シナモン、ナツメグ、クローブの3種類のスパイスは、ヒルデガルトの広く知られた、ドイツではエネルギークッキーという名で知られる喜びのクッキーに使われていることは、ヒルデガルトに興味のある方ならご存じのことだと思います。この3種類のスパイスの組み合わせは、カトリックにルーツがあり、この3種のスパイスの組み合わせを広めたのはヒルデガルトではないかと、アメリカのカトリック系の新聞に掲載された記事に書かれていました。

アメリカでは、この3種類のスパイスに、ジンジャーや時にはオールスパイスを加えたスパイスミックスが、パンプキンパイを作る際に使われるため「パンプキンスパイス」と呼ばれているそうです。

20年ほど前に、アメリカでスターバックスがこのパンプキンスパイスを使って季節限定の「パンプキンスパイスラテ」を販売して爆発的な人気となり、今では毎年秋の人気の飲み物になっているのだそうです。それなのでアメリカでは「パンプキンスパイス」がこれほど広まったのはスタバのおかげと思っている人がいるのだとか。このパンプキンスパイスラテは日本のスターバックスでも秋に販売されてます(知らなかった!)。

ヨーロッパの修道院などに古くから伝わるお菓子のレシピに、この3種類のスパイスはしばしば登場するのを見かけるので、この3種類のスパイスミックスは昔から普遍的に愛されるスパイスの組み合わせなのかもしれません。そしてそれら3種類のスパイスを使って作るクッキーには、食べた人に喜びをもたらすと広めたのがヒルデガルトなのでしょうか。


「ヒルデガルトの巡礼路」の本で、ヒルデガルトが作曲した曲「O nobilissima viriditas(ああ、最も高貴なる緑よ)」が紹介されています。歌詞も紹介されていたので、日本語に訳しました。


O nobilissima viriditas

ああ、最も高貴なる緑よ、

quae radicas in sole

あなたは太陽に根ざし、

et quae in candida serentitate luces in rota

そして澄んだ静寂の下で永遠の輪の中で輝く

quam mulla terrena excellentia comprehendit,

なんの世俗のすばらしさを含みもたず、

tu circumdata es amplexibus divinorum mysteriorum

神の神秘の抱擁に包まれ、

Tu rubes ut aurora

夜明けのように赤く染まり、

et ardes ut solis flamma

そして太陽の炎のように燃えている。


興味があったら、↓のユーチューブで、ドイツのグループSequentiaが歌っている「O nobilissima viriditas」を聴いてみてください。残念ながら、Sequentiaはもう解散してしまいましたが、ドイツでのヒルデガルト式断食セミナーで、ヒルデガルトの曲を聴くならば、Sequentiaがお勧めと言われました。


「ヒルデガルトの巡礼路」の本によると、ヒルデガルトが彼女の最初の著書「スキヴィアス」の執筆に取り組んでいた時期は、「ディシボーデンベルク修道院(1112-1115)で執筆に取り掛かり、トリーア教会会議 (1147-1148) で教皇エウゲニウス 3 世が彼女が書き進めることを個人的に後押しし、ルペルツベルクに新しく設立した女子修道院で完成させた」と、かなり正確に年代を特定することができるそうです。

「これらのビジョンが起こり、これらの言葉が書かれたのは、マインツの大司教ヘンリー、ローマ王コンラート、ディシボーデンベルクの修道院長クーノの時代、ローマ教皇エウゲニウスの時代だった。」(ヒルデガルト・フォン・ビンゲン、「 スキウィアス」、告白より)

ヒルデガルトが生きている間に制作され、彼女の修道院に残っていたスキウィアスのオリジナルの写本Rupertsberg Scivias Codexに含まれているビジョンの彩飾画について、長い間美術研究者は、おそらくトリーアもしくはアンダーナッハなどの写本室で専門の修道士によって作成されたものであると考えられてきましたが、最近の研究で、彼女が生きている間に、彼女の指揮のもとでルペルツベルク修道院の写本室で(おそらく手書きで)で作成されたと徐々に考えられるようになっているそうです。残念ながら、この中世に作成されたRupertsberg Scivias Codexは、第二次世界大戦中に失われてしまいました。これについては、次の投稿で。