AEAJ認定教室 調布アロマシオン主宰、アロマテラピー研究室でも活動し、
セラピストのためのホームページ制作も承ってます島田さつきです。
↓前回の続きです。
「何をもって高品質の精油?」南仏・グラース旅行記で知ったホンモノの話(1)
この話、とても興味深いと思いました。
植物に対する向き合い方で違いがでるということ。
でも、それは本当でしょうか?
自然崇拝からくる哲学的観念であって、科学とは相反するのでは?
いえいえ、非科学的と一蹴するのは早計です。
植物のコミュニケーション方法とは
私の友人に「植物の声が聞こえる」という人がいます。
植物を増やし植栽して量が多くなると、わちゃわちゃともの凄いおしゃべりだったり、時には何もしゃべらない寡黙なものもいるといいます。
彼らとの対話の中で彼らから言われた言葉にこんなことがあったと。
「どうせ刈り取る(殺す)んでしょ」
この話が真実かどうかは置いといて(別な話題になってしまうので)
彼らがこれから刈り取られることを知ったとすると、近くの仲間に危険信号を出しているはずです。植物は周りとのネットワークを通じて、情報伝達していることが確認されていますから。オカルティックな話ではなく科学的研究のことです。
植物同士が話す(コミュニケーションを取っている)という話題は、過去のブログでも書いています。
一つは全て、全ては一つ 助け合う植物世界 (2017-05-01)
植物が匂いを嗅ぐ仕組み 見えないミクロな世界のできごと (2019-04-09)
植物は虫に食べられても虫から逃げたり、振り払ったりはできません。
その対策として虫が嫌う匂い物質を放出して虫を追い払ったり、苦み成分を作り食べられまいとして対抗します。そのシステムは、自分だけにとどまらず、周りの仲間にも「虫に食べられてる~みんな注意しろ」といった信号を送って助け合っていると考えられています。
植物の匂い物質(芳香成分)を抽出したものが、アロマテラピーの精油です。
さて、植物はこのような物質を使って情報伝達しているということですが、どの時点で「危険!」と情報伝達しているのでしょうね。
虫などに食べられ始めた時でしょうか?
ヒトによって刈られたり切られたりした瞬間でしょうか?
また、それはいつまで続くのでしょう?
生きている限り続くのでしょうか。
植物は本体から切り離された段階で死んでいるのでしょうか?
例えば切り花にしたら死んでいるのでしょうか?
折った枝は死んでいるのでしょうか?
ピンチな時 生きものはどうなるのか
死に瀕する時、つまり危険に晒されるとき、生物はそれに抗おうと信号や物質を放出しているはずです。本体から切り離されてもすぐには死んでいなかったとしたら、葉を摘み取った時と、切り刻んだ段階で違う物質(情報伝達物質を含む)を生成しているかもしれません。
例えば、そういったごく単純な例として、収穫したジャガイモは寒い室(むろ)で寝かした方が糖度が増し美味しくなったりしますね。危機的状況に晒されると、それらに備えてエネルギーをため込むから糖度が増すわけですよね。
だとするならば、精油にする際の原材料の扱いかたによって、精油にした時の芳香成分に違いが出るかもしれません。
精油生産をしている小さな農家では、旅記録にある農家さんでなくとも、こだわりを持って原料植物を手摘みしているところがあります。
手摘みのように一つひとつ丁寧に切られて、植物のダメージが低かったとしたら…危険を知らせる信号物質の生成度は低くなるはずです。
マクロビオティックの料理でも、切り方ひとつで味が変わるというのがあります。
食材への味の染み方が違うようなのですが、野菜の繊維に沿って切ったりすりおろしたりするのと、繊維を分断してしまうのとでは味の違いが出ますよね。
人が刺された事件で、時々こんなのがあります。
「背中にドンとぶつかられて痛いな…と思っていたら背中に包丁が刺さっていた」
えーーーー!!!って事案じゃないですか?
見えていない当人はその時「ぶつかられて痛いな」程度なんですよ。
刺さっているとわかった瞬間に、アドレナリンが急激に出まくるんでしょうね。
それまでは、ピンチ度の認知が薄いので傷部位の反応はあっても脳反応は薄い…
刺激少なく切った植物にも、同じことが起きているかもしれないと私は考えました。
植物間コミュニケーションの解明に向けて大きく前進
植物の芳香成分については、科学的側面からの研究は続けられています。
新しい情報を探してみると次のような研究を見つけました。
植物が”匂い”を感じる瞬間の可視化に成功 -植物間コミュニケーションの解明に向けて大きく前進-(大学院理工学研究科 豊田正嗣教授)2023/10/18
埼玉大学webより
この「シロイヌナズナ」の実験によると、ガの幼虫に食べられた葉から、(Z)-3-ヘキセナールと、(E)-2-ヘキセナールという香り成分が出されると、この成分はシロイヌナズナの葉の気孔でキャッチされ、Ca2+シグナルを発生させることがわかったということです。
「植物間コミュニケーション」には、匂い物質(揮発性物質)を生成放出し、その物質を感知しているのは「気孔」だということですね。
そして、この研究では、可視化できたことが新しいということで、私たちが想像するよりもずっと進んでいるように思いました。
では、私たちは何を以って高品質の精油と考えればよいのでしょうか?
私自身は、ここでの答えを導き出しません。
ひとり一人が考えていくべきことだと思っているからです。
しかし、この問いをどのように捉えているのか続きにしたいと思います。
つづく↓
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アロマテラピー研究室は、翻訳によって日本にアロマテラピー広めた故・髙山林太郎氏が創設。
髙山氏から後継人指名をされた林さんとともに、髙山氏の思いを引き継ぎ、髙山氏のアロマ遺産管理とアロマテラピー啓蒙活動をしております。