運命の出会い 359 | TRIQUETRA ~Tributary Zone~

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2代目のブログです

そうやって、

英会話のレッスンは。

 

レッスンというよりかは、

いつしか。

 

お友達とのおしゃべり。

 

・・・のような雰囲気に

なっていった。

 

 

先生は、日本語を

話すことも出来たけれども。

 

レッスン中は、

日本語禁止にしていた。

 

 

 

彼は言っていた。

 

 

会社の中でも、

同僚はみんな、英語を話せて。

 

学校内でも、

会話はすべて英語で。

 

そして、街中でも。

日本人は英語を使ってくれるので、

そのうち、日本語を忘れそうだ。

 

 

ここは日本なのに、

日本語をまったく使わなくても

生きていけるなんて。

 

なんとも、不思議だ。

 

 

・・・と。

 

 

 

それはそうだけど。

 

海外に行くと、

言語で苦労する日本人の

私からしてみたら。

 

母国語が英語の人は、

すごく羨ましく見える。

 

 

・・・と、私は言った。

 

 

 

すると彼は、

ちょっと困った顔をしながら。

 

 

「まぁ、たしかに。

便利は便利だけどね」

 

 

・・・と、笑った。

 

 

英国人は、シニカル。というか。

 

日常茶飯事のように

皮肉を言ってるから(笑)

 

こちらも、すました顔で

皮肉を返す。みたいな。

 

 

そんなノリが。

私は好きだった。

 

 

一見、批判的に見える

彼らの皮肉の奥には。

 

分析力と優しさがあることを、

解っているから。

 

 

ジョークのように、

皮肉を皮肉で返して。

 

それをお互い、

楽しんでいる。みたいな。

 

 

まさに。

 

乙女座のノリだな。と。

 

いつも思っていた。

 

 

昔。

 

絵描きの彼と話していた時も、

こんな感じだった。

 

 

そしてその彼もやっぱり。

月星座が、乙女座だったっけ。

 

 

 

日本人なのに。

 

そしてここは日本なのに、

なぜ、外国人に対して、

日本語で対応しないの?

 

なぜ、そんなに気を遣うの?

 

日本人としての

アイデンティティは?

 

・・・みたいなことを、

先生は言いたいのだろうと

思った。

 

 

もちろん。

彼はその言葉を、実際に

口にしたわけではないけど。

 

彼が本当に言いたいことは、

あの頃の私には。

 

もう、なんとなく、

解るようになっていた。

 

雰囲気で。

 

 

 

長年、日本に住んで。

 

日本人の生態をだいぶ

理解している彼は。

 

同時にその「なぜ」の答えも、

ちゃんと解っている。。。

 

 

 

彼のお兄さんが、

日本に遊びに来た時のこと。

 

あるショットバーの店員が、、、

 

「え?」

 

・・・と、聞き返した時に、

お兄さんは激怒したのだそうだ。

 

 

「え?」という音は、

イギリスでは、侮辱の言葉に

なるのだそうで。

 

 

だからお兄さんは、

自分が店員に侮辱されたのだと

勘違いして、怒ったのだと。

 

 

それを、英会話の先生は、

「これは、そういうことじゃなくて」

・・・と、説明して。

 

お兄さんの誤解を解き、

なだめたのだとか。。。

 

 

そういうエピソードからも、

感じたものだ。。。

 

 

多分。

 

彼はもう、

よく解っている。。。

 

・・・と。

 

イギリス人と日本人の

違いを。

 

 

解ったうえで、わざわざ、

私にああいうことを言うのだ。

 

なぜ、日本人は?

 

・・・みたいなことを(笑)

 

 

それで、私の反応を

観察したいのだろう。。。

 

 

乙女座の父にも。

こういうところ、あったなぁ。。。

 

 

だからそういう時は、

こちらも、同じスタンスで返す。

 

彼が。。。

自分達は、母国語が英語で、

だいぶ、恵まれている。

 

・・・ということを、しみじみ

自覚していることを。

 

 

私も解っていたから。。。

 

 

*******

 

 

彼が、「なぜ?」と訊いてくるとき。

 

そうやって、皮肉っぽく、

ジョークのように返す時も

あったけれども。

 

 

「なぜなら、それは」と。

 

真面目に返すときもあった。

 

 

私が真面目に返すときは。

 

彼が本当に、

それを知りたいのだな。と。

 

そう感じる時だった。

 

 

そういう時、彼は。

 

本当に真剣に、私の話を

聞いていた。

 

そして最後にはいつも、

こういうのだ。

 

「なるほど。。。」

 

・・・と。

 

 

彼は、私の話に対しては、

何もジャッジしなかった。

 

私が思うことは、

それはそれとして、

受け入れていた。

 

「それが、Lyricaの考えね」

 

・・・みたいに。

 

 

そのうえで。

 

しばらく考えたうえで、

自分の「見解」を話していた。

 

 

彼の考えが、

私と同じ時もあったけど。

 

違う時もあった。

 

 

「自分は、Lyricaとは違うな。

むしろ、こう思ったな」

 

・・・と。

 

 

でも、彼にそう言われても。

 

私は、イヤな気持ちに

なったことは、一度もなかった。

 

 

それがなぜかと言えば。

 

彼は、私の考え自体を、

否定することはなかったからだ。

 

 

彼が、本当の意味で。

 

「違い」や「多様性」を

受け入れているからだ。

 

 

自分の考えとは

違うのだけれども。

 

あなたの考えは、

あなたの考えとして、

それはそれで、また素敵だね。

 

・・・と。

 

そう思ってくれているのが。

 

目に見えないところで、

伝わってくるからだ。

 

 

そういう姿勢が自然体で

身についている彼を

見ながら。。。

 

 

ここは、見習おう。。。と。

 

 

いつも思っていた。

 

 

 

多分ここが。

 

日本人にとっては、

難しいところなのだと思った。

 

 

心の底から、

「違い」を認めることが。

 

 

頭でそれを解っている人は、

たくさんいるけれども。

 

でも、無意識でいると、

つい。

 

ジェネティック・マインドに、

邪魔されるから。。。

 

「みんな一緒」

 

「みんなでひとつ」

 

・・・という、

ジェネティック・マインドに。

 

 

*******

 

 

先生は。

 

イギリス人は、

「Why People」なんだよ。

 

・・・と、言っていた。

 

すぐに、「それは、なぜ?」と、

訊きたがるのだ。と。

 

 

その気質は。

私とは合うな。。。と。

 

そう思った。

 

 

私の中には、「素朴な疑問」は

いつも溢れていて。。。

 

だから、「なんで?」と、

訊きたくなる。

 

 

けれども昔。

夫にこう言われたことがある。

 

「あんまり、なんで?って、

言わないほうがいいよ」

 

・・・と。

 

 

多分あれは。

 

嫁姑問題関連の話を

していた時だったと思うけど。

 

 

あの時。

 

彼がなぜ、こんなことを

言うのか。

 

本当に解らなかった。

 

 

だから、彼のこの言葉にさえ。

 

「なんで?」

 

・・・と、訊きたくなった(苦笑)

 

 

でもそう言えば。

 私が結婚する前。


姑との同居経験のある

親戚のおばさんから。

 

 

「Lyricaちゃん。いい?

 

あちらのお姑さんの言うことは、

なんでも、はい、はいって

聞いておくのが、一番いいわよ」

 

・・・なんて言われたなぁ。。。と。

 

 

そんなことを、

思い出した。

 

 

「なんで?」と訊くことが。

 

この日本の社会の中では時に。

 

「無礼なこと」

 

・・・になることも、あるようだ。

 

 

 

そこに、余計な妄想とか、

感情が乗ることで。

 

事が複雑になっていくことが。

 

めんどくさくて

しかたなかった。。。

 

 

こんな話があったよね。。。

 

ソクラテスが、お偉方に、

「なんで?どうして?」と。

 

子供のようにただ、

質問を繰り返していたら。

 

最後には処刑されてしまった。

 

・・・みたいな話が(苦笑)

 

 

まぁ。

 

ソクラテスは、意図的に

それをやってたようだけど(笑)

 

 

 

そのめんどくささを。。。

 

英会話の先生には、

まったく感じなかったのだ。

 

 

なんてシンプルで、

スムーズな会話が出来る人

なんだろう。。。と。

 

 

すごく、感動した。

 

 

 

それが、英国人の特徴なのか。

 

それとも、彼固有のものなのかは、

ちょっと、解らないけれども。

 

ラクだったな。。。

 

 

本当に。

 

 

*******

 

 

そんな風に会話を

続けていくうちに。

 

いつの間にか、耳が。

英語の周波数にも慣れてきて。

 

リスニングに関しては、

さほど、問題なくなってきた。

 

意識が朦朧として、

眠くなることもなくなった(笑)

 

 

自分が話すほうは。

相変わらず、どこか片言

だったけど(苦笑)

 

とりあえず。

 

会話するには、

支障はないくらいには

なってきていた。

 

 

でも多分。

 

それもこれも。

 

相手が。

あの、英会話の先生だった

からだと思う。

 

 

他の人だったら。

 

私のあの英語力では。

 

あそこまで、深い話は、

出来なかったかもしれない。

 

 

 

彼は。

 

私が言いたいことが、

なぜか、事前に解るようで。

 

私が、単語を思い出せなくて、

会話が途切れそうになると。

 

私よりも先に。

 

彼がその単語を、

口にしていた。

 

 

私が言いたくても、

思い出せなくて言えないことを。

 

彼が先に言ってくれるのだ。

 

 

 

本当に。

 

勘がいいというか。

察しがいいというか。

 

 

そんなだったから、

 

「あなたは、エスパー?」

 

・・・と、私が冗談で訊いたことが

あったけど(笑)

 

 

彼は。

 

「それは僕とあなたのマインドが、

似ているせいだよ」

 

・・・と答えていた。

 

 

そして、彼のその答えは。。。

 

冗談の陰で、私が思っていたこと、

そのものだった。

 

 

 

こんなにも。

 

「本当の私を、ちゃんと

見抜いてくれているな」

 

・・・と感じる相手は、

貴重だ。。。と。

 

 

いつも、思っていた。

 

 

あの絵描きの彼にも、

そういうものを感じたけど。

 

 

実際。

 

私がこういう風に感じる相手は、

他には、娘と息子くらいしか

いなかった。

 

 

夫にももちろん、

それは、感じるけれども。

 

 

彼の場合は、

娘や息子、英会話の先生や

絵描きの彼のように。

 

天然でそれが出来る人。

 

だったわけではなく。

 

最初からそうだった

わけではなく。

 

 

長い間、共に過ごしながら、

時間をかけて培ってきたものだ。

 

 

つまり。

 

先天性ではなくて。

後天性だった。。。

 

 

だから。

 

先天的にそうであった

英会話の先生は。

 

 

私にとっては本当に、

レアなひとだった。。。

 

 

 

先天的にそうである人と

一緒にいる時は。。。

 

 

なんというか。

 

 

心の底から、

ホッと出来るのだ。。。

 

 

あぁ。

 

この人の前では、

自分を演じる必要は、

まったく、ないな。と。

 

 

本能的に、

そう感じるからだ。。。

 

 

自分にとって、

一番ラクでいられる姿が。

 

相手にとっても、

一番やりやすい姿。

 

・・・という関係性は。

 

私には、

滅多になかったから。

 

 

子供の頃は、

そうじゃなかったけど。

 

 

大人になってからは。。。

 

そういう関係性を築くことが、

本当に難しくなった。。。

 

 

 

英会話の先生は。

 

 

言語の壁があったり。

生まれ育った国が違うのに。

 

 

そういう人が。

 

私と、こういう関係性を

築いていることが。

 

 

不思議でもあり。

 

面白くもあった。。。

 

 

 

でもある時、

 

何かの会話の流れで、

彼が。

 

 

「日本人よりも、

イギリス人のほうが、

 

もう少しリラックスしてる

感じがするよ」

 

 

・・・と言っていたのを聞いて。

 

 

ちょっと。

納得してしまった。

 

 

この日本で。

 

本当の意味での「自然体」で

いるということは。

 

実はすごく。

 

難しいことなのかもしれないな。

 

・・・なんて。

 

 

ふと。

そんな風に思ったりもした。

 

 

*******

 

 

つづく