないかと思うほど出来が悪かったんですよ。でもまさかそんな芳江が頑張って、大学まで行って、塾を開くと聞いた時は本当にビックリしたんですよ~!」

芳江「や、止めて…(´д`|||」

静香「お、お母さん…成績悪かったんだ……(・・;」

美知瑠「はぁ…なるほど。出来が良かった静香が高校受験で落ちて、昔の自分と重ねてしまって手を出していたって訳か…(・・;」

卓造「芳江…前に俺に“名門の女子校出身”と言って無かったか…?」

芳江「あなた、その件に関しては後で話しましょう?静香、今日は勉強休みなさい。やり過ぎは毒になるわ」

静香「あ、うん…(・・;」

まさかの展開で、大森家はお通夜の様に静かになってしまった

恭仁「…あれ?何か余計なこと言ったか?」

美知瑠「全然、むしろありがとう」

恭仁「え?」


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そして翌日
静香は笑顔で美知瑠と話していた

静香「…あの後お母さんがすごく反省して私に謝ってきたの。今まで叩いてばかりでごめんなさいって。勉強も少しやるくらいで良いって言ってくれたの」

美知瑠「そうなんだ。良かったね」

静香「まさかお母さんが名門校出身じゃなかったなんて…」

美知瑠「そうだよねぇ、実の娘に嘘ついて勉強させるだなんて最悪だよね」

静香「でも…美知瑠もありがとう」

美知瑠「え?」

静香「美知瑠が助けてくれなかったら、私どうなっていたか分からないよ」

美知瑠「そう?…でも良かった」

静香と美知瑠は再び仲良くなった

蝶「良かったね」

その様子をニコッと微笑みながら蝶は見ていたのであった



ー第1話 黒木 蝶 上野 美知瑠ー  

 完






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