『墨雨云间(墨雨雲間)The Double』
2024年 6月〜 中国 全40話
出演
姜梨・薛芳菲→吴谨言(吳謹言)
萧蘅(蕭蘅)→王星越
桐儿(桐兒)→艾米
沈玉容→梁永棋
婉宁公主(婉寧公主)→李梦(李夢)
この復讐劇の吸引力たるや、、、
ネタバレ 第1話~第5話。
目が覚めたら、いきなり不貞行為の現場を押さえられ、囚われてしまった薛芳菲。もちろん、彼女が不貞行為を働いたのではなく、婉寧とかいうよく分からん公主に嵌められた薛芳菲は、そのまま夫の沈玉容に生き埋めにされる。夫も公主に脅されていたため、本意ではなかったようだが、手を下したのだから同罪である。
それでもキャリーの如く土の中から這い出した薛芳菲は、河辺に辿り着いていたところを姜梨に救われる。
朝廷に仕える中書令太師の嫡子として生まれた姜梨は、幼い頃に、継母に貶められて貞女堂(罪を犯した女性に修行をさせて更生させる場)に送られた事情があり、過酷な生活の中でも元々の優しい素質を持ったまま成長していた。自分も嵌められて犯してもない罪を糾弾された過去があるため、薛芳菲の今の気持ちも痛いほど分かるのである。ヤケクソの薛芳菲を鼓舞する姜梨には、初っ端から泣ける、、、
貞女堂で鞭打ちを受けたせいで、死にゆく姜梨は、やってもいない罪を、父に誤解されたまま死んでしまうのが唯一の心残りだった。ゆえに、そのことを父へ伝えるよう言い残して逝ってしまう。
この無念を、自分のことのように感じて傷付いた薛芳菲は、まずは、姜梨の身分を借りて彼女の無念を晴らす決心をする。
この根回しがすごい。様々なことを想定して先回りする薛芳菲は賢くて強い。別の案件で貞女堂に辿り着いた蕭蘅のことすらも利用する周到さである。
蕭国公である蕭蘅は、罪人を捕えることを生業としており、冷酷で慈悲もないことで有名な男である。
対面した瞬間の蕭蘅の表情を見ると、薛芳菲の顔面を知っていただけには見えなかったが、そこに何らかの感情もあったのだろうか。それとも、過去に何か関係があったのかな。とにかく薛芳菲が姜梨と名乗るのを全く信じていない。
この後も、彼が執拗に薛芳菲に纏わりついているのは、既に恋なのかもしれない。そのため、窮地を救ってくれる人物にも成り得る。
姜家に戻り、じわじわと波風を立てていく薛芳菲と桐兒は、二重にも三重にも仕掛けられた罠を躱しながら目的に向かって進み始める。
「彼らが恐れているのは、あなたが生きていること。」
三女の笄礼に登場しただけで、害した者たちへの反撃になっていることが、まさに姜梨の言葉通りとなっている。
姜梨が得るはずだったものを全て彼女に返してみせる、という決意のもと、薛芳菲の猛攻が始まり、とんでもなく期待に胸が膨らんでいる。
吳謹言、最高だな、この役柄が実にハマっている。
この先の姜梨のための反撃は、継母の策略を颯爽と躱して、最終的には悪事が露見するまで追い詰めるのだろうが、この継母の狙いが分からない。お腹にいる子を失くしてまでも、幼い姜梨を追い出したかった理由は何なのか、、、え、まさか実子じゃないから、とか、夫が溺愛しているから、とかいうショボい理由ではないよね、、、
現在は、姜梨の身分で姜家に戻っているのに、姜梨の周りも、薛芳菲の周りもクズが量産されているため、ふと、どっちだったっけ、、、と頭を整理することを何回も繰り返す笑(今は偽りの姿です)クズに反撃するこれからのことを考えると、全てを承知している桐兒の存在は実に尊い。
つづく
追記ネタバレ 第6話~第9話。
婉寧公主(長公主)の力で、出世街道を突き進む元夫の沈玉容だが、貴族だけでなく貧民にも学ぶ機会を与える制度を推進したり、貴族が私利に走り、民衆を苦しめぬよう事前に制止せねばと志している辺り、思考は割とまともなんだよなぁ、つるんでいる長公主は相変わらず狂気の沙汰だけど。
長公主はよく分からない女で、女性の権利を主張しながら、一方で薛芳菲のような女性を貶めている。もちろん何らかの思惑はあるのだろうが、なぜ薛芳菲とその家族だったのかはまだ分からない。この娘の背面にもまだ何者かがいるのか、或いは、ただ沈玉容が欲しかっただけなのか。序盤に駙馬とか言ってたし、、、
明義堂入門に相応しい娘かどうかを査定するため、姜家に召喚された沈玉容は、薛芳菲と対面するが、殺めた妻の顔面を持った姜梨の言葉で、己の所業に対する罪悪感に追い打ちを掛けられ涙目が止まらない。
開幕の描写から、あれだけ妻を愛していたのだから、出世の道は歩んでいても、その心は沈んだまま、心からの幸せを感じることはなかったんだろう。
この様な人物描写をされると、この男のよんどころない事情などを想像して、完全に憎み切れないのが困る。私の妄想だと、最後は奪った命を自分の命に代えて薛芳菲を救うのかもしれないな。
姜家では、相変わらず継母の悪巧みの手は止むことなく続く。
今回、実母側の従兄、葉世杰と、明義堂で出会うこととなるが、葉家との確執も継母の策略だったことが分かる。当時から、まだ幼かった姜梨を操っていたとは、、、継母はその頃から姜梨を憎んでいたようだから、何かマズいものを見られたなど、相応の理由がなければ、この執念深い仕打ちはいみふである。実母の死に関しては、何も語られていない気がするが、ひょっとして継母がヤッたのでは、、、
父親に至っては、朝廷に仕えているくらいだから信念はあるのかと思いきや、家族のことは何も見えておらず、思考止まってんの?というくらい、他人の意見に左右される。
今の姜梨にとって、一番重要な立ち位置にいる父親の一貫性のないこの態度は、実に歯がゆい。そのくせ、朝廷で李じいさんと牽制し合うのだけは一人前なのである。
一方の蕭蘅は、序盤から変わらず塩を巡る汚職の調査を継続中で、芋づる式に関係者を捕えているものの、今のところは下っ端ばかりである。おおよそ黒幕(李じいさんだと思われる)の見当は付いているようだから、こいつが彼の父親の死とも何か関連があるのかもしれない。表面的には、世の中の全てを嘲るような態度の蕭蘅も、これが本当の姿ではないのが、幼少時の決意を見ても分かる。
ここで気になったのが、捕えられた寂寞公子が言ってた孔家を破滅させるらしい、という話。
李じいさん(の上の成王)が黒幕なら、その手下として動いている孔家を破滅させようとしているのがイマイチ分からない。寂寞公子は、李家とは別ルートの駒なんだろうか。
明義堂では、葉世杰と柳絮(貞女堂に迎えにきてくれた夫人の娘)、そして景睿(姜家側の従兄)を仲間に引き入れ、試験に挑むこととなった薛芳菲は、李家と賭けをすることになる。
元々、李家の手下と葉世杰の賭けだったものが、謎に李家の次男坊と薛芳菲の勝負に切り替わってるのが笑えるが、李家が葉世杰を掌握するためには、姜梨が邪魔なのかもしれない。
次男坊、負けたら出家して僧侶になると言っていたけど、その約束は守れるんだろうか。
周りは敵ばかりだが、貶められる寸前で失敗を誘う薛芳菲の機転と巧みな話術が、そこまでドロドロにさせず、むしろ爽やかな風が吹いている笑
つづく
追記ネタバレ 第10話~第11話。
早速、勝負が始まり、緊張の中一進一退が続く。
李家の次男坊のせこい妨害にも負けず、的を射止めた柳絮も熱かったが、11話で弾いた薛芳菲の琴の音が苦しくて涙とまらん。
「芳菲落尽梨花白」民間の知名度もない曲だという。
無力感と悔しさを表現する哀愁漂う曲調が、侘しさを募らせる曲として知られているようだが、タイトルを見てもまんま薛芳菲と姜梨の暗喩である。
そして、これは薛芳菲と沈玉容の曲でもあるのだろう。かつての回想を挟みつつ、この曲を背面に描かれる二人の姿は、なぜ今このように狂ってしまったのか、という哀しみが伝わる、実に切ない演出となっている。
完全に沈玉容と薛芳菲が主役となり、画面もその気持ちも独占してしまったこのシーンは、そのために尽力した蕭蘅ですら背景と化している。沈玉容の涙目ちょいちょい挟んでぎゅっとさせるのやめてくれんか、、、
この過程の空に浮かぶ演出は、この曲を具現化しているのだろうが、唐突なファンタジー描写に混乱する笑
それでもどこか吹っ切った様子で票を入れたようだから、これからこの男がどこへ向かうのかは興味深いところ。開き直って見当違いの方へ向かう可能性もあり得るね。
この琴の評価で、疑いを持ち始めた継母が新たに罠を仕掛けてくる。
つづく
追記ネタバレ 第12話~第14話。
継母と麗妃は姉妹やったんかい笑
これは面倒くさそうだよ。姜梨の敵は継母だけでなくそれとつるむ麗妃、薛芳菲の敵もまた、長公主という曲者。人間性は疑うものの、どちらも身分が高すぎる。
沈玉容の背後の人物を確かめるため、試験を利用して皇宮の宴に無事参加することに成功した薛芳菲だったが、ここにも罠は張られている。
まず、その罠を掛けられる前に長公主が登場する。姜家とは別タイプのキチガイのため、あれもこれも躱さねばならない薛芳菲は本当に忙しい。
沈玉容に殺めさせた薛芳菲と同じ顔面を持つ姜梨に、別段驚くこともなく残酷なゲームを始める長公主の感覚は、凡人にはちょっと理解し難いが、高貴な身分となると何でもありである。
その姜梨に射られて命を落としたとしても、惜しくはない様子の沈玉容は、背負った罪があまりにも重く、耐えられない限界にあるのかもしれない。
的を頭に掲げる沈玉容の姿よ、、、何なのさ、そのひたむきな目は。そうなるくらいだったら、殺さずに逃がせば良かっただけじゃない。
しかしこのシーンで、長公主が薛芳菲を貶めたのは、ただ沈玉容が欲しかっただけなのだと分かる。彼の命を危惧するこの娘は、元々狂っていたのか、それとも恋をして狂ってしまったのか。後に、二人の情事を見せられることになるが、長公主の暴走を抑えるためとはいえ、沈玉容さぁ、なんか複雑な心境になるんだよな笑
この悪ふざけは、蕭国公によって終わりを告げるが、皇帝と懇意である彼と長公主はどうも敵同士のようだな。
長公主のサイコなゲームが終わっても災難は続く。
継母の号令の元、麗妃以下、妹二人が悪巧みを工作するが、あからさますぎて魂胆を読まれている、、、それでも罠に掛かったフリをして暫しこれに付き合う薛芳菲は、さすが死の淵から蘇っただけあって肝が据わっている。
この悪巧みと同じタイミングで、周彦邦が予想外にいい働きをしたため、姜家は違う問題でドロ沼と化す。(ここはちょっと面白い笑)
薛芳菲を貶めようとした姜家の娘たちは、しょうもない浮気男を巡って取り合い状態となり、謎に矛先は薛芳菲へ向かう、、、道理に合わぬ言い訳で、彼女に罪を被せようと嘘を重ねる姜家面々が仰天するほど詰めが甘いため、これもまた失敗に終わるわけだが。
しかも若瑶と婚約中だった周彦邦は、そのスケベ心が仇となり、玉娥を娶ることとなってしまった。面白いほど自爆していく姜家の中でも、玉娥だけは得をしたように思えるが、後々嫁いだ先で不幸になりそう。
この騒動の弁明をする薛芳菲に一役買ったのは、いざという時に頼りになる蕭国公である。この男の名前一つで、姜家を一瞬で怯ませる彼の存在は、実に心強いものがある。
宴の最中も、特に薛芳菲の周りを注意深く覗っていた蕭蘅は、その悪巧みに早速気付いていた。
罠から逃げ出した薛芳菲を待ち構えていた蕭蘅は、彼女の無鉄砲さを静かに諫めるが、「你不就是回頭路嗎」という一言で、有頂天となる。言葉通り有頂天になっている姿は見られずとも、自分が頼りにされていることに、嬉しさが隠せていない。今のところは利用するだけのからかい半分だと思われる薛芳菲も、協力していく中で、気持ちもすぐに寄せられていきそう。
蕭蘅は父の死の原因を追いながら、長い間、宮中での様々なことを見てきたため、長公主と元夫の関係も既に知っていたようである。そのため、薛芳菲のこともある意味監視していたんだろうから、当時から何らかの感情は抱いていたのかもしれない。
この後の刺客が現れたシーンで交わした二人の会話では、助けられれば借りとなるけど、私たちはお互いに利用し合っているよね、と牽制する薛芳菲は、自分だけが負債を負わぬよう利害が一致していることを念押ししたのだろうか。腹の中をお互い見透かしている分、この関係は対等ということか。
それを直接口にされた蕭蘅、悲しそう笑
この後、葉家に戻るという名目で、薛家の消息を追うため淥陽に向かった薛芳菲は、同じく、成王の悪巧みを調査するため淥陽へ出向いた蕭蘅と、ここでも再会することになりそう。
つづく
追記ネタバレ 第15話~第17話。
葉家全ての人が温かすぎて胸熱だよ、、、
淥陽で早速向かったのは、弟である薛昭の想い人の元である。
ここで見せられた謎の地図は、ひょっとして公主や李家の悪事と関係あるものなのだろうか。そうなると、家族もろとも消されたのも分かる気がするが、そもそも父と兄の職業は何だったのかな。
葉家に戻ったら、いきなり二舅の家業を巡り問題が発生する。
薛芳菲が察していた通り、李家の長男坊が葉世杰を引きずり込むため、葉家を貶めて脅す材料にしているようだが、蕭蘅にも薛芳菲にも読まれていておまぬけ感が否めない。
ていうかこのドラマ、台詞に成語や比喩を多用しているため、その言葉の意図を掴みづらい笑
商売道具の古香緞に難癖を付けられた葉家は、民衆にやじられ始めるが、筋の通った薛芳菲の弁明に、淥陽府の連中ですらぐうの音も出ない。
権力の使い道をよく分かっている、と感心しながら見物する蕭蘅は、彼女の裁量内で起きていることには手を出さない。暴力沙汰にでもなれば別だと思うが。
その後の「あ、見つかっちゃった。」はちょっと笑う。
薛芳菲が遭遇する災難を、彼女がどう解決するかを趣味の如く見物している蕭蘅は、自分には関係ないという舐めた態度で核心だけを突いてきて、己の心中を悟らせないようにしている。
「ただ見物したいだけ?(それとも他の理由もあるの?)」「怒ってんの?」「だめなの?」「罵られるのも心地いいな、へへ」からの、妓楼に居た弁解をする蕭蘅は、やはり薛芳菲の方が一枚上手のように見える。
それでも蕭蘅を転がすために嫉妬しているように見せていたのか、それとも本当にそんな気持ちが芽生えているのか、今は謎だな。割と本気でぷんすこしていた気もするが、、、
葉家への濡れ衣を払拭するため、遠方から調査人を招集した薛芳菲は、布に使用されていた馱羅花という植物の原料を発見する。それを追って今度は闇市へ出向くことになるが、ここでも面倒に巻き込まれる。
もちろんこの窮地も蕭蘅が救う。闇市へ向かったと聞いて、慌てて後を追う姿がいじらしいね。
因みに、この闇市で登場した頼彪は、かつては将軍であり、李じいさんに嵌められて囚われたところを、蕭蘅の父親に救われた人物である。ほんと蕭蘅って何でも知ってんのな笑
それもこれも、幼い頃に誓った父親の死の原因を追究し続けて、あらゆるところに触手を伸ばしている結果だと思うと泣けるわ。
頼彪との勝負も終わり、無事、馱羅花の買い手を聞き出した3人。その帰途での、酔いつぶれた三舅が、橋のポールに向かって、守れなかった姜梨の母親への後悔をぶつける姿は哀しい。
しかしそれよりも、その後の薛芳菲がはしゃいでくるくるする姿はもっと哀しい。楽しそうに見えても、背負った重すぎる過去を想像するとその姿には哀しさしかないのである。
ここでの蕭蘅に対する薛芳菲の言葉は、本音なのだろうか。普段の彼女を見ていると、これも計算のようにも思えるが。
ほんとかっこいいよ、といって距離を詰められた蕭蘅は、落とされる寸前のところで、自制心が働きギリギリで留まる。自分にもやるべきことがあるため、うつつを抜かす暇はない、とこれまでもひたすら自分を律してきたのだろうが、これも時間の問題かもしれない。「阿狸」んとこが凄まじくエロい、、、
蕭蘅は、引き続き成王の手下である楚嵐の消息を追っているが、妓楼に出向いていたのも楚嵐の駒である鳥蘭を丸め込むためである。しかし鳥蘭は弟を人質に取られているため、身動きが取れない。そして結局、刺客に囲まれた蕭蘅は窮地に陥る。
自身の窮地の時は、誰が助けに現れるのかと思っていたが、なんと頼彪に救われるという予想外の展開だった。
明くる日、早速買い手の元に向かった薛芳菲は、淥陽府尹の佟知陽に嵌められ、またも葉家は危機に陥る。これも李家の長男坊がそそのかした結果だが、このせいで葉世杰も絡めて脅された葉家は、その財産を手放すことにする。
銭はまた稼げるが、家族に代わりはいない、という葉夫人と嘉兒の思考は一致していて、ぽっと現れた姜梨にも惜しみなく愛を注ぐのである。
姜梨と自分は同じ人間かの如く、葉家のために尽力する薛芳菲は、新たに閃いた頓智で、朝廷の監査人を使い、佟知陽を追い詰めるのである。もはや蕭国公の名前を拝借することは必須となっている笑(今回は、巡回している監査人に淥陽に来るよう催促する係)
結果、囚われていた二舅も解放され、長い間、家に戻らずにいた三舅も、薛芳菲の説得で家へ戻ることになったため、姜梨を含めた家族が一つになって終結する姿は、爽快感が否めない。
それに加えて、継母に嵌められ、かつて邪険にした祖母への態度を後悔し続けていた姜梨の想いも、やっと果たされた最後の瞬間は、マジの感動ものである。英題がDoubleというだけあって、その身は薛芳菲でもあり、姜梨でもあるのだね、、、とにかく葉家の皆がべらぼうに良すぎて感動してしまった。
今回のポイントは、酔った薛芳菲を抱いて、足元からスローでスクロールされる蕭蘅の姿である。なんなの、かっこいいんだけど笑
つづく
追記ネタバレ 第18話~第19話。
葉家の危機を救い、肉まんで慰労し合う二人は、相変わらず牽制しあっているが、今回は蕭蘅がその本音を少しだけのぞかせる。
何人も踏みにじったことのないあなたの人生は、何も恥じることはないのだから、思う存分過去の因果を追求すれば良い、などと普段の彼とは思えぬ姿を見せる。
その後の、あそこは私の家じゃない、という薛芳菲への回答も良い。要はそんなに卑下する必要はないと慰めているのだと思われる。家族の繋がりは、そこで何を築いたかであり、血だけで決められるものではない。だから、本物かどうかなどは重要ではないということなのかも。戻る家が無いのは蕭蘅も同じ、この部分は少し自分と重なるところもあるのだろう。
なんというかね、役柄もあるにせよ、22歳とは思えぬ貫禄を見せる王星越がとにかくまばゆいのである。
ほどなく、琼枝(薛昭の想い人)から便りが届く。
訪ねてみると、暴行を加えられたボロボロの姿で死の縁にいた。ここで薛芳菲の父親が県令だったのが分かるが、どうやら今の県令が父親を貶め、その座を奪った挙句、各所で暴挙を振るっているようである。救われた恩を忘れて義理も何もないクズ、、、
そこで聞かされたのは、父親は囚われた身で未だ生きているという話である。
「これまで何度も死にかけたけど、天が私を生かしていたのは貴女に出会わせるためだった。」
と言う琼枝は、例の謎の地図を薛芳菲へ託して逝ってしまう。
託されてばかりで大忙しだが、彼女のためにも必ずクズを成敗してみせる、とここでも固く決意する。
早速、三舅を伴って、父が囚われている淮鄉へ向かうことになるが、李家が私金鉱を隠し持っていることを察知した蕭蘅もまた、同じ地へ向かうこととなる。この辺りから、あの地図は金鉱の在処だと薄々分かってくる。
この悪巧みを見抜いて、おそらく調査していたと思われる当時県令だった薛芳菲の父親は、李家に貶められて囚われているのである。その悪巧みを子に漏らすのを恐れて、家族もろとも消したのではないか、というのが蕭蘅の推測である。
李家は、金鉱の存在が知られたことに気付いたものの、まだまだ余裕だな、、、
同じ敵に向かっているのだから、同じ要所で出会うのは必然だが、まさに劇中で何度も登場する「殊途同帰」である。
淮鄉で再び出会った二人は、クズ県令から逃れるため、その地位を利用して敵を怯ませる。蕭国公と太師の娘という肩書きが強すぎるよ笑
密会している芝居をしながら、距離がぐんと縮まったように思えるこのシーンは、ちょっとドキドキしてしまうが、頭に花を挿しながらも、変わらず真面目口調の蕭蘅は笑える。
金鉱へ向かう予定の薛芳菲は、例の地図を蕭蘅に渡して手助けを請うが、ここでも緊張感のあるやり取りとなる。自分に張り付いて、目的のための駒になれる器かどうかを吟味していた蕭蘅に気付いていた薛芳菲は、彼に命を預けて、それを受け入れる覚悟は出来ている。しかし蕭蘅の方は、たとえ駒だとしても捨て駒にはし切れない思いがあるようだね。図星を突かれてぷんすこしてたが。
利用して利用されつつも、とっくにその時期は過ぎていて、互いの想いは変化しているようにも見える。
結果、涙目の覚悟を受け入れ共に金鉱へ向かうこととなる。
洞穴に入り、かつて生き埋めにされた穴が蘇った薛芳菲は、一瞬、前へ進むことに怯んでしまった。しかしその先に見えた灯は、己の暗闇に射した唯一の光で、まるで未来への道しるべのように思えたのか、それに向かって進み始める。
ということは、蕭蘅は薛芳菲にとっての光ということか!壁にぶつかっても、この男がいる限り何度でも立ち向かえるということか!(妄想が暴走中。)
つづく
追記ネタバレ 第20話~第23話。
鉱山で囚われた昔馴染みの面々を見付けた薛芳菲は、彼らをここから脱出させることにする。この後の、クズ県令の追手と凛々しく戦う様子を見ると、おそらく薛芳菲の父が県令だった頃の県衛だったのだと思われる。
蕭国公という高貴な身である蕭蘅が、こんなところにまで来て薛芳菲の計画に乗っかる形で尽力する姿(命も懸けてる)は、この駒(薛芳菲)の動きがいずれ自分の利になるとはいえ、愛的な何かがないと到底出来ないのでは、、、既に互いを見る目はキラキラしている。
もちろん馮裕堂は李仲南の手下で、その上には長公主がいる。おそらくその上が成王なのだろうから、裾元からじわじわと追い詰めていくのだろう。
この馮裕堂は、薛懐遠(父)を盾にし逃亡を図ろうとするが、逃がすわけないだろ、、、軽い毒を仕込み、命は獲らずに吊るしあげるつもりだったのも、案の定、李じいさんの刺客にヤラレてご臨終となる。最後に、苦しめられた者の仇を討つ薛芳菲を、制止することなく静かに見守る蕭蘅は、何を思っていたのかな。
ひたすらにニヤつく顔面がうっとうしい下衆だった県令、、、さようなら。
馮裕堂がご臨終となっても、薛懐遠(父)への死罪は免れない。
そのため陳情を携えて、淮鄉の民衆と共に京に出向くことにした薛芳菲だったが、悪巧み連中は当然それを阻止しようとする。
正道を歩んで来た薛懐遠は、有りもしない罪で李家に貶められ囚われたせいで、その精神は娘すらも分からぬくらい錯乱していた。
定州に辿り着き、昔の面影を見せた薛懐遠に、憐憫の想いで一旦留まることにしたものの、ここでもまた罠である。
周りの地域の民衆のための食糧を隠して、定州へ向かわせるように仕向けた李じいさんの策略で、姜二娘子の元へ行けば飢えが凌げると考えさせられた民衆は、定州へ殺到する。李家が隠しているのだから、もちろんここにも食糧があるはずもない。
このことを隠しもせずに姜元柏を脅すような口ぶりで、自ら暴露する李仲南はたまげるばかりである。余程追及されない自信があるのだろうか。
定州へ押し寄せた飢えた民衆は、李家の手下の扇動もあって暴挙をふるう寸前となるが、満を持して食糧を持った葉世杰と嘉兒が現れる。
これも蕭蘅の周到な計画だったのだが、偽手紙を使った地味な手法で、相手の行動を予測して、孤立させられた定州へ荷を運び入れることに成功する。
蕭蘅と皇帝は、最初っから敵が誰であるかを把握していて、今のところは自在に泳がせている。皇帝とはいえど、そう易々と証拠もなしに捕らえることは出来ないのである。目下、糾弾することに筋道を通さねばならない過程の「駒」の働きが、思いのほか秀逸であるため、皇帝も期待に胸が膨らんでいるようである。
駒とはもちろん薛芳菲のことだが、、、
「私が見付けたのではない、彼女から飛び込んで来たのだ。」
いや結果的にはそうだが、割と君の方がつけ回してそう仕向けたのでは笑
薛懐遠や淮鄉の民衆を伴って、無事、京へ辿り着いた薛芳菲は、早速、謎の罪で大理寺へ囚われるが、夫や子を殺した罪でもない限り、家に戻って召喚を待機することが出来る、という法律に則り、牢から出されることとなる。
これを思いついたのは継母だったため、おそらく悪巧みの一環なのだと思われるが、薄ら笑いをしているだけで、それが何かはまだ分かっていない。
幸い、姜家の祖母が味方のため、思慮の浅い息子(姜元柏)の、李家への反発心を煽って言いくるめる手腕が頼もしいところ。
相変わらず身分の高いサイコ長公主は狂っているが、それでも沈玉容への愛は変わらないようだな。彼も反発を試みているものの、長公主という人間を心得ていて、情を利用しながら手のひらで転がしている。この男がどう動く気なのかまだ分からないが、朝廷で、義父だった薛懐遠の反応を見ると、娘の夫の悪事は知っていたようだね。この悪事は既に薛芳菲にも知られている。
心配なのはその偽身分。おそらく、元夫と長公主は姜梨の正体に気づいているし、色んなところで、その身を明かしているため、もうバレそう、、、薛懐遠との関係も無理矢理な話だし、沈玉容が口を開けばすぐに分かるよね、貞女堂に居たかどうかなんて。
今回は、若干、古典的で大袈裟な描写が多かった気もするが、胸熱沸点の低い自分には、淮鄉の民衆の一致団結も、薛懐遠の「民は子供のようなもの」という回想も、登聞鼓を打つ薛芳菲も、朝廷での「我等慚愧」も、報復物ではありだと思える。
あの登聞鼓が鳴るのは蕭将軍が亡くなった時以来だということも、その自分と重なった蕭蘅の思いも切ない気持ちにさせられた。
しかし朝廷での一幕は、駒の動きが予想通り秀逸だったため、蕭蘅と皇帝のやり取りが全てを知った上ででの茶番だと思うと笑える。
つづく。
追記ネタバレ 第24話~第26話。
沈夫人と瓜二つなんですよー?
という台詞で終了した23話。ここで素性を明らかにして薛芳菲を潰そうとした長公主は、きちんと証人も用意していた。以前、貞女堂の堂主を確保していたため、そんな事だろうとは思っていたけど。
しかしここで元夫である沈玉容が、妻ではないと断言したため、長公主は怒り狂い、遺体を掘り起こして調査すると言い始める。
姜元柏は公主の訴えの間、戻ってきてからの姜梨の姿を脳内で巡らせ、娘ではないという疑いを抱くが、長公主は李家側なのだから端的に言えば敵である。ここで、娘ではないことを追及しても、その後に自分に降りかかるやもしれぬ災難を鑑みると、娘本人だと公言した方が損がないと考えたようである。
決して姜梨を思ってのことではなく、全て自身のためである。この父親には軸となる愛が欠けているため、他人の意見に振り回されやすいのだね。
それでも公主に斬られそうになった薛芳菲を庇ったのは謎だが、これものちに己の利になると考えた結果ではないかと疑ってしまう。しかしここでも、その剣を阻止するのは蕭蘅である。
長公主の薛芳菲に対する殺意は半端ではない。これは沈玉容を愛するがゆえに芽生えている殺意なんだろうか。継母にしてもこの公主にしても、どんだけ憎んでいるのさ、、、この後、この二人が手を組んで、薛芳菲を貶める算段のようだから、キチガイと性悪が合体して既に面倒くさいことになっている。
ただし継母も長公主も、どこかおまぬけ感が拭えず、全然憎めないのが困る、、、長公主なんて顔面のせいなのか、愛らしいとさえ思う。
敵が一人残らずおまぬけに見えるのは、大概のことが未然に防げているからかもしれない。ゆえに、萎えさせない程度のギリギリを保つシナリオが実に良く練られているんだと思う。
薛芳菲を庇った形となった沈玉容は、幻を見るほどに妻を懐かしんでいるが、あなたのような軟弱な男は薛芳菲には相応しくない、などと直接本人の口から聞かされたため、またもや涙目が止まらない。己の犯した罪に比べるとこんな言葉は優しいもんだよね。
なんだろうなぁ、この男の守りたいものは一体何だったんだろうか。愛する妻(家族)でなかったのだとすれば、守りたいものは自分自身だったのかな。
淮鄉の皆を労うための宴を開いた薛芳菲は、同じ日に、姜家での宴をぶつけられる。薛芳菲が出席できないことを見越して信用を失わせようとする継母の策略だったが、これも思い通りにはいかず、おまぬけ感が否めない。
この宴の噂を聞きつけた蕭蘅は、これまで一番尽力したのは自分なのに、宴に呼ばれないのはおかしいという思いを暗に分からせようとする。頼みごとがある時しか来ない、とぷんすこしている原因を承知の薛芳菲は、蕭国公がいなければ、あれもこれも成し得なかった、と散々謝意を伝えて、最後に、「蕭国公、怒った顔もカッコいいですね、ふふ」と耳元で言い残して去っていく。このように賢い脳みそだけでなく、男を転がす術も無数に持っている女である。
これに大喜びの蕭蘅、、、抜け目がないように見えて、案外単純なのも愛すべきところ。
今回は継母の過去の朧げな描写があり、前々から邪魔者は排除してきたその歴史が垣間見える。どうやら過去に好いていた様子の男を、父親に反対されて捨てた挙句、嫁いだ後に再会した彼を邪魔に思い、家ごとその男も燃やしてしまったようである。
この男は太ト令であり、手を組んでいる様子の李仲南は、彼の妙術を使って人を操り死亡事件を起こすが、このことを、すぐさま解明した蕭蘅は、成王が動き出したことを察知する。
成王は現在、辺境の地に就いているが、おそらく目的は謀反なのだろう。その資金繰りのため、塩の売買や金鉱での採掘を法に逆らって行っているのだと思われる。ひとまず、その死亡事件を代国が仕掛けたことにして、戦に発展させる算段のようである。金鉱が封鎖された今、戦で武功を上げて褒美を貰うのが目的のようだけど、、、皇族の割に、魅力も威厳も全くない性悪男にしか見えない。あの長公主の兄貴だから似た者同士か、、、
この太ト令は、初めっから継母へ繋がるよう、長公主を使って自分達を再会させることに成功したわけだが、お祓いに乗じて薛芳菲の排除も手伝うという。しかし明らかに昔のことを恨んでいるため、何かしでかしそうではある。
継母といえば、姜家に隔離されている女性の子を池に突き落として殺めたのもこの女の仕業なのでは、、、
姜家は、未だしょうもない男を取り合い、結果、行き着くところは薛芳菲を貶めるところに収まる。周彦邦のクズっぷりは大したもんだが、これにコロッと騙されている若瑶はどれだけ世間知らずなのか、、、この件で、薛芳菲に諭された若瑶が、自己に目覚めて己の道を邁進出来れば、母親とは違う道を歩めるかもしれない、と少し期待している。
あれだけの仕打ちを受けながら、それでも周彦邦に縋る玉娥は救いようのない娘だが、いずれこちらも、薛芳菲によって、どん底から引っ張り上げられるのかもしれないね。
蕭蘅との仲は、今では駒と駒使いの立場をお互いに認識しているため、実に和やかな関係となっている。
身の危険に晒された時、助けに行けるよう笛を渡す蕭蘅は、俺の駒に傷でも付けられたら困るからな(意訳)、と言いつつもその表情は優しい。
つづく
追記ネタバレ 第27話~第28話。
以前から、母親に対してモヤついたものがあった若瑶は、それを薛芳菲に指摘されたことで、遂に目覚めてしまった笑
母親への疑心を、ここぞとばかりにぶつける若瑶の脱皮した姿は実に爽快である。痛い所を突かれた季淑然は、これも薛芳菲が智慧を授けたせいだと憎悪は更に膨らむこととなる。
玉娥の方はどうやら、独自の路線で周夫人という立場を守るようだから、それで良いのかもしれない。
この継母だが、若瑶も言っていた、胡姨娘の娘の月儿を殺めたのも、姜梨の母親を殺めたのも、やはりこの女の仕業だったようである。
序盤に登場していた継母の父親もクズ臭が漂っていたが、この父親の教育から、継母の非情さが育っていったのが分かる一幕がある。
以前、太ト令が薛芳菲を排除する代わりに出した条件は、かつて酷い仕打ちを自分に与えたこの父親を、痛い目に遭わせろ(命を獲れとまでは言ってなかったような)という内容だった。父親から、まだ残忍さが足りないと言い続けられてきた継母は、「私にはまだ残忍さが足りないのね。」と言いながら、結局、父親には手を出せずに涙を流すわけだが、、、
え、正気か?散々な愚行をやってきておいて、まだ足りないとかなんなのこわい。いや、十分残忍な人間だと思うよ?逆にどれだけのことをすれば足りるの?
この父親に育てられたのは気の毒だが、それでも善悪は自分で選択出来るのだから、DNAレベルの話でない限り、親のせいだという言い訳は通用しない。
一方、薛芳菲の方は、姜家に閉じ込められている胡姨娘がどうしても気になって離れに会いに行くが、彼女が気の触れているフリをしているのも早々に見抜いていたようである。
ここで継母の愚行を知った薛芳菲は、彼女のために事実を明らかにしていくのだと思われる。悪事が多すぎて大変だよ、、、
ほどなく太ト令のお祓いの理由付けに、若瑶を薬で眠らせて、あたかも呪いで目を覚まさないかのように仕組む継母の策略が始まったが、そもそも勘の良い薛芳菲には読まれているため、鮮やかに失敗するのは想像に難くない。
そして28話、これはきつい、、、
太ト令を迎え討つため、蕭蘅の元を訪れた薛芳菲は、太ト令と公主の癒着を提言したあと、腹話術の出来る人物を捜すようお願いをする。蕭蘅もちょうど太ト令を調査していたため、また頼み事か、と言いながらも駒が何をするのかと興味深々。
借りは返すという薛芳菲に「返さなくていい。」「でもそれでは蕭国公が損ではないですか。」「まだ損できる余裕はある。」
実に優しい顔をしている、、、毎度、自分への感謝の気持ちを確認したい蕭蘅は、遠回しにあれこれ言い始めるが、望んだ答えを必ず口にする薛芳菲に満足げである笑
姜家では茶番が始まり、太ト令と継母の迫真の演技で、姜元柏に姜梨への若干の疑心を抱かせることとなるが、返り討ちで、月兒を殺めた罪を晒された継母は焦りを隠せない。(ここで腹話術を使うとは賢い。)この口を封じるため、継母は太ト令に手を下すよう指示する。
前もって伝えられていた、十年前、お腹の子を失わせたのは姜梨だ、そのお腹の子はあなたの子だった、という言葉が脳内を駆け巡った太ト令は、ヤケクソ状態で薛芳菲へと剣を向ける。この話の真偽は、継母にしか分からないが、太ト令を操るための嘘だったんじゃないかな。
飛び込んで来た太ト令の剣から、薛芳菲を守るのは、当然、蕭蘅だと思っていたのに、予想に反して、桐兒がその剣を受けることとなる。しかも二度も剣から庇った桐兒が、そのまま逝ってしまったことにびっくりしすぎて、ひっくり返りそうになった。
これはきついです、、、あの尊い桐兒が逝ってしまうなんて。
これで本当の意味での味方は、蕭蘅のみとなってしまった薛芳菲の悲しみようは、見ていても辛くてたまらない。桐兒がいたから自分を奮い立たせることが出来たというのに。
太ト令も蕭蘅の手下に刺されて逝ってしまったが、痛み分けとでも言いたいのだろうか、桐兒の存在にこの男では全然足りないんだけど。
継母は昔を回想して大泣きしていたが、あの時、父親を捨ててこの男と一緒になっていれば、今のように歪まずに幸せだったかもしれない。己で企てた悪巧みで、返り討ちにあった格好となった継母は、この恨みも薛芳菲へ向かうのだろうね。
予想通りには運ばなかったこのお祓い事件で、公主のサイコパワーが更に炸裂しそうである。
つづく
追記ネタバレ 第29話~第32話。
捕らわれて、私もやらされたんだと言いながら、気が狂ってしまった継母が、陥れた人々の幻を見ていたことから分かる通り、彼女にも悪事への罪悪感はあったようである。露見しなかったら、そんなものを持ってたかどうかも分からんが。
傷心で休職して一旦京を離れた姜元柏は、なんとも頼りない家長だった。己の事ばかりを考えるあまり、周りは全く見えていなかったが、その割に、姜梨のことも姜月のことも愛していたようには見えた。しかし実際は、継母の言うなりで、考えることを止めて見ないふりをしていたため、姜梨の口からは許しの言葉も貰えなかったね。
継母が居なくなった今、自分のやるべきことを考えることが出来るかな。
成王を牽制するため、大昭国使団を招いて大昭国との友好を確認する宴を開催することにした皇帝は、この段取りの責任者を沈玉容に任せることにする。
沈玉容に近付き弱点を探るため、薛芳菲は取り巻き男子を丸め込み、暗躍させて彼との協演の機会を得る。沈玉容は、元妻への罪悪感で、なるべく遠ざけようとしていたようだが、薛芳菲の追及に抗えず、渋々承諾することとなる。冷静を装っててもやはり涙目。
「元妻と同じ顔の私をそんなに避けるなんて、彼女を恨んでるんですね。」と問われて、「愛していた。」と答える涙目の沈玉容、、、分かってるよそんなことは。
このせいで、元夫婦の二人の距離が近付くことに悶々とする蕭蘅は、嫉妬心が全く隠せていない。協演の最中もギリギリしていた蕭蘅は、嫉妬心もさながら、この陰謀の渦に飛び込んできた薛芳菲が心配でたまらないのである。
沈玉容に関われば、長公主が手を出してくるわけだが、案の定、刺客を送られてしまう。
かつてはスコップで頭をカチ割った風の沈玉容も、今回は姜梨の立場がゆえに堂々と守ることが出来るのだね。
刺客といえば、成王の手下の楚嵐も再び登場するが、こちらは大昭公主を狙って両国の不和を招くために派遣されたのだと思われる。九月が大昭国公主だったの知らなかったな、、、
九月は蕭蘅を好いているが、汚い手は使わない清々しい娘である。兄にその気持ちを気付かれ、婚姻を提案されるが、自分を好いてもいない相手を無理強いするようなことは決してしない。
皇城司を管理する李家は、九月を狙った楚嵐を匿う役割だったようだが、秘密兵器を携えて捜索に現れた蕭蘅を制止出来ず、恨み言しか吐けないおまぬけな李じいさん。
匿っているのが発覚したのは、蕭蘅を罠に嵌めようとして故意にこの話を漏らした李家の長男坊の計画だったため、すかさず返り討ちを食らって、ここでもおまぬけ感は丸出しである。李じいさんも長男坊もすんごい小者感が漂ってるんだけど、これはどうしたら、、、
一方の薛芳菲は、生き埋めにされて以降、初めて沈家に足を踏み入れるが、ここでやっと、薛芳菲として沈玉容と対面することとなる。
罪を認めて、これまでの長公主との悪事を皇帝の前で告白する道を提示する薛芳菲に対し、涙目の沈玉容は、母と妹が自分のために命を落としたとしても、沈家だけは潰せないという。
父の遺言を胸に刻み、沈家を守ろうとしたために、妻を殺めてしまった事情は分かったが、母も妹も、自分の命も要らないのなら、どうその家を守ろうとしているのか分からないな。誰も居なくなるじゃん、、、一度は妻を殺めて守った沈家を、残った家族も自分さえも要らないのならその手を汚したことに意味はあるの?
この提案が拒否された薛芳菲は、もはやこの渦に飛び込んで、立ち向かうしか道がないと言うが、そうすれば当然命が危うくなる。沈玉容は、公主が薛芳菲に手を下すのを恐れ、必死で止めようとするものの、謎にバックハグからの首をまさぐるいやらしい行動に発展したんだけど、一体どうしたというのか笑
この行為のせいで、牢に囚われた沈玉容を使って、長公主と対峙する戦いの渦を自ら作り出す薛芳菲は、これで命を落とすかもしれぬことに何の躊躇もない。むしろ、彼女を死なせたくない蕭蘅の焦りの方が大きい。しかし、既に同じ敵に向かっている蕭蘅と共に自分も戦うことを決意したようである。
蕭蘅は皇帝に対しても、「既に駒というだけの存在ではない。」と公言していたのもあって、敵を追い詰めながら、彼女を守るための血みどろの戦いが目前なのだと思われる。
皇帝が沈玉容の名を使って長公主を挑発し、乗せられた長公主が波紋を引き起こして、そのまま成王まで辿り着きそうな気配は漂っている。
因みに、成王が自作自演で引き起こした代国との小競り合いは、既に朝廷で褒美の話となっていたため、描写はなくとも一応代国を撃退したという筋書きになっているようだね。成王の存在感は薄いが、終盤に華々しく散って終わりかな。
長公主の愛は、今となっては歪んだいびつなものと化してしまったが、恋をした瞬間は少女のようだった。
主役が一番強烈な輝きを放っているため、悪の限りを尽くしているはずの長公主がどうしてもおまぬけに見えて、ほんと憎めない、、、継母と違い、愛が全ての原因のため、惚れた男が一人身で、妻をあんなに愛してなければ良かったのにね。
葉世杰は申し出も断られ、ひたすら控えめに見守ってるだけの不憫枠だが、優しくて真っ直ぐなゆえに、巻き込みたくない気持ちになるのは分かる。これまでもこれからも血みどろの道だから。
「一個老熟人」は薛昭だと思う、、、
つづく
追記ネタバレ 第33話~第34話。
長公主は案外抜け目がなく、あらゆる人間の弱点を握って、都度悪巧み交渉に使っている。
牢に囚われた沈玉容を救うための駒は、捕らえて監禁していた薛昭だったが、いつか使えると思って生かしておくとは、感情的になってハチャメチャする女とは一味違う。
その薛昭と交換で、沈玉容の汚名を返上することを条件に出された薛芳菲は、自分から彼を誘惑した、という釈明を強要される。これには悔しさしかないが、弟を救うためだと一旦自分の怒りは沈めて、沈玉容を解放させることにする。弟が無事戻ってきたから良かったけど。
この辺りの、姜元柏が娘のために尽力する姿は、父親として娘に寄り添うことの尊さにやっと気付いたように見える。
長公主は、余程沈玉容を愛しているんだろう。彼が薛芳菲との賜婚の提案をしたときも、私にはもう長公主しかいない、という言葉に不信感は抱いていないように見えるが、脳裏の隅では愛してもらえぬことが分かっているのかもしれない。しかし狂愛するゆえに、それを認められずにいる長公主を見ていると哀しい気持ちになる。
この賜婚を提案した沈玉容は、長公主から薛芳菲を守るのが目的なのだろうが、薛芳菲にとっては、過去の仕打ちを鑑みると、また自分を娶って二度をも命を獲る気か、と考えるのも無理はない。
長公主といい沈玉容といい、目も当てられないくらいの悪事を犯してきたというのに、その姿には哀しさしかないのである。根底にある愛が深いせいだよまったく、、、
最後は、二人揃って命を落とすことになりそうだが、哀しくてもそれが因果応報というものだからね。
これに関しては、継母も己の悪事の報いで気が触れてしまったが、金も名誉も家族も何も必要でなくなった今の無邪気で穏やかな様子は、報いというよりは救いである。前世で余程徳を積んだに違いない。
沈玉容の希望に沿い、皇帝へこの賜婚を承諾させるため、麗妃を使うことにした長公主は、ここでも相手の弱点を突いて脅しに使う。(太ト令を使って当時の賢妃を追い払った件)
皇帝は、これが長公主の行動した結果だと分かっているものの、今のところは流れに委ねて言い分を認めることにする。
もちろん蕭蘅の心中は穏やかではない。賜婚を阻止するため、長公主の元へ乗り込んでいった蕭蘅は、秘密兵器(龍武軍)の虎符と交換で婚姻を辞退するよう迫る。
と見せかけて、成王を誘き寄せるための皇帝と蕭蘅の計画の一環なのだが、手始めに、本気で情に溺れてしまった蕭蘅が虎府を手放すという芝居をして、長公主を油断させることにする。
この虎府が成王の手に渡れば、勢いづいた彼が調子に乗って謀反を起こすことを見越してである。
成王は辺境で着々と兵を育て、小競り合いで民衆を味方に付けるなど、謀反の準備は整っているようだから、あとはこちらから誘き寄せるだけである。
朕の命を晒すとは、朕までも駒として扱うのか、と言っている皇帝も、若干笑みを浮かべていたため、幼い頃から、打倒成王を目指してきた二人の信頼は揺るがないようだね。
少し前の、女のために虎府を手放したことが原因による皇帝とのわざとらしいケンカも、芝居だと分かっていたけど笑
いよいよ戦が始まりそうな気配だが、蕭蘅と薛芳菲の想いは、未だ駆け引きをしているように見せて、割と強固なものになっている。駆け引きを終えて、ニヤつくことを止めた二人を早く見せてくれんか。
葉世杰に至っては、喜んで巻き込まれる、とまで言わせる薛芳菲への想いはあるものの、やはり断られる悲しい立ち位置。
イケメンがもったいないです、、、
つづく
追記ネタバレ 第35話。
長公主をターゲットとした麗妃との計画は、妊娠せずとも、その症状が現れる妙薬を飲ませることだった。
恋心を弄び、失くしたものに再び希望を持たせるこの手の嘘はモヤッとするものがある。女性芸人にガチ恋させるドッキリの類と似ている、、、
薛芳菲にしてみれば命を獲られたのだから、それを思えば足りないくらいの報復だが、視聴者から見ると、散々な境遇の長公主を見せられ、心を寄せてしまってから分かるこの仕打ちが、実に残酷に見えるのである。
ドラマを通して、役者の力との相乗効果で、サイコの中にも哀しさを持つ長公主を、完全には憎ませない悪玉でのシナリオ運びだったため、これは悪手だった、とどうしても思ってしまう。
薛芳菲の性質から考えると、この長公主の過去を知っていたなら、いくら恨んでいても、この方法は取らなかったとは思うが。
妊娠を診断した太医も口封じに消されたようだし、無垢な人間を巻き込んだこの計画は、後々その身に返って来ないだろうか。もしかしたら消されるのを想定して、太医は助けられているかもしれないけど。
その上、沈玉容が取ったその後の対応は、苦しい言い訳で言いくるめようとしているが、愛がないことは明白である。李家の長男坊を駙馬にするのも、上手く押し付けたもんだと感心する。
一見冷酷に見える仕打ちに、視聴者の恨みを一手に背負うことになった沈玉容、、、
しかしこの男の身になれば、愛した妻を殺され(自分で手を下したんだけど)、権力や脅迫で縛る、愛してもない女への対応はこうなっても不思議はない。
いっそ沈玉容が長公主に惚れてしまって、そっちに流されて完全に敵となった方が、気持ちの複雑な部分が取り除けるんだけど。
これからの成王の謀反に備えて、大昭国に助けを請いに行った蕭蘅も、駙馬の条件を出されてしまったな、、、
つづく
追記ネタバレ 第36話~第40話(最終話)+番外。
結末に相応しい盛り上がりとなっている。なにしろ、沈玉容による悪い意味での快進撃がすごい、、、
長公主をスルーし、以前から秘密裏に成王へと自身で練った策略を進言していた沈玉容。最終的には、偽妊娠の真相も突き止め、罠に嵌ったことを殊更強調し、謀反の名目として、皇帝が公主を殺めたというシナリオを企てて次の計画に進む準備をする。
しかし結局は、長公主の命を獲ってその手から解放された後、妻を奪った蕭蘅を殺めるためであり、彼の脳内は薛芳菲を取り戻すことのみで支配されていた。
まんま長公主を踏襲しているのが滑稽の極みだが、なぜ今なのか。過ぎてしまったことを言っても仕方がないが、そんな強い想いがあるのなら、なぜあの時その手を止められなかったのか。薛芳菲が戻ってこなければ、一生、長公主を憎みながら寄り添っていたのだろうか、それとも、妻を殺めた時から復讐の機会を狙っていたのかな。
それを選択したのは自分なのだから、復讐というのもおかしいが、最後の狂ったような執念があれば、妻を殺めずとも逃がすことは出来たよね。
一度間違ってしまったら、次もその次も間違いを犯して、引き返せないところまで来てしまった、と言っていたが、そうじゃない、勇気を出せばいつでも引き返せたよ、、、(梁永棋、芝居が上手すぎる。)
結果、百姓を顧みず、私利を貪る輩を全て朝廷から追い出して、正道を歩む。かつて死に際の父親にそう誓った言葉は、一つも成し遂げることが出来ず、虚しくて哀しい最期だった。
長公主は悪行の限りを尽くし、愛した男に命を獲られることとなったが、そもそもは、まつりごとの犠牲になった不憫な娘である。代国へ人質として送られなければ、こんなことにはなっていない。それでも犯した膨大な罪からは逃れられないが、違う形で沈玉容と出会っていたなら、罪を犯す前に他の選択が出来たかもしれないね。暗闇から光へと導いてくれる誰かが、お互いなら良かったのにと思いつつ、因果応報とはこのことだという結論に至る。
かつて蕭蘅の父親を城外へ置き去りにし、結果、命を落とす原因を作った成王は、ただ玉座が欲しかっただけの男である。計画のうちだと思って、長公主が本当に逝ってしまったことを知らないまま、自分も昇天したのだろうか。
やっとのことで、姜梨と薛芳菲、二人分の無念を晴らし、蕭蘅と皇帝の長年の敵も殲滅されて、全てが終わったと思いきや、蕭蘅は代国との戦へと向かわされる。
それに同行した陸璣と文紀、、、いや、最後の最後で、この愛らしい二人のその姿は観たくなかったが、敵に囲まれた蕭蘅も、おそらく命を落としてしまったのだろう。一人だったし、、、髪を梳かしに来たのもそういうことなのだと思う。
「花が咲く頃に凱旋する。」そう言って戦に旅立った蕭蘅は、最後に、咲き誇る花となって戻ってくるが、馬で駆けて来たのが幻なのか分からないまま本編は終了する。
これだけを見ると、視聴者に委ねる系のラストだと思わされたものの、番外まで観ると、夢なのか、または現実なのか、その後の二人の様子が見られる。(番外はついこないだ撮ったらしい)
結果、どちらにしても委ねる系だった笑
面白かった。
敵である長公主と沈玉容の背景の描写と、その役柄をしっかり掴んで演じた役者が巧みだったせいで、複雑な思いが交錯したドラマだった。