雁回时(雁回時)The Glory 全30話 | 一言難盡

一言難盡

Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

『雁回时(雁回時)The Glory』

2025年 3月〜 中国 全30話

 

出演

庄寒雁(莊寒雁)→陈都灵(陳都靈) 

傅云夕(傅雲夕)→辛云来(辛雲來)

 

 

直前まで「貴女」というタイトルで宣伝されていたが、タイトルを変えていきなり配信スタート笑

 

 

ネタバレ 第1話~第5話。

莊家の三女である寒雁は、幼い頃に赤脚鬼(禍を招く子)という汚名を背負わされ、遠く知り合いの家へと預けられる。

送られた先では、養父母によって虐待を受けながら、近所の子供には赤脚鬼と囃される苦渋の日々を送るが、ほどなく金が尽きた養父母に身売りさせられる危機に陥る。

 

命からがら生家に辿り着いた寒雁は、そのまま莊家へ戻ることを許されるが、それを聞きつけた大理寺の傅雲夕がやってくる。傅雲夕は、養父母が賊に襲われて殺戮された事件の調査に現れたわけだが、初めっから寒雁を疑っている。

この辺り(1話の序盤だけど笑)で視聴者にも段々と事情が分かってくるが、寒雁には、17年間背負わされた自身の汚名返上を果たすという明確な目的があり、そのために自分の手で養父母を殺め、莊家に戻ってきたのである。

初めから寒雁へ疑心を抱く傅雲夕とは、互いが産まれる前から婚姻が決まっていたが、寒雁が莊家から追放されたため、その約束は姉が引き継ぎ彼に嫁いだという。嫁いだのちに、姉は傅雲夕の代わりに毒を盛られて命を落としたようだが、この真偽も未だ不明である。

傅雲夕の鋭い観察力と優れた頭脳は、ちまたでも知られているが、銭に群がる悪代官を躊躇いもなくサックリやるなど、無情さも備えている。この無情な面持ちが美しい。

 

莊家へ戻った寒雁は、その存在を煙たがる腹違いの姉弟に暴言を吐かれ続け、実母にはいみふな罪で鞭打ちを科せられた上、即刻追い出されそうになり、生家へ戻っても散々である。

その中でも周如音(父の側室)は味方のような素振りを見せていたが、結局この女も敵である。

まず、17年前に適当な罪人まがいの男(段真人)を使って、赤脚鬼という汚名を被せたのはこの周如音であり、味方のような顔をしながら今回も寒雁を追い出そうとしていた。寒雁には既にそれを知られていたため、段真人の証言で周如音の罪は暴かれたように見えたが、その後の周如音が使用人に罪を被せて許されていたのを考えると、一旦泳がせることにしたんだろうか。

 

一方の実母である阮惜文は、表向きでは狂人が極まって恐怖しかないが、あの冷たい態度は本音ではなく、全てはこの家から娘を守るためなのではないのか。

同じく敵のような雰囲気の傅雲夕も、段真人の正体を蝋に忍ばせた謎の人物だろうと察しは付いていた。そうなると寒雁に関することはいくらか調査済みということになるが、ひょっとして戻る前から気に掛けていたんだろうか、その理由は全然分からないけど。そう思えば、敵だらけに見える京城でも案外味方がいることに安心感はある。

因みに、一瞬登場した阮惜文に心を寄せていた風の宇文長安(黄海冰)も、味方になってくれることを期待している。

 

過去に命を救われて恩義のある柴靖は、寒雁の目的のため全面的に協力しているが、養父母の件で傅雲夕に探られていることが煩わしく、すぐに「あいつ殺しますか。」と言ってくるのが笑える。本人と寒雁は至って真剣だが、直情型の柴靖が実に愛らしいなと思う。

ほどなく、井戸に落とした簪(凶器)を探し当ててきた傅雲夕を、さすがにマズいと感じた寒雁は、やむを得ず彼を消すことに賛同するが、亡くなった姉との間に子供がいることを知る。

孤児同然の自分と真の孤児である柴靖のこれまでの苦渋を、その子供には経験させてはならぬという矜持を持つ寒雁は、一旦、傅雲夕の命を獲る選択はしない方向で、何とか彼を躱すことにしたようである。

 

自分からは関わらぬようにしても、執拗に絡んでくる傅雲夕は避けられず、屋敷が炎上したことを理由に、阿芝(娘)を莊家で預かる事態となる。これも自分が寒雁に近付くための計画だったようだが、そのために屋敷を燃やしてしまうほどの目的とは何なのだろうか。

このせいで、莊家の二姐である語山の嫉妬心にも火を付けることになるが、あまり賢さの見えない語山の意地悪は、事前に寒雁が処理出来ているため、そう心配はしていない。ちょっと可愛さが溢れすぎだよね笑

語山が企んだ天花病という伝染病の菌の処理だが、これを相手にやり返すという方法ではなく、菌の作用を少し薄めて自分が敢えて天花病に罹る方法を取って、逆に語山を貶めるという寒雁のやり方が良かった。やり返すだけなら簡単だが、相手が無傷のままその策に乗って自分が傷を負ったのだから、手を汚さずとも語山を追い出すことは簡単になる。

 

莊家には他に祖母や父親もいるが、祖母には何の実権もなく家内で起こることには干渉はしない、というか出来ない。父親の人物像はまだはっきりしないが、傅雲夕が調査している裴大福関連の銭の行方の件に、事情は知らずとも預けられた絵画が若干関係しているようである。

この裴大福の財産の件で、着服を促すような傅雲夕の発言があったが、あの心にもない発言の目的は何だったのか謎だな、、、

 

実母の圧力は相変わらずで、今後は同じ蒹葭閣で生活することとなるが、そうは見えずともやはり娘を守るためではないかと思ってしまう。

というか、序盤は赤脚鬼という汚名を返上するために動いていたが、それが達成された今、その先の目的は、自分の存在の証明をすること以外に何か言ってたかな、、、周如音を泳がせているなら、これからもたらされる害を躱していかねばならないが、ただ自分の居るべき場所に戻りたかっただけのように見える。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第6話~第7話。

陳都靈にはどこか気品が漂っているため、貴女と言われるに相応しい雰囲気がある。

実母(阮惜文)の蒹葭閣に隔離された寒雁は、相変わらず冷遇されているが、これもほどなく真意を聞かされることとなる。

 

裴大福の義子と銭の行方を追っている傅雲夕は、このことを調べていた宇文長安の話を聞きつけて監視することになるが、行き着いた先は蒹葭閣だった。ちょうどこの時、寒雁も阮惜文と宇文長安の話を立ち聞きしており、傅雲夕は彼女を利用して二人の企みを聞き出そうと考える。そのために寒雁の危機を救い、飢えた彼女の腹を満たす方法を取るが、飯を存分に与えられていないことを見てもいないのに、相変わらず何でも知ってんのな笑

 

養父母殺害の件や、自作自演の刺客(柴靖)の件を握られる寒雁は、一旦彼に協力して母親と宇文長安の密談を探ることにするが、この過程で母親の口から出た言葉は、これまで苦渋を味わった娘を巻き込みたくない、という本人にとっては予想外のものだった。

少し前に、両親と宇文長安の過去が語られていたが、(ここから妄想です。)過去に生家を破滅させられた阮惜文は、この背面にあった陰謀を宇文長安と二人で探っているのかもしれない。それが裴大福が私腹を肥やしていたことと関係しているため、コイツを調べているのではないか。悪の巣窟らしき澹州商会が何なのかはさっぱり分からんが、、、

当時、阮家の破滅と同時に莊仕洋(父親)が現れ、焦がれていた阮惜文を娶ったため、莊仕洋もこの陰謀に絡んでいそう。(妄想終わります。)

 

一方の周如音は、ひたすら阮惜文の動向を窺っており、男と密会していることをチャンスとばかりに騒ぎを起こして、主母の地位を奪おうと考える。ニヤつきながら勇み足で蒹葭閣へ向かう周如音にちょっとイラついたわ笑

ここで、男との密会を夫に見せて阮惜文を追い出そうとするのかと思えば、何であろうと離縁を拒否しているのは莊仕洋の方だった。主母の座を奪って満足した様子の周如音は、莊仕洋の想いまでは独り占め出来ないことが分かっているのかもしれない。

どうやら周如音は、17年前から阮惜文と寒雁に危害を加えており、阮惜文の脚を絶ったのもこの女ではないかと言われていた。そうなると、赤脚鬼の件も阮惜文が娘を逃がすために黙認していたのかもしれない。策など立てられぬような無邪気な顔をして、やっていることは一番あくどい。

ただ、阮惜文・莊寒雁VS周如音・莊語山、これに莊語遅を足しても、圧倒的に前者が強い笑

 

莊家から追い出されて苦渋を味わわされた寒雁は、ただ家へ戻りたかっただけで、両親を恨んでいるわけではない。戻ってからの冷遇で、母親には若干怒りはあったものの、それも自分のためだったことが分かり、これからは母親の目的を共に達成するために協力していくのだと思われる。同じ目的の傅雲夕とも今のところは道を違えているが、いずれ協力体制となりそう。

仮に、父親が何か関係していたのなら、それが終われば莊家との縁は絶たねばならないが、お母さんのいる場所が私の帰る場所、と言っていた寒雁にとっては、莊家である必要もないね。

命は落とさないシナリオだといいのだが、、、

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溫崢嶸が相変わらず素敵です。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第8話~第9話。

徐々に実母との距離を縮めていくのかと思えば、まずは、17年前に自分を汚名を被せて庄家から追い出し、今もなお分かりやすく暗躍する周如音との戦いが始まってしまった。今回、戻って来た目的を隠さず直接本人に伝えた寒雁は、周如音へ正面から仇討ちを宣言した格好となる。

 

元々、かつての澹州で、寒雁と因縁のあった楊憑を捜し出して、寒雁を貶める策を立てた周如音だったが、そもそもの原因は楊憑にあるため、寒雁の言い分には全く歯が立たない。

この策は華麗に撃退出来たものの、寒雁もやられて黙ってはいない。しかし少し懲らしめる意味で手を回したこの親子3人による語遅の科挙試験での不正が、意図せず大問題になってしまい、少なからず焦りもあったようである。

大理寺まで介入して思いのほか重罰を受けた語遅は、何も知らずにいた父親や何文槙まで巻き込んでの大騒ぎとなるが、これを早速、寒雁の仕業だと憤慨するこの母子は、頭おかしいのかな?

出来が悪いために自ら不正を行って重大な罪を犯し、その罪を罪だと知らず親切に手助けした何文槙へと被せようとした挙句、確証もなく寒雁を責める根性が恥知らずというほかない。実際、寒雁が手を回した結果が、大問題になったのには違いないが、己らが先に始めた戦いだからね。

 

何とか寒雁を消し去りたい周如音は、次に、養父母殺害の罪を寒雁へ被せる策を思い付く。これも実際は寒雁が殺めているのだが、このことは柴靖と傅雲夕が知るのみである。殺めたといってもおそらく正当防衛だと思うけど、、、

銭の力で楊憑から養父母の検死結果を手に入れた周如音は、またもや大理寺の前で寒雁の罪を暴露することになるが、この役目を担うのが、周如音の罪を着せられて追い出されたはず琅兒だったのには驚く。一体どっから沸いて来たの、、、根回しすごいな笑

 

傅雲夕は常に周囲に目を光らせているため、この周如音の策にも気付いて、事前に寒雁へと忠告していたが、暴露されたその場でも何かと彼女を助けている。というより、以前から本人の知らぬところで手助けをしている傅雲夕の目的は、好意の他にも何かあるのかな。平手打ちから何度も庇う傅雲夕にちょっと切ない気持ちが湧いた、、、

この件は大理寺でも傅雲夕より権限のあるおじさんが担うことになり、連行された寒雁を救いたくとも、傅雲夕には手出しは出来なくなってしまった。

そこで柴靖が代わりに罪を被ることにして、寒雁を釈放させるのだと思われる。

 

なんだろな、周如音に限りなく小者感が漂うため、苛立ちなどはさほど起きない不思議なドラマだ笑 そもそも寒雁が全く負けてないために、どうせ小者たちの策は成就されないという思いが脳内にあるからだと思う笑

その他にも、聞いた話をすぐに鵜呑みにして一喜一憂している莊仕洋は本気でポンコツなのか、そう装っているのか謎だ、、、

 

阮惜文の方の長年の計画も実行される時は近いが、何をするのかは今のところさっぱり分かっていない。

 

面白い、続きが楽しみ。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第10話~第11話。

過去に命を救われた柴靖は、寒雁を生かすためなら命は惜しくないほど情は深い。出会った当時は、寒雁も養父母に虐げられており、遺体だと勘違いした柴靖の靴を盗んだことから始まった縁だが、互いに孤独だった二人はどこかシンパシーを感じたんだろう。そこからは家族のように互いを思いやって、短くとも共に生きた歴史がある。

自らが受けねばならない罰を代わりに背負って囚われた柴靖を、当然そのままにはしておけない寒雁は、罪を認めることにするが、様々な事情(前主人と裴大福の義子の関係)が重なり、もはや柴靖には釈放の選択肢は残っていなかった。

これまで何度も寒雁の危機を救ってきた傅雲夕は、今回も手を貸すことになるが、寒雁には、彼が自分に手を貸す理由が分からず、唯一思い付いたのが、身体目当てなのかな、、、だった笑 それも違ったようだが。

 

すごい小者の割に、寒雁と柴靖の深い間柄はすぐに察知した周如音が、自分の策で貶めて柴靖を死に至らしめたことをニッコニコで挑発してくるのが、まさに小者に相応しいセコさだ。

 

その後すぐに、傅雲夕が無事助け出した柴靖と再会を果たすが、血は繋がらずとも既に家族である二人の絆には泣けたな。その寒雁の姿を瞬きもせずじっと見つめる傅雲夕は、何を思っていたのかな。

とか考えていたら、ほどなく庭に出て血を吐く傅雲夕を見せられる。職業柄、自分の命を狙う者は多い、と以前言っていたが、おそらく毒を盛られたか何かで傅雲夕の命は短いのだと思われる。

 

ここで一気に妄想が膨らみ、自分の中で勝手に点と点が繋がったんだけど、、、

以前、部下と裴大福の義子の話をしていた傅雲夕が、隠し財産を見付けたら山分けはどうだ、という戯言を言っていたことがあった。そうすれば娘に少しでも銭を残してやることが出来る、という会話の意味がその時は謎だったが、もしや自分の命が短いために、阿芝の行く末を案じてのことだったのでは、、、そうなると、裕福な娘との再婚を望んでいることも理解できる。

いつから寒雁を認識していたのかは不明だが、屋敷が燃えた時も、寒雁を指名して阿芝を預けていたのは、自分がこの世を去っても、安心して阿芝を預けられるかどうかを確かめるためだったのかもしれない。

そして今回、柴靖を助けたことで、血の繋がらぬ間柄でも家族となれる寒雁の姿を瞬きもせずにじっと見つめていた。となると、この恩を必ず返すと言っていた寒雁に求めるものは、阿芝の母親の地位なのか、、、要するに「ぎぼむす(義母と娘のブルース)」冒頭の竹野内豊ということか。

 

という感じで、妄想が暴走してしまいました。

 

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着いて来た語山を振り払うため、手を取って走り出した傅雲夕に、そんなこともするのかと驚いたが、寒雁への疑心も薄らいで無情に徹する必要もなくなったのかもしれない。

置いてかれた語山のおバカな感じが、いつもながら可愛くて憎めない。

 

ほどなく新年を迎え、寒雁にとっては初めて実感した家族(父親)の温もりに浸っていた瞬間だったが、実母の纏う空気はいつもにも増して皮肉が効いている笑

それも今後を暗示していたのか、阮惜文と宇文長安が調査していた裴大福の義子が、官吏に紛れているという疑いで、莊仕洋を含む11人が隔離されることになる。この一報を受け莊家は大騒ぎとなるが、これが阮惜文の長年の計画の始まりなんだろう。

あの大理寺の閆大人が怪しいけど、、、

 

つづく

 

追記ネタバレ 第12話~第13話。

予想もしない方向へ話が進んでびっくりする笑

隔離された11人は、ただ莊仕洋を裴大福の義子として捕えるために阮惜文が策略した結果だったようだ。それも闇雲ではなく、数年前に莊府で裴大福の私邸と繋がる密道を見付けたからである。夫が国賊である裴党ならば、その家族は全て死罪となる。それも覚悟の上で糾弾したようだが、寒雁だけはその罪を免れるよう密かに除籍されていた。序盤から、執拗に寒雁を追い出そうとしていたのは、このせいだったようである。それでも出て行くことはなかった寒雁を放っておいたのは、除籍という保険を既に得ていたからか。自分の命は構わないのに娘への愛は深い。莊仕洋への恨みは他にもありそうだけど。

 

ただ帰る家が欲しかっただけなのに、家族全員が死罪となり、再び孤独となる危機に瀕した寒雁は、自白した父親や側室親子は仕方なくとも、母親だけは死なせないという思いが殊更に強い。そのため家族を救うべく父親からヒントを得た寒雁は、莊家が越してくる前の住人を捜すため仲介人へ会う。→仲介人から呉有志(前主人)は行方不明だが、まだ妻は健在である。その呉有志は皇族の親戚だ、という情報を聞き出す。→呉有志の妻に事情を聞くため、侍女として屋敷に潜り込む。→行方を知らない妻は紅柳院へ行くよう促す。→紅柳院で呉有志を客として取っていた娘に事情を聞くと、どう考えても彼が裴党だという疑惑が湧き、呉有志を見付け出せば莊家の冤罪が晴れると考える。→さらにその娘から、大理寺の傅とかいう男が捜しに現れたことを聞かされる。→傅雲夕が呉有志を隠していると推測して、彼に会いに行き部下の腰牌を盗んだあげく、別の部下を騙して隠れ家まで案内させる。→追って来た傅雲夕が、己の利益のために裏で暗躍して母親と宇文長安に実行させたと思い込む。→その後の傅雲夕の言い分は、呉有志は確実に裴党だったが、自白させるため少し拷問を加えたら、それに耐え切れず命を落としてしまった、という経緯があったことを聞かされる。→その後、薬で眠らされた寒雁は目を覚まして、傅雲夕が埋めたという遺体を掘り起こす。→掘り起こした遺体を轢きずって処刑場へ辿りつき、処刑目前の家族の前で登聞鼓を叩く。

とかいう神業をたった一人でやり遂げる。何が凄いって、これを処刑までの1日でやってのけたということなんだが笑

なんというか、誰にも頼らず、自分の中にある強い意思を実行できるだけの力が備わりすぎて度肝を抜かれる。

 

当時の傅雲夕は、皇族に関係する呉有志を死なせた責任を問われぬよう、密かに埋葬したわけだが、阮惜文が夫を疑って糾弾し、莊仕洋が自白したことは、自分が探られずに済んで、むしろ好都合だったのかもしれない。逆に言えば、口を噤んで莊家の命を見殺しにしたことになるが、寒雁にとっては、信じてもいいかと思えた矢先の、この行動で、傅雲夕へ対する不信感はさらに深まることになる。

 

その寒雁が掘り起こした遺体だが、これを調査されれば、当然、自分の身に禍が降り掛かることは傅雲夕も予測している。裴大福の義子の騒ぎで、人物像が合致する父親は亡くなっているため、さほど関係なさそうな家族も遠縁へ避難させるような危機管理も出来る人間である。(結局、連れ戻されていたが。)それでも寒雁を黙って行かせたのは、彼女の母親への思いを優先したからである。一番大事なのは家族だと、その口でも言っていたからね。

 

傅雲夕のどこまでが計算で、どの部分が事実なのかが混乱させられるところだが、騙し合いの中でも傅雲夕の方には計算ではない情が既に生まれているように見える。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第14話。

むーちん、、、(´;ω;`)ウッ…

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嫁いだ時から復讐の機会を狙っていた阮惜文の莊仕洋への恨みは深い。これまでは周如音が暗躍していると思わせて、実の裏ボスは夫の莊仕洋だったことは予想せぬ展開だった。

母親によれば、阮家を破滅させ、宇文長安から自分を奪い去って娶り、祖父を殺めた罪を寒雁に被せて追放したのは全て夫の策略だったという。当時は、寒雁の命も厭わないようだったが、鬼に徹すると決意した阮惜文の気合に圧倒されたのか、追放という形になっている。この狂った様子に一度は阮惜文の命すらも奪おうと考えたようだが、それでも脚を破壊しただけで逃げ出さぬようにしたのは、やはり愛していたんだろうか。

 

今回は、阮惜文の娘への愛が深すぎて鬼へと変貌する姿が不憫で胸が抉られる。寒雁にも脚の傷でその愛が痛いほど伝わったんだろう。やっと裴大福が亡くなり後ろ盾の無くなった莊仕洋を、自分もろとも葬る絶好の機会を得た阮惜文が、その計画を寒雁に潰されたことで絶望する姿に、これは自分が達成せねばならない仇討ちであることを心に刻む。

胸の内に隠した娘への思いを、とうとう解放してぎゅっと出来た母親の姿には泣けた。

妻を娶ることなく、ひたすら阮惜文を見守っていた宇文長安は、この一連の騒ぎで停職となって京城を去ることとなるが、さっさと夫を倒して一緒に過ごせる日が来るといいな、、、

 

阮惜文の言葉がどこまで本当なのかは謎だったが、この後の莊仕洋の表情が驚くほど悪人顔に変化しているのには驚いた。阮惜文も本心を晒したことで鬼から母の顔に戻っていたし、役者って凄いんだな、、、思えば、小者感がしっかりと出ていた周如音も、莊仕洋の駒であったためにそれを芝居で表現していたんだと思う。それが視聴者にもしっかりと伝わっていたことを思うと、役者の底知れぬ力を感じた。

 

後に、傅雲夕が霊廟で話していた内容で、莊仕洋が裴大福の義子だということが分かるが、本当にコイツだったのか、、、

しかし莊仕洋が娘を追放した理由が全然分からないな。阮家を破滅させて祖父を殺めたのは、裴党には都合の悪い何かがあったのだろうが、娘を追放したのはなんでだろ、ただ祖父への罪を悟られないようするためか、それとも男子であっても追放したんだろうか。

ともかく、裴大福の義子の調査はこれからも続くため、傅雲夕とは手を組むことになりそうだ。寒雁も呉有志が命を落とした背景は賊の仕業にして、傅雲夕を庇う格好となっていたし。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第15話。

母親と莊仕洋の縁を切らせるため、母親の旧友である貴妃の力を借りることを思い付いた寒雁は、臨江閣の宴会で顔見知りとなる機会を得ようと考える。

裴大福の義子の件で、手を組むことを提案していた傅雲夕は、まずは母親の平穏を得てから、という寒雁に協力することになる。

 

これまでの阮惜文は、歩けないことに気後れしてほとんど外に出ることはなかった。頑なな母親の心を開かせ、力強く背中を押す寒雁の言葉で、嫁いで以降初めて(だと思うが)外界へ足を踏み出す難関を突破する。

馬車から降りることに戸惑う阮惜文が、差し出す娘の手に信頼を向ける姿は、むーちん(´;ω;`)ウッ…となる。次の難関は、バリアフリーではない入口だが、傅雲夕は何でも知っているだけあって気の利く男だな、、、

宴会場では、その姿を揶揄する意地悪おばさん共がわらわら集まり、茶を飲ませ続けられるむーちんが心配だったが、寒雁も陳嬤嬤も強い。同じように耳齧ってやろうか?は威勢が良くて笑う。

最後はビシッと阮惜文が言い負かすことになるが、その最中に旧友だという苗貴妃が現れる。

 

旧友という割に緊張感の漂う敵同士のような二人の空気に、少し驚いた寒雁は、苗貴妃に手を貸してくれとは言えない雰囲気に混乱する。観ている方にとっても、これが茶番なのか本物なのか判断しづらいが、知己の二人による茶番なことを期待している。これ以上むーちんを苦しめないで欲しいのだが、、、

 

一方の語山は、そそのかしたお嬢様にもそっぽを向かれ、傅雲夕の気持ちが寒雁へ注がれていることにも我慢ならない。そこで、馬に媚薬を使って暴れさせ、阮惜文でも寒雁でもいいからどうにか危害を加えたかったようである。

飛び掛かる暴れ馬から苗貴妃を救い、その暴れ馬と寒雁を必死に追って来た傅雲夕は助けるには助けるが、地面にバーンの後、そんなアクシデントキッスある?笑

序盤は打算があって寒雁に近付いた傅雲夕は、あの短冊といい、ここまで来ると、利用することより愛の方が勝っているように思えるが、今のところの寒雁は、穏やかに接していても全く信用はせず、ただ利用しているだけである。

 

おそらく何文槙は、傅雲夕の嫉妬心を煽る要員なんだろう。

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つづく

 

追記ネタバレ 第16話~第18話。

いやいや、えぇ、、、

 

苗貴妃と阮惜文の関係は、端々に棘はあっても知己だということが分かり、その脚を治療するため名医を手配していた貴妃は仲間だと安堵する。

少しずつ歩けるようになった母親が莊仕洋と離縁出来るよう、寒雁も傅雲夕の求婚も一旦は受け入れ、その条件として義子の件で莊仕洋を釣る策を成功させたことで大きな進展はあった。

莊家を守るため(本人によれば)、裴党を告発しようとした祖父を殺め、裴大福に取り入って義子となり、信頼を得た自分がその手で彼をも毒殺していたことをぺらぺら告白するまでは良かったが、もう一人いるはずの義子が、実は傅雲夕だったことには衝撃を受ける。

 

序盤の傅雲夕は、おそらく自分がこの世を去った後でも、残された家族を守れるような強くて賢い娘を捜して、寒雁に目を付けたようだが、同じ時を過ごす間にそれが愛に変わっている。

ただこの男には秘密が多く、寒雁の知るところではない事情を山程抱えており、莊仕洋との問答での貶め合いを見ると、どちらの言い分が正解なのかが判断できない。客観的に見るとどっちもどっちな気もしないでもないが、私利のために命を奪った数では、圧倒的に莊仕洋が勝っている。

 

少し前に、寒雁の気持ちを優先して呉有志を死なせたことへの罰を受けた傅雲夕は、その件を言わずにいたものの、後に寒雁にも知られることになる。この時は傅雲夕の部下がいい働きをして、寒雁の傅雲夕への不信感は拭われ、求婚を受けることにしたのだが、ここにきて、もう一人の義子がこの男だということが判明してしまった。そのため再び不信感が舞い戻る羽目になり、婚姻の話は振り出しに戻ってしまう。

それでも目的だった母親の離縁は成立させられたため、迎えに現れた宇文長安と共に睦まじく去って行く姿に一旦は安堵する。

 

視聴者には、見送る莊仕洋の何とも言えぬ微妙な笑みに不安が過ったわけだが、大人しそうな顔をしてやることはエグい、、、

当時、宇文長安を遠くへ追いやり、その間に阮家を破滅させて惜文を娶った莊仕洋は、愛していると口では言っているものの、完全なるエゴである。惜文だけが自分を尊重してくれた、と言っていたが、それイコール愛ではないのだよ。それを好かれているとでも思っていたのか、ただ自分を満足させるための愛で、去り行く元妻と、それを奪った格好となった宇文長安を毒殺するとは、どこまでも利己的で救いようがない。お前が先に醜い手を使って奪ったんだがなぁ。

背面に光を背負って、門をバァーンと開けて入ってくるのは大体ヒーローなんだが、、、お前かよ。

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この世でたった一つ寒雁に残された温もりである母親を、失くさぬよう傅雲夕が守った命は、一緒に付いて来た余計な命によって奪われてしまった。

残された寒雁の苦しみは想像を絶するが、宇文長安との長年の遺憾が達成されたことがせめてもの救いだった。むーちん(´;ω;`)ウッ…生きていて欲しかった。

 

これまで生きる残るための執着で大勢を貶めてきただけあって、莊仕洋の根回しはさすがというほかない。←褒めてない。既に自作自演で身の危険を皇帝へアピール済みだったこの男は、寒雁からの反撃も予測して守りを固めていた。

その盾の役割を担うのが傅雲夕のようだが、既に愛がだだ漏れの彼には何か寒雁を守るための打算はあるんだろう。

因みに、何をそんなに急いでいるんだ、という台詞が頻繁に出て来るのを考えると、やはり傅雲夕の命は短いのだと思われる。生きていて欲しい人が段々といなくなり、おそらく傅雲夕への情が湧いた頃にこの男の命も尽きるのではないか、、、というわけで、全く円満になるような最後が見えない。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第19話~第20話。

傅雲夕が裴大福の義子となった理由は、潜入捜査のためだと早々に分かったため、二人は白紙となった婚姻を再び結んで莊仕洋を倒すべく手を組むこととなる。

莊仕洋にとっては都合の悪い展開に、すんなりとはいきそうにはなかったが、傅雲夕のゴリ押し戦法によって寒雁を攫って娶ることに成功する。この過程で、語山を不憫に思った語遅が寒雁を本気で殺めようとして自分が命を落とすこととなったが、周如音をはじめ、その子供たちは、この様にして悉く自爆していくのか。

語山の力になろうとした語遅は、既に廃人のお前がどうやって私を助けられるんだ、という暴言を語山に吐かれていたが、いや元々さ、周如音が始めたセコい手を応用した語山の行動で、語遅の人生は破滅したのに、酷いこと言うよね。個人的にはこの姉弟を無感情で観ていたが、語遅は常に語山の危機に現れて守っていたよね、だから語山だけはそこを汲んで発言せねばならなかったよ。

弟を失くした後の語山はこのことを悔いていたのだろう。周如音が主母となり、語山が嫡子の座を得たことで、母親は相変わらず息子の死を寒雁の罪にして仇討ちしようとあらぶっていたが、語山は一言も寒雁の罪だとは口にしていない。ゆえに、これだけは自分の罪として受け止めたんだろうと感じた部分だった。

となると、しぶとく寒雁を貶めようと暗躍するのはやはり周如音か。今回、莊仕洋への愛などは全くなかったことが分かるが、息子の仇討ちで同盟関係となった二人は、これからもセコい手を使ってきそう。

てかね、当に敵だと認識されている莊仕洋は、それを自分でも分かっているはずだが、明くる日に、ほらーこっち来て一緒にご飯食べよ、とか言ってるのがビョーキか何かなのか、、、この人格が理解出来ず恐怖でしかない。

 

嫁いだ先の傅家では、阿芝も伯母も寒雁を歓迎してくれたが、二姨は騒がしくて若干面倒くさい。しかし今の寒雁には、二姨に構っている暇はないのである。

目下、莊仕洋の罪を暴くため策を巡らせる二人は、まずは宇文長安の残した莊仕洋の悪事の証拠を傅雲夕の力で手に入れさせ、宮中で苦境に立たされる苗貴妃を救って、莊仕洋を糾弾する手助けを得ようと考えている。その期待に応える傅雲夕は、気付いていないのかもしれないが、寒雁の手駒のようになってるね笑

それでも傅雲夕には義子を捕えるという同じ目的があるため、寒雁の望むことに力を尽くすのである。愛かな。傅雲夕には愛の他に義子に拘る理由があるんだろうか。これまで義子関連の自分の策略は段々と口にしているが、身内の件に関しては何も明かしていないため、まだ隠している秘密があるのかもしれない。当然、余命のことは隠しているが。

 

次は、苗貴妃を引き摺り降ろそうとする一派の一人である鄧家の宴会へ潜入するようだが、夫婦となっても、仇討ちが優先の二人に色恋沙汰は無縁の如く、その表情は常に厳しい笑

 

嫁いだ寒雁に後ろ髪を引かれながら、柴靖も去って行く、、、潔くかっこいい女だった。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第21話~第22話。

鄧家に嫁いできた夫人は、18年間、寡婦として亡くなった夫への献身を称されて褒美を賜ったわけだが、夫人にとっては本意ではなく、ある意味、鄧家(義父)の鎖に繋がれた日々だったようである。

密書を手に入れるために潜入した二人は、早速、夫人と孫娘の様子がおかしいことに気付く。それでも無事目的を達成した二人は即座に鄧家を後にするが、密書だと思って手に入れた本は、孫娘と書生の男との交換恋文だった。

これを知った義父は怒り狂うが、世間の目を気にするあまり、孫娘が婚約を交わしていた鄭家との婚姻を辞退し、この書生に娶らせることにする。これは望み通りになって歓喜するのかと思えば、その割に、母親も孫娘もその書生の男も表情は暗い。

ここから予想外の展開となるが、書生の男と恋文のやり取りをしていたのは実は夫人の方で、孫娘はその母親の秘密を守るため、好いた男(鄭家)に嫁ぐことを諦めたのである。

早速この事情も義父に知られることになるが、罵られる夫人の前に立ちはだかって反撃する寒雁の言葉には、全女子が共感したのではないか。背面からじっと妻を見守る傅雲夕は、以前と変わらずじじいの平手打ち攻撃を何度も阻止するのだが、この積み重ねが寒雁の硬く閉ざした心に後々効いてくるのだと思われる。

 

偶然遭遇した夫人と孫娘の前途を守り、鄧家での目的も達成した二人の次の標的は、苗貴妃反派の中心人物である姚之棟だが、ただ説得するだけでは懐柔など出来ない。そこで斎王に嫁いで苦渋を強いられている彼の娘を、まずは救うことにする。

斎王は亡くした元妻を忘れられず、新たに娶った姚之棟の娘を元妻に成り代わらせようと必死になっていた。易師に吹き込まれた適当な嘘を真に受けた斎王は、一心に呪符を飲ませているが、その易師とは、周如音と手を組んで寒雁に赤脚鬼という汚名を着せた賊まがいのアイツだったよ笑

 

斎王ということは皇族なんだろうから、屋敷に入る許可を得ることも容易ではないが、ここで阿芝が良い働きをして無事潜入することに成功する。さすがこの親(傅雲夕)にしてこの子あり。

ここで自身を囮にして斎王を騙すことを決行するが、皇族を騙して姚之棟の娘と離縁させたことが知られれば、権力の差から命に関わるのではないかとハラハラしていた。

それでも姚之棟の娘を救い出し、苗貴妃への反発を緩める方へ姚之棟の気持ちを動かしたのは大きい。恩を着せるやり方ではなく、良心に訴える言葉での説得の仕方が相変わらず良かった。

目的のためとはいえ、遭遇する女性達を救っていく寒雁は爽快で、今回などは若干フェミニズム味を感じた。

 

業を煮やして乗り込んで来た斎王は騙されたことに気付き、やはり権力を翳して剣を向けるが、ここでも傅雲夕が寒雁を庇う。今回違っていたのは、互いに命が懸かっていたからか手をぎゅっとしていたこと。

この危機も、自身の窮地を救った寒雁の存在が苗貴妃へと伝わり、無事回避出来そうである。

 

莊仕洋を倒すことが最大の目的である寒雁には、情愛などは芽生えていないが、夫に対する信頼は着実に築かれている。そのため、かつて母親が言っていた、一番大事なのは信頼出来るかどうか、を既に達成しつつある。

傅雲夕の方は、寒雁の策に口出しすることなく全力で寄り添っているが、その信頼を裏切るような秘密がこれ以上ないことを願う。あ、余命、、、

彼の余命の件は推測でしかないが、吐いた血を雪で覆って隠していたことを考えると、おそらく誰にも明かしていないんだろう。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第23話。

苗貴妃からのお迎えで、いよいよ宮中への門をくぐることとなった寒雁を門前で見送る傅雲夕までは、二人の共闘が実を結んだ結果だという気持ちで見ていた。

ところが、苗貴妃に謁見した寒雁が出て来た途端、罵って首を絞めるまでする傅雲夕の怒りにちょっと面食らう。

寒雁は望むものを得られなければ、貴妃ですらも刺し違えようという覚悟があったわけだが、結果的に、苗貴妃の阮惜文への憧れと彼女への情は深く、その命を奪った莊仕洋への仇討ちに力を貸すこととなる。

 

貴妃の命を危険に晒す覚悟の寒雁を予測していなかった傅雲夕は、このことを察してあんなに怒り狂っていたんだろうが、それにしても激怒しすぎじゃないの、、、そうだとしても、苗貴妃は無傷だったし、十日以内で莊仕洋に(自分が燃やした)図面を再現させ、護衛も撤去させるという約束を取り付けたのだから、予定通りになっているんだが。

それとも、これまで力を合わせて達成してきた計画で、信頼も得た気になっていた傅雲夕が、策の全ては知らされず未だ信頼されていないことが侘しかったんだろうか。その自分はもっと寒雁の信頼を裏切ってきたではないか。

信頼を裏切られる気持ちが分かったか、という寒雁の言葉も、仕返しとしてはそこまでではない生温さが、なんだか不自然だったね。

個人的には、当初よりは信頼関係は築けていると感じているが、人間の脳内では相反するあらゆる思いが交差しているため、人の心は矛盾だらけで成り立っていると思っている。

 

苗貴妃によって期限を決められ軟禁された莊仕洋の、生き残るための次の策は、後妻を捜している斎王へ語山を犠牲にして嫁がせることである。周も莊もろくでもない親だが、実は親思いの語山は父親を助けるために凛として嫁ぐことを決意する。

お父さんはそんな苦渋をお前に味わわせられないよー、とか味方のような顔をして、私(が犠牲になって)嫁ぎます、という言葉を待ち望んでいるのがみえみえなんだが!!

弟を守れなかった自責で打ちひしがれていた語山は、せめて残った家族は守らねばという気持ちだったんだろう、あんな悪党親どもに思うようにされてかわいそうにな、、、少しイノシシ系のおバカの語山は全然憎めなかった。

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つづく

 

追記ネタバレ 第24話。

裏切られた怒りと悲しみで、やる気を失った傅雲夕は、寒雁との協力関係も危うい状態となっていた。ただ傅雲夕の想いの方が強いために拗ねているだけだが、侍女によって聞かされた、自分が罪を犯した時に傅家に禍いが降り掛からぬよう離縁書も用意している話で、途端にやる気は蘇る。実は情の深い素直な男だった笑

 

一方で、何の功績もなさそうなしょうもない斎王でも、莊仕洋の狙い通りの一声で、出鱈目な罪を苗貴妃へ被せて処罰を与えることが出来るのだな、、、謙虚そうに見せて相手を動かす莊仕洋の芝居が上手すぎて憎たらしい。折角、策を練って姚之棟に糾弾の手を緩めさせたのも無駄になり、苗貴妃が命を絶ったのが本当に残念だった。

 

このせいで、自分が死に追いやったという思いと、莊仕洋への憎しみが頂点に達した寒雁は、直接命を獲りにいく気持ちが抑えらぬほど興奮していた。この怒りは、夫に剣を立てるほど激しいものだったが、阿芝の懇願でかつての自分を思い返すこととなる。未だ子を持つ親の気持ちは分からずとも、自分が通ってきた母を想う子の気持ちはどうやら刺さったようである。阿芝が健気すぎて泣けるんだこれが、、、

 

先の傅雲夕と同じく、裏切られて少なからず落胆していた寒雁も、側近に事情を聞かされて、あの時の信頼が少し戻ってきたようである。

これからは駆け引きせず正直に向き合うことを確認した二人は、次に進まねばならないが、とにかく斎王がやっかいだな。騙されたことに恨みを持つこの男は、権力があるだけに執拗に寒雁を追い回すことになるだろう。そこに策士の莊仕洋と、何かを悟ったと思えた語山の寒雁への怒りが加わると面倒くさいのは見えている。

ただ語山だけはまだ改善の振り幅は残っているんじゃないかな。ゆえに、薄っすら気付いている両親のあくどさを認める日がくると期待している。斎王にいじめられてかわいそうにな、、、

 

そして以前から探っていた、宇文長安の残した莊仕洋の悪事の証拠が、ここにきて日の目を見る時がやってくる。莊仕洋に殺められた祖父の骨を、どうやってヤツがやった証拠として暴露するのかが見ものだが、しぶとい上に同情を引くのを得意とする莊仕洋を捕えるのは難航しそう、残り6話もあるし。

 

今回は、傅家を守ることに拘ってるけど、自分で守れる力あるよね。とはっきり寒雁に言われていたが、それが交換条件なんだからと答えていた傅雲夕は、やはり命が短いのだな、、、

血の繋がりがなくとも家族になれる、という話も出てきたからには、仇討ちをやり遂げた後の二人の穏やかな未来はないんだろう。死にゆく前にひとときの心の繋がりはあるにしても、その先はないんだね。思えばぎぼむすもそうだった。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第25話~第30話(最終話)。

祖父の骨と祖母からの毒草のヒントで、一旦、莊仕洋を追い詰めるところまで行くが、すごいよ、今度は弱々しいいつもの芝居で、周如音に祖父殺しの罪を着せるんだから。この後、当然、囚われてぺらぺら話されることを恐れた莊仕洋によって、生き埋めの危機に陥った周如音は、散々貶めてきた寒雁に救われる。

これも最初から、必ず周如音に罪を着せるだろうと予測した寒雁の策だったのだが、17年も莊仕洋の芝居に騙されて駒にされていたために、何か悪事の証拠を持っていると信じていたからである。それだけでなく、周如音の野心がゆえの苦渋に耐えた日々を理解し、性根は腐っていないと信じて彼女を許すのである。

正直、序盤では語山の改心には期待していたものの、よもや周如音までもが寒雁の思いに応えて、全力で莊仕洋を倒しにかかるとは思っていなかった。というわけで、語山より先にこちら側となった周如音が実に頼もしい存在となる。

 

予想通り、謎の契約書を隠し持っていた周如音の協力で、手掛かりを追うことになるが、それが遺産で土地を買って地主となり、難民である百姓達を相手にあくどく搾取していた悪事の発見に繋がる。これが証拠になると一瞬は思ったものの、その契約は娘である寒雁の名で交わされていたため、途端に、その遺産を懐に入れた罪は嫁いだ先の傅雲夕と寒雁の肩にのしかかる。

悪事がバレた時のことを熟考して根回しする悪賢さに悉く長けてんだが、そこがほんと憎たらしい。

このせいで追われる身となった傅雲夕は、寒雁を逃がして自身で全ての罪を被ることとなる。既に裴大福の義子だと知られている上に命の短い傅雲夕は、傅家と寒雁を守るため、大理寺の閆大人と取引をして死罪を覚悟していた。閆大人には、この罪が傅雲夕のものではないことは分かっていたが、彼の覚悟を尊重してこれ以上の寒雁への追及はしないという約束を交わす。

 

自分の罪でも傅雲夕の罪でもない汚名を被って、彼をそのまま死なせる訳にはいかない寒雁は、何としても彼が裴府に潜入していた証拠を見付けねばならないが、どこを訪ねても助けてくれる者はいない。

半ば絶望して虚空を見つめるしかない寒雁の前に、これまでに救ってきた娘たちが現れたのは熱かった。このおかげで、ひとまず貴族の力を使って牢に会いに行けたのはいいが、ここでやっと隠されていた余命の事情を知らされる。

解毒出来ないと知った時から、生きることは当の昔に諦めて、残される家族を託せる女性を捜していた傅雲夕は、その事も正直に告白するが、彼への想いが信頼へと変わった途端に、未来がないことを知らされた寒雁は、あまりのショックに罵ることしか出来なかったようである。


それでも寒雁が屈することはない。

ほどなく、潜入を命じた温大人の夫人が夫の残した遺書を持って現れ、それを手掛かりに目まぐるしく行動する寒雁が次に向かった先は、潜入捜査の証拠である副本が保管されている通政司である。現在この場所を担うのは、かつて求婚されて恥をかかせた何文槙で、コイツもなんだかしょうもないヤツだったが、膝を付かせたことに満足して、寒雁の頼みを一旦は受け入れる。

案外簡単に受け入れて懐の広いヤツだと思っていたのも、結局、寒雁を嵌めて捕えようとするんだから、序盤は好青年のような様子で登場して、最後はこの様な姿で終わる存在が実に虚しく感じた。

 

敵に追われながら、副本を持って疾走する寒雁は、序盤での傅家の火事シーンが思い出されたが、何だかんだ莊仕洋と同じ策に長けていても、ヤツとは違う情の深さがある。

ここで二度目の登聞鼓を叩く寒雁も熱かったが、その音が聞こえた傅雲夕の気持ちを想像するともっと熱いものが湧いた、、、

 

潜入捜査である証書を持ち、皇帝への嘆願に成功した寒雁は、傅雲夕を牢から救うこととなるが、次の課題は莊仕洋の罪への糾弾と傅雲夕の解毒である。

皇帝へ謁見したタイミングで、その罪を併せて進言することも出来た寒雁だが、序盤からの最大の目的よりも傅雲夕が生きられる望みを優先したのは、刺すような言葉ばかり口にしていても、既に愛なのだな。


解毒の方法を聞くために莊仕洋と取引をする二人は、同じ方を目指しているように思えたが、傅雲夕の方は、自身の解毒より妻の目的や家族を優先して、莊仕洋を捕えることをたった一人で決断する。互いが互いを思いやって傷だらけ、、、これを察した莊仕洋も、大人しくは待っていないため、しょうもない斎王に縋りつくことになるが、結局、犠牲にするのは語山である。娘に救われたことはすっかり忘れて、どこまでも自分が生き残ることだけの思考しか持たぬ莊仕洋がもはや恐怖だよ。

 

この後は、どちらも斎王の刺客に追われて散々だが、父親の芝居に騙されてここまで来た語山が遂に目醒める。ヒラリと馬に跨って斎王府から逃避する姿もしかり、ここぞの危機で寒雁に手を伸ばす語山には泣いたわ。正直、ここが6話中で一番胸が躍ったシーンだった。

 

最後は、やはり二人の策で莊仕洋を追い詰め、解毒の方法も聞き出すことに成功するが、トドメを刺すのは周如音に任せたようである。(自害で片付けられていたけど笑)

最初から最後まで莊仕洋の生への執念をとことん見せられたが、本当に憎たらしいヤツだった。ほとんど主役といっても過言ではない存在感と、二面を演じるその芝居が上手すぎてもはやホラーだったよ、、、

 

騙し騙され怒涛の展開で、結局、最後まで観てしまったが、予想もしていなかった傅雲夕の生存が心底嬉しかった。

何が良かったって、死へと向かっていたこの生で愛を知った傅雲夕が、死に抗って生きることを諦めなかったことに短くとも未来が見えたこと。最後までこの命は尽きるのだと思いながら観ていたドラマだっただけに喜びが大きかった。やっと戻る家を見つけた寒雁の不屈の精神には度々度肝を抜かれたが、計算高いだけでない情の深さが実に魅力的だった。

結局、貴女とは物や肩書ではなく、自分を誇れる道を歩むその心だということか。思えば、登場した女性陣は皆最後は煌めいていたな。

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