古相思曲 An Ancient Love Song 全14話 | 一言難盡

一言難盡

Ture courage is about knowing not when to take a life,but when to spare one.

 

『古相思曲 An Ancient Love Song』

2023年 6月~ 中国 全14話

 

監督 知竹


出演

陆鸢(陸鳶)→张雅钦(張雅欽)

沈不言→郭迦南

 


ネタバレあり

内容の切なさもさながら、オープニングもエンディングも美しく、そこを更に盛り上げる挿入曲が、内容と実に釣り合いが取れている。

おかげで、開幕から最後まで胸に重くのしかかる切なさにしんどい思いをする。

 

歴史作家の沈不言は、自身の書いている「南晟妖后」の時代へ謎にタイムトリップするが、一度目は、屋敷から飛び降りた女性の姿を、訳も分からず眺めるだけである。

しかし、視聴者的には、この白髪交じりの女性が、彼を知っている様子で微笑みながら涙を流す姿に早くも胸を掴まれる。

 

飛び降りたと同時に彼女が持っていた玉佩が5つに割れたのを見た沈不言は、現代に戻った後、それを必然的に見付けたのをきっかけに、不思議な運命を辿る。

 

この後、改めて過去に戻り、陸鳶と出会うこととなる。

沈不言には初対面でも、陸鳶の方には達観した雰囲気があり、彼を見る目もどこか懐かしげな様子から、どうやら、彼女にとっては初対面ではないように見える。

それも、観ていると段々分かってくるが、この二人の出会った時間は逆行していて、記憶が一致していない。沈不言目線で描かれているため、陸鳶側の過去の人々は沈不言を知っていても、本人はまだ、その未来にある出会いの過程を経ていないため、若干戸惑うこととなる。

 

序盤は、自身の作品のため、あまり記録の残っていない南晟元啟時代のことを学べる機会に喜んでいた沈不言だったが、妖后と語り継がれている陸鳶が全く邪悪な存在でないことに気付く。加えて、憂いを帯びた様子の陸鳶がどこか気になってしまったようである。

そりゃ運命だからそうなるね、、、

 

この過程の、元啟の変(丞相李擁の謀反)で自分を庇って亡くなってしまった陸鳶の運命を変えるため、幾度となく過去に戻ることになる。

 

この戻る時間が、どんどん時代を遡っていくため、沈不言の記憶は増えていくが、逆に陸鳶の時間は戻り、まだ得ていない未来の記憶となるため、序盤の憂いを帯びた陸鳶の姿が逆転して、沈不言の憂いに変わっていく。

戻る度に、愛する気持ちも募っていく彼の表情の変化が芝居からも伝わってくるため、実に切ない展開となっていく。

 

「私の過去は、あなたの未来」と言っていたように、この運命は、どうやっても変えられない、と半ばで気付いた陸鳶は、抗うこともなく、その運命に身を委ねてゆく。

4度目の穿越で、この決意を受け入れ、それでも側にいることを決めた沈不言は、謎のタイミングで現実に戻されるが、陸鳶が待ってる時間軸に戻れない自分に憤り、大雨の中、玉佩を必死に探す姿は思い出しても泣ける。

 

まだ正常だった頃の皇帝に国の治め方を進言しなければ、李擁も嫉妬に狂って謀反など起こさなかったかもしれない。最後の穿越(陸鳶にとっては一度目の出会い)で、この世の様々な摂理や国の仕組みを陸鳶に学ばせなければ、節度使だった李擁とも出会わず、あの村で幸せに暮らしていたかもしれない。

が、結局、沈不言が止めようとしていた元啟の変は、盗まれた地図を入れ替えるための陸鳶の策略であり、自分が過去に来たせいで亡くなったと思っていたこの出来事は、元々何も変わっていなかったのである。

もしかしたら、過去の沈不言の助言が効いていたのかもしれないが、だとすれば、この過去は沈不言の穿越を含め、5つに割れた玉佩が二人の間を循環していた結果を見ると、やはり決まっていた運命なのだろう。

 

この事象自体は、初回ターミネーターと同じで混乱するところ笑

未来からカイル(ジョン・コナーの部下兼父)が来なければ、ジョンも生まれなかったわけだし、サラも狙われることはなかっただろう。しかし、カイルの過去へのタイムトリップも含め、元々決まっていることには抗えないのである。※ファンタジーだから笑

 

合計7回過去に戻っていたが、戻る度に玉佩が繋がっていく過程を見ると、最初と最後はもしかしたら夢だったのかもしれない。

開幕の白髪を帯びた陸鳶と対比で、最後に幼き陸鳶に白髪を抜いてもらう沈不言は、まさに時間が逆行して同じ状態になり、開幕が陸鳶の最後の姿だったのを考えると、沈不言もあれが最後の姿だったのかもしれないな。

14話の後、陸鳶目線のハイライトが特別編のような形で作られているが、これを見るともう顔面水浸しになるので注意、、、


「空待」王朝

「相思不言」曾文力

「溯洄」小時姑娘

この挿入曲のおかげで、更にドラマの質が上がっている。


風早くんばりの爽やかさを纏う陸時役の全伊伦(全伊倫)が眩しかったわ笑