美大の彼女は、一緒にランチに行った日以降から、
悩みごとを打ち明けてくるようになった。。。
私は本当は、、、
仕事が終わったら、すぐに家に帰りたかったのだけど、
わざわざ仕事終わりまで待っていてくれる
彼女を放置するわけにもいかず。。。
仕事のあとに彼女とお茶する。。。
・・・という時間が、日増しに増えていった。
職場では相変わらず、強気に振る舞っていた
彼女だったけど。。。
一旦そこを離れると、途端に弱気。。。というか。
普通の人になっていた。。。
お店にいる時は、、、
かなり、気を張っているんだろうなぁ。。。と。
そんな気がした。
きっと、責任感の強い子なのだろうな。。。と。
彼女の悩みは、就職のことで。。。
自分の年齢のことを考えたら、、、
このままずっと、大学で研究生をやっている
わけにもいかない。。。
そろそろ、ちゃんと就職しないといけないかと
思い始めている。。。
・・・と。。。
そんな内容だった。。。
彼女は、そんな風に言っていたけど。。。
それはどことなく、、、
自分自身に言い聞かせているようにも見えて。。。
本音ではきっとまだ、、、
夢を諦めきれないのだろうな。。。
・・・と。。。
私はそんな風に感じていた。。。
彼女の夢は、、、
絵で食べていくこと。。。
プロの画家になること。。。
・・・だったのだろうと思う。。。
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私は、、、
かつて、バレエ・ダンサーを夢見て、
その夢を真剣に追っていたこともあったし。。。
自分の夢が破れても。。。
娘を通して、その夢にしがみついていた頃もあった。。。
でも、そんな中でしみじみ感じたことは。。。
この日本で、そういう芸術で日の目を
見ることは、相当難しい。。。ということで。
海外へ留学したり、、、
あとはまず、海外で先に名をあげるとかしないと。
この国でそれを本業として、
それ一本でやっていくことは到底出来ない。。。
・・・ということだった。。。
バレエもそうだけど、絵も。。。
クラシック系の音楽も歌も。。。
そういうのは、みんな同じで。
美大卒のママ友とも、、、
よく、そんな話をしたけれども。。。
彼女の大学の友達で、本気で画家を
目指した人はみんな。
卒業後は、海外に行った。。。と。
彼女は言っていた。
自分は、もっとクールに現実を見つめて、、、
普通に就職する道を選んだけどね。。。と。。。
日本の伝統芸能は、一子相伝というか。。。
「身内」だけで、脈々と受け継ぐ。。。
みたいなものが多いせいなのか。。。
芸術に関しての「門戸」が、、、
この国は、あまりにも狭すぎる。。。と。
そんな風に感じていてね。。。
「理解」も、まだまだ浅いし。。。
まぁ。。。
私達がそういう談議をしていた頃から、
もう、20年近くは経っているから。。。
今は状況も、だいぶ変わってきては
いるのだろうけれども。。。
そういう部分だけに関して言えば。。。
日本って、世界に比べると相当
遅れているよなぁ。。。と。
そう感じていた。
でもそれだけでなく。。。
やっぱり、こういう世界でプロになるには、
相当高いハードルを越えなくてはならなくて。。。
自分や娘を通してしみじみ思ったのは、、、
プロになるためには、、、
まずは、持って生まれた資質、、、
天賦の才がなければ、話にならない。。。
・・・ということ。
でもそれだけではなく、、、
「環境」も必要で。
その環境というのは、、、
周囲の、、、特に親の理解や協力だったり、、、
良い先生に恵まれることだったりと。
そういう、「運」が関わってくる。。。
「運」。。。というか、本当は、
「縁」なんだろうけどね。
そして、次に必要なのは、、、
「財力」
お金がなくても、やっぱりダメ。。。
あとは、本人のやる気と努力。。。
そういうのが、すべて揃っていないと、
一流にはなれない。。。
・・・と、私は思った。。。
だから、そういうのがすべて揃っている人は、
そうなるために生まれてきた人なのだと。。。
そんな風に思う。。。
それこそ、「天職」なのだ。。。と。。。
そうでない場合でも、、、
頑張れば、二流にはなれるとは思う。。。
そして自分が、二流で満足できるのであれば、
それでも、いいのだと思う。。。
けれども、あの美大の彼女はきっと。。。
二流では、完全に満足できるような
子ではないのだろう。。。と。
そんな風に感じた。。。
それは私も同じで。
自分が満足できないところで、
小さくまとまるくらいなら。
そこから完全に離れる。。。
・・・みたいな、極端な思考を持っていて(苦笑)
そういうところ。。。
彼女は私と似ているなぁ。。。と。
そんな風に思ったし。。。
だからこそ。
彼女の悩んでいる気持ちが、、、
すごく解るような気がした。。。
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つづく