オニオングラタンスープです。ランチに立ち寄ったカフェのメニューにあったので迷わず頼みました。空気がヒンヤリ肌寒く感じられる日に、食べたくなるスープです。食べているうちに、体がポカポカしてきました。

ヒルデガルトのお食事会でも、何年か前にスペルト小麦のバゲットとグリュイエールチーズ入りのヒルデガルト風のオニオングラタンスープをお出ししたことがありました。

タマネギは、ヒルデガルトの食事療法で勧められる野菜のリストに加えられています。

「フィジカ」でヒルデガルトは、生のタマネギは有害なハーブを食べるのと同じくらい害があるけれど、調理して食べると、火を加えることで生のタマネギにある害が減るので健康に役立つと。特に調理した玉ねぎは、悪寒や熱がある時に食べるとよいと述べています。ヒルデガルトは、調理した玉ねぎには体を温めて発汗を促す働きがあると見なしていたのでしょう。


ヒルデガルトは、「フィジカ」でビールについて「ビールは人の肉を肥えさせ、穀物の良い汁の力で人の顔色をよくする。」と述べています。ヒルデガルトの巡礼路の本には、ヒルデガルトが、著書「病因と治療」に「Cerevisiam bibat! (ビールを飲みなさい!)」とも述べていると書かれています。その部分を訳したのでご紹介します。

"Cerevisiam bibat! (ビールを飲みなさい!)" こうヒルデガルトは彼女の医学書「Causae et Curae(病因と治療)」に書いています。 西暦 650 年以降に修道院で醸造されたビールは、オート麦から作られ、時には蜂蜜が混ぜられていました。たとえ中世のビールが、私たちが飲むビールよりもアルコールの含有量がはるかに少なかったとはいえ、ヒルデガルトは、食事中はビールを控え目に飲むようにと助言しています。彼女は、ビールの過剰摂取は体の良い体液を薄めることにつながると見なしていました。彼女はまた、土の湿りにより当時の水は健康によくないとして、冬はビールとワインを飲み、水を控えるべきだと考えました。その代わりに夏には、土は乾燥して、冬よりも害が少ないため、ぬるま湯を飲むことを勧めました。それでも、体の弱い人は、夏にビールやワインを水で割って飲んだほうがよいそうです。

「ビールは人の肉を肥えさせ、穀物の良い汁の力で人の顔色をよくする。」

ヒルデガルトは、士気を高め、魂の力の再生をサポートするために、メランコリックな人にビールを飲むことを特に勧めました。ヒルデガルトは、植物のホップの防腐効果をすでに認識しており、彼女はそれを高く評価していました。ホップは 8 世紀からドイツで栽培され、現在は主に大麦から作られるビールにずっと加えられていました。この地域では、キルンの醸造所で、ホップ、大麦、水で作るビールが今でも醸造されています。ーThe Hildegard of Bingen Pilgrimage Book by Annette Esserより


「それから私は、ネウマ(中世のグレゴリオ聖歌や世俗歌曲の記譜法に用いられた記号)やチャントを一度も学んだことがなかったが、誰からも教えてもらわずに、神と聖人を賛美するメロディーのチャントも作曲して歌っていた。」ーVita Sanctae Hildegardis

「ヒルデガルトの巡礼路」の本に、ヒルデガルトの音楽は数十年前までほとんど知られていなかったと書かれているのに驚きました。ヒルデガルトのドキュメンタリー映画「型破りな神秘家 ヒルデガルト・フォン・ビンゲン」でも、ヒルデガルトの音楽について話しているドイツの作曲家が、ドイツではヒルデガルトは実在の人物ではないと思っていた音楽の専門家がいたと話していました。数十年前は、ドイツでもそれくらいヒルデガルトの曲は知られていなかったということなのでしょうか。

彼女の曲への関心の高まりとともに、研究者や音楽家がヒルデガルトの音楽についての本を出版し解説してきたのは、わずか30 年ほど前からなのだそうです。

ヒルデガルトが作曲した曲について、「ヒルデガルトの巡礼路」には次のように書かれています。

「彼女のメロディーは独特で、通常のグレゴリオ様式のパターンには当てはまりません。ヒルデガルトの歌は、彼女のコミュニティの修道女たちとともに、自由自在に声を使いこなし、歌いこなしたのではないかと思わせるような、すばらしい旋律幅をもつものが多いです。ヒルデガルトの音楽を聴くことは、私たちを少しだけ神の超越性に近づかせてくれます。」