できることなら
パパから指輪を贈られたかった
あの人が贈るのはきっと
薔薇の紋章が入った
いぶし銀の重たい指輪
重厚なデザインを持ちながら
その線はどこか繊細
薔薇を守るかの如く黒銀の刺は鋭くても
茨の蔓はわずかに
丸みを帯びてしなるのでしょう
その指輪は彼の愛おしい女性のために
鍛えられたものだから
その指輪は重くて太くて
見た目だけでは
私の細い指に不似合いなような不安を擡げさせる
けれども
あなたの優しい手によって
私の薬指に嵌められた瞬間に
すべては確信と既視感に変わる
私は溜め息をつく
やっぱりね、と
薔薇をモチーフにしたゴシック調のその指輪は
あたしの指径にぴたりと合い
ねじの終わった時計の針が
動きを止めたまま未来永劫を朽ちるだけかのように
決して指のある一点から動かない
細く白い指にほど
その指輪は悲しいほどによく似合い
尚更溜め息が出るのでしょう
まるで枷のようなその指輪
いっそ鎖で繋いでしまえばいいのに
また銀の鎖を用意しましょう
私とあなたとを繋ぐために
二度と離れぬよう
地獄の劫火の中にまで
共に参りましょう
天使の竪琴は
ふたりには似合わないから
そうでしょう?
私のお父様
私の愛おしい方
今は亡き禁断の恋人よ