『长风渡(長風渡)Destined』
2023年 6月~ 中国 全40話
出演
顾九思(顧九思)→白敬亭
柳玉茹→宋轶(宋軼)
放蕩息子が、妻となった玉茹の存在によって、最終的に大躍進する先婚後愛ものだと思われるが、全体の流れが明るくて良い感じだ。
ネタバレ 第1話~第10話。
皇帝は体調が優れず、太子もぱっとしない、国庫も空の状態で、水難やら不作やらで困窮した百姓からは、金を巻き上げられない。
そこで朝廷は、国でも評判の徉州豪商顧家の財産を狙い、その一人息子の九思に公主を嫁がせようと画策して使者を送る。
今のところの朝廷は不安定なため、そんな娘を妻に迎えれば、顧家に災難が降りかかることを危惧して、どうしても拒否せねばならない九思の父母は、使者が辿り着く前に適当な娘との婚姻を決めてしまおうと躍起になっていた。
当の九思は、勉学も怠けてちゃらちゃら遊び歩いており、いわゆる金持ちの放蕩息子であるが、どうも女には全く興味がないようである。当然、結婚することも考えておらず、朝廷の思惑に嵌められないよう奮闘する両親の憂いを知ることもなく、お気楽な生活を送っていた。
そんな男でも、道端で凍えていた孤児に、高価な毛皮のコートを惜しげもなく与え、金まで施してあげるような優しい心を持っており、富豪の為せる技だとは思いつつも、チャラい割には好感の持てる男である。
その毛皮のコートを巡って、玉茹と出会うこととなるが、真面目でしっかり者の玉茹には、初対面にして、限りなく軽薄な振る舞いで接してくる九思が不快に思えて仕方がなかったようである。しかも、そのチャラさに耐え切れず、嫌悪感が言葉にも出てしまっている笑
人前で叱責を受けた格好となったのにも拘わらず、それに腹を立てることなく、甘んじて受け入れる九思は、性根の良いところが既に見えている。本当のところは、真面目で正義感溢れる気質を持っているが、それを見せることがかっこ悪いと思っているのか、敢えてチャラついて見せているのかもしれない。
ほどなく、玉茹と再会した九思は余程嬉しかったのか、いつもの悪い癖が出てしまう。
大勢の前で「一目惚れしたんだよ。」などと軽口をたたいてみせるが、このことが軽口では済まされない事態に発展し、あれよあれよという間に、玉茹を娶るという話にまでなっていく。
玉茹の方はというと、商家の嫡子ではあるが、父親の妾が柳家を牛耳っており、玉茹とその実母は虐げられる生活を送っていた。その味方はせず、一緒になって虐げている父親はマジのいみふ。
商家カーストでは下位に属しており、顧家とは家柄が違う。それでも息子は好いているというし、使者が迫ってきているのもあって、早々に玉茹を娶るため、当人達の知らぬ間に両家の親同士で日取りまで決められてしまう。
玉茹には、葉世安という好いている男がおり、年頃の女子は、この男の妻の座を皆狙っている。その競争率の高い妻の座を遂に射止めたと思った矢先に、ぽっと出てきた、あのチャラい男との結婚話を断れないことに、心底がっかりしたようである。
しかし踏ん切りも潔い玉茹は、覚悟を決めて挙式に挑むが、彼女と比べると内面はてんで子供の九思は対照的でうじうじ感が否めない。だから後々も年下の妻から、いつになったら大人になるの、とか言われちゃうんだよ笑
覚悟を決めて嫁いだのに、勝手に決められた結婚なのだから、すぐに離縁すればいい、お前も晴れて葉世安に嫁げるしその方がいいだろ?などと簡単に口にする心思は、女の事情が全く分かっていない。離縁の言い方などを気にしていたが、そこじゃない笑
これはもう出家でもするしかないと、さめざめと涙を流す玉茹の救いは優しい舅と姑。放蕩息子を一人前の立派な男にするという目標の元に、三人団結するところは胸が踊る。
ここから九思への教育が始まるが、当初嫌がっていた勉学も、成果が表れ始めて達成感を得たりすれば、人はそれに喜びを感じるようになるものである。加えて、そのことが玉茹の喜びに繋がると思うと、俄然ヤル気が湧いて来た様子の九思は、みるみるうちに大人の階段を登っていくのである。そもそも軽口のつもりだった一目惚れという言葉も、冗談だと言いながら実はその通りだったりするし。
この過程の反抗期の会話で、男も女も関係ない、一人の人間なのだから、自分のやりたいことをやればいい、そういうものがお前にはないのか、夫の後ろを付いて行くだけか、などと言われた玉茹は、それもそうだ、と己を振り返り自分探しを始める。
そこで思いがけず商人としての力を発揮した玉茹は、義父母の後押しもあって、その仕事にのめり込んでいくこととなる。
ほどなく、洛子商なるライバル商人が登場するが、序盤から存在していたこの男は、どうも九思への恨みが深いようである。概ね嫉妬だとは思うが、その理由が今のところは分からない。
この男が、王節度使などを使って九思を貶めようとしているが、この王善泉も、どうやら徉州で力を奮う顧家が気に入らず、常に貶めようと虎視眈々と狙っている分、利害が一致している。
この節度使のしょうもない息子の王荣が吹っ掛けたいざこざで、妻を守るために騒動を起こした九思を、ここぞとばかりに貶めようとした王善泉は、息子共々、九思の狂わんばかりの気合いに圧倒され、ちょっとした恐怖を感じたようである。
己の行動の責任を取る九思の姿は、痛々しくとも、やっとチャラく見せていたこの男の本質が現れたという意味では、ちょっと感激する部分である。
朝廷は相変わらず不安定で、先の使者から持って来られた婚姻話も断ったばかり。その時期に、目立つことをすればすぐにロックオンされ(既に財産を狙われているが)、顧家はあっという間に潰されてしまうかもしれぬ不安を抱えている。
その部分で、この先、仲を深めていきつつある九思と玉茹の手腕が光るのか、という期待で胸が膨らむ思いである。
いつになったら大人になるの、と言われていた九思の成長も見どころ。
童顔も相まってこのような役が実にハマっている白敬亭。
つづく
追記ネタバレ 第11話~第16話。
科挙の第一試験を目指し、相変わらず教育課程の九思は、先の王荣とのいざこざ解決や、周燁のいとこ(悠州節度使の息子)のため賭場へ出向いたりと、思いがけず頼れる姿を度々目にする玉茹の気持ちも、段々と変化が現れる。
王善泉を始め、朝廷からも狙われている顧家は、もはや徉州に留まるのは危険だと思い、少し前から話に出ていた悠州に拠点を移す準備を始める。
負担を掛けまいと、差し迫った危機を九思には伝えられないでいる父親は、確実に成長した九思が見えずに未だほんの子供だと思ってるようである。
顧家が悠州へ移動することを知った王善泉は、梁王が謀反を起こしたのを機に、準備していた策略を披露することとなり、顧家以下、名だたる士族(葉家)や商家を悉く潰して灰にしてしまう。
いやぁ、これは真正のクズだよ王善泉、、、己の息子までも構わず殺してしまうとは、限りない外道の極みである。しょうもない息子だったけど、父親から躊躇いもなく切られるのはさすがに気の毒すぎる。その裏で糸を引いている洛子商の恨みも、相当根深いものがありそう。
この徉州事変の少し前に、洛子商の幼少時の回想がある。
幼い頃の僅かばかりの幸せな記憶を、この歳になってまで大事に抱えて涙する姿に、急にかわいそう味が湧き上がるが、人の命を虫けらのように扱う姿を鑑みると、顔面の美しさに惑わされてはならぬという気持ちを強く持たなければ!と思う笑
この事変で、父を助けに戻った九思は、こんなところで得意分野の武芸を発揮することとなったが、子供だと思っていた息子の雄姿を見た顧朗華は、その成長を見届けることなく亡くなってしまったようである。
その九思を助けに戻った玉茹は、師父の犠牲もあって、間一髪でそこから九思を連れ出すことに成功するが、幼子の頃から九思を見守ってきた優しい師父もここで命を落とす。
更に、九思を誘き寄せるために捕まった楊文昌も首を落とされることになるが、この彼も、普段のチャラい振舞いとはてんで違ったかっこ良さに泣いてしまった。
いきなりほんわかムードから一転して、屍の山となった徉州の有様にはさすがに衝撃が隠せない。しかも善人が虫けらの如く殺戮されたことで、どうコイツらに天誅が下されるのかを期待しながら見届けることになってしまった。
九思をあと一歩で捕えられなかった王善泉と洛子商によって、賞金首にされてしまった二人は、徉州から脱出し悠州へ向かうが、この命を賭けた逃亡の日々が本当に辛い、、、
あばら家で、科挙の第一試験突破を知り、ひとときの喜びを味わうが、大事な人を大勢失くした現実を思い返して絶望する。
飢えた百姓達に群がられ、賞金首が露見して追われる。
決死の砂漠横断。食料も水も尽き、気力だけで砂漠を彷徨う。
そして、これはただのキスではない。
砂漠で気を失い、死にかけた玉茹に、己の血を飲ませる九思の姿である。(血を飲ませるのが良いのかはわからんが。)
このような苦難を共にした二人の絆は、この先何があっても途切れることはないだろうね、、、
この数話の間に、隠れていた九思の本質が頭角を現した格好となり、この苦闘の日々を経て、乱世を生き抜く覚悟を決めた顔面険しい変貌っぷりも見ものである。
巧みな洞察力で二人を見付けた周燁の助けで、無事母のいる悠州の家路へ着くことになるが、このサバイバルのおかげで忘れていた死者への想いを、再び直視せねばならない辛い時間が戻ってくる。実母を亡くしても気丈に振舞っていた玉茹には、穏やかな時間がその悲しみを増幅させてしまったようである。
皆が大事な誰かを亡くして、絶望する姿を見ると、ますます悪人たちへの天誅はまだかと逸る気持ちが抑えられない。
梁王が謀反を起こし、その勢いで殺戮をスタートした王善泉は、梁王側ということだから、皇帝VS梁王+朝廷の輩となり、九思は皇帝側で戦に出向くことになるのだろうか。
洛子商があちこちで手を回し、おそらく悠州にまで戦火を携えてくるだろうから、これからもその地は安全ではないだろう。
つづく
追記ネタバレ 第17話~第20話。
徉州事変から悠州へ逃げ延びるまでが、怒涛の展開だったが、この回は、戦の気配は迫っているものの、割と緩やかな日々となる。
緩やかといっても、今後の悠州の民が戦や災害で飢え始め、再び反乱が起こったとき、標的になるのはやはり財産を持つ豪商だと考えた九思と玉茹は、顧家の解散を決意する。多くの従業員を解雇せねばならない二人にとっては苦渋の決断だが、この乱世の大局をみると、そうも言っていられなかったようである。
さらに顧家が持っていた財産も、全て周燁を通して軍に寄付してしまうという豪快な所業は、やはり富豪の為せる技か、、、
このことを反対もせず、二人の意思を尊重する九思の母親を見ると、義母がこんな立派な人で本当に良かったという気持ちになる。
無一文になった顧家は、こじんまりとした家に拠点を移し、九思は軍の衙役(肉体労働、使いっ走り、なんでも屋)となり、玉茹は、おしろいを商売として店を開くこととなる。
直接ではなくとも、自分が寄付した金から九思の給金が払われるのかと思うと、なんというか変な構図になっている笑
しかし金はなくとも、二人の絆がさらに強みを増しているのは微笑ましい限りである。結婚した当初の、離縁の話もとうの昔になくなっているのに、今更このことが義母の耳に入ってしまうことになり、重ねて心労とならなければいいが、早く誤解を解いてあげて欲しい。
玉茹の方は、柳家の妾だった性根の悪い義母とその娘を巧みに使って、店を開いたのはいいが、そう簡単に客足は伸びない。
このことに若干頭を抱えていた玉茹の話を、九思が友人の周燁にちょこっと話したことで、それが周燁親族の節度使妻の耳に入り、急に客が押し寄せるようになる。節度使強い、、、
(因みにこの辺りで、玉茹の実母を崖で見捨てたのは妾だったというのが視聴者には発覚する。)
そうなると、やはり足を引っ張る者が出てくるが、元々同じ商売をやっていた趙商家(悠州の豪商)にロックオンされ、案の定なんくせを付けられることになる。
しかし、これを自身の機転のみで解決した玉茹は、肝の据わった女で実に頼もしいのである。←野次るおばちゃんを箒でやっつけるという力技。
野次られているのを知り、助けに向かった九思も、その妻が自分の力でしょうもない輩をやっつけているのを目撃し、自慢の妻だと思ったようである笑
箒片手に輩をやっつけているのを見られ、夫に嫌われてしまったのではと泣いちゃう玉茹は、かわいさ爆発である。ここ、ほんとにかわいい。
一方で、衙役として仕事をするイマイチ世間しらずの九思を、煙たがっている上官以下同僚たちは富豪だということに嫉妬もあるのか、九思を邪険に扱う。本人としては、何も知らない自分は一から学ばなければならないという姿勢を持っており、さほど気にしていないようだが、かつて助けられた節度使の息子は、恩人が虐げられていることに我慢がならなかったようである。
いやでもそれ、、、やり方間違ってるから、、、
このことで衙役ズに仕返しをされるのだろうが、何も出来ないように見える九思の武術を知らないからね、、、
つづく
追記ネタバレ 第21話~第28話。
この8話、特に後半は面白くて目が離せなかった。
20話の最後で、衙役ズのボス黄龍に袋叩きに遭った九思は、その時は大人しくやられることにするが、転んだと言う九思の嘘を早速見抜いた玉茹は、明くる日、仕返しに黄龍を袋叩きにする笑
お互い懲らしめる程度のものだったため、知事に任命された九思と黄龍は、正直に己の所業を打ち明け和解する。
徉州では節度使の王善泉が悪事を担っていたが、ここ悠州では、豪商の趙家が糧食を巡り私利を得ていたようである。
これを山賊のボス以下、手下共も加担しており、沈明もその手下の一人だったが、民衆を救うためにやっていたことが、実際は私利のためであり、結果的に民衆を苦しめていたことを知った沈明は、このボスを潔く抹殺する。
九思や玉茹と心意気が被るため、人質として捕えた玉茹を本人とも知らず、憧れの女だという沈明は一見ドジっ子に見えるが、この男の本質を見抜き仲間に引き入れた玉茹はさすがである。(この後の沈明の活躍ぶりには目を見張るものがある。)
戦の気配が近付き、その準備として兵糧を蓄えるための試練(期限付き)を科された九思と玉茹は、各州へ赴き糧食を手に入れることとなる。
この役目を一人で担うことになった玉茹は、ひと時九思と離れ離れになるものの順調に糧食を増やしていく。
しかし予定外の災害で、目標の数に達することが出来なくなった玉茹は、やむなくかつての故郷、徉州へ再度足を踏み入れることになる。
ここで見つかれば、未だ徉州を牛耳っている王善泉に狙われるため、細心の注意を払わなければならないが、そこに、かつての想い人、葉世安が登場する。
葉世安は、妹の葉韻を人質に捕られているため、王善泉の悪事に加担し生計を立てていたが、民のために尽くすという本来の心は失ってはいない。
そこで玉茹に協力し、糧食を手に入れる策略を共に練ることになるが、囚われていた葉韻も同時に救うことに成功し、皆で悠州に向かうこととなる。徉州を出る直前に王善泉をめった刺しにした葉韻、、、つよい。
これも洛子商が周辺を操り仕向けた結果であるが、さすがに彼女のめった刺しは計算に入ってなかったのでは、、、それでも、あいつ邪魔だったしラッキーくらいにしか思っていない笑
※因みに、崖から落ちた実母は葉世安に助けられ生きていた。
無事、試練を切り抜け悠州に戻って来るやいなや、梁王が悠州を標的に迫ってきて大忙しの玉茹と沈明、、、
梁王の進軍側の前線にある望都(周燁が守っている)を、知事の九思が率いて防衛が始まるが、ここに駐在する僅かな兵と一般の民で守るには、二十万(うろ覚え)の梁王軍には到底かなわないと考えた周燁は、父の周高朗将軍に援軍を賜りに向かう。
しかし悠州の節度使や将軍は、とうに望都は見捨てていた。ヤングvsオールドの分かりやすい構図になっているが、ヤングは僅かな希望を捨てず、前線の望都を死に物狂いで守り、オールドはそれを見捨てて目下東都に釘付けのようである。
救援も望めない望都は、ここを守れず死ぬことになるだろう、と打ち明ける九思を、変わらぬ微笑みで受け入れる玉茹の眩しさよ、、、
見事に本質が開花した九思もまた、序盤のチャラい風情は全く感じられず、負け戦だと分かっていても、凛々しさ際立つ統率力で軍を率いるのである。
この間、各々が持ち場を守り戦に挑む様はマジの感動である。九思の幼き頃からの下男ですら、戦の経験も皆無だというのに、敵を前にして必死で抗う姿には泣けてくる。なんでか一番涙したのは、黄龍の死にゆく姿だったが、、、せっかく和解したのにね、、、
父の反対を押し切って望都に戻って来た周燁は、きっちり九思に梁王を討たせて悠州を勝利に導くのである。
追記ネタバレ 第29話~第36話。
この8話は、各々の別れが際立つ哀しい展開となる。
いやほんと、太子(かつて九思が賭場で助けてあげた節度使の息子)が清々しいほどのバカ息子でイライラする。
前皇帝が亡くなり、継承争いもなく悠州の節度使が皇帝の座を引き継ぐこととなったが、未だ、前太后と公主が幅を利かせているため、旧朝廷勢力と大夏朝廷との派閥の板挟みになった皇帝が本当にお気の毒、、、
そこに太后親族の洛子商が登場する。この男があらゆる所で画策し、派閥争いを盛り上げてしまったために、九思と玉茹は境地に立たされる。
相変わらず、国庫は空の状態が続いており、旧朝廷の財政記録を整理するため、九思が調査を始めるが、洛子商が先回りをし、都合の悪い者を消してしまう。
実際は、太子を薬で操って実行させたのだが、これを九思の仕業と見せかけた洛子商は、まんまと九思を捕えさせることに成功する。
九思ばかりを優遇する父を見て嫉妬する太子は、その目を九思から自分に向けて貰うことばかりを考え、洛子商の策に引っかかってしまった。
民のために国を良くしようとする九思の周りの若い衆のような気概は全くないのに、太子というだけで皇帝になれると思っているしょうもない男、、、
捕らわれた九思を助けようと、玉茹以下、仲間たちは証拠を集めて皇帝に提出することになるが、そこに、太后が公主を九思に娶らせようと被せて面倒な話を携えてくる。これも洛子商の根回しのせいであるが、いやいや、今それどころじゃないのだよ。
容疑が晴れるか晴れないかの大事な時に、九思がこの婚姻話を断ったために、太后の逆鱗に触れてしまい、難癖を付けられた九思は再び牢の中へ逆戻り。
玉茹を助けるために死を覚悟して飛び込んでいった九思は、太后によって命を取られる瀬戸際に立たされるが、「夫の罪は妻の私が全て引き受けます。」と言う玉茹が、代わりに命を捧げてしまう。
さすがにここは、亡くなったことにしてどこかで生きているのだろうとは思ったが、この件で、旧皇家と新朝廷の板挟みで苦悩する皇帝の姿は、名君なだけに本当に気の毒である。
生きているとも知らず、打ちひしがれる九思は、長年、黄河の水難で苦しむ永州に派遣されるが、誰も達成できなかった黄河の整備を成功させることを目標に、悲しみを背負いながらもひたむきにこの作業に専念する。
玉茹の方は、身分を偽って、これに資金を援助する女商人として黄河整備の手助けを行う。
周燁、葉世安、沈明もまた、各々の場所で為すべきことを懸命に取り組み、またしても若い衆が活躍する姿を見せられる。(順番に、この姿を描写する編集が実に巧みである。)
ほどなく黄河の整備が成功し、妻が生きていたことも知ることになるが、なんというか、死んだと思っていた最愛の妻が生きていたとなると、どんな気持ちになるのか想像し難いな、、、素敵!とか、嬉しい!とかそんな次元ではないような気がするが。
この三年の間、九思の叔父(江河)の働きが要となっているが、この叔父の活躍が素晴らしい。皇帝と共に玉茹を救って援助し、九思を常に貶めようと企んでいる洛子商を言葉巧みに騙して、悪事の動きを封じる手腕を光らせる。
結果、遂に彼を朝廷からも追い出してしまう叔父は一体何者なのか。洛子商も疑い深いはずだが、いつもの勘が冴えず、謎にころっと騙されてしまっている。
皇帝は、板挟みの心労がたたり病を患うことになるが、いくら名君とはいえ、息子に対してはやはり可愛さが先立ち盲目なのである。皇帝に関しては、ここだけが残念なところだが、この三年の間、当の太子は遊びに呆けて散財し、国の未来を考えることもなく怠惰に過ごしていた。
このことを長年の友、周高朗に忠告されてもなお、耳を傾けることなく激高する皇帝に、諦めた様子の周高朗も、遂に皇宮から去っていってしまった。
いや、皇帝ほんとかわいそう、、、この地位に君臨する人間は孤独だという表現は時代劇には欠かさず登場するが、まさに唯一の拠り所に去られてしまった後の皇帝の姿は、気の毒すぎて泣けてくる。
当のバカ息子は、悠州で女に夢中になっており、病の父を労うことも忘れている。てかこの女、ひょっとして賭場にいた洛子商の手先か、、、忘れかけていたけど西鳳って名だったような笑
いくら可愛い息子でも、対話をしているうちに、コレに国は任せられないと悟った皇帝は、息子を廃太子にし、皇帝の座を周高朗に譲位することに決めるが、それを聞いた太子は怒り心頭である。志もないくせに激おこなのがいみふなんやが、、、国を治められるだろうかの不安とかないのかよ。
36話の最後は、父親を己の手で殺めるのではないかという勢いだったが。
つづく
追記ネタバレ 第37話~第40話(最終話)。
己の手で殺めずとも、息子の激おこっぷりに動揺し、今後のことが気掛かりな様子で息を引き取ってしまった皇帝、、、どこまでも不憫なお方であった。
周高朗への譲位を成し遂げられないまま、その遺言を隠して己が皇帝となった太子は、勿論この先のことは何も考えていない。結果、洛子商の良いように利用されるわけだが、北を守っていた周高朗以下兵士を南へ進軍させ、その隙に、周家を襲ってそこにいた皆を殺戮してしまう。
自身の目的のために、周家が邪魔だった洛子商に、言葉巧みにそそのかされた太子の後悔や焦りも後の祭りである。
幼い頃から面倒を見て貰った周家の人々に恩義のある太子は、その出来事から目を背けたくてたまらず、結果、オレは皇帝なんだから!と開き直った態度へと逃避するしかなくなってしまった。いくら無能でも、側近が優秀ならなんとかなるだろうが、私怨を果たすためだけにこの地位へ登り詰めた洛子商では、たとえ優秀でも方向が違う、、、
洛子商の目的は、太子を掌握し東都軍を手に入れた後、それを支配することであったが、全ては九思を捕えて殺すためである。このためだけに、これまで多くの屍を踏み潰しながら徉州、悠州、そして東都に上ってきたのである。
この執念がもはや恐怖でしかないが、この原因は、九思の父への恨みと、おそらく息子という同じ立場でいながら、自分とは真逆の順風満帆に生きてきた九思への嫉妬と憤りなのだと推測される。
少し前に、江河(九思の叔父)と洛子商の対話で、九思の父が自分の父だと言っていたシーンがあったが、これまで自分と母を捨てたのは、九思の父だと思っていたようである。
しかし実際は、江河が実父だったというのが発覚する。しかも皇宮を炎上させてここで皆息絶える、と宣言した洛子商の横っ腹を江河が刺し、息絶え絶えになっている最中にである。
えーーーー、もっと早く言わんかい!
もっと早く対話で誤解が解けていたら、洛子商も無駄な恨みで日々を費やすことも少しは短く済んだのに。江河としても、気付いた時には怪物になっていた息子をどう扱えばいいのか分からなかったのだろうが、どうりで終盤から江河が前のめりで登場していたわけである。
江河が言っていたように、早く気付いて一緒に過ごしていれば、怨みのみを抱えて、こんな風に成長することもなかったのにね、、、何のためのこの人生だったのか。
この償いにと、自分も息子と共に昇天してしまった江河は、息を引きとる直前、「爹」と呼びかけていた洛子商の言葉に、少しは救われただろうか。
最後の最後に、親族を皆殺しにされた怒りで東都に乗り込んできた周高朗は、頭に血が上っているため九思の進言にも耳を傾けることが出来ない。
このシーンの章呈赫の芝居がすごく良い。聞いてるだけで泣けてくるこのような芝居は、やはり熟練の技か。
このドラマのおじさん枠の皇帝(何中華)、江河(何晟銘)も共に芝居が際立っていて、後半は若い衆よりも、おじさん達の芝居に圧倒される。
それでも今後この世を背負ってゆく若い有志たちの姿に説得された周高朗は、観念して本物の勅命通り皇帝の座へ就くこととなる。
序盤から波乱の展開を経て、遂に手に入れた平和な日々を過ごす睦まじい顧家の様子を見ると、ほんとにお疲れさまでした、、、という気持ちになった。
玉茹の戻って来た姿を見て、己の子供よりはしゃぐ九思は本当にブレない人だな笑