もし、私が死んだら。。。
お葬式とかそういうの、
しないでいいからね。
・・・と、家族には伝えてある。
お墓にもいれないで。と。
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父の葬儀の時は、、、
変な話だけど。
私はちょっと。。。
笑いそうになってしまって。。。
それを堪えるのに
必死だった。。。
でも、あとから聞いたら、、、
夫も子供達もそうだったらしい。。。
最初、お通夜の時。
お坊さんが読経を始めた頃、
どこからともなく、一匹の蠅が
飛んできて。
その蠅は、払っても払っても、
私達親族の周りを飛び回り。
みんなの頭に順番に
とまっていったりして、
そこからずっと、離れなかった。
アゲハ蝶の件や、
Gの件や。
そんなこともあったせいか。
あの時もやっぱり。。。
「もしかして、これって」
・・・と思ってしまったわけ
なのだけど。
それにしても、蠅って。。。(苦笑い)
しかも、親族みんな。
父を偲んで、真面目に
お経を聞いているのに。
その蠅はまるで。
そんな私たちをからかって
面白がっているかのようで。
なんだか。
父らしい。。。と。
思わず、クスッと。
笑いそうになった。。。
私達の後ろの席では、
あの霊感の強い伯母と。
ひとりの親戚の伯父が。
ずっと、喋っている。。。
伯母もそうだけど。
その伯父も、認知症なのだ。。。
二人はそこにある
父の遺影を見ながら。。。
伯父が、「あれ、誰の写真?」と言えば、
伯母が、「そうよねぇ、誰かしら?」と言う。
ふたりが、もうひとりの伯母に、
「あれ、誰?」と聞くと。
「〇〇(父のこと)でしょ」
・・・と、叱られ、一瞬、
静かになる。
でもそのうちに、また伯父が。
「〇〇って、あんな帽子被ってたか?」
・・・と言って、霊感の強い伯母も、
「被ってなかったわよねぇ?
やっぱり、違うわよ」
・・・と言って。
また、あーだ、こーだと、
二人の間で、「あれは誰?談議」が
始まる。
そうやって二人が延々、
あれは、父じゃない話をしていると、
耐えかねた、もうひとりの伯母が。
「被ってたわよ。
もう、いいから。その話は。
ちょっと、静かにしてて」
・・・と、二人を制止した。
長女である、霊感の強くないほうの伯母に
そう叱られて。
ふたりは、しばらくの間は
黙っているのだけど。
また、始まる。
「あれ、誰の写真だ?」
・・・と(苦笑)
お通夜の時も、そんな感じだったけど。
葬儀の日の読経の時も。
それとまったく同じ会話が、
その二人の間で始まった時は。。。
私はなんだか。。。
ドリフのコントを
聞かされている気がしてきて。
ホントに。。。
笑いを堪えるのが大変だった^^;
父の、、、
葬儀中なのに(苦笑)
そして、思っていた。。。
「あぁ、お父さんって。
ドリフが大好きだったよなぁ。。。」
・・・と。
自分の葬儀で、ドリフのコントが
見れて。
父も、楽しんでいそうだ。。。と。
つい。。。
そんな風に思ってしまったりもした。
そして、葬儀の時もまた。。。
一匹の蠅が、ずっとそこにいた。
払っても、払っても、
昨日と同じように。。。
その時はさすがに、ひとりの
叔母が。。。
「この蠅って、、、
お兄さん(父のこと)なんじゃない?」
・・・と言いだしたので。。。
やっぱり、みんな。
思うことは同じなんだな。。。と。
そう思った。。。
*******
最近では。。。
帽子を被っている写真でも、
遺影に使ってOKなのだそうだ。
父は実は。
結構、おしゃれにはこだわって
いた人で。
会社勤めをしていた頃は、
休日になると、よく。
靴を磨いていた。
帽子も好きで。。。
私の大好きなグラスバレーの
出口さんが。
父と似たような帽子を被っている
姿を見るたびに。。。
父のことを思い出したりした。。。
父と出口さんは。
お誕生日が同じだったので。
趣味も似てるのかしら?
・・・なんて(笑)
そんな風に思ったことも
あったな。
・・・というか、きっと。
そう思いたかったのだと思う。。。
その父が。
一番愛用していた帽子を、
お棺の中に入れてあげた。
遺影の父が被っていた、
その帽子を。
そして、出棺。。。
あの時だけ、私は。。。
涙が出た。。。
父が亡くなってから、
葬儀が終わるまでの間。
そしてそのあとも。
私はほとんど泣かなかったけど。
出棺の時だけは、
涙が出てきた。
もちろん。
「葬儀の演出」で。
進行役の人がそうやって、
盛り上げていた。
・・・というのもあったのだろうけど。
それもあったけど、でも。
父の弟にあたる叔父さんの
ひとりが。
「じゃあね、バイバイね。
〇〇ちゃん」
・・・と、そこに横たわる父に。。。
しみじみとした感じで言っているのを
聞いたら、その瞬間。。。
ボワァッ。。。と、
一気に。。。
涙が溢れ出た。
叔父さんのその、短い言葉に
詰まったいろんな思い。
兄弟に対する愛。みたいなものを。
感じたからなのかもしれない。。。
*******
あの時、そう言っていた
叔父さんも、また。
最近、亡くなった。。。
本当に。
自分がこの歳になると。
身近だった人達が、
次から次へと、旅立っていく。。。
身近。。。と言っても、まだ。
そういう人たちは、世代が
違う人達だけど。
そのうち、これが
同世代になっていくのだろうと
思うと。。。
・・・ね。。。
父は、9人兄弟の4番目。
でも、兄弟の中で、
一番最初に、逝ってしまった。。。
兄弟の長女である、霊感の
強くないほうの伯母は。。。
父の出棺に立ち会うのを、
頑なに拒んでいた。
「おばちゃんも、一緒に送ろうよ」
・・・と言ってみたけど。
「いいえ。私は、絶対に見ないって、
そう、決めてるから」
・・・と、その場を動かなかった。。。
伯母も乙女座。
ちょっと。
伯母の気持ちが解るような
気がした。
そして伯母は、そうやって。
自分で一度決めたらもう絶対に
動かない人なので。
私もそれ以上は、
誘わなかった。
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葬儀が終わった日から、、、
不思議なことに、我が家の中に、
ずっと。
一匹の蠅が居続けて。
母が何度か、その蠅を
外に追い出していたけど。
いつの間にやらまた、
そこには、一匹の蠅が。。。
私も。
夫も、子供達も。。。
その蠅を追い出す気には
なれなかった。。。
父はあの時。。。
病院の健診で、心不全と
診断された時。
あの日以来、
この家に帰ってくることは
出来なかった。。。
この家に、一度も戻ることなく、
そのまま逝ってしまった。
あんなに。
自分の家にいるのが
好きな人だったのに。
だから父は。。。
蠅の身体を借りて今。
思う存分、自分の家を
堪能しているのではないのか。と。
そう思ったから。
そして不思議なことに、
その蠅は。
父の四十九日の法要が
済んだと同時に。
我が家から、姿を消していた。。。
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つづく