全体を俯瞰してみると、この件は沈文祁を嵌めるだけでなく、その背景には大きな陰謀が渦巻いているのに気付いた陸時硯は、沈甄と共に、より深くこの闇に引きずられていく予感はしている。
とはいえ、全24話という短さだから、そう長く引っ張る尺はなさそう。
つづく
追記ネタバレ 第5話~第8話。
この4話で、沈文祁を陥れた悪巧み陰謀がなんとなく見えてきた。いつもながら人を陥れている輩は例外にもれず、欲しているのは銭である。
吴州へ同行するしないで若干揉めた二人は、結局、沈甄に押し切られて共に魯思の元へ向かう。徐正溪の、若い娘に振り回されているおじさん的な動きの緩やかな芝居がハマっていて笑える。
吴州へ向かう途中、宿屋に立ち寄った二人は、ここで沈文祁に関する重要な人々と出会うこととなる。
宿屋という名目で、立ち寄った旅人から金銭を盗んでいた村の女達は、吴州の趙衝という役人に夫を軒並み奪われていた。
趙衝は、奪った男たちを柳の伐採場で強制的に働かせ、死ぬまで戻って来られない状態にさせている。そのため残された妻や子は、生活のために金銭を盗んで暮らしているという。
この件も、父親の冤罪と何か関係があるのではと察した二人は、村の女たちと共に真相を追っていくこととなる。
柳の話が出て来たこの辺りで、本来、城西渠建築に使用される松の木が、柳にすり替えられたのではという疑問が視聴者にも湧いてくる。
城西渠建築の上での松と柳の強度の違いが、私には全く分からないが、おそらくこの物語の中では、柳の方が安価で脆弱なのだろうと推測する。
それが原因で、城西渠の崩壊を招いた線が濃厚となってきたが、これを銭に群がる輩に利用され、松の木のつもりで設計を進めていた沈文祁が貶められたのだと思われる。
同じ時、調査を進めている御史台の周述安もまた、この真相に気付く。沈姌の方も、夫の李棣が表面の優しさとは逆に、嘘で固められた人間だと気付いて監視することになるが、その過程で、夫も父親を貶めた大勢の中の一人だと知る。
しかも李棣には結婚前から妾がおり、既に子も身籠っているという。どうやら元々この愛人と結婚するはずだったが、出世と悪巧みのために沈姌を娶り、愛人とも密会を続けていたようである。
すぐにでも李棣の元を離れたい気持ちはあるのに、父親の冤罪の真相を探るため、未だそこに留まらねばならない沈姌は不憫だが、早く李棣をぎゃふんと言わせてくれないかと心待ちにしている笑
追っているものが同じなため、行く先々で出会う周述安と沈姌は、けん制しつつ協力する格好となっているが、序盤から、やけに協力的で親切な周述安を不思議に思っていた。
その理由も今回明らかとなる。
かつて、まだ役人ではない貧乏な学生の頃、父の借金を取り立てるチンピラに絡まれた周述安は、沈姌に助けられた過去があったようである。その時から恩を忘れず想いを胸に秘めていたから、会った時からあの様に協力的だったのか。沈姌は覚えていないが、その時の銭を肌身放さず持つこの男は、寡黙で一途である。
吴州に辿り着いた陸時硯と沈甄は、魯思と合流して事情を聞くこととなるが、やはり趙衝に家も工図も奪われてしまっていた。
そこで、富豪とその妾という名で潜入捜査を始めることとなった二人は、趙衝と顔を合わせることに成功する。
未だ涙の作用は続いていて、それを煩わしく思っているようだが、趙衝に妾スワップを提案された陸時硯が、素で憤慨していた様子を見ると、振り回されていても心はだんだん寄せられているようだな。
陸時硯は本当に優しくて素敵な男である。
序盤からよく知りもしない娘を身体を張って守り、牢の父親を目にして涙の止まらない沈甄に、ここも身体を張って痛みを耐えていた。この上に愛情が被さると一体どうなってしまうのかな。客観的にみるとドMにしかみえない、、、
つづく
追記ネタバレ 第9話~第12話。
趙衝の持つ絵画の中に隠された工図(魯思から奪った下書き)を取り返しに潜入した二人は、着々と計画を進める。
その過程で、悪巧みの証拠が記録された帳簿係がいることも判明し、二人纏めて捕えることにする。
今回は、命が危うくなるような戦闘シーンもあったが、普段の物腰の柔らかさと違った、キビキビと腕の立つ陸時硯を見せられる。上品で性根がいいうえに、すご腕とか欠点が見付からんな笑
しかしあの夢はどういう仕組みなのかな。
見る度に夢の中の時間が進んでいるのか、現実の状況によって変わるのか、これから起きる予知的なものなのか、または本当に前世なのか、イマイチ謎である。
その夢の延長で、朦朧とした状態で沈甄にキスをする陸時硯は美しかったわ。
沈姌の方では、引き続き周述安と協力して、夫の李棣が隠し持っているはずの悪巧みの証拠を探し続ける。
示し合せせずとも、危ない時には周述安が現れるのが定番となっているが、倫理観が強く生真面目な彼が、沈姌に触れずに手を握り締めるシーンは、なんか切なくて泣いたわ、、、まだ人妻だもんね、、、
それに比べて李棣のしょぼさよ。
調べるうちにどんどんボロを出す李棣は、重婚していたことが新たに判明する。
愛人だと思っていた女(子を身籠っている女)とは、実は一度結婚していて、離縁後に沈姌を娶ったという話だったが、その離縁届を喪失しているせいで、書類上では重婚となっているようである。
その最中に、宮中から妾が派遣されてくる。この女は妾としてではなく、悪巧みで李棣を手駒として使っている側から派遣された女である。元々、顔見知りで李棣がペコペコしている様子から、黒幕と李棣の仲介役だと思われる。
黒幕側が、この先も李棣を手駒として使う気であれば、重婚の罪をどうにか消すのではないかと考えた周述安は、沈姌に離縁の話を持ち出すよう匂わせ提案をする。
周述安は、この罪を消した人物を特定して黒幕を突き止めようとしているのかもしれない。
派遣された女が、大爺と呼んでいた人物と、そいつの上にまだ見ぬ人物もいるようだから、一体何のための大勢を巻き込んだ陰謀なのか。金と地位しか見当はつかないけど、それだと狭量すぎるね笑
うーん、黒幕は宮中にいるのか、、、朝廷の中にいるのかもしれないが、とにかく敵は案外デカい存在のようである。
趙衝が、自分は手駒だが、お前は黒幕の一味、という意味合いのことを口走っていたのも気になる。母親が長公主の陸時硯は、皇帝側ということだから、黒幕はやはりそっち側なのかな。
捕らえた趙衝、帳簿係と共に、京へ向かう陸時硯は、キスをしたことが夢なのか現実なのか分からず悩んでいるようだが、そんな呑気にやってられるのも今のうちかもしれない笑
「別哭、我会心疼的」の意味合いが序盤とは変わってきているのが、その芝居から見える。
つづく
追記ネタバレ 第13話~第18話。
派遣された仲介の女や、趙衝と李棣も、下っ端モブキャラは悉く潰されてしまった。李棣は辛うじて生き残っているものの、牢の中である。
趙衝を殺めた容疑で、一旦、沈甄も捕らえられるものの、陸時硯や楊宗の働きでほどなく容疑は晴れる。
犯人の回想シーンを楊宗が演じていたせいで、一瞬、え?もしや君なの?と思わされるので、誤解を招きかねないね笑
いきなり登場した幼馴染の蘇珩は、悪い子ではないようだが、趙衝の残した犯人の手掛かりが「長」という血糊文字だったことで、陸時硯の母親(長公主)を疑い始める。母親が犯人ならその息子も怪しいという気持ちが拭えず、好いている沈甄とただならぬ雰囲気を漂わせているのもあって、若干敵視しているようである。
しきりに陸時硯を疑っている姿を見ると、長公主が噛んでいるのかと思わされるが、皇后の方が怪しいよな、、、
李棣に暴行を受け、拉致られた沈姌を助けに向かう懸命な姿がほんといじらしかった周述安の方も、この手掛かりを蘇珩に見せられ、その疑いを抱く。
黒幕は、どうやら武力を欲している長公主だという空気が、そこはかとなく流れているものの、陸時硯はおそらく何も知らない。
このタイミングで、徐意清を息子の嫁にしようとしているのが怪しいと言えば怪しいが、元々皇后の持って来た話だしな、、、
徐意清の父親の持つ軍が目当てだとしても、戦闘能力の高い徐意清は、陸時硯の妻の座には収まりきらなそう。
というより、完全に意気投合した蘇珩とのフラグが立ってるし。
一応、沈甄と争う立ち位置にいるものの、どちらかというと、二人で結託して長公主に対抗する未来が見えるな笑
気になるのは陸時硯の夢だが、今回は、その夢に母親の長公主も登場する。現実と同じように沈甄を娶ること(娶った後かも)に反対しているようだったが、それを無にするために、過去に戻って沈甄の父親を貶めたって話じゃないよね?いやまさか、そんなドファンタジーな話な訳ないない、、、このところ、過去に戻って云々のドラマが多いせいで、あらぬ妄想をしてしまうな笑
18話の最後で、長公主が屋敷に沈甄を呼び戻したせいで、許威の人質にされたわけだが、何のために呼び戻したのかな。許威に囚われたのは偶然だよね、あの許威の行動を先読み出来るわけないし。
既に終盤に差し掛かっているのに、悪者側それぞれが何をやっているのか全然分からない笑
沈文祁への疑いは晴れて無事釈放されたが、皇后や長公主が黒幕だとすれば、身内の陸時硯が悪巧みの証拠を次々と見付けてくることにもっと焦りがあってもいいようなもんだけど。
その場その場で、足が付かないようけむに巻いてる感があるし、そもそも罪を擦り付けようとした沈文祁の存在がなくなったのに、悪巧み自体どこに終着させるつもりなんだろうか。
皇后も長公主も全く関係なかったとかいう線もあり得る。
つづく
追記ネタバレ 第19話~第24話(最終話)。
一連の証拠が揃いすぎていて、それが全て長公主を指してるのが逆に疑わしい。しかし許威が、黒幕は長公主かのように振舞って逝ってしまったので証人は居なくなってしまった。
周述安は、一旦、長公主を捕えるものの、やはり揃いすぎているのが疑わしいと思っていたようである。
もちろん、その息子の陸時硯にも捕獲の手が伸びるが、これを上手く躱して母の無罪の証拠を探し始める。
ほどなく、既に怪しさ満載だった皇后が黒幕だと突き止めた陸時硯と周述安は、裏で皇帝にもこの事を進言し、一芝居打ったところで皇后の自白を引き出すことに成功する。
皇后が黒幕なら、一瞬出て来た可愛がっている風の六皇子を玉座に置くためだと予想は付いていたが、まさか皇帝にも毒を盛っていたとは。普通なら、太子に直接手を下すとか、皇帝が亡くなってから謀反を起こすなどとなりそうだが、そんなに待ちきれなかったのか、、、
最後は自害してしまった皇后はともかく、太子を慕って謀反を起こす気持ちなどひとかけらもなかった六皇子は、実に気の毒だった。
父の冤罪を晴らすところから始まった黒幕退治は、ここで収束を迎える。残るは気になっていた、涙→胸の痛み、夢の出来事の解明だけど、、、
沈甄を助けるため、火の中に飛び込んだ陸時硯は、頭を打って記憶を失くしてしまう。記憶は失くしてしまったものの、夢の出来事は未だ進行しているため、それと混同して、長公主に結婚を反対されていた沈甄を娶ることは出来ないと言い始める。しかも沈甄を忘れてしまったことで、胸の痛みも謎に消えてしまった。
周りの皆全員が協力して、陸時硯の記憶を蘇らせようと奮闘する姿は、蘇珩が陸時硯の頭に植木鉢を落とすまでの全てがコメディ仕様となっている。
普段、生真面目な周述安と沈姌も一緒になって下らない芝居に参加するのがまた笑えるところ。
再び頭を打って失神した陸時硯の、記憶を取り戻す直前に見た夢が、今の状態を示唆するものだと思われるが、これも曖昧だったため妄想するしかない笑
おそらく、前世(だと思う)で一度一緒になった二人は想い合っていたものの、色んな出来事が重なり、母親に反対されたのもあって離れ離れとなってしまった。
ほどなく、皇帝を守って矢に撃たれた陸時硯の死に際に沈甄が戻って来るが、陸時硯はそのまま息を引き取ってしまう。
その後を、涙に暮れて生きていた様子の沈甄は、謎のじいさんと会話をする。
「再び出会ってもいい結果にはならないかもしれない。」
「知らない者同士でもいい、ただもう一度、遠くからでもいいから、あの人に一目会いたい。」
この謎のじいさんは、沈甄の残りの人生を具現化しただけで、存在しないのかもしれない。
しかし三十年間、その様な想いを抱えて、陸時硯一人のために火を灯し、涙を流して過ごした沈甄の痛みが陸時硯の骨にまで沁み込み、今生ではこの形となって現れていたのかもしれない。
という風に妄想すれば、超ファンタジーで浪漫があるけど、最後に陸時硯が言っていた夢がどうであれ~の件を考えると、本当にただの夢かもしれない。しかし夢なら痛みの部分の説明がつかないし、前世からの運命だったと思う方が夢がある。
痛みが無くなったのは、一度忘れてリセットされたのか、、、分からん笑
「若還有一次機會、三書六禮明媒正娶、永不負卿」
夢の最後で死に際に己で言っていた言葉を、今世では、約束通り果たすのだと思われる。
最終話が、夢の結末と、周りの皆の明るい前途が想像できる、終章に相応しい実に良い雰囲気となっていて、じんわりしてしまった。個人的には、24話という程よい長さでまとまっていて面白かった。
夢の中の皇帝役で一瞬映った鄭國霖、ほんとどこにでも登場するんだね笑