震災後。
声楽のお教室から、
しばらくの間、レッスンは中止になる
という連絡があった。
それを聞いて私も、
ホッとした。
津波や原発で、社会全体が
大変な思いをしているこんな時に。
悠長に、歌のレッスンなど
する気が起こらなかったからだ。
バレエのお教室からは、
特に連絡がなかったけど。
こちらから連絡をいれた。
「申し訳ありませんが、
しばらく、レッスンをお休みします」
・・・と。
先生は、その一言だけで
すべてを察したように。。。
「そうよね。こんな時だものね。
また、気が向いた時に、
いつでもいらしてね」
・・・と、そう言ってくれた。
本当に。。。
あのバレエ教室は、私にとっては
とても居心地が良くて。
先生も素敵な人で。
やっと、落ち着けるお教室を
見つけたな。。。と。
そう思っていたのに。。。
それからすぐに、震災が起こり。
そしてそのあと、私は
体調を崩し、とてもバレエのレッスン
などは出来ない状態になり。。。
結局あれっきり。。。
そのお教室に戻ることは、
もうなかった。。。
心情的には。
いつか絶対に、戻りたい。
・・・と、そう思っているかたわらで。
「きっと、そういうことなんだな」
・・・と、思っている自分もいた。
*******
バレエは。。。
物心ついたころにはもう、すでに。
習いたい!と思っていて。。。
あれは、3歳か、4歳くらいのこと
だったと思うけど。。。
それからずっと、母に待たされて。
結局、小学校に入った時にやっと、
習わせてもらえることになった。
今思うと。。。
どうしてあんなに、、、
バレエをやりたかったのか。。。
自分でも不思議だけど。
やっと習い始めることが出来た
バレエを踊っている時はもう。
幸せそのもので。。。
人生の中で。
あんなに楽しくて。
あんなに夢中になれて。
真剣になれて。。。
あそこまで、
情熱を傾けられたものって。
もしかしたら他には、
なかったのではないのかな。。。と。
そう思ってしまう。。。
大人になってからもずっと。。。
バレエの世界に戻りたい。。。と。
そう思い続けたのはきっと。
「あの時のあの気持ちに戻りたい」
・・・だったのかもしれない。
大人になってからも、
途中、途中、中断しながらも。
なんとなくまた、
バレエを踊る。。。
・・・ということは、あったけど。
そういう時私は。。。
昔のあの気持ちに戻ることは、
決して出来なかった。
それどころかむしろ。。。
昔は、簡単に出来ていたことが、
出来なくなっていることで
ショックを受けたり。
身体を昔に戻そうと焦ったり。
頭では、「今の自分」を
受け入れようとしても。
心がそれを、
受け付けてくれなくて。
頭で覚えている昔の自分と。
今の自分の動きのギャップに、
苦しんだり。。。
全然。。。
昔のあんな気持ちに戻ることなんて、
出来なかった(苦笑)
・・・ということは、つまりこれって。
「執着」だよね。。。と。
ふと。
そんな風に思った。。。
バレエに対しての執着というよりも。
「あの時のあの気持ち」への
執着なんだろう。。。と。
「過去」への執着。。。
まさか自分に。
そんな執着心があったなんて。と。
その時初めて、
気づいた。
一度、気づいてしまえば。
こんなに解りやすいことはない。。。と。
そう思うのだけど。
気づいていない時は、
そんなこと、全然見えなかった。
「バレエを踊りたい」
・・・という気持ちの底に。。。
そんな執着心が隠れていたなんて。。。
震災が起こって。。。
ああやって、強制終了させられ
なければ。。。
もしかしたら私は未だに、、、
それに、しがみついていたのだろうか。。。
それは、解らないけど。
でもあの時。
自分の中でひとつ。
何かが吹っ切れた感じがあった。。。
実はあのあと。。。
なにがどうなってだったか、
詳しい状況は忘れてしまったけど。
ほんの少しだけ。
韓国の彼女がその頃通っていた
バレエ教室に、お邪魔させて
もらったことがあった。。。
あの時は多分。
「最後の確認」
・・・を、したかったのだろうと思う。
そしてやっぱり。
あまり熱くなれない自分を見て。
心の底から、納得した。
そうやって私は。
あれ以来、「バレエを踊ること」を、
完全に手放した。。。
その後も。
「鑑賞者」としては、ずっと。
バレエの世界と繋がってきたけど。
それすらも、今はもう。。。
手放してしまったのかもしれない。
つい先日、一時だけ。
その「熱」が再燃したけど。。。
それはまた、すぐに消えてしまった。
あの時。。。
「やっぱりもう、、、
終わっているんだな。。。」
・・・と。
そう思った。。。
*******
家では、父や母の姿を見るだけで、
呼吸困難が起こるという状態だったので。
私は同じ家にいながら。
なるべく、ふたりとは顔を
合わせないようにしていた。。。
「すべてを解っている家族たち」。。。
つまり、夫と娘と息子は。
その状況をなんとかしようとか。
そういう余計なことは一切せず。。。
ただただ。
私が、両親と直接接触しなくて
済むように配慮しながら。
黙って。
見守っていてくれた。
両親は。。。
特に母は。
なんとかこの状況を打破しようと。
それは、母なりの愛の形だったの
だろうけれども。。。
無理矢理部屋に入ってきて、
私と話そうとしたりして。
それが逆に。
私の状態を、悪化させたりした。
母は。
「あんたは、病気よ。。。
病院に行きなさい。
お母さん、
一緒にいってあげようか?」
・・・と、繰り返した。。。
それは。
母が私を心配してのことなのは、
重々承知だったけど。
私は母にそう言われるたびに、
息が苦しくなった。
ある時。。。
娘が止めようとしているのを
振り切って。
また、母が部屋に入ってきて。
母は、こんな風に言った。。。
「あんたが、お母さんに対して
態度がおかしくなったのは、
高校生の時からだったわよね。
解ってたのよ。
あれでしょ?
あんたが、キリスト教の学校に
通っていたのに。
お母さんが、仏教をやっていたのが、
許せなかったんでしょ?」
・・・と。
先日、、、
初めて、呼吸困難の発作が出た
あの日。。。
父が部屋に入ってきて。
強行手段を使って無理矢理、
自分たちの意志を貫き通そうと。
「力のみ」で。
それを私達に強制しようとする姿を
見た時に。
私は、自分の中で何かが、
ガラガラと崩れ去った気がしたけど。
母のこの言葉を聞いた時もまた。
同じような気持ちになった。。。
あの時、崩れ去ったのは。
私の中にあった「神話」だ。。。
「親は、自分よりもはるかに
優れた人達だ。
だから。
尊敬すべき人達なんだ」
・・・みたいな神話。
両親のああいった言動を見て。
あの時私は初めてそこに。
両親の、「人としての幼さ」
・・・を、実感してしまった。。。
「まだ子供なんだ。。。
この人達。。。」
・・・と。
なんというか。。。
自分のその「本音」を。。。
あの時初めて、
抵抗なく、受け入れられた。。。
まだまだ少し。。。
そう思うことに対しての、
「罪悪感」
・・・は、どこかにあったけど。
*******
「親は、尊敬すべきもの」
・・・みたいな神話が。
それをずっと。
見えなくしていた。
だから。
自分の中に湧き上がる疑問を、
すべて飲み込み続け。
悪いのは自分だと。
ずっとそう思い続け。。。
自分の深いところにある思いに、
長い間、蓋をし続けてきた結果が。
今、身体に出たんだ。
・・・と。
なんだかあの時。
それが解ってしまったような。
そんな気持ちになった。。。
こういうものは、本当に。
「根」が深そうだ。。。と。
そう思った時。
これもまた、初めてだったのだけど。
人に頼りたくなった。。。
誰かに、、、
助けてもらいたくなった。。。
自然とそう思っている自分が。
なんだか、新鮮で。。。
あぁ、私でも。
こんな風に思うことがあるんだ。と。
変だけど。
そんなことでも。
面白がっていたりした。。。
・・・というか。
「人を頼りたい」と思えている自分が。
なぜか、嬉しかったりもした。。。
それまでは。
こういう、自分の内面のことは、
自分でなんとか出来るものだと。
そう思っていた。
昔、鬱的な状態になった時も。
結局、自分でなんとかできた。
長男・長女はそうやって。
人を頼るより。
自分がなんとかしなくては。
・・・みたいな傾向が
強かったりするけどね。。。(苦笑)
でも、自分の中で。
自分で何とか出来る。と。
そういう自信があったのは。。。
いつでもどこでも。。。
「これはすべて、幻想の世界で、
最後の最後には、すべての出来事が、
『あぁ、楽しかった』と思うために
起こっている」
・・・という信念があったから。
たとえこの世界で何が起こっても。。。
たとえ、自分が死んでも。
それはそれだ。。。と。
そうやって、何事もあまり、
深刻に捉えたことはなかったし。。。
だから。
人間Lyricaにたとえ、
呼吸困難が起こったとしても。
それもまた。
「物語のひとつのシーン」
・・・みたいな。
そんな軽い気持ちが。
なかったわけでもなかった。
でも同時に、あの時は。。。
どうしても、やりたかったのだ。。。
人間Lyricaとして。
自分を透明にすることを。。。
自分のカルマをたくさん、
解消することを。。。
そのために出来ることは。。。
なんでもやってみたかった。。。
*******
ああやって。
母が、「病院に行きなさい」と、
何度も何度もうるさく言ってきて。
頭では。
「絶対イヤ」
・・・と思っていたけど。
あんなに何度も言われると。。。
しかも、その心の底に
「愛」があるのを感じると。
いつのまにか、私の心にも
影響が出るようで。。。
気づけばネットで。
心療内科を探したりしていた。
でもこれも。
今思うと、よく解らないのだけど。
心のどこかで。
「こういうのは、こっちのほうが
手っ取り早いよ」
・・・と、声がしてくるような気がして。
最終的に私が申し込んだのは。
エネルギー的なヒーリングだった。
あれだけ、毛嫌いしていた。
ニューエイジ系のヒーリング。
「なんで???どうして???」
・・・と思ったけれども(笑)
面白そうなので。
そのままにしておいた。
ただ。。。
私が、この人がいいな。と
思ったヒーラーさんは。
人気があるのか。
予約が何か月も先まで
いっぱいで。
けれども、直感的に。
他にピンとくるヒーラーさんが
いなかったので。
しかたなく。
待つことにした。
ただ。
待っている間、ずっとこの
呼吸困難が続くのは。
やっぱりイヤで。
自分で出来ることは、
何かないのか???
・・・と。
そう思った時。。。
ふと。
あることが、思い浮かんだ。
*******
つづく