♀セクメン♂ 81発目 #4 痛覚① | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



「ヒック…ヒック…ッ」

「…ママ?どうしたの?どこか痛いの?」

泣いている女性に幼い男の子が近寄る

「ママ、飴玉あげるよ。おばあちゃんが元気が無いときは飴玉食べると元気になるんだって言ってたよ?」

「……基次郎、あなたは本当に優しい子ね」

すると女性は優しく抱く

「…ママ…?」

「基次郎、あなたは強く生きて。生きて…いつかは人の上に立って…見返してやって…!」



江武司「…母さん、大丈夫だよ。俺が代わりに…」


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江武司は元々、ごく普通の一般家庭に産まれた
ごく普通の父親、ごく普通の母親の間に1人息子として育てられた

母親「基次郎、これは何の形かな?」

江武司「えっと…まる!」

母親「正解!じゃあこれは何色?」

江武司「えっと……あお!」

母親「正解!すごいわね!」

2歳になったばかりの頃、江武司は早くも学習能力を身につきはじめ、話すことや難しいことも覚えるようになった

父親「すごいなー基次郎、覚えるのが早いなぁ」

母親「この子、将来は先生か医者になるかもしれないわね」

父親「そうなると今度は俺たちが色々教わる番かなー?」

母親「まぁ、あなたったら」

父親も母親も仲が良く、近所ではおしどり夫婦と呼ばれるほど有名な両親だった
幼かった江武司のこともすごく可愛がっていたし、休日には家族3人で色んなところに出掛けて遊んだりもした


この時はまだ、幸せだった

江武司が3歳になったばかりのある日、突然40度を超える高熱を出して江武司は寝込んでしまった
原因は不明だったが、5日間も江武司は高熱に苦しめられた

その後は熱が下がり、何とも無かったかの様に普通に過ごしていた
ところがある日

母親「あなた、りんご食べる?」

父親「おぉ食べようか。基次郎、りんごだぞ」

江武司「わぁい!ぼくうさぎさんがいい!」

父親「あぁコラ、走ったら危ないぞ」

江武司は母親のところまで走って行った
母親はおぼんにりんごと皿と包丁を乗せて歩いてきた

母親「おっとと…」

父親「おい大丈夫か?少し持とうか?」

母親「大丈夫よ」

その時だった

…グラッ

母親「あ!」

江武司「え?」

…ドスッ!

江武司の左足に包丁が刺さってしまったのだ

母親「キャア!」

父親「お、おい!基次郎大丈夫か!?」

父親は慌てて包丁を取る
足からは血が出てきた

母親「ご、ごめんなさい…っ!」

父親「基次郎大丈夫か!?すぐに救急車を…!」

江武司「ママ、パパ、どうしたの?」

父親「え?」

江武司「なんでパパおこってるの?」

足に大怪我をしたと言うのに江武司はきょとん顔をしていた

父親「お、怒ってるんじゃない!お前が怪我したんだから…」

江武司「けが?…うわっ!なんでちがでてるの!?」

母親「え?今…!?」

江武司「ぼく…なんでけがしてるの?なにかあたったの?」

母親「基次郎…今包丁刺さったの分からなかった?」

江武司「え?ママがぼくのことをみてビックリしたのはしってるよ?」

母親「え…?」