それから何度か、
夫の携帯に電話をしてみたけど。
一向に通じなかった。
母は、携帯すら持っていないので、
連絡の取りようもなく。
さすがに、そうなってくると、
悠長に、詩の翻訳などをしている
気分でもなくなってきたので。
父の観ていたテレビを、
私も一緒に観ることにした。
テレビの中は、案の定。
パニックとか不安でいっぱいで、
気分が悪くなったけど。
でも、それなりに、
情報を得ることは出来て。
やはり、携帯は今は、
どこも不通になっていることが
解った。。。
テレビの画面には。。。
地震の時の各地の様子が、
色々映し出されていて。。。
今回の地震は、、、
やっぱり、尋常じゃなかったんだな。
・・・と。
そこだけは、ハッキリ解った。
*******
そんな時。
家の電話が鳴って。
父が急いでその電話を取った。
多分。
母からだと思ったのだろうと思う。
でも。
電話を取ったあと、父の声が少し、
トーンダウンしたので。
おそらくそれは、夫からの
電話だったのだろうなと。
すぐに解った。
父はその電話を、私に替わることなく
さっさと切ってしまい。
ただ、「〇〇君は無事だって」
・・・とだけ、伝えてきた。
ホントにもう。。。
父もそうだし。
弟もそうだし。
夫も息子も。
いつも思うことは。。。
言葉が足りなすぎる!!!
・・・ということで(苦笑)
「それじゃぁ、詳しいこと
なんにも解んないじゃん!!」
・・・と。
あの時も、思ったっけ。。。
「言葉」というツールを。
どういう状況で使うべきなのか。
・・・みたいな部分が。
男と女ではホント。
全然違うのね。と。
ある頃から、、、
そう思うようになった。。。
男の人は。。。
女性にとって大事だと思うことは、
めんどくさがって話さないのに。
女性にとって、どうでもいい話は、
やたら長々と語る生き物なんだ。と。
ある時、理解した。
こういう真逆の男女同士が、
ある時は、妥協し。
ある時は、主張しながら。。。
お互いを理解しあい、
受け入れ合うのには。
ホント。
「経験」と「時間」が必要で。
私も。
こういうことを、笑えるように
なるまでには。。。
相当、時間がかかったな。。。と。
今は思う。。。
*******
母は、夕方くらいになって、
家に帰ってきた。
なんでも。
知らない人の車に乗せてもらって
きたのだそうだ。。。
電車に乗っていた時に地震に遇い。
駅でもないところで止まったまま
動かなくなってしまったので。
乗車していた人達はみんな、
その場で降ろされたのだそうだ。
自分が今、どこにいるのかも
よく解らず。
途方に暮れていたら。
そのあたりに住んでいた人だと思うけど、
車を出してくれた人がいて。
同じ方向の人をまとめて乗せて。
ひとりひとり、家の近くまで
送ってくれたのだとか。。。
「おかげで、帰ってこれたのよ」
・・・と、母は言っていた。
世の中本当に。。。
・・・というか、本当は。
こういう、親切な人だらけなのだと。
そう思う。。。
いつだったか。
これよりもっとあとの話だけど。
大雪で、娘が会社から
帰ってこれなくなった時も。
こういう、助け合いというか。
親切というか。
そういう、温かいエピソードがあった。
そして私は。。。
こういう、胸がじーーんとなるような
場面というのは。。。
ネット上のような
仮想現実ではなくて。
本物の現実。。。
肌と肌が触れ合うような。
リアルな場でしか。
経験したことがない。。。
「あぁ、ホントに、大変だったわぁ」
・・・と、母はあの時。
何度も言っていたけど。
でも、なぜかその顔は笑っていて、
どこか、楽しそうだった。
自分が人からそういう。。。
解りやすい。。。というか、
目に見えやすいというか。
そういう、シンプルな親切を
受けることというのは、おそらく。
魚座の母にとっては。
極上の御馳走を食べた時と
同じくらい。
満たされるものなのだろうと思う。
だから。
地震の時の大変さなどはもう、
母にとっては些細なことで。
そのあとの、「人の温かさ」だけが。
きっとこの先。
母の記憶の中に、
色鮮やかに残っていくのだろうなと。
あの時。。。
そんな風に思った。。。
そういうのもまた。。。
母の人徳ゆえなのだろうとも。。。
*******
つづく