风月变(風月變)Butterflied Lover 全22話 | 一言難盡

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Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

 

『风月变(風月變)Butterflied Lover』

2023年 7月〜 中国 全22話

 

監督 曾庆杰(曾慶杰)

 

出演

凌长风(凌長風)→ 赵奕钦(趙奕欽)

唐千月→ 吕小雨(呂小雨)

 

 

開幕、映像の美しさに目を奪われる。

次に、妖怪じみた妖艶な生き物が現れ、なんだこれはと見続けていると、とめどなく押し寄せる胸きゅんの沼に突入、、、なんこれ笑

 

短劇の類なのか1話が20分弱なので、出遅れてもすぐに追いつける。

 

ネタバレ 第1話〜第16話。

初っ端に睦まじい様子で長風と千月が登場するが、映像の美しさと絶妙なスローの構成によって、謎のエロさを放っている。これは、なにかあるのかと思っていると、千月がいきなりホラーな風貌に変身。

 

ここから、二人が出会い、現在に至るまでの3年間が描かれることになるが、脚本や演出が妙にくすぐるポイントを抑えていて感心する。

 

とある村が山賊に襲われ、住民全部の屍の中に一人生き残っていた千月を発見した長風は、泥にまみれて口の聞けない野生児のような千月の傷をひとまず手当てする。

そのままお金を渡してその場を去ることにした長風だが、後をくっついてくる千月を追い払うことも出来ず、城下まで連れて帰ることになる。※後にお金の価値も知らないことが分かるけど笑

この時も、露天の女将に千月を託してその場を去るが、千月自身は、生まれたての子の如く、親のような存在に感じてしまった長風を、置かれた場所でじっと待ち続ける。

待ち続けた3日後に、城下町で長風の姿を見付けた千月の行動は、スローモーションの使い方が秀逸で、妙に感動する演出となっている。

この後、くっついて離れない千月をやむなく自分の屋敷に連れて帰ってしまった長風は、これまで一人だった生活から、ゆっくりと家族になっていく。なんというか、長風が仏すぎて眩しい。

 

千月は、拾われた当時以前の記憶がなく、まさに生まれたてのように無垢な娘だったため、密信で呼び出した家政婦や料理人と共に、彼女を一人前の娘に育てていく。

一話が短くとも、この過程を不自然さや唐突な部分が全くなく描かれているのが巧みなところ。※靴配りのくだりがマジで良かった。人と獣は違うのだから靴を履かないとね、、、

 

ほどなくして、自分の正体は蝶奴だというのを知ることになる。

元々、夷瀾族が医術で使用していたものが、謎に呪術となってしまったこの病は、蝶蟲(毒虫みたいなヤツ)が身体を支配し、その支配されている身体を蝶奴と呼んでいるようである。これを抱えていると、血を欲し、野獣のように狂暴になって人を襲うようになるという。蟲の奴隷といったところか、、、

 

発見された当時、千月がいた村が彼女の生きてきた場所なのかは定かではないが、村人を襲ってきた山賊を殺したのは、蝶奴の千月だったようだ。その村から消えた47人(数あいまい)の村人が、どうやら、蝶奴にされた後、開幕の妖艶な軍団として城下町に現れたというわけである。

開幕の様子を見ると、千月は蝶奴の中でも最強のようだし、重要な何かを握っているのかもしれない。とはいえ、全22話なので、そんなに風呂敷は広げられないと思うけど。

 

長風の側を離れたくない千月は、これをどうにか取り除いて普通の人間になりたい一心で、墨魁湯での治療の苦しみを七日七晩耐え抜くが、結局取り除けずに失敗に終わる。協力してくれる元夷瀾族の鳶婆婆にも、もはや手立てはない様子。

このことを、長風には言わずに家を空けてしまったため、当の長風は完全に捨てられた子犬状態で目も当てられない気の毒さ。

必要とされていたのは自分だったはずなのに、戻ってこない千月をじっと待ち続ける長風は、序盤と立ち位置が逆転している、、、

 

この離れていた時間で、己の気持ちを確信した長風は、既に家族となってしまった千月を娶ることにする。

この後も、長風のいい妻になることだけを目指して、治療を続けていたが、軍団が襲ってきたあの夜から症状が好転しない。

「今夜なにか起こりそうで不安なんです。」という千月に対し「何か起こったとしてもそれがあなたの運命。」という鳶婆婆との会話が序盤にあったが、、、また運命!そればっかり!笑

 

主演の話と並行して、武安候(長風の腹違いの兄、凌長燼)と宝珠公主夫婦の関係も描かれるが、武安候の変貌っぷりにトキメキが止まらない笑

 

この宝珠公主は、麒麟血という特殊な血液を持っており、この麒麟血に蝶蟲を抑える効力があるという。公主がなぜ麒麟血なのかは未だ謎だが、夷瀾族によって蝶奴にされた自分の姉に麒麟血が必要だから、という理由で公主を娶ることにした武安候は、そこに愛などない。むしろ公主が嫁ぐはずだった夷瀾族に、代わりに嫁がされた姉の今の姿は公主の責任なのだから、その血は姉に渡すのが当然だという態度で、挙式当日にですら冷たくナイフを向ける武安候は、ほんと悪い男だよ。

 

しかし元々彼を好いていた公主は、千月にも実に嬉しそうな様子で結婚の報告をする。武安候が自分の血を何に使うのかが分かっていない時から、善い行いのために使っているのだろうと確信していた様子の公主は、二度目からは自らその身を差し出す清さである。

そもそも、麒麟血の自分に引き寄せられた千月が蝶奴と知ってからも、夫には事情を隠して彼女を大きな愛で包むこの公主は、なんなんですか、菩薩ですか、、、

 

武安候にとっても、姿を見れば嬉しそうに駆け寄ってきて、怪我をしたといえば心配して手当てをしてくれる、果ては、夫が後ろめたい思いをしないようにという気持ちもあったのか「あなたのお姉さんでなくてもやったよ」と言う妻を、愛さずにはいられなかったようである。

長風と同様、周りに愛する人もおらず一人で生きてきた武安候は、この屈託がなく温かい女にどんどん溶かされてきているが、まだ自身の気持ちに気付いていない。しかし麒麟血を奪うたびに衰弱してゆく公主の姿に胸を痛め、気持ちでは既に姉よりも公主を優先しているのが見える。

結果、このように変わっていく武安候の姿が、いちいち胸きゅんなのである。

※麒麟血:熱帯地方に産する竜血樹の幹などからとれる紅色の樹脂。止血剤・着色剤・防食剤に用いる。

 

ほどなく千月の妊娠が発覚する。

蝶奴の妻をどう普通の人間にするかの模索中に、子供などを産んでしまえば、どのような禍が起きるか分からない。それでも産みたいという妻に憤る長風は、おそらく初めて怒りを露わにする。

とはいえ、ただいまのベルは欠かさず鳴らす笑

 

少し前に、蝶奴から解脱する術はないと言っていた鳶婆婆だったが、子供を犠牲にすれば手段はあるという提案を聞かされた長風は、妻には言わず、その子供に蝶蟲を移し換えて、千月を普通の人間にするという方向に気持ちは向いているようである。

ただ、序盤で千月は特別な力があるような示唆が見受けられたし、そんな簡単にいくかな、、、

 

 

このドラマに、レギュラーのように出演している「念念無明」の殺し屋夫婦、ポスターまであった笑

監督の遊び心なのか、作中にも「虚顔」や「念念無明」の書物が映ったりしているのが若干微笑ましい。

 
一番のコメディ枠の大尉(長風、長燼の父)、息子二人を「逆子!」と言いながら、その息子達の屋敷の前をうろうろ。
「通りかかっただけだよ!」と偶然を装いながら様子を見に来る父には挙式の招待状も届かず笑
 
つづく
 
 

追記ネタバレ 第17話〜第22話(最終話)。

こ、これは、まさかの、、、

 

前話で、「お前のものは全てお前のもの。」と言って、ジャイアン的な所業も一切出来なくなり、麒麟血を公主から奪うのをやめた武安候だったが、公主の容態は悪くなるばかり。

おまけに、訳も分からず避けられ始めた武安候は、麒麟血を奪うのは既にやめたはずなのに、弱ってゆく公主を遠くから見守ることしか出来ない。

 

当の公主は、武安候の姉を生かすため、夫には黙って麒麟血を渡し続けているのだから、弱っていくのは当然である。これも自分の代わりに夷瀾族へ嫁がされた姉の話を立ち聞きし、大きな責任を感じたからである。

それに気付いた時すでに遅し。死が目前に迫る公主に、観ているこちらも哀しさしかなく、死なないでくれと祈るばかりになってしまった。

 

願いも虚しく死んでしまった公主に、かつて医術として使われていた蝶蟲を与え、縋るように鳶婆婆の元へ連れて行く武安候は、蝶蟲で一旦命を助け、その蟲は自身で引き受けるという選択をしたわけだが、血の繋がりのない間柄ではそれを引き継ぐことは出来ない。

しかし、「彼女は麒麟血で人を救ってきた、だから私の血にも適合するかもしれないだろう。」「それも可能性としてはあるね。」という謎の理由で、おそらく引き継ぐことが出来たのだろう。というのも、この部分の描写がないため妄想を巡らせることしか出来ないのである。

 

一方の長風と千月もまた、子供を犠牲にすることは出来ず、千月と血の繋がりのある産まれた子供に一旦蟲を引き継がせ、その後、子供と血の繋がりのある長風が蟲を引き受けることにしたようである。

 

兄弟なだけに、色んなところで行動が被る武安侯と長風は、結局最後は己を犠牲に愛する妻を救うのである。

 

そして、最終話。


夢から醒めた様子の千月と、その傍らには剣を鞘に仕舞う長風の姿。序盤の回想なのかと思っていたら、すくすく育った子供の姿もそこにはある。

 

ん?

 

これは、まさかの夢オチなのか笑

 

何もなかったかのように二組の家族が集まる光景が広がり、皆で仲良く時を過ごす姿を見て、やっぱり夢オチだったのではと思ってしまうが。

いやいやきっと!かつて千月が挑戦した墨魁湯での治療を七日七晩耐え抜き、二人とも蟲を取り除くことに成功したのではないか!千月には無理だったが、この兄弟には効いたのではないか!

 

今時、夢オチも珍しい演出だが、そうだったとしても、始まりが不穏だっただけに、皆が幸せそうにしているエンディングを観ると、まあいいかなと思える。

逆にこっちが夢なのかもしれないしな笑


↑最終話、今一度観てみたんだけど、この物語自体はおそらく21話で終わっていて、最終話が夢だったのではないかな、、、

あのままでは、あまりにも哀しい気持ちのまま終わってしまう視聴者への配慮なのかなとも思う。

※公式では、本当に帰ってきたよ〜みたいに発信されていたので、それぞれの解釈でいいと思います!