脱轨(脫軌)Derailment 全30話 | 一言難盡

一言難盡

Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

 

『脱轨(脫軌)Derailment』
2023年 12月〜 全30話
 
出演
江晓媛(江曉媛)→劉浩存(刘浩存)
祁连(祁連)→林一
 
 
あまり目立った評判にはなっていないような気がするけど、視聴が止まらぬ謎の引力にひかれてしまった。
このまま一気に最後まで観たいところだけど、まだ終わってないな笑←2024年1月2日に全話完了。
 
ネタバレ 第1話~第10話。
2025年、優雅に金持ち生活を送っていた江曉媛は、突然、秘書の許靖陽からスマホを渡され「ここの生活に満足していますか?なぜこの世界に来たのですか?」などと、謎の言葉を残される。
そのスマホが時空を超えるための装置のような役割をしているのか分からないが、事故に遭ったタイミングで、時空を開く灯台システムとかいう妙な物が発動し、2018年に穿越してしまう。
 

2018年では、2012年に失踪した許靖陽を捜し続ける祁連の元で、失踪時、許靖陽が残したスマホが作動したのを機に、二人は出会うこととなる。

 

ここから、2018年での時間軸で話は進むが、この時間軸の江曉媛は祁連の学生時代からの友人であり、その頃から彼女を好いていたようである。

当時、誰にも言わず学校を中退して行方が分からなくなった江曉媛は、祖母の手術代や入院費の負担を強いられており、その後、お金を置いて出て行ってからは、未だ消息不明だという。

 

2025年の江曉媛と対面した祁連は、行方の分からなくなっていた彼女が戻って来たと喜び、職や住居を当てがって甲斐甲斐しく面倒を見るが、江曉媛にとっては見知らぬ男である。

自分は2025年から来た江曉媛で、祁連の友人の江曉媛ではないのに、断りを入れてもひたすら自分に付きまとう祁連に困惑する。

それでも、この世界で知り合いもおらず一人っきりになってしまった江曉媛は、彼の助けがなければ露頭に迷っていたと思い直し、段々と信頼を寄せていくこととなる。

 

時が経つにつれ、祁連がかつての想い人だと勘違いして、面倒を見てくれることが心苦しくなった江曉媛は、自分はその人ではなく、2025年から穿越してきた人間だということを告白する。

祁連としては、自分の江曉媛だと思い込んでいるため、何か事情があって失踪していた期間のことを話せないのだろうと思い、一旦それを飲み込んで新たに友人関係を築くことを提案する。

 

程なく、想い人だと思い込んでいた江曉媛が、別の人間だと気付いた祁連は態度を翻すが、この豹変っぷりが酷い。

江曉媛にとっても、突然2018年に飛ばされて訳が分からないのに、彼女の身体をお前が奪ったとでもいうかの態度で接する祁連にはちょっと引いてしまった。

とはいえ、この男も、やっと再会出来た想い人が違う人間だったという事実のやり切れない気持ちを、彼女にぶつけるしかなかったのかもしれない。

 

職場の美容室でも貶められているのに、祁連の態度の豹変っぷりに、いきなり江曉媛が気の毒すぎる展開となるが、元いた世界へ戻りたい江曉媛と、自分の江曉媛を取り戻したい祁連は、怒りは一旦しまっておいて、互いに協力して穿越の謎を解くことにする。

2025年が本当の世界ならいずれ戻るはずだけど、この世界での美容室での貶め合いや、人との繋がりを妙にじっくりやっているのを見ると、この2018年が現実世界なのかもしれない。

 

渋々協力している関係でも、一緒にいる時間が長ければおのずと感情も湧いてくるのだから、現在の江曉媛の方へ段々惹かれていく己自身を否定するため、好いていた江曉媛の身体を守るという名目を保つ祁連は、表情は厳しくとも行動は優しい。

その優しさを感じる江曉媛も、自分ではなく想い人のこの身を守るためだと分かってながらも、気持ちは徐々に動き始める。

 

しかし、きっと同じ人物なのだろうなこれは。

まず、違う人物だとすれば、どちらにも心を寄せてしまった祁連の後処理が面倒ってのがある笑

それに、スマホの受信器となっている場所を捜しに出掛けた当時、謎の組織や施設らしきものがあったのを考えると、2018年が実際の時間軸で、かつて施設の装置で謎に記憶を消されて2025年へ飛ばされた江曉媛が、再び2018年へ戻ってきたのでは、、、

スマホの電池が一年しか保たないと言ってたのも、消息を経ってからの期間と合っている。

 

2025年の許靖陽が、記憶のあるまま飛ばされているのだとすれば、序盤に江曉媛を促していたのを考えると、この男は組織に属しているのかも。2018年には許靖陽の存在を証明するものが無くなっているのも、この組織に隠滅されているのかもしれない。

目的は何なのかは全く分からないけど、祁連の身近な人間ばかりが穿越しているし、この人に何か関連があるのか。

いや、妄想しても辻褄が合わないところもあるし、全然分からないな笑

 

つづく

 

追記ネタバレ 第11話~第18話。
2025年で存在した馮瑞雪と霍柏宇が登場して、穿越かどうかも分からなくなってきた笑
 
霍柏宇によれば、2025年世界で2018年(現状)のバーチャルゲームを体験していた二人は、ウイルス(祁連)の出現により、そのゲーム内に閉じ込められているという。
 
どちらを信じるかと言われ、同じ記憶を持つ霍柏宇を信じた江曉媛だったが、逆に2018年で2025年の仮想世界を体験しているのだとすれば、2025年の本物だったと思っている記憶も、全てが仮想となってくる。
段々と灯台システムのことも分かってくるし、仮想だと思えば全てが虚偽の世界となってくるので、穿越をした、というシナリオで構成されているとすれば、2018年が現実世界だと思っていても、もしかしたらこちらも仮想世界なのかもしれない。
結局、本物の世界の描写は現時点ではまだ出て来ていないのかもしれないし、そうでなければ、2018年が現実で2025年がバーチャルの可能性が高そう。
 
うーん、もはや全てがバーチャルに見えて来たな。
しかしそれではただの夢オチ状態となってしまうので、おそらく2018年が現実なんだろう。
学生時代に、線路を走る祁連と自分の夢を朧げに見ていた江曉媛の描写もあったため、何らかの原因で現在は記憶を失くしているものの、そのうち記憶は戻ってきそうではある。
 
祁連の母親は、ずっと実験室に籠っていたと言っていたことがあったが、ひょっとしてこの脳科学の実験を行っている組織のボスらしき女性は、この母親なんだろうか。
 
2025年に戻りたいと思いつつも、ここで築いた友人との繋がりや得意なもので成功する達成感などを味わった江曉媛は、離れがたい気持ちが否めない。
戻らないと決心する最後の重要な要素は、祁連の気持ちなのだろうが、未だ想い人を取り戻すことが彼の目的だと思っているため、残る選択肢はないようである。
既に祁連の心は今の江曉媛に向いているが、そのことを本人がまだ認めないからね、、、
そもそも戻る戻らないの話ではなく、2025年の世界は幻なのかもしれないし。
 
おそらく江曉媛は一人なんだろうけど、謎解きが不得意な自分としては、どのような経緯で霍柏宇と許靖陽の存在が今の状態となっているのかが、まだ全然分からないな。
 
つづく
 
追記ネタバレ 第19話~第23話。
19話からしばし過去の記憶を遡る。
この過去編をここで差し込んできたことによって、視聴者にとっては、今後の祁連と江曉媛を見届ける姿勢がガラリと変わる。
というくらい、尊い章だった。
 
二人の出会いから、ゆっくりと気持ちが向き合って、世界に自分達しかいないような信頼に至るまでを短くとも丁寧に描いているこのくだりは、個人的にはかなり刺さったところ。
なんというか、高校生役でも全く違和感のない中の人たち笑

遡った記憶を取り戻した江曉媛は、ここで自分にとっての祁連の存在を思い出すこととなる。

しかし、一方では2025年の記憶も残っているため、それが自分だと認めてしまえば、今まで自分だと思っていた2025年の自分は何者なのか、認めてしまえばこの自分の存在ごと見失ってしまう、という恐怖から、それを頑なに否定する。

 

かわいそうにな、、、結局、脳科学の実験で、苦しい記憶を取り除き、幸せな記憶を植え付けられた江曉媛は、新たに取り戻した過去の自分とどちらの記憶も存在することとなり、気が狂うくらいに混乱してしまう。

被験者は、概ね1年後には気が狂ってしまうという結果になっているようだから、バーチャルゲームだと信じていた同じ被験者の霍柏宇は、そのまま気が狂って亡くなってしまった。

 

かつての実験室へ出向いて、そこに至るまでの記憶を取り戻した(全部ではないかも)江曉媛は、やはり2025年の自分は現実ではなかったと絶望し、祁連、祁連、と繰り返し口にして縋る姿は、過去からずっと変わらずお互いしかいなかったんだな、と思わせる実に切ないシーンだった。

 

引き続き許靖陽の所在を探る二人は、自分を庇って大怪我をした仲間だったはずの彼を、当時の仲間は誰も知らない。

思えば、6年前に失踪した許靖陽を捜していた時から、存在しないと言われていたこの男は、実は本当に存在していなかったのである。

この辺りから、ヤバ、、、祁連も記憶を操作されているのかも、という思いが脳内を駆け巡るが、正に、祁連もあの実験室での被験者だったということが分かる。

 

江曉媛と祁連の許靖陽への記憶は一致しているため、お互い別々の記憶を植え付けられているのか、或いは、その記憶の中で交差しているのかがまだ分からないが、こうなってみると、どれが本当でどれが偽なのかが本当に分からなくなってきた。

 

本当だと思いたい学生時代の尊い記憶も、ひょっとしたら作られたものなのかもしれないし、過ごしている現在の存在も危うい、、、

 

しかも、その実験室はかつての場所から撤退しているとはいえ、江曉媛を追って実験に関係する謎の男が迫ってきている。

おそらく許靖陽なのだろうが、祁連も実験に参加していたとすれば、なぜ江曉媛ばかりが追われ、脅されているのかが全くの謎である。

やはり、亡くなったといわれている祁連の母親が関係しているのでは、、、父親も何か知ってる様子に見えたし。

 

周りの人間を傷付けぬよう、皆の元から離れ江曉媛が頼った先は、メイクの神と言われている蒋博だが、この男の関係者に実験室の女ボスがいた繋がりも全く見えない。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第24話~第26話。
祁連の亡くなったはずの母親が、実験室の女ボスだとなんとなく考えていたけど、なんと蒋博の母親だった笑
 
2012年に祁連が被験者として植え付けられた記憶は、許靖陽が責任者だった頃のことだったため、この時は、祁連への治療として忘れたい記憶を消したのだと思われる。
許靖陽としては、患者のために最善の方法を考えてのことだったが、彼が謎の交通事故に遭って亡くなってからは、範篠篠(女ボス)が研究資料を引き継いだようである。
2018年の江曉媛に施した実験の頃には、おそらく許靖陽が意図したこととは違う方向へと進み、1年後には気が狂って亡くなるというような歪んだ形になっていったのでは。
範篠篠がどのような研究結果を求めているのかはさっぱり分からんが、許靖陽の事故もこの女ボスが絡んでそう。

 

しかし、範篠篠の情緒が不安定すぎる。

息子の蒋博(血の繋がりはない)を支配して、少し反抗すれば目を剥き出しにしてキレる。

夫を殺めた罪を幼い蒋博になすりつけた過去もあるというのに、その高圧的な態度がマジの謎なんだけど。蒋博もひょっとして脳にチップを植えられ記憶を操作されているのか、、、

 

なんとなく見えて来たものの、全貌は明らかにはなっていないので続きが気になるところ。

 

あと4話。

 

つづく

 

追記ネタバレ 第27話~第30話(最終話)。
情緒が不安定な範篠篠、、、心の病を患っていた。
祁連が治療を行った同じ時、範篠篠もまた被験者だったようだが、祁連のみが苦い記憶を消すことに成功し、その歪みで起きる記憶の臨界点を見事突破出来る強靭な精神を身に付けていたようである。
 
一方、範篠篠の治療は失敗に終わり、許靖陽が亡くなってからはこの灯台システムを引き継ぎ、何度も(7回と言ってたような)己の身で実験を繰り返していたという。
元々、夫から暴力を受け続けてきて、ある意味臨界点に達した範篠篠の心は病んでいたのだと思われるが、その手で許靖陽を殺めたのではなく、この死は事故だったようである。
自分を支配しているのも、病から来るものだと蒋博自身は分かっていたため、これまでの母親の過去に同情する気持ちもあったのだろう。だから、あの様に従順だったのだな、、、
 
この研究をグレードアップさせるためには、江曉媛の脳内に埋められているチップのデータが必要だと頑なに信じる範篠篠は、自分の限界が来る前にそのチップを早急に手に入れようとする。
これは、一年後には自然に脳神経部分から剥がれるもので、それを経て初めて取り出す手術が出来る、と以前言っていたような気がするが、現段階で取り出そうとすれば脳神経へのダメージが出る可能性が否めないという。
しかし、一年後には気が狂って亡くなってしまうことを考えると、剥がれるまではどうすればいいのか、、、植え付けられた幻想が頻繁に蘇るようになった江曉媛は、臨界点に達して今にも気が狂うのではないかという思いが脳内をよぎる。
 
しかし、祁連と同じように己の限界を突破した江曉媛は、正常なままこれを克服したようである。
臨界点に達したその時に彼女を救ったのはやはり祁連の幻想だったのを考えると、無意識の中でも唯一存在する人間は祁連だったのだな。
思えば、植え付けられた記憶の中で、唯一電話していた父親の番号も祁連のものだった。脳が操作されている最中でも、そこを経由しない脊髄反射の如く、この番号だけは捨てられないものだったのかも。
 
序盤に、江曉媛が2025年に渡されたスマホが許靖陽の残したスマホに反応したのは、死にゆく許靖陽が祁連に託した希望だったようである。これが江曉媛だったから、未来に悪用されることを防げたけど、別の人間だったとすれば、この希望を達成出来たかどうかは謎だわ笑

 

最後は、人生の選択は正誤などなく、自分の選んだ道を信じて懸命に前へ進め、というようなメッセージで締めくくりとなる。

終盤、蒋博のターンとなりメイク大会云々で若干失速したものの、巡り巡って再び唯一の二人に戻れて良かったね、という感想である。