♀セクメン♂ 81発目 #5 痛覚② | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



江武司のケガを治しに病院へ駆けつけ、急遽手術になった
針を数本縫い、包帯を巻いて何とかなった

医者「本当に危ない事故でしたね」

母親「すみません、私の不注意で…」

医者「今後は包丁を持ち運ぶ時とかに注意してくださいね」

母親「ありがとうございます…」

父親「あの…1つよろしいでしょうか?」

医者「はい」

父親「実は…」

父親は先程の出来事を話した
江武司が足に大怪我をしたというのに全く痛がらない事を。

医者「全く…なんですか?」

母親「はい…刺さった事も分からないみたいですし…」

父親「何かの…病気でしょうか?」

医者「そうですね…すみませんが、今一度検査をしてみます」

そう言うと医者はすぐ江武司と対面した

医者「基次郎くん、ちょっといいかい?」

江武司「はーい」

…ギュッ

医者が江武司の手をつねり出した

江武司「…?」

医者「痛いかい?」

江武司「いたくなーい」

医者「じゃあ強くなるけど…」

今度は江武司の腕を雑巾を絞るように捻り出した

ギュッ!

江武司「…なにしてるの?」

医者「これは痛くないのかい?」

江武司「ぜんぜん」

首を横に振り、医者は手を離した

医者「まさか…」

検査を終了し、両親に診察結果を伝えた

父親「…先天性無痛無汗症?」

医者「簡単に言えば、怪我をしても痛みも感じないし、汗もかかない病気です。ハンセン病にも似てて、誤診してしまう医者も多いんですよ」

母親「つまり…痛覚が無いって事ですか?」

医者「そうです」

父親「そんな…一体どうしてうちの息子が…!?」

医者「先日基次郎くんが高熱を出した時がありましたよね?おそらくそれが原因…いや後遺症かもしれないです」

母親「その病気は…治療法はあるんですか?」

医者「現在では完全に治す方法はありません」

母親「そんな…」

医者「ですが落ち込まないでください。この病気は痛覚と汗が無くなるだけとあって命に別状はありません。特に基次郎くんの場合、検査結果だとそれほど重いものでは無かったです」

父親「そ、そうですか…」

医者「しかし、だからと言って安心はいけませんよ?」

母親「え?」

医者「痛覚が無いと言うことは、温度や痛みの感覚が消失するため、骨折・脱臼などの外傷、熱傷や凍傷を繰り返し、骨折がうまく治らなかったり脱臼を繰り返すことを通じて、シャルコー関節と呼ばれる関節変形に至ることもあります。そのほとんどの患者はそうなってしまい、車椅子で動く様になってしまう人もいます。骨折したときなどに自覚が無いことは危険なので違和感を感じたらすぐに診察を受けに来てください。そして汗をかかないことになったといえ、温度変化や…」

医者に詳しく言われ、その後は生活環境を変えた

江武司には痛みを感じない病気の事を話した
すぐには理解はしなかったが、両親の言うことは守ろうと思った
前までは外へ出掛けてはいたが、江武司がいつ怪我をするか分からないため遠くても近所の公園まで外に出ることにした
買い物の時も離れることが無いようにずっと江武司は両親とともにいた

例え命に別状は無いと判断されても、両親2人にとっては怖かった
いつどこでどんな怪我をして、それが知らない間に悪化して、愛する子供の命に関わる様なことが起こったらと想像しただけで怖かった


しかし、それから2年後

この一家にある事件が襲った