『与凤行(與鳳行)The Legend of ShenLi』
2024年 3月〜 中国 全39話
原作 「本王在此」九鹭非香(九鷺非香)
出演
沈璃→赵丽颖(趙麗穎)
行止・行云(行雲)→林更新
主演の二人が中堅の域に達しているため、貫禄も増して安定感がある。3月現在で配信中のドラマがどれも面白くてほんと困る。
ネタバレ 第1話~第6話。
碧蒼王(霊界の王)の沈璃は、勝手に決められた仙界との婚姻から逃げ出すため、側近の墨方と一芝居打つことにする。剣で刺すのは想定外だったようだが、怪我を負ったまま下界へ落ちていった沈璃は、煌びやかな鳥(鳳凰だと思われる)に転身して人間界へ。
偶然、市場で売られている沈璃を見掛けた行雲は、買って家に持ち帰るが、食べるためではない。
鶏だからといって、先々で捌かれそうになる沈璃だが、あんな煌びやかでちょっと可愛らしい鳥、食えないと思うんだけど笑
行雲は、おそらく神仙なのだろうが、今のところは何者なのか分からない。仙人の試練で人間界にいるのか、沈璃のように逃避してきているのか謎である。
何をやっているかも謎の行雲は、病弱でその命も短いというが、その代わり、鳥(沈璃)の言葉を理解したり、先を予測出来たり、霊界に通じるような陣も使いこなしていて妙に落ち着いている。
鳥だと思って買った沈璃が人型に戻ったのを目撃した時も、全く驚くことなく、綺麗な娘だと淡々と感想を述べるだけである。
あの落ち着き払った態度は、おそらく只者ではないのだけは分かるけど、、、
ここから逃避しようと何度も挑戦する沈璃には、かつての霊力も今は存在せず、おまけに餌付けの罠にハマっているため、渋々居てやるんだからね!という言い訳をしながら出て行けずじまい。
行雲もまた、怪我を装って殊の外病弱さを強調したりして、気に入ったこの鳥をなんとか引き留めようとしているため、なんだかんだ言いながら二人で穏やかに過ごす日々を送る。
緩やかな日々の中でも、この世に残した妻を捨てられず天上へ昇れていない魂を救ったり、顧成錦とその妻、そして想いを弄ばれた妖怪の小荷の暴走を解決したり、と人間の力ではどうにもならないことを共に解決に導いていくが、まるで世界に二人きりとでもいうかの空気が漂っているため、この先離れられなくなりそう。
何とか城の二公子である顧成錦のエピソードは解決したが、行雲が彼に目を奪われていた様子と回想シーンを考えると、元の世界での何者かであるため、これからも登場するのだと思われる。
ということは、行雲には元の世界の記憶はあるのか、だからあんなに落ち着き払っているのだな。
そんな行雲も、今世では病弱で弱々しいため、べらぼうに強い沈璃の後ろに隠れて守られてばかり。
聡明で思慮深い中にも若干ドジっ子で愛らしいところもある行雲と過ごすうち、沈璃の心は急速に寄せられていくが、口調が厳しいため分かりづらい笑
ほどなく、王である沈璃の行方を捜し当てた霊界の面々が、彼女を連れ戻そうと下界してくる。
この時には既に、行雲を絶対に死なせないと誓うほど愛してしまっていた沈璃は、彼を生かすため、想いを告げるとともに別れの言葉を残して人間界から去っていってしまった。
直接的な言葉を口にこそ出さずにいたが、おそらく、同じ想いの行雲は、死にかけの身体では引き留めることも出来ず、ただ手を伸ばして見送るしかなかったようである。
ここまでがプロローグ。この6話でしっかり二人の絆を描いているため、天上での二人はどんな重荷を背負っていて、どう展開していくのかが楽しみだな。悲恋なのかな、、、
つづく
追記ネタバレ 第7話〜第10話。
霊界へ戻った沈璃は、下界へ逃避した罰として監禁されるが、ひたすら行雲を想いながら過ごす日々である。
沈璃の去った後、病弱ながらも彼女に与えられた霊力(500年分の行力)のおかげで穏やかな日々を送り、白髪となるまで歳を重ねる行雲の姿は目頭が熱くなる。心中は描かれていなくとも、一人残されて生き続けるのは楽ではなかっただろう。ただ、行雲の達観した姿は、全てにおいてさほど執着はないようだから、それなりに良い人生だったのかもしれない。
監禁されて1か月を過ごす間に、人間界では30年が経ち、行雲が亡くなったことを知った沈璃も同じく、そんなもんよ、私はこれから自分の人生を進むだけ、という気持ちの切り替えで、さほど落ち込んだ様子もないのが踏ん切りがついていて清々しい。
霊界では、墟天淵の変動で瘴気が蔓延しており、これを浄化し安定させるにはどうしても仙界の力が必要だという。
このせいで、仙界との婚姻が結ばれることとなったわけだが、連れ戻されても仙君たる器もない拂容君へ嫁ぐことに納得のいかない沈璃は、自分の力で封印してやるという負けん気が強い。
一方の仙界では、唯一生き残っている上古神の行止神君が、人間界での試練を終えて戻って来るという。何者かと思っていた行雲は上古神だったのか笑
しかも唯一だというから、すんごくスペシャルな神!天君ですらペコペコしている姿を見ると、東華帝君(三世三生)のような存在なのかも。天君の若干の軽薄味が否めないが、、、
この行止が、碧蒼王(沈璃)との婚姻も、拂容君が男かも女かも分からないまま適当に決めていたようである。
この婚姻には行止神君なりの考えがある、などと神々しい事を言われていたものの、延期もどうせ気まぐれに行止神君が決めただけ、と沈璃の言ったことが全部当たっていたのに笑う。
しかし適当に過ごしている風に見せる行止が「暇だから」下界したという言い分も、何となく理由がある気がするし、この婚姻も適当を装って実は理由があるのかもしれない。
戻って来て、かつての戦友たちを労う行止が話しかけていた位牌は、もしかしたら人間界で会った顧成錦の元の姿なのかもしれない。
とにかく、何を考えているのか分からない男である。
そんな時、霊界ではついに上古の魔物が出現して、沈璃の部下に危害を加えてしまった。これを排除するべく、霊尊の反対を押し切り魔物に立ち向かった沈璃は、その力に屈する寸前となる。
そこに太陽を背面に纏った行止が登場する。「すまん、迷ってたから遅くなった。」
再会して初めて口にした沈璃の言葉は「あなたの作ったご飯食べたい。」だった件、、、
しばらくの間姿を消していた行止は、人間界だけに留まっていたのかは分からないが、行雲の存在を聞かれた彼は、知らないと答える。天君にも下界していたことを口止めしていたし、沈璃にも知らぬふりをして隠しているのは何故なのか。
人間界の行雲と比べると、沈璃に向ける表情が全く異なっているし、さすが芝居での表情の使い分けが巧みである。
行止は、霊界に蔓延している瘴気を浄化し、封印するためにやってきたため、道案内人に敢えて沈璃を選ぶこととなる。一見、懐旧の情のように見せておいて、瘴気を引き寄せるため、などと冷めた表情で答える行止の言葉に、沈璃の心は傷付いてしまう。この人は行雲ではない、と何度も自分に言い聞かせるが、同じ顔面の男を横にすれば、それをなかなか振り払えないものがあるのは分かる。
人間界で沈璃が守ってきた行雲とは違い、次々と要所を浄化して封印していく行止の神力の強さには(私が)ドッキドキである。
少し昔の面影を見せては突き放す繰り返しに、翻弄される沈璃の心はこのまま寄せられていくのだろうが、行止のこの行動は計算なのか天然なのか分からないな。
かつて戦友を亡くした大戦(かなのかまだ定かではない)と何か関係のある、誰にも分からない使命を持っているのか。
この後、墟天淵の中に吸い込まれた沈璃を追って、おそらく行止も現れたのだろうが、この傷が治るまで君も私も外には出られない、といって、じぶんが施した封印の仕組みを長々と語る。それに若干飽き気味となった沈璃は、いつその傷が治るのかと問う。「そんなにかからないよ、ここを2周くらいすれば大丈夫。」って笑
「人にも物にも、執着を持っても良いことはない。」と沈璃に言い聞かせていた割に、自分は無駄にこの空間で一緒に過ごそうとしているのは一体、、、
この様子を見ると、以前も封印するために傷を負ったようだし、行止はこの役割をずっと担っているのかもしれない。かつての戦は何との戦いだったのかな。
てかね、このドラマ、台詞の言い回しが少し難しい気がするんだけど、、、そのせいで自分の中で誤訳もありそうな気がしている。
つづく
追記ネタバレ 第11話〜第13話。
封印も一段落したというのに、行止はなんだかんだと理由を付けてなかなか仙界へ戻らない。しかも王府(沈璃の屋敷)へ滞在すると言って頑なに譲らない笑
自分が行雲だということも言わずにいるのに、それでも側を離れないのは何か理由があるのだろうか。霊尊が二度も尋ねていた、沈璃の身体について、何か心配事でもあるのかな。
おまけに、拂容君まで乗り込んで来て問題ばかり起こすものだから、沈璃にとって仙界からの客は迷惑でしかない。
沈璃に至っては、彼は別人だと言い聞かせて、なるべく遠ざけようとしているのに、何かと接触してくる行止に困るというより、もはや放っておくしかないと諦めたようである。毎度毎度の、あーあ、ほんまこいつ、、、的な呆れ顔がかわいいね。
結果、どうしたいのかがよく分からない行止だが、立ち聞きで墨方のことを「本王的人」と耳にしたときの顔、、、めちゃ傷付いてるじゃん、、、
よく使われるこの言い回しに、そんな強いニュアンスがあったのかと個人的には勉強になった笑
拂容君ではなく自分が娶る、という簡単な話ではないのだろうが、どうみても他の男を寄せ付けたくない想いが漏れている。
ゆったりと時間が進み過ぎて、これはこれで楽しいけど、行止の愛らしい姿を散々見せて惹きつけておいて、今後の展開に不安しかないわ笑
つづく
追記ネタバレ 第14話〜第17話。
拂容君の冒険は続く、、、
今度は人間界へ迷い込んでしまった彼を捜して、沈璃も再び下界することになる。3日以内に拂容君を仙界へ戻さねばならないというのに、下界に降りた途端、追憶に浸る沈璃は、拂容君捜索はそっちのけで過去の軌道を辿る。
この背面で流れる「如初」や「不知返」が妙となっていて胸にくるものがある。
来ているだろうと思ってはいたが、やはり付いて来た行止。
河辺で人間界のことを今回は白状した行止に、隠した理由を問うが、この理由が凄い。
自分を好いている相手に自分はその気がないのに、無駄に知らせては、今の何でもない関係に支障を来たすと考えたと言うのである。
あれだけ沈璃の気を引いておいて、どうみても君の行動は好いている風なのに、思うがままに起こしたそれが気を引く行動だとは自分では気付いていないのか。この調子だと、沈璃に関することで自身の心が傷ついていることも気付いていないのかも。自分に情を封じる術でも掛けたのではないかと疑っちゃうわ。
このシーンが、ドラマの殺青だったようで動画も上がっていたが、趙麗穎は爽やかな笑顔だったのに対し、林更新がぽろぽろ泣いていたのが、今のところのドラマ内の関係と似ているなと思う。愛らしいね。
追憶タイムを終えたところに、かつての地仙が捕らわれていたのを見掛けた二人は、それを助けることになるが、人間界では、浮生門という組織によって、地仙が次々と捕らえられているという。
そこで、いきなりその場所に乗り込んでいった沈璃は、圧倒的な強さで敵をぶった切るが、行止はのんびりティータイムである。あの強さなら一人でも大丈夫だけどもさ笑
地仙を捕らえて力を奪っているのは、霊界の名を利用し、その霊界の力も使っている者だと知らされたため、汚名を着せられている格好となった沈璃は、この組織を探ることにする。
一旦、拂容君が居るであろう錦繍城へ向かった二人は、ボロ布をまとって小汚い格好となった拂容君を発見する。この城には瘴気が蔓延しており、ここでなりふり構わず民衆の治療に力を注いでいたため、彼はボロ切れ状態となっていたのである。
やればできる子じゃん、、、
天界では機会がなかったために、暇すぎてあのような有様だったのか。自分の持つ力を発揮して、人を助けることで喜びを確認できるこの人間界に、初めっから来てれば良かったね。
瘴気が発生する根源の場所を発見した二人は、早速戦いに挑むが、襲ってきたのは、かつて霊界で魔物に命を奪われた部下の子夏だった。身体を奪われ操られていた彼を、沈璃には手を出すことが出来ず、やられるがままになってしまった。
その危機を察知し、助けに現れた行止は、情もないと言われている割に怒りが隠せていない。
敵など存在しないかのような圧倒的な力で、その地を封じる行止にはトキメキが止まらない。マジでかっこ良すぎるんですが、、、これはどうしたら、、、
傷付いた沈璃を「麻煩」と言いつつ、大事に抱える姿にもドキドキするし、回復した沈璃と祭りに出向いた先でも、全てがカッコ良すぎてドキドキする。なんだこれ、行止ドキドキ祭りじゃん、、、
ちまたでは、アラフォーの仙侠ファンタジー萎えるという声もあるようだが、全然萎えない、むしろ抜群に良い。
錦繍城には、序盤に登場した顧成錦の次の生だと思われる景言と、かつての妻、そして妖女も同じ縁で存在していた。
やはり景言(顧成錦)は、かつては上古神の一人であり、行止の友人であったが、愛してはならぬ人を愛し、その私情のために神力を使った罰として、天界へはもう戻れないという。生を繰り返しても求める人には届かない、これも天罰だから。哀しい。
行止も同じことをして命を失う伏線のような、、、
禍々しい空気を纏った荷生という存在。何かのドラマで魏子昕には泣かされまくった気がするが、今回はかなりの悪者のようである。これを追って物語は展開していくのだと思われるが、口にしていた閻王の存在が気になる。←コレ、ただ死んだ後に「冥土で聞けや」という意味だった笑
以前、一千年も経つのにまだ活動しているのか、という独り言を行止が呟いていた気がするのも、この閻王が関係しているのかな。←全然関係なかった笑
つづく
追記ネタバレ 第18話〜第22話。
唯一の上古神である行止は、たった一人で三界を守る重荷を背負っているため、情がないのではなく、情に動かされてはならないという。
これをよくよく分からせるため、様々な人物を使って行止という存在の重要性を視聴者にも伝えているが、なんというか、彼だけに重荷を背負わせすぎではないのか、、、それなら、天界の天君をはじめ仙人たちは何のために存在しているのか。
沈璃は、行止の話を聞きながら彼の存在の重要性を知ることになり、心に芽生えた感情を手放すため、また、彼の言動も抑止する意味で、今度こそ強硬に突き放すことにする。
沈璃の強い意思を見た行止は、墨方と繋いでいるその手にロックオンで目が離せずにいたり、星を二人で眺めていた姿に嫉妬している場合ではない自分も顧みて、手放さねばならないと観念したのか、遂に哀し気な様子で天界へ戻って行く。
しばらく離れて過ごす間も、二度に渡って告白された墨方とは若干ギクシャクし、会わずにいれば大丈夫だと思っていた行止のことを考えては幻を見る日々を送る沈璃は、何も手に付かない様子である。
ほどなく、霊尊の代理として、天界の百花宴に出向くことになった沈璃は、行止に会ってしまうかもしれない一抹の不安を抱えながらも、渋々天界に滞在することになる。
拂容君に嫁ぐ予定の碧蒼王、という存在が疎ましい仙人ガールズは、拂容君の姉(神女)を焚きつけて、悪巧みを考えるものの、激つよの沈璃には全く効かない。
嫌がらせのつもりなのだろうが、毒を盛ったり、神獣を挑発して襲わせたり、間違えれば命を落とすような所業に、案外過激なことをするもんだなと驚く。
神女は、行止の気を引いている(引いてるのは行止の方)沈璃を警戒し、仙人ガールズは、拂容君の独り占め(沈璃は嫌々嫁ぐ方)を阻止するという理由なんだけど、、、
結局、昂る神獣から命を救った神女とは、これからは親交を築いていくことになりそう。
手放さなければならないのが分かっていても、既に心は寄せられている行止だが、どこまでが天罰の範囲なのかな。想うだけで行動しなければそれは許されるのか。
天君は欲するものを得て抑制など無縁のようだから、行止ばかりが耐えなければならない運命が不憫でたまらない。
かつての上古神も、寿命を全うしたのは3割で、7割は天罰で下界させられたと言っていた。折角、神として生まれて、苦しみの輪廻から外れたのに、天罰でまた輪廻に戻されるとは、、、
だから「我不能喜歡你」と沈璃に伝えた言葉も、自分へ向けての戒めのように聞こえて切なくなった。
ゆったりと流れる天界の日々を見ながら身を委ねていると、突然起こった変動に目が覚める。
今のところの敵と認識している人物は符生しかいないため、おそらくコイツだろうと思ったが、大胆にも天界に戦を仕掛けてくる自負はどこから湧いてくるのか。そもそも符生が何者かが分かっていないため、とにかく不気味なのである。
沈璃は、行止の大事なもの(仲間の亡骸)を守るため、それに立ちはだかり、行止はその沈璃を守るため、一瞬にして敵を退却させる。とてつもない強さを見せつけるカメラワーク、巧みである、、、
天界が攻撃を受ける5日前に、霊界にもその手は伸びていたが、まだ沈璃の耳には入っていなかった。
急いで霊界へ戻ったときには、街は破壊され、霊尊は昏睡状態で、部下の兵たちも多くが命を落としていた。
墨方に至っては、喰われた、と報告される有様である。く、喰われたって、、、あの爽やか生真面目イケメンが、、、
さすがに死んではいないだろうが、子夏と同じように操られている可能性は否めない。
てかね、符生が少主と呼んでいた人物、、、会話を聞く限り不安しかないんだけど、いやまさかね、、、
つづく
追記ネタバレ 第23話〜第24話。
「止水術」、行止のみが持つ神明の力をなぜ苻生が持っているのか。
行止だけでなく上古神が持つ力ならば、苻生は、堕天使ラファエル(かつての上古神)的な存在とも考えられる。沈璃からは神明の力を盗んだと言われていたが、そう簡単に盗めるもんなのかも不明だし、輪廻を繰り返す人間界の清夜の周りをうろついているのも、何か意味があるような気がする。
問題の少主はやはり墨方だったが、そう呼ばれている割に、その上の王の名など皆無であったし、少主の制止ですらガン無視の苻生は、コイツ主導で全てが進められているように見える。碧海蒼珠は俺のものだ、とか言ってたし。
そもそも墨方をはじめ、苻生はどの世界の者なのか。
禍々しい空気を纏っている風体は、魔界なのかと思わせるが、これまで魔界という言葉は一度も出てきていない、聞き逃していなければ。
以前、千年前に何かあったような行止の発言はあった。そして、今回も苻生が千年の悲願という話をしていた。
かつて上古神に阻止された悲願を、今回は沈璃の碧海蒼珠を手に入れて叶えようとしているの?
鳳凰の珠(碧海蒼珠)の力とまだ融合出来ていなかった沈璃は、今回、遂に融合して覚醒した!と思わせておいて、その力を使った代償に命を落とす、、、
「最後にもう一度あなたの作ったご飯食べたかった。」再会した序盤と同じことを思いながら倒れた沈璃は、あの人間界での生活が、背負った重荷をひととき忘れて過ごせた一番幸せな時間だったのだと思う、、、
といっても、確実に生きているのだが、本人以外は覚醒の事実を知らないため、亡くなったものとされていて、噂話が大好きなコメディ担当の尚北将軍さえも、もはやその影はなく打ちひしがれている。
報告を受けた行止もまた、心中は乱れているものの、声を荒げて怒りを表現したりはしない。しかしその怒りと失意が全身から漏れており、何をしでかす気なのかとハラハラさせられる。
東海の真ん中で名前を呼ぶ行止、、、そんな人間みたいにクラシックな方法でなく、探索できるような神力とかないの笑
結果、何をしでかすかと思えば、東海を凍らせて沈璃を捜し始めてしまった。私情だと天に悟られ雷刑を受けながらも、それに抵抗し、稲妻さえも凍らせてしまった行止の失意は相当だったのだと思われる。
切ない、、、自分は三界の生あるものを守るため存在しているのに、三界の広さには遥かに及ばないこの狭い東海ですら、人一人を捜せない己の無力さと虚しさが行止を襲う。
天君の口ぶりだと、私情のために一度力は使ったものの、すぐにそれを解除したため、神格を失うほどの天罰には触れないのかもしれない。
三界のために、悪を倒して命を落とした沈璃を嘆きながらも、神君の情を引き出す者が居なくなって幸いだという天君に、孫姉弟は、その扱いのぞんざいさが否めない。
霊界では誰もが沈璃の死に絶望して立ち直れていない。あれだけ民衆や兵からも愛されていたのだから、簡単には修復できないだろう、その街もその人々の心も。
ここでも霊尊が千年前の怨恨のことを呟いていたため、千年前の何かがあの苻生の執念を駆り立てているのかもしれない。墟天淵の何か、、、
てか苻生って命を復活させる術も持っているのか。
二度と俺の身体は使わせないと墨方が言っていたけど、一体どういう、、、周りの手下は傀儡だとして、君ら二人っきりなの?
つづく
追記ネタバレ 第25話〜第28話。
今回は、墨方が少主と呼ばれる事情が徐々に分かってくる。
どうやら、千年前に行止の封印によって墟天淵に囚われた六冥王(墨方の父親)を救うため、幼い墨方を霊界の軍に入隊させ、沈璃が仙界へ嫁いだ後に隙を見て墟天淵の封印を解こうとしていたようである。
この父親が囚われているという話は、もしかしたら墨方を操るための出まかせなのかもしれない。しかし千年前から、幼い墨方を大事にその手で育ててきた苻生は、利用するだけの目的には到底見えない。
己の身を削って心血を与え、傷付けばそれを癒す彼が、私利だけのために辛抱強く千年という長い時を費やすのか疑問である。
敵という立場がゆえに悪者でしかないが、墨方と苻生の間には、親子のように二人っきりで同じ目的を持って生きてきた歴史がある。
それなのに、沈璃を愛した途端、その事は忘れてしまったのだろうか。信念も目的もない人間には多々ある取捨でも、君らは違うよね、二人なりの大義があるよね。その揺らぎが、墨方の信念を途端に陳腐にさせる。
霊軍で培った千年の情も、霊界の敵となるなら彼を消さなければならない、と苦渋の決断をする沈璃とは大違いではないか、これが信念だよ。
それを貫くためには、霊界と敵対する立場になることは初めから分かっていたはずだが、その立場も弁えず、上下の垣根を超えて恋心を告げるのもどうかと思うよ。今の墨方の立場は、大義のために秘めた想いを絶対に口にはしない沈璃や行止と同じなんだけど。
そこに葛藤が見えればまだ良いが、完全に苻生を悪者にして、あたかも強制されてこの立場にいるとでもいうかの、恩も情もない態度も解せないんだけど。墨方以外ならそう考えても不思議はないが、君だけはダメじゃない?真偽はともかく、君の父親を救うためなんだから。
霊界に恩と義理があるというのなら、苻生に対しても当然あると思うのだが、彼と共に懸命に生きてきた時間は墨方にとって無だったのか。(という風に見える、、、)
とはいえ、苻生の存在は沈璃の敵であるため、個人的にも敵でしかないのだけど。因みに、なぜ苻生が神明の力を使えるのかはまだ分かっていない。
千年前の回想で、この墟天淵を封印するため天上から神々しく現れた行止の描写もあったが、その行止が眩しすぎて震える。
林更新って、楚喬伝の時にも思ったことだけど、素だとイマイチなのに(失礼)、役に入ると(主に古装)とんでもなく煌めいているのは何かの魔法なんですか、、、
一方の沈璃は、乗っ取られた北海一族の住処に捕えられ、かろうじて生きていた。霊界を守るという信念と、行止という三界にとって重要な存在の重さを、たとえ死にかけていても忘れてはいない。
苻生に抵抗し、隙を狙って沈璃を海の底から救った墨方は、そのまま去っていくが、この様子だと最終的には自界叛逆となり、沈璃のために命を落とすのかも。
失った悲しみで絶望の淵にいた行止は、沈璃を見つけるやいなや、秘めていた心情を語り始めるが、もはや三界のことはどうでも良くなったかの如く、ずっと側にいてお前を守るとか言い始めてしまった笑
いや、それはとても素敵なことだが、それだと天罰がね、、、
清夜のように輪廻に戻されて、毎度間違った人を選択してしまう哀しい結果となりかねない。
行止の決意はともかく、ボロボロになった沈璃の身体を癒すため、再び二人は人間界で過ごすこととなる。
助けられた当時、目も見えず、耳も聞こえなくなるほど痛め付けられていた沈璃は、救ってくれた人物が行止とは気付いていなかった。行止もまた、自分だと知られれば沈璃がその手から離れて行ってしまうと考えて、ただの漁師のフリをしていたのである。
ほどなく、回復し始めた沈璃は事実に気付いたものの、ここでは霊界の碧蒼王ではなく、ただの沈璃として行止との時間を過ごすことにしたようである。傷が治るまでという期限を一応自分に与えてはいるが、今後そう簡単にその想いを飲み込めるかな。
予告の様子では、次回からきな臭くなってくるようだから、緩やかな生活を送る姿が観られるのはこれが最後なのかもしれない。
つづく
追記ネタバレ 第29話〜第33話。
人間界での、身分を明かさずに過ごした緩やかな時間は終わりを告げ、なかなか霊力の戻らない沈璃は、雪山の蛇妖に手助けを請うこととなる。
霊力を戻す手助けをする代わりに、上古神のみしか出来ないことを要求されるが、普通に了承する行止、、、このところ、天道に反してばかりで、それによって被る天罰の方は大丈夫なのかと心配してしまう。この間も、沈璃側を離れない行止が雷刑で負った傷は回復はしない。
霊力を戻す儀式の過程で、蛇妖の金娘子に固く禁じられていた欲望の淵に落ちてしまった沈璃を追って、行止もそこに入ることになるが、この後が全く予想していない展開だったため、ちょっとびっくりしてしまった。
長年の欲という欲が詰まったその淵のせいで、必死に抑えてきた己の欲望が噴出した沈璃は、制止する行止を諭して、ついにキスをしてしまう。このシーンは、話数を跨って割と長い描写となっているが、このドラマでそんな描写があるとは思っていなかったから驚いたな、、、ちょっとしたキスでは終らないヤツだったし。
これを機にかどうかは分からないが、連れ立って天界へ戻った二人は、皆に責め立てられてもこの想いは絶対に手放さないと言い切る。主に行止が、、、
一方の沈璃は、毎度のように切り替えが早い。
三界を守るためには、唯一の上古神を失えないことが分かるがゆえに、この想いを行止のようには真っ直ぐ貫くことは出来ないのである。霊界へ戻るという沈璃を遮り、天外天へ軟禁する行止は、なにか吹っ切った様子で序盤のように辛抱する姿は全く見られない。
てかね、天界の奴らよ笑
君らで何かやれないのかよ、三界の全ての運命を、たった一人に委ねて、君たちは何をしているの。
神女と天君が登場すると、途端にコメディになってしまうな笑
沈璃が生きているという知らせに、仙界へ飛んで来た霊尊と三人でのこのシーンは、ほんと笑える。いつも真面目で厳格な霊尊がコメディ枠に混じっているのがまた可笑しい。
天外天へ閉じ込められた沈璃は、行止のいない隙にそこにあった巻物で過去を知ることとなるが、見せられた行止の千年前の姿が哀しすぎる。
千年前に、たった一人となった彼は、その時から天道に従い、情を抑えて三界を守ることに虚しさを感じていたようである。あの人間界の描写は、主観なのか客観なのかは定かではない。しかし人間の一生はまるで夢幻泡影で、寿命の長い彼から見ると虚しさしか残らない体験を経て、何のために三界を守っているのか、その意義を見失っていたように見える。
反面で、その後も人間界で度々人の一生を過ごしていたのは、その泡のように儚い人間の一生も、実は気に入っていたのかもしれない。難しいね。
次の巻物で、霊界の過去が明らかとなる。
おそらくこの過去が、雪山で行止が話していた墟天淵の封印に至るまでの話に繋がるのだと思われる。
当時六冥は、三界を支配するため、次々と魍魎を人型にして、仙界に戦を仕掛けようとしていたが、兵として使おうと思っていた魍魎を制御出来なくなってしまった。そこで仙界へ助けを求めた霊界の頼みを受けて、行止が墟天淵を封印したというあの話である。
初めて鳳凰の羽と融合して人型となった魍魎は、鳳来という男だったが、おそらくこの男と霊界の流羽との間に生まれたのが沈璃なのだと思われる。
行止の話の中で、六冥はこの手で殺めたと言っていた気がするので、苻生が六冥を救うためと墨方へ言い聞かせていたことは嘘ということになる。六冥の息子だという話も本当なのかは分からんな。本当なら、二人とも霊界人、或いは魍魎から人型になった者の残党か。
行止によると、苻生が止水術を使えるのは、清夜の上古神だった記憶を何らかの技で辿って、その術を得たのではないかと言っていたため、人間界で清夜の周りをうろついていた理由はこれが目的だったのだと思われる。
行止は背中に爆弾を抱え、天外天も怒らせてしまっているため、何が起きてしまうのかハラハラする。
この重荷から解放されるには、哀しい結果は免れない気もするが、沈璃に混じる魍魎の血にも何か意味を持たせるのかな。
つづく
追記ネタバレ 第34話〜第35話。
なんという熱い展開。
33話から引き続き霊界の過去を辿る。
魍魎から人型となった鳳来は、流羽と時を過ごすことになるが、気立てが良く殺戮を好まない彼女から、生まれたての子の如く倫理観を学び、同じような価値観を身に付けていく。
鳳来を魍魎の王にして、仙界へ挑もうとしていた六冥の意図に反し、それに抵抗した二人は、霊界から逃げ出して辺境で緩やかな時を過ごすが、その間も霊界では魍魎が続々と出現して街や人を破壊していた。
行止は、その惨状を抑えるため墟天淵を封印することにするが、それには鳳凰の火、つまり鳳来の身に宿る火の力が必要だという。
霊界の人々を守るため、その身を犠牲に墟天淵へ突っ込んで行く鳳来の意図を、言葉はなくとも理解した行止は、最後の一撃で魍魎を鎮めて封印を果たす。これが千年前の出来事だったようである。
そして今、苻生が、その血を受け継ぐ沈璃の火の力で封印を解こうとしている。目的は、墟天淵の力で魍魎を完全体にして、三界を支配することだと思われる。まんま六冥の再来であるが、中身が六冥ってことはないよね、魍魎の残党だとしても、千年前にそんな目立った魍魎いたかな、、、
行止は、おそらく初めて霊界で沈璃に再会した時から、鳳来の子だと感付いていたのだろう。今となっては、かつての霊尊の謎の言動の数々も合点がいく。頑なに天外天に軟禁しているのも、手放したくない気持ちだけではなく、苻生から沈璃の身を守るためだったんだね。
いよいよ苻生の策略は現実のものとなり、墟天淵から溢れ出してくる魍魎を相手に霊界はカオスとなる。霊尊は長い間、波乱に満ちた霊界の過去を抱えてこの地を守り、沈璃を育て鍛えるのは楽ではなかっただろう。結果、千年前の惨事を再び味わうこととなり、その気持ちを想像すると、これは酸味しかないのである。
天界には、こんな時でも相変わらず人任せにする雰囲気が漂うが、立派に成長した拂容君が立ち上がり、仙人を率いて霊界へと降り立つ。
拂容君、ほんとあの時人間界へ落ちて良かったよね、、、沈璃や行止の背負った責任を理解し、仙界以外の世界を体験したことで、やっと仙界として成すべきことを悟ったんだから。これを今まで上古神の行止だけに押し付けていたのだから、凄まじい負担を負っていたのだと思うと泣けてくる。
神女の助けで天外天を脱出した沈璃もまた、仙界から猛スピードで帰還するが、毎度、テーマ曲を背面に登場する沈璃がかっこ良すぎて痺れる。
以前、自分が消滅すれば、墟天淵も魍魎も消えてなくなるが、霊界もまた消滅する、と行止が言っていた気がする。誤訳でなければ、この先はもう不安しかないんだけど。
つづく
追記ネタバレ 第36話〜第39話(最終話)。
死んだと思っていた六冥、未だしぶとく墟天淵に存在していた。
苻生のホラだと思っていたが、六冥の忠臣という部分も、墨方がその息子だというのも事実だったようである。そのため、六冥の野望を叶えるためだけに尽力した苻生は、あっさり退場してしまった。
息子でありながら、志は親父とてんで逆をいっていた墨方も、この身体を再び父親から操られぬよう、最後は自害する。中盤で墨方には悶々とさせられたが、父親の記憶もなく、霊界軍へ入隊した彼が父の意向に沿えなかったのは仕方がないことかもしれない。出自がどうあれ、その育った環境で人はどうとでも変われる。そのため、私欲で三界を壊す父親の意志よりも、その身を犠牲にしても、三界を守るという沈璃の意志の方が強く墨方に響いたのだと思われる。常識的な倫理観が備われば、この状況で父親を選択することはまずない。ただ、苻生に対してだけは、なんらかの情があって欲しかったとは思う。
墟天淵をその身で支えていた鳳来を呼び覚まし、封印を解こうとした六冥は、どこでフェードアウトしたのか記憶ないな、、、笑
鳳来が墟天淵を離れたために、その代わりに沈璃の火の力で一時的に封印を継続することになるが、行止の力を以ってしても天外天の崩壊を止めることは出来なくなってしまった。
不従順な神は必要ない、最後の神もいないものとすれば、天外天の存在意義もない、と天道が考えたのかは分からないが、これも元々決まっていた運命だったようである。
力が尽きる前に、天外天と墟天淵を融合させて、三界への影響がないよう力を尽くす二人は、ここで死を覚悟する。
墟天淵の外へ出た鳳来は、乱心して流羽を捜しまわるが、既に死んだことを知らされる。絶望しつつも、かつて流羽が残した言葉通り、その命が受け継がれていたことを知った鳳来は、墟天淵へ戻り、この千年間担ってきた封印を、再びその身で引き受けることとなる。
再び鎖に繋がれた彼に胸が破れる思いをさせられるが、いつかこの役目から解放されて、再び流羽と出会える時がくるといい、、、ほんとカッコ良い最後だった。
死を覚悟していた二人は、鳳来によって外へ吹き飛ばされるが、天外天の崩壊を受け、やっと重荷から解放された行止は、己の使命は終わったと言いつつ命を落としてしまった。
息を引き取ったあと、神光を浴びた行止は、上古神で命を全うした3割にカウントされたようである。
やっと重荷から解放されたと思ったら寿命が尽きるって、何もいい思いをさせて貰えず、遂に情を傾ける女が現れたと思ったらこれだもんね、ほんと辛い。あの後、遺体を天界には渡さず、霊界で保管していた沈璃は、戻ってくることを信じていたのかもしれない。
それがね、本当に戻ってきたのよ。
天外天を墟天淵と融合させたあの時、かつての天道から外れた上古神が行止に対し敬意を払う描写があった。とても感動的なシーンだったが、これまでたった一人で三界を守り、天寿を全うした行止に対し、神々は、彼らの持つ最後に残った神力で甦らせて、完全に消滅した形となったようである。
最後に金娘子の恋愛成就までやり遂げた二人の様子は、プロローグと同じくエピローグにもきちんと時間が割かれている。
悲恋で終わるこの類のドラマで、ガチのハッピーエンドを観るのは久しく、こっちが救われた気分になった。最後の子供のくだりも未来があって実に良い。
清夜のその後は、正直どうなるのかは分からない。
再び同じ娘たちに出会った描写だけはあったが、以前、沈璃が言っていたことを思い出す。
「天は清夜だけをひたすら見張ることは出来ない、だから天の差し金が3割、残りの7割は結局自分で選択している。」
これまで、その3割に引っかかり間違った選択をしてきた清夜も、今生では、行止が与えた少しばかりの神力で、遂に正解を選べるかもしれない。
面白かった。カッコ良さも半端ない。