指揮者の小澤征爾さんの訃報が届いた。活
動の第一線から退かれ大分時間が経過してい
たと思うが、世界的指揮者の逝去を受けいく
つもの追悼番組が組まれた。
私は残念ながらクラッシックにはうといの
だが、彼が指揮する楽団員の皆さんのなんと
イキイキとしていることか。権威であるにも
関わらず、どこかひょうきんで近づきやすく、
彼が発する言葉はユーモアにあふれ暖かい。
それでいて本質をついているので、指導を受
けるほうも本気で応えたいという強い意志と
輝きが感じられる。
あんな人になれたらどんなに素敵だろうと
思う。決しておごらず、人に優しく、思いや
りにあふれる。そんな姿勢を維持しながらも
大舞台は真剣勝負そのもの。全身全霊、魂を
タクトに集中させ、情感たっぷりに音楽を導
く。指導者で演奏も人も別物になってしまう
のだ。まさに今の時代に求められる理想的な
リーダーシップスタイルだ。
彼の指導、思いはきっと後進に引き継がれ
ている。素晴らしい指揮者の誕生に期待した
い。