『长月烬明(長月燼明)Till The End Of The Moon』
2023年 4月〜5月9日 中国 全40話
原作 「黑月光拿稳BE剧本」藤萝为枝(藤蘿為枝)
出演
澹台烬(澹台燼)・冥夜・沧九旻(滄九旻)
→罗云熙(羅雲熙)
叶夕雾(葉夕霧)・桑酒・黎苏苏(黎蘇蘇)
→白鹿
試しに第2話まで観たんだけど、、、気の毒すぎて見てられん、、、
ネタバレ 第1話〜第2話。
初っ端から、三界の仙人達を殺戮し、その地を次々と破壊していくべらぼうに強い魔神が登場する。彼の第一の目的は、衡陽宗掌門の保管する「過去鏡」という神器を手に入れることである。
これは、過去に遡り運命を変えることの出来る神器であり、己の過去が弱点である魔神にとっては、この過去鏡という存在がその身を危機に晒しているという。
この魔神の存在がなければ三界の平安は保てるはずだと考えた仙人衆は、そもそもの魔神の起源を絶やすため、かつては人間だった澹台燼の持つ「邪骨(魔人の源)」を破壊するべく、過去鏡を使い500年前に転生することにする。
その役目を担う衡陽宗掌門の娘、黎蘇蘇は、どうやらそれが出来る唯一の娘であり、本人が志願したというより元々決まっていた運命だったのだと思われる。
転生といっても生まれ変わるわけではなく、最近流行りの転生物のマンガのように、盛国将軍の娘である葉夕霧という人間に、突然、黎蘇蘇の魂が入ってしまう仕様なので、序盤は元の人格を把握するのに一苦労。しかも、知れば知るほど若干引くぐらいの悪女なのである。
転生後の開幕、転生先の葉夕霧は、盛国の六皇子、蕭凜に心酔しているという話を侍女から聞いていたのに、屋敷に戻ってみたら自分は澹台燼と夫婦だと聞かされた黎蘇蘇は、訳が分からない状態に陥る。
それでも、転生した目的は澹台燼の邪骨を破壊することだし、捜す手間が省けたラッキーくらいに思っていたのに、葉夕霧の澹台燼に対する所業がクズすぎて、彼を死なせる寸前の時間軸に来てしまっていた。(雪空の下、地面に跪かせて3日経っていた。)
転生前に見せられた過去の彼が死にゆく描写と重なって見えた情景に、邪骨を破壊せず死なせてしまえば魔神が生まれてしまうと焦った黎蘇蘇は、彼を助けることにする。
勿論、哀れだと思った訳ではなく、魔神を生まないためだと必死に自分に言い聞かせるが、元々、性根の良い黎蘇蘇にとって、この虐極まりない仕打ちには胸を痛めてしまったようである。(父や仲間のため、魔神に同情したりすると負けだと思っている笑)
魔神のかつての姿、澹台燼は、景国の皇子であるのに、幼い頃から人質として盛国に放置されていたこともあり、これまでのこの男の人生は味方もおらず、虐められ、侮辱されるだけの日々だった。長年このような扱いを受けて来たゆえに、魔神となるべく禍々しい気持ちが育っていったのも分かるような酷さでみてられん、、、
その二人が夫婦というのも不自然な気がしたが、これにも理由がある。
姉の葉冰裳と盛国の六皇子の蕭凜は、婚姻が決まっているのに、蕭凜に想いを寄せる葉夕霧は、彼を自分の物にしたくてたまらない。その欲求が強すぎて、五皇子と姉に媚薬を盛り一夜を共にさせるという悪巧み計画を立てる。
これが発覚した暁には、姉と六皇子の婚姻もなくなり自分の物に出来るだろうと勇んで実行するが、五皇子が口にするはずの物が澹台燼に渡り、姉が口にするはずの媚薬もまた、葉夕霧が口にしてしまう。え、そんなことあるのか笑
通り魔にヤられた感の澹台燼はともかく、己の策に己で引っかかるとは。おっちょこちょいな顛末で無事一夜を共にした二人は、半ば強制で夫婦にされた、という訳である。
痛恨のミスで夫婦にまでさせられた葉夕霧は、更に澹台燼への扱いが非情になり、虐待を繰り返すこととなる。八つ当たりとも言う。姉への扱いにもぞんざいさが見えるのも庶子と嫡子の立場の違いだと思われる。
中身が入れ替わってからの葉夕霧は、澹台燼への扱いが段々と変化していく。本人としては、助けるつもりではなくとも、死にかけているのを必死で看病したり、侮辱する調理場の下人を叱責したり、食事をきちんと与えたりして、昨日言ってたことと真逆になっとる、、、状態で周りは面食らっている。中身が入れ替わっているのだから、所業も異なってくるのは当然のことだが、それを知っているのは視聴者のみなので、澹台燼本人が一番困惑しているようである。
このまま禍々しい心が育たぬよう黎蘇蘇の大きな愛で包めるのか。それでも魔神にはなってしまうのだろうが、どんな変化が起きるのか気になっちゃうわ。
つづく
追記ネタバレ 第3話〜第10話。
白鹿演ずる黎蘇蘇がひたすらに良い。
幼少から虐げられ続けていたせいで、負のエネルギーが蓄えられてしまったと思っていたのに、なんとナチュラルボーン魔胎だったとは驚きである。
人間にある様々な感情がないまま、これまで生きて来た澹台燼は、とにかく煩わしい思いをしないために、一番徳の高い六皇子(蕭凜)を真似て、感情や行動を学習したようである。
しかし彼が言っていたように、その都度の人の感情は分かるものの、それを自分で感じることは出来ない。ゆえに涙を流すこともない。
妖女が人を襲い、その心に巣食う怨念をエネルギーにするために悪夢を見せるが、おそらく涙を流したのは夢の中でのその時一度きりである。←見直してたら、蕭凜と黎蘇蘇の本心をうっかり聞いてた5話で涙流してた、、、感情ないのになんで。
それなら、彼の命を賜ろうと待ち望んでいる、あの心に巣食う禍々しい思念はどこから蓄積されたのか。
夷月族公主の唯一の血筋である澹台燼が、景国で虐げられている時も、人質として盛国へ出されていた時も、侍女として就いていた瑩心は、この生活が辛すぎて、最後は澹台燼を裏切ってしまった。この報復を彼女に与える澹台燼の行動は、感じずとも「そういうもの」として学習しているものだからなのか。ということは、恨みも悲しみも感じないはずのこの男の邪悪な思念は、やはりナチュラルボーンなのでは、、、
この辺りは若干解りかねるが、黎蘇蘇や視聴者の私たちには感情があるため、これまでの彼への惨い仕打ちを見せられ胸が抉られる思いをする。
4話の開幕なんて、夢の中で母親の生き生きとした姿と対比して、それを見つめる澹台燼の生気のない姿に背面で流れる「玄鳥」がマジで泣かせてくる。
夢から醒め、再び妖女が負のエネルギーを吸収しようと澹台燼を襲ってくるが、逆にその妖女ごとエネルギーを吸収してしまった彼は、第一の覚醒を果たす。
力を持つとはこのような感触なのか、と初めて何かを感じた瞬間の恍惚とした表情、、、怖いよ笑
このエネルギーを得て、これまで自分を虐げてきた者たちに報復することにした澹台燼は、蕭凜と葉冰裳の挙式中にカラスを使って大騒動を起こすこととなる。
魔神の卵ともなれば命など容易く取りそうなものだが、そこまではまだしない。(夷月族には動物や虫と意思疎通出来る力がある。)
これまで幾度となく澹台燼の命を救ってきた黎蘇蘇は、本人の仕業とは知らずにいたこの時もまた、真っ先に彼の元へ駆け寄り命を守るのである。おそらく愛情という情は彼女から学ぶのだろうな。
澹台燼は魔胎でもあるが、同時に景国と盛国からも忌み嫌われ危険視されているため、本当に忙しい。その上、かつて捨てられたと思っていた夷月族の蘭安も登場し、夷月族王族の血を引く澹台燼を国に戻す手筈を整えていた。
盛国王からは、カラス騒ぎを起こしたのは澹台燼ではないかと追われ、景国の新王となった兄の澹台明朗には、幼き頃の恨みで命を狙われる。これも逆恨み。
迎えに来たと思わせといて、結局、兄の澹台明朗に引き渡して裏切りを図る蘭安は、娘を人質に取られてやむなくの行動だったものの、ここで人の情とは何かを語る。
しかし情がどんなものが分からない澹台燼には、瑩心の気持ちを想像することも出来ず、許すということもまた分からず、裏切られたら報復をする、そのことしか学んでなかったのだと思う。
裏切られっぱなしの澹台燼、、、その上、澹台明朗に毒を盛られて命からがら海へ飛び込んでしまう。
またもこの命の危機を救うのは黎蘇蘇。
この少し前に、夷月族の迎えの船上に捕らわれた彼女は、澹台燼の口から、葉夕霧との婚姻の原因となった媚薬のすれ違い事件、瑩心の気狂い事件、カラス事件など全てが彼の仕業だったことを聞かされる。
ここから逃げ出さねば、と船から飛び降りた黎蘇蘇は死にかけるが、海の底に眠っていた古代魔女の玉の力で地上に戻され命を助けられる。
澹台燼の命が尽きる前に、邪骨を破壊せねばならない使命のある黎蘇蘇は、二人散り散りになってしまってどうするのかと思っていたが、川辺で死にかけていた澹台燼を、おそらく必然的に発見する笑
さすがは魔胎ともいえる彼の所業に激おこの黎蘇蘇は、蘭安を殺したという言葉を聞いて、更に頭に来た様子で、死にかけの澹台燼を爽快に平手打ちするんだけど、、、
「去ったと思えば戻って来て、少し期待を持たせてゴミのように捨てる。」
「蘭安が何したの?」
「別に?裏切ったんだろ、瑩心と同じ、裏切っただけ。」
ここは演じている羅雲熙の瞳も潤んでいたし、涙を流さぬキャラゆえに、こらえた様子が実に切ない。
この後、景国の追っ手に攻撃を受けるが、お互いがお互いを庇い合う姿はちょっと胸熱な場面である。
黎蘇蘇には目的はあるものの、それとは違う感情も芽生えているし、澹台燼にとっては、初めて死なせたくないと思った人間なのではないか。かつて人を好きになるという感情がどんなものかを黎蘇蘇から学んだ彼は、ここでそれを初めて体感したのかもしれない。腹の探り合いを保ちつつも、確かに互いの存在感が増しているのがわかる。
命からがら逃げ切った二人は、この後少しの間別々に行動することになる。
黎蘇蘇は、邪骨を手に入れるための「一つの夢」「一滴の泪」「一筋の糸」この3つを探る道へ。※300日内の期限付き。
澹台燼は、景国へ戻り澹台明朗を倒して王座を得るが、それを聞いた盛国が景国へと進軍、戦の始まり。
つづく
追記ネタバレ 第11話〜第16話。
えー、、、天歡(葉冰裳)なんこいつ、、、
ドラマとはいえ本気でむかつくんやが、、、
第16話で頭に来たせいでその前の内容がだいぶ飛んでしまった笑
第10話の最後で戦が始まり、動物を操れる澹台燼側の景国の方が優勢となっていた。しかし盛国の底力を知っている澹台燼は、これ以上民に犠牲を払わせるのはどうなのか、もう停戦にした方がいいのではないか、と盛国総大将の葉清宇(夕霧の弟)に打診する。
魔神の卵である澹台燼は、いちいちいやらしい言い方をして相手を丸め込むのが上手い。
葉清宇は生真面目で、実に正義感の強い男であるため、ここで投降しては葉家の名誉に関わる、という気持ちと、民を苦しめ続けることへの意義とを苦悶する。
その結果、無駄に血を流すことを避けるため、名誉を捨てて投降する方を選ぶこの男は、やはり期待を裏切らない。
投降したという知らせを受け、ひたすらに怒り狂う盛王を説得出来ず、受動的ながらも戦場に向かうことになった蕭凜。
澹台燼は、その蕭凜に備えるため、海の底に眠る古代の大妖(蛟龍)を利用しようと考える。
この大妖は、神にもなりえるし魔物にもなりえるという代物で、大妖とシンクロしたように見えた澹台燼が、魔に落ちるのを恐れた黎蘇蘇は、この大妖の夢の中に入れば何か変えられるかもよ?という龐博士の言葉を聞き、迷わずイン。それに続き澹台燼、蕭凜、そして巻き込まれた葉冰裳、4人が夢の中へと吸い込まれる。
般若(仏の智慧)浮生(儚い)幻境の世界に舞台は変わり、いきなり戦神冥夜と魔神との戦場の描写からスタートする。もちろん冥夜は澹台燼、ここでは神君として存在する。
蛤族の公主として存在する桑酒(黎蘇蘇)は、その冥夜に憧れ続けている娘である。夢の中ではその人物として生きているため現世の記憶はない。
魔神に倒され、死にかけた冥夜は、夢境に於いても桑酒に助けられ、蛤族王(桑酒の父)になんだかんだと理由を付けられて、不本意ながらも桑酒を娶ることにする。
この白鹿演ずる桑酒が仰天するくらい愛らしいため、天歡の意地汚さが映えるのかもしれない。
冥夜は、魔物が出たと聞けば戦に赴く生活をしており、異性に興味もなく、正直、嫁など娶る気は更々なかったようだが、桑酒と過ごすうちに少しずつ心を寄せていくようになる。←桑酒は元々好いているので問題ない。
眠っているうちに、冥夜を奪われた(と思っているが別にお前の男ではない)天歡は怒りが収まらず、仲を引き裂くためにあれやこれやと嘘を吹き込み、互いに疑心を抱かせることに成功する。
もうこの辺からイライラ、、、冥夜も天歡の言うことをホイホイ信じるものだから、これにもちょっとイライラ、、、長い間接しているんだからこの女の本性に気付いてよ。
ほどなく、魔神を再度倒す(邪骨を破壊する)計画を立てる十二神の一人、冥夜は、おそらく生きては戻れない自分から解放せねばと桑酒に離縁を言い渡すが、これも天歡の嘘のせいで心を悩ませていたからである。(一度もお前を愛したことはないと言って突き放す定番の流れ。)
魔神と十二神総出での戦が始まり、幻想的な戦闘シーンが繰り広げられるが、VFXでのファンタジー世界をこの様に魅せてくるとは、他国のものとはまた違った魅力が中国ドラマにはある。
十二神全てが命を賭して魔神を倒し、海に沈みゆく冥夜を、やはり飛んできて救うのは桑酒である。
傷つかないよう、懐に大事に包んで連れて帰ってくるその姿は、いじらしすぎて泣ける。※かつて十二神の一人、初凰に施された、どこにいても飛んでいける一度きりの術で見事冥夜を探し当てる。
小さい原体(蛟龍)に戻った冥夜を蛤の殻に納め、大事に大事にお世話をする桑酒は、傷つけられてもなお心は離れてはいない。
しばらく原体のままでいた冥夜は、いつしか人の姿に戻るが、目覚めた時には視力を失くしており、桑酒の存在に気付かない。いやいや声や匂い、体つきなどで気付くであろう要素は山ほどあるのに、戦神、、、鈍すぎやろ笑
怒涛の展開を経て、この辺境でのゆったりと流れる二人の時間は、おそらく最後の穏やかなひとときになるのだと思う。
そして、鏡に映った桑酒に気付く瞬間が来る。
このシーンは、え、涙ってこんな唐突に洪水となって流れることがあるのだな、という経験を味わう笑
視界がゆっくりと開き、脳に認識されるまでの間合の編集が抜群だったため、羅雲熙の芝居も生きている。
桑酒としては、目が良くなれば正体が発覚してしまうし、自分を煩わしく思うだろうから、直ぐに離れねばならないなどと悩んでいるのだが、違うのだ、見てくれ、この瞳が語っているのだ。
「人死了之后會去哪兒啊」
「靈魂會漂洎無依、最終走入幽冥川、隨河水流人世界的盡頭」
「那神呢」
「神沒有魂魄、神明隕落后、便是在這世間消失得幹幹淨淨、無論何處都再無可尋了」
「會有人記得他們、那就不算消失幹淨」
この穏やかな時間は、またも天歡によって破壊される。
嫉妬に狂ったこの女は、桑酒を仕留めようと早速やってくるが、見つからないのに腹を立て、海底の蛤族の住処へ乗り込み、そこにいた全員を殺してしまう。くっそーーークズーーー
散々注意を促されていた桑酒の妖気が、悪に変わった瞬間である。あぁどうなってしまうのか。
つづく
追記ネタバレ 第17話〜第18話。
この夢の中の幻境は、どの段階でクリアなのかと思っていたが、天歡が死に、魔に取り込まれた桑酒もまた、塵になってしまった段階で4人は現世へ戻る。
現世と夢境は繋がっている部分もあり、荒淵の封印を守護していた稷澤は、夢境でも現世の未来を見ていたようだし、最終的に魔物となった桑酒は、おそらく墨河の底に沈んでいた(玉の力で黎蘇蘇を助けてくれたアレ)古代の魔女である。
だとすれば、夢境での出来事は実際に起きたことで、その中に現世4人の魂が入り、過去の4人の記憶を追体験していただけなのか。そうなると、夢境にいた既に魔神の姿の彼が澹台燼であったのは、あの魔神もその過去で塵となって澹台燼に生まれ変わり、再度、500年後に魔神となってしまった運命を、未来から飛んできた黎蘇蘇が阻止しようとしている、、?
ではそもそも、あの夢を見せた蛟龍は、冥夜の現在の姿ということで、魔神が澹台燼だとすれば、現世で4人が邂逅している訳ではないようである。
現世と夢境の挟間で、戻りかけた澹台燼に対しての最後の言葉は、元の桑酒のものであり、このおかげで魔に落ちることはなかったが、冥夜にとっては、永遠に償いを出来ずに時は流れているのかと思うと切ない。
思えば、序盤に蛤の殻を握りしめていた描写があったし、こういう訳だったのかと思うと更に切ない。いつか邂逅して本当の意味で償える機会があるといい。←最後の言葉で冥夜が悔恨から解脱出来たことにより、蛟龍が塵となって消えたのだから、一応冥夜は安らかに昇天したようだ。この業から解放させてくれる何者かをずっと待っていたんだね。
結果的に、般若浮生の世界へいざなわれたのは稷澤の計らいであったし、ここで邪骨を破壊する3つの条件の2つは達成出来てしまった。ということは、感情を生み出させるために夢の中に誘われ、夢境で人を愛することを疑似的に学んだ澹台燼に、残った条件の「一縷絲」情絲(愛するという感情)を達成させるための導だったのだろうか。
しかも戻った全員が夢境での記憶があるため、これは割と難儀な展開になりそうである。
冥夜だった澹台燼は、愛した桑酒の記憶が後押しして、3つ目の鍵を得るのは割と簡単にいけそうだが、悪女天歡の記憶が残る蕭凜は、少し躊躇しているようにも見えたし、元のように葉冰裳を愛することは出来るのだろうか。
葉冰裳もまた、「天歡のように男のために手を汚すのではなく、自分のためにこの手を血まみれにしてやるわ。」などと言っていたのを考えると、幼き頃から、庶子というだけで虐げられてきた辛い記憶が悪心として育っており、遠からず闇堕ちしそう。言葉とは裏腹に既に心は悪に占められているからね。
黎蘇蘇としては、冷静に3つ目の鍵である、「情」を引き出すため、澹台燼にくっついて回るが、やはりこちらも桑酒の記憶があるために、そのうち冷静ではいられなくなるのだと思われる。
かつて魔女の呪い(玉)を澹台燼から取り除くため、自分が代わりにそれを背負った一件も、今後波乱の展開となりそうである。
てか、ネズミにヤられたと思っていた兄貴、まだ生きてた笑
つづく
追記ネタバレ 第19話~第22話。
早々に自分を愛するよう、滅魂珠涙から釘(9本と言ってたような)を抜く3つ目の試練を絶賛進行中の黎蘇蘇は、御前侍女(澹台燼の世話係)に任命され、相変わらず澹台燼の周りをうろちょろ付いて回る。かわいい笑
これを冷たくあしらうフリをしながら、心地良くなっている魔胎、、、未だ彼が何かを感じているのかは謎だが。
男心を熟知している翩然からアドバイスを貰っては、それを実行する日々の中で、二人の気持ちには変化が現れる。
人は自分に対して良くしてくれる人を、好きにならずにはいられない。そのため、自分を喜ばせようとする澹台燼を「愛してもらう」という使命だけの気持ちではもはや収まっていない。
澹台燼もまた、浮かれて優しくしたり、不安になって突き放したり、まさに典型的な恋愛中の症状が現れているし、一体、感情がないとはこの男のどこに当てはまるのかと困惑する。
盛国の蕭凜は、未だ後退せず景国への戦略を模索するが、痺れを切らした盛王が再三侵攻を促してくる。
戦略も立てられない盛王は黙ってればいいものを、面子ばかりで、兵士はおろか息子の蕭凜の命すら惜しくはないようである。澹台燼が悪だといっても、コイツと比べると何が悪なのかもはや分からない。
勝てないと頭から分かっていても、親父に催促されては侵攻する他ない蕭凜は、ダメ元で再度戦を仕掛けるが、妖術が更に強化された澹台燼には敵わず、退却を余儀なくされる。
蕭凜が退却したことに怒り心頭の盛王は、澹台明朗側からの提案を受け、澹台燼の母親の遺骨を奪うことにする。
感情が現れ始めた澹台燼はこれに怒り狂い、前線の蕭凜をスルーして盛王の屋敷まで直接向かって、罠に嵌るどころか、盛王と、そこにいた瑩心を殺めてしまう。
これも盛王が仕掛けて、自分で澹台燼を呼び寄せたのだから、最後まで悪態をついていた彼が滅されるのは仕方ない。しかし瑩心を殺めたのは、彼女をこの世の苦しみから解放するためである。きちんと彼女の自分への恨みも受け止めてから解放する澹台燼は、もはや感情がないとは思えないな。
一方の黎蘇蘇は、蕭凜の侵攻を聞き、屋敷から軍営に出掛けたっきり戻って来ない澹台燼を想いながら悶々と過ごしていた。
怪我をしたと聞いては心配して、軍営まで乗り込んで来た黎蘇蘇の行動で、順調に釘は抜けていたのに、盛王や瑩心を殺めた所業の、その事情を知らずにいるため、やはり魔神は魔神なのだと絶望したようである。
澹台燼の方も、自分を気遣っているフリをして、盛国や蕭凜のためにやっていることではないか、と疑心を抱いているものだから、態度が若干投げやりなのである。
ここで大喧嘩、、、お互いに激しく罵り合い、観てる方としても辛い所だが、このせいで、出て来た釘がまた元に戻ってしまう。残った最後の1本は、まだ澹台燼の中に残る黎蘇蘇への想いだと思われる。
盛王の死で、負け続けの蕭凜を当に見限っていた葉冰裳は、より権力を持ちそうな澹台燼に縋って生き延びるために利用することにする。
丁度、黎蘇蘇と大喧嘩をしたところで、都合よくお世話係の地位を得たため、自分を愛するように仕向ける作戦であるが、全ては生き延びるためである。
大喧嘩の後から、口も利かない状態となったことで思いの外落ち込む黎蘇蘇。
人の感情は複雑で、一つでは収まらぬものだから、これは使命を全う出来ないからなのか、喧嘩をして会えないのが本気で辛いのか自分でも分からないようである。
お互い口を利かぬまま、姉を側に置いて行動する澹台燼を見るのが辛すぎた黎蘇蘇は、軍営を出て父の屋敷に戻ることにするが、もはや使命を放棄してしまっとる笑
使命を忘れるほど辛いのか、、、それは恋ではないかしら。
澹台燼もまた、黎蘇蘇がまだ会いに来てくれないと嘆き、夢までも彼女で占められている。最近は涙もよく流しているし、夢など見なかった男が確実に人に近付いて来ている。
結果、盛国へ乗り込んだ事情を知った黎蘇蘇は、たまらず彼の元へ飛んでいくが、恋しい想いが静かに炸裂した二人の姿は胸熱である。
しかもその勢いで、ふつーに告白しちゃった澹台燼。感情のなかった以前の己を回顧しながらの言葉一つ一つが良かった。
黎蘇蘇の方も、彼の邪骨を壊し、その最後まではずっと側にいようと心では誓うが、どのみち殺さなければならない運命である。
澹台明朗陣営のホワイトウォーカー(傀儡)の相手が面倒くさそう。
つづく
追記ネタバレ 第23話~第24話。
また辛抱の時でキツイわ笑
潑寒節(お面を被り悪鬼を払いのける祭り)に出掛けた二人は、檀上で魔神を倒すことを模した舞を舞う一組に選ばれる。
本来選ばれた者は幸運だと言われるイベントも、これからの自分を示唆される格好となった黎蘇蘇の心中は複雑である。
「你是魔神、還是冥夜」「是仇敵、還是愛人」
舞いながら己の心に問いかける彼女の、どうしようもない戸惑いを感じる辛いシーンに、「玄鳥」を被せてくるのは反則です、、、
兄貴に代わり、澹台燼が景国を統べるようになり、民に慕われ民に感謝される王、いわゆる名君となった彼は、これまでも自発的に常に正しい方を選んでいることが、到底ナチュラルボーン魔胎とは思えない。
ただ澹台燼の性質はどこか危うく、魔の手には堕ちないであろう葉清宇や蕭凜の様な安心感は全くない。
今の澹台燼になら、全てを話しても理解してくれるかもしれない、自分がずっと彼の心に入り込んで側にいれば、魔神になるのは防げるかもしれない、と考えた黎蘇蘇は事情を話そうとする。しかしこれも、白羽に邪魔され機を逃してしまったため、このことが後々痛手になりそうではある。
一方で、追い出されそうになった葉冰裳は、逆に蕭凜を誘き寄せて捕えるよう自ら澹台燼に策を提案する。まんまと策にハマったかわいそうな蕭凜、目の前で冰裳の裏切りの言葉を聞かされ、絶望感が隠せない。「あなたが私を愛したのは情絲のせい、あはは!」って、、、
少し前に、翩然がかつての恋人に託した情絲を、葉冰裳が持っているのではないかと思わせる描写があったが、やはり彼女が浅ましい気持ちで盗み持っていたようである。
この情絲がイマイチ理解しづらい笑
人に渡せることも、その数が複数だと異性を引き付けるということも、そもそもそれが無くても澹台燼のように人を愛せるということも、どういうわけでそうなるのかがいみふである笑
それでも無事この情絲を取り戻した翩然は、清宇への想いも本当の意味で完成しそう。
策にハマり捕えられた蕭凜は、盛王跡取りの自分が消えれば、盛国景国の争いも終結し平安が訪れると考えたようである。そのため、敢えて死ぬ気で突っ込んで来たようだが、黎蘇蘇としては、元々師兄でもある彼を死なせたくない思いがあり、牢から出して助けることを約束する。
その間、罰せられた葉冰裳は、下働きの身に落とされるが、何も諦めてはいない。常に羨んで妬んできた妹への気持ちが恨みとなり、黎蘇蘇を貶めようと悪巧みを模索する。
その上、振り向かない上に、プライドを傷付けた澹台燼も丸ごと殺そうとしていた。
黎蘇蘇は、蕭凜を牢から逃がす少しの間、澹台燼を眠らせる薬を盛ったのだろうが、その同じ器に毒を盛った葉冰裳は、これを黎蘇蘇に擦り付けて己が助かろうという魂胆である。あれほど気を付けろと言われていたのに、、、
まんま、桑酒を貶め家族まで殺した般若浮生の天歡再来である。天歡の恵まれた立場であの行為は全くのいみふだったが、夕霧から散々虐められてきた葉冰裳がこうなってしまったのは分からないでもない。かといって絶対許さないけど笑
魔神への道を阻止できるかどうかのこの忙しい時に、君に構っている暇はないのに、、、しばし我慢。
つづく
追記ネタバレ 第25話~第28話。
この4話辛すぎんか、、、こんなに辛いのに報われなかったらかわいそすぎん?
葉冰裳の盛った毒を巡り、誤解が誤解を生み、もはや戻れないところまで来てしまった。
澹台燼が黎蘇蘇を操り、蕭凜を死へ追いやったという所業を受け、少し前までの二人の時間の心地良さで、この人を変えられるかもと期待していただけに、忘れかけていた己の使命を再認識することとなった黎蘇蘇は、それを全うするため彼の元へ戻ることになる。
澹台燼には、このことが彼女にとって、また自分にとっても、どれだけの痛手になるかは分かっていたはずだが、手を緩めることなく実行したために、葉夕霧が戻ってくることが信じられなかったようである。
あんな仕打ちをしたのだから戻ってくるわけない、と白羽に詰め寄っていたが、おそらく自分自身に言い聞かせていたのだろう、正直、今回はここが一番切なかった。
毒を盛られてもなお、彼女の願いを叶えるために妻に迎えることにした澹台燼の想いは、誤解を解く解かないの段階ではもはや無く、狂おしいまでに愛してしまった葉夕霧に対して、許すという感情も学んでしまったようである。
お互い白髪になるまで添い遂げる、と花嫁のベールに一つ一つ想いを馳せながら刺繍を施す澹台燼と、この日に必ず仕留めることを誓った黎蘇蘇との気持ちの温度差で、これは辛い展開になってしまった。
とはいえ個人的には、遂に魔神の源となる邪骨を破壊する時が来るのかという期待で胸が一杯だったのに、まさかの蕭凜から贈られた護心鱗が邪魔をするとは、、、
いや辛い。釘が9本揃ったということは、澹台燼の情絲もMAXになったということであり、直後にこの裏切りを受けた彼は、命は尽きぬとも心は心底打ちひしがれてしまったようである。
この後、葉冰裳が自分の悪行を口にしたことで、思わぬ方向へこの流れは向かっていて、今ここに居ることに気付かされた黎蘇蘇は、毒を盛った(と澹台燼は思っている)自分を、それでも彼は受け入れたという事実と対面し、心苦しさでたまらない気持ちになる。
再度、夢の中に登場した稷澤に、それをやってもやらなくても、犠牲があってもなくても、この運命は最初から決まっていて、結局、最後は同じ結果となる(だから心を悩ませるな、ただ実行するだけ)、と身も蓋もないことを言われ、夢境での出来事の意味を知ることとなる。
「以我神髄、換你鬼骨」
邪骨を取り除くためには、己の仙髄と澹台燼の邪骨を入れ換えるという手しかなく、これも元々決まっていた運命だったのである。
未来の大勢の命を背負い過去へやってきて、結果、命を賭して使命を果たさねばならない黎蘇蘇にとっては、もはやこの命は自分だけのものではない。そのために手を下さねばならない黎蘇蘇は、この命を以って、澹台燼の心への償いにしようと固く誓う。
このタイミングで、澹台明朗+ホワイトウォーカー登場である。
この戦いで、翩然を庇って死んでしまった清宇に、自身の命を捧げる彼女は、清宇を蘇らせて逝ってしまう。
同じく、民を守るために葉夕霧の父も兄も命を落とす。兄とか全くの役立たずだったのに、いざという時の彼の真髄を見せられ、なんか泣いちゃったわ。
そして、遂にその時が来る。
自分がここに居る理由、澹台燼のこれから成りえる姿、それを阻止するための交換、これまで隠してきたこと全てを晒し、彼の中に眠る邪骨を取り出した黎蘇蘇は、ここで命を落としてしまう。
「不復相見」(二度と会うことはない。)が最後の言葉だったが、愛しているとは一度たりとも口にせずに、使命をやり遂げたのである。
以前、己の血と交換した法器の腕輪の力(持ち主が死ななければその腕輪の片割れも死ぬことはない)も虚しく砕け散り、澹台燼は全くの無力。
原作は未読なため、最後は報われるのかどうか分からないが、報われないとなると不憫すぎる、、、序盤からこれまでの惨い仕打ちを散々見せられ、胸が抉られる思いをしてきたのに(視聴者が笑)、黎蘇蘇のおかげで感情を手に入れ、深く愛してしまった途端のこの有様では、報われないとなると得意の因果応報が回収できないじゃない。
つづく
追記ネタバレ 第29話~第30話。
蕭凜が高潔すぎてヤバいんだけど、、、
葉冰裳の毒盛り事件が要因となり、結果、蕭凜を死に追いやったわけだが、彼が自分を愛しているのは情絲を2つ持っているおかげだと長年信じてきた葉冰裳は、自分自身を愛してくれる人は一人もいない、と蕭凜の言葉も完全に信じることは出来なかったようである。
そこに、亡くなった蕭凜の手紙が登場する。
「私があなたを愛したのは情絲のせいではない、あなたがあなただからだ。」「惜しくもそのことを伝えることが出来ないまま、私たちの縁は既に尽きてしまったね。」
死してもなお、彼女の一番欲しかった言葉を残し、最後の最後まで冰裳を救うこの男の高潔さといったら、、、
思えば澹台燼への手紙にも、皇子と人質の間柄ではあったものの、幼い頃から一緒に成長した彼とは争いたくない気持ちが記されていた。天下の悪戯で敵対せねばならない結果となり、澹台燼に命を奪われる形となったが、それに恨み言を言うどころか、彼に敬意を表し、己の民を託して死んでいった。なんなのこの聖人、、、
その言葉を受け、自らの過ちを悟って死んでいった冰裳も、もし生まれ変わるとすれば、この業を徳に変えて、次こそは光の道を歩んで欲しいと思う。
敵の血と愛する人の涙を龐博士がどうする気かはこれから。
そこに入れば、現世には二度と戻っては来れないと言われていたが、そこで500年もの間彼女を捜し続けても命の尽きない澹台燼、、、黎蘇蘇の仙髄が効いているのだろうが、それでも序盤から儚げで今にも消えてしまいそうな風貌だったのに相当粘り強い笑
戻って来るのをじっと待っていた白羽はどうしただろうか、、、
500年を経て、地上に打ち上げられた澹台燼は、逍遥宗の兆悠真人に拾われその弟子の座に就くが、葉夕霧を捜すことを諦めてはいない。
当の黎蘇蘇は、謎に元の世界(500年後)へ戻って来るが、魔胎から邪骨を取り除いた過去の大業のおかげで、魔神不在の世界になっていた。ゆえに500年前に戻ったという事実はこの時間軸には無く、彼女自身も10年の試練を終えて戻って来たと世間では認識されていた。しかし彼女の父や周りの人間は、戻ってきた黎蘇蘇に若干の違和感を抱いているように見える。
戻って来た世界は、500年前の景王澹台燼の物語が語り継がれている世の中になっていたが、実際のところ彼は、幽冥で葉夕霧を捜し求め彷徨っていたため、この語り継がれている王はおそらく清宇なのだろう。もはや君しかいないという状態で景王の座に就かされていたからな、、、
500年もの間、自分を捜して幽冥を漂っていたとは知らずにいる黎蘇蘇は、自分との過去は忘れ、景王として新たに愛する妻と子孫を作り添い遂げたのか、と寂寥の思いに駆られるが、自分もこの想いを捨ててしまわねばと思ったようである。
黎蘇蘇の気持ちは、口にこそ出さずにいたが、雑念(澹台燼)を振り払おうとしても、どうしても過去に彼を愛した日々が繰り返し蘇り、修行にも集中できない。
てかね、澹台燼を忘れようとすると功力が一瞬強くなったわ、もしかしてこれが無情道?ってどういう意味なの。
言葉通り、煩悩を捨て無感情で修行に勤しむという意味なのか。そして、それを実行しようとしてるのか。
おそらく、その身に未だ存在する邪骨を、制御するための言葉通り無情の道だとすれば、今度は黎蘇蘇の方が澹台燼のようになってしまうな。
誰とも一緒にならず、一人で衡陽宗掌門を継ぐ覚悟の黎蘇蘇は、公冶寂無(蕭凜)の想いにも応えることなく、過去の記憶のせいで、彼の顔をまともに見ることも出来ない。
次回にはもう会ってしまうのだろうが、おそらく残り10話は、澹台燼の選択に報われるか否かが懸かっている。たのむよ澹台燼、、、
つづく
追記ネタバレ 第31話~第32話。
ややこしい、、、蕭凜は、龐博士が血と涙を使って今世に蘇らせ、澹台燼は魔神の器だとして、結局、黎蘇蘇と葉冰裳の人間界の生は今世の試練だったということか。
葉冰裳には、今度こそ光の道をと願っていたのに、実体が魔妖だからそもそも無理っていう笑
黎蘇蘇のように、過去の記憶があるのかはまだ分からないが、残ってて欲しい。最後に蕭凜がくれた気持ちを思い返し、これまでとは変わっていて欲しい。
荒淵で捕らわれていた黎蘇蘇の実父もよく分からんのだが。
かつて般若浮生で、魔神の側近のような顔をしていたのは何だったのか。初凰とは愛し合っていたようだったが、結局あそこで敵対して初凰を殺めたようなもんだし、今回、封印が解け戻ってきたが、この男の話していた過去の経緯がどこに繋がるのか全然分からない。
澹台燼の邪骨は取り出したものの、魔神はそう簡単に魔胎を見逃してはくれない。他に魔神になりえるためのアイテムが3つあり、冥夜が封印した魔神の洗髄を手下の姒嬰に解放されたため、洗髄自ら魔胎を探し当て、澹台燼と融合しようとその身体を蝕んでいく。
葉夕霧に会うためだけに生きている現在の澹台燼は、魔神の誘惑に打ち勝ち、この時は洗髄をその身から弾き出すことが出来たが、いつ魔神の意識に支配されるか分からない、このハラハラする感じが最後まで続くのかと思うと穏やかではいられない。そもそも結末を知らないため、尽力及ばず魔神になってしまうこともあり得るのだから。
個人的には、魔神の手下の側で監視するように生きていた白羽にとてつもない期待を抱いている。
黎蘇蘇にとっては一瞬でも、澹台燼にとっては、500年を経てようやく再会した葉夕霧に、「あれは夢だったの、あなたももう夢から醒める時。」とピシャリと言われ、落胆が隠せない。いつの生でもなかなか良い思いはさせて貰えない澹台燼、かわいそうな子。
黎蘇蘇はかつて、自分が側にいて心を通わせれば魔神になるのを阻止できるかも、と思った瞬間があったが、それを今実行すればいいのではないか。魔神を受け入れるのが澹台燼の気持ち一つならば、愛する女のために魔神になりえる精神に勝てるのでは。
澹台燼の暴走や実父など、不安要素は多々あるが、黎蘇蘇の持つ邪骨が彼女の神力を食い尽くし、これが何か悲劇を生みそうではある。魔神にはならずとも代わりに澹台燼が塵になったり、、、
つづく
追記ネタバレ 第33話~第34話。
あの手この手で魔胎を覚醒させようと、手下の姒嬰、驚滅が腕を振るうが、私は魔神ではない、魔神になど絶対にならない、と幾度となく口にする澹台燼を拝むように見守ってしまう終盤に突入。
もはや愛の力でどうにかという簡単な話では無く、魔神への道と民衆の命を秤にかけられた澹台燼は、民衆の命を救うため、既に身体に存在する、絶対に使わないと誓った魔器(屠神弩)をやむなく使ってしまう。
そこに魔神の面影は一切あらず、この事を心底自戒する姿を見ると、魔神に変わってしまうとは到底思えないのである。
この時、手下の二人には、彼の身体に邪骨がないのを気付かれてしまったが、黎蘇蘇の身体に存在するのを知るのはまだ澹台燼だけである。
二世に渡り常に澹台燼を救ってきた黎蘇蘇は、三世に於いてもこの部分は変わらず、ここでも彼を助けるために神力を使い果たして気絶する。
この過程で、澹台燼は赤霄宗岑掌門のしょうもない息子を殺めたという罪で捕らわれてしまう。※実際は姒嬰の所業。
拾われた当時、生まれ変わったという意味で、新たに滄九旻という名を兆悠真人から賜った澹台燼は、自分を信じていてくれる師父の想いに応えられるよう、懸命に仙術を磨く日々を送っていた。それもこれも、絶対に魔神にはならない、という思いがあったからだろう。
この逍遙宗での人と人との繋がりを大事にしていた澹台燼は、己が魔胎だという事を知られぬよう散々注意を払っていた。しかし常に危惧していたこのことが、遂に諦冕(黎蘇蘇の実父)によって晒されてしまう。
たとえ魔胎であろうと、善悪への道は己で選択できる、魔神には絶対にならない、という澹台燼に対し、この諦冕の口から聞かされた話は衝撃すぎて哀しさしかない。
これまでの澹台燼の人生は、魔神によって既に決められていたのである。かつての黎蘇蘇が稷澤に言われた言葉と被るわけだが、父に捨てられ、幼少から惨い扱いを受け裏切られ続けた日々、黎蘇蘇との出会いと別れ、そしてこの仙門へ入門するに至るまでの全てがである。
振り返ると、魔神によって決められたレールを正にそのまま歩んで来た澹台燼は、この人生に己の意思など全く無意味なのだと悟ったようである。
感情のなかった彼に人を愛することまで学ばせておいて、これはないわ、残酷すぎるやろ、、、
諦冕や逍遙宗以外の仙人は、魔胎をすぐさま殺さなければといきり立つが、逍遙宗で共に過ごした師兄や師父は簡単には掌を返すことは出来ない。
今後、これまでの全てが虚妄だったという事を悟り、師父を殺して魔神になる、とまで言われた滄九旻を、それでもまだ信じるという師父の言葉に、一瞬堕ちかけた自分を奮い起こすが、すかさず柱にバァンである、、、
いつも茶化して適当を振舞っておいて、師父最高じゃないか。未だかつて他人から罵倒は受けても、信じているなんて言われたことが澹台燼にあっただろうか。(黎蘇蘇はもはや他人ではないので除く。)
しょうもない息子を殺された掌門は置いておいて、諦冕としては、魔神の側近でもあったため(最終的には魔神によって荒淵に封印された)、再度アレを目覚めさせる事は絶対に出来ない、娘のためにも葬らなければと固く決めている。
しかし序盤に登場していた衢玄子と兆悠真人の気持ちとしては、あの戦いがなかったことになっているため、まだ滄九旻を引き戻せるという希望は捨てていないようである。
魔神のシナリオをそのまま生きていることに仰天して忘れていたが、今世でも変わらず高潔な公冶寂無と魔妖の妹女は、いきなり一夜を共にして、気持ちがお互い向き始めているようだが、騙していたとしても、そのまま悪女では終わらないという希望は未だ持っている笑
でないと、あの牢の中で命を絶つ最後のくだりが無意味になると思うんだけど、、、
つづく
追記ネタバレ 第35話~第36話。
柱バァンの後、善と悪を行き来する澹台燼は、これまで自分のために命をも犠牲にしてきた黎蘇蘇を思う。
彼女がその身体に未だ隠し持っている邪骨の存在を知られてはならぬ、と己の命を差し出す決意をした澹台燼だったが、そこに黎蘇蘇が立ちはだかる。
序盤の頃の死なせることの出来ない使命は、邪骨を取り出した瞬間に終わっている。よって、これは使命ではない、愛である。
澹台燼の制止も及ばず、これまでの事情を各掌門の前で晒した(邪骨を自身で持っている事以外)黎蘇蘇は、邪骨がないのだから魔神にはなりえない、と仙道へ進む機会を嘆願する。
屠神弩は掌門らに取り出され、澹台燼の身体には魔神になるアイテムが一つも残っていない、となると、あのしょうもない息子を殺された掌門と諦冕以外は、その機会を与えることに迷いはなかったようである。てかさ、取り出した屠神弩を、安直に岑掌門に渡すなよな。
邪骨を封じ込めること、魔胎として仙道を歩むこと、これらに向き合って共に生きて行くことを決めた二人の姿は、ん?これ最終話かな?という雰囲気で、もうこれで良くない?という気持ちにさせられるが、このひとときの安堵を与えて、どん底に突き落とすのだろうね、、、
黎蘇蘇の養父、衢掌門は、顔面がイカしている上に本当に立派な掌門で、彼女の身体にある邪骨の存在に気付き、これが身体に与える危害を取り除く術を諦冕と共に施すことにする。
そして案の定、裏切りである。
おそらく、視聴者全員から懸念されていた諦冕の裏切り。このドラマは情報が多すぎてすっかり忘れていたけど、般若浮生で、コイツが斬天剣で魔神に最後対抗していたような気がするが、これが魔器の3つめだったようである。
※第15話を今一度観てみたら、稷澤、初凰、含む十二神の成したことが明確に分かり、感動してしまった。
諦冕は、魔神を覚醒させることが目的ではなく、己が力を持つためだけに、旧友の衢掌門を殺してしまった。なにこのクズ、、、
相討ちだったが、おそらく諦冕はまだ生きてる。しかも、これを澹台燼が為したことにされ2倍ムカつく展開に。
その頃、澹台燼も白羽に拉致られ荒淵へ。
白羽は、夷月族を人質にされているため、澹台燼が魔神になることを望んでおり、こちら側に有利に動いてくれるという期待は虚しく砕けてしまった。
澹台燼が言っていたように、夷月族を助けたとしても、結局魔神がこの世界を破壊するのだから、もっと多くの人間が犠牲になり、結果、その助けた夷月族も消滅するかもしれない。
澹台燼には、姒嬰や白羽に説教をする正気は未だ保っているものの、岑掌門の持つ屠神弩、諦冕が黎蘇蘇の身体から取り出した邪骨、とそもそも持っていた斬天剣、衡陽宗がおそらく保管している洗髄、これらが四方から集まってきた時、到底抗えるのかどうか分からないな。
しかも衢掌門を殺めたのは澹台燼だと、否定していた黎蘇蘇でさえも疑念を抱いているであろうこの件は、殺してなんかないという魔胎の言い分など、おそらく信じてはもらえないだろう。
修復した護心鱗に期待。
つづく
追記ネタバレ 第37話~第38話。
なんというか、2話を残してドラマティックな展開となっている。
各仙人宗が澹台燼に憤りを見せる中、諦冕が怪しいと気付いたのは、黎蘇蘇ただ一人。この時点で、澹台燼を信じていたのは師父の兆悠と黎蘇蘇だけである。
黎蘇蘇はともかく、兆悠真人はすごいわ、、、澹台燼を発見した当時、彼が魔胎だと気付いたのにも関わらず、善への道を選ぶ機会を与え、それに応えた澹台燼を、一瞬たりとも疑わず最後まで信じていた。
荒淵に捕らわれた澹台燼は、なんとか仙門や黎蘇蘇に危害が及ばないよう、魔神を受け入れるフリをして時間を稼ぐが、そこに邪骨を身体に取り入れた諦冕が現れる。
魔神とひととき一体となった諦冕は、力を手に入れるため、手下の姒嬰と驚滅の妖気を吸い取って、挙句殺してしまう。
いいのかそれ笑
一万年待ち続けた手下でも、己のためなら簡単に命を奪う、という魔神の残酷さを見せたのかもしれないが、あんな強い手下を殺めるとは、、、自分で自分の首を絞めることになるのではとちょっと笑ってしまう。澹台燼側からするとラッキーだったね。
白羽の方も、澹台燼を見殺しにすることは出来ず、やはり戻って助けることにする。えらい、今世ではあまり役に立ってはいないが、澹台燼が言っていたように、白羽がいなければ、生きてこの場所に澹台燼として存在することはおそらくなかっただろう。
この後、仙人衆によって粉々にされそうになった澹台燼を、師父が素早く救出する。
邪骨ごと魔宮に乗り込んだ諦冕が、同悲道を開くことに成功したのを見て、え、邪骨を持っている誰でもいいのなら、澹台燼じゃなくてもいいじゃん、という気持ちにさせられたが、魔胎ではない他の誰かでは、やはりその力を完全に支配することは出来ないようである。
同悲道の存在もイマイチ分かっていないが、三界のその上に続く宇宙的な空間に妖気を集め、三界を囲んで丸呑み破壊出来る空間みたいなものだと思われる。
兆悠真人は、澹台燼の代わりに半魔神となった諦冕に挑むが、同悲道への攻撃の反動で身体が魔に侵されてしまう。
その中で真理に気付いた兆悠真人は、それを伝えに澹台燼の元へ戻るが、魔に侵された身体は待ってはくれない。
息も絶え絶えの師父に、自分が死んで魔物に変わってしまう前に殺すよう懇願されるが、最後まで信じてくれた師父に、剣を突き立てることとなった澹台燼の気持ちを想像すると辛くてたまらない。
しかしそれよりも、黄海冰(師父)の鳥肌ものの芝居に圧倒されて、ひっくり返りそうになった。その合間に入る師父のカットが更に胸を抉る、、、大好きだよ師父。
「澹台燼、動手啊、殺了我ーーー!」のとこ、何度も見てしまうな。
「魔神が存在すれば、同悲道も存在し、魔神が灰となれば、同悲道も灰となる。」まさに魔神と同悲道は一心同体という抗えない事実の惨さ。
少し前に、魔神のシナリオで、師父を殺して魔神になる、と言われていたそのまんまの展開になってしまったわけだが、己が魔神となり、その命を犠牲に同悲道を閉じるしか道はない、と悟った澹台燼は、この役目を誰にも知られぬよう一人でやり遂げることにしたようである。
二人で向き合っていこうと約束した澹台燼が、諦冕を殺めた後、「おまえがこれまでやってきた全てが無駄だったな、うれしいか?」と言って、目の前で魔神になってしまったことに困惑する黎蘇蘇。以前の様な絶望ではなく困惑する姿は、彼女にとって、今世では澹台燼を信じる気持ちの方が大きいようである。
「開心嗎」の悪ぃ顔にドキドキが止まらない笑
妹女(葉冰裳)に関しては、公冶寂無(蕭凜)を騙そうとしていた訳ではなく、500年前のことを今世で償おうとしていたようである。しかし実体は魔妖である自分が、償いなど出来るわけがないと我に返り、公冶寂無には別れを告げることになる。
なんとなくだけど、最終的には、蕭凜の命を助けて前世の償いにするんじゃないかな。
手下を失くした魔神は、妹女がその代わりとなり、魔器を全て手に入れることに成功してしまった。これで、己もろとも同悲道を灰にし、冥夜のように三界を守ることとなる澹台燼を見るハメになるのかしら。
「あなたの死で魔神を生むことは阻止出来ない、あなたが生きることで魔神の死への道が開く。」とか言ってた冥夜の言葉と逆になるんだけどな、、、
つづく
追記ネタバレ 第39話。
「唯有真神能夠消滅魔神」(真の神だけが魔神を滅ぼすことができる。)
今世に戻って来た黎蘇蘇が、極めようとしていた無情道とは、鳳凰族のみが極められる悟りであり、真の神への境地ということのようである。(仏教でいう無上道と感覚は似てるような気がする。)
え、それなら冥夜が言っていたことも、師父が言っていたことも、どれも真理ではなく、鳳凰族の黎蘇蘇にしか魔神を滅ぼすことは出来ないということか。
※冥夜の「あなたが生きることで魔神の死に繋がる」→完全な魔神になるまでは生きろ。
師父の「魔神が灰になれば同悲道も灰となる」→ 澹台燼が魔神となり、己もろとも消滅。
→魔神を滅っすことができるのは真神(黎蘇蘇 )だけ。
この三つの手順を踏んで、やっと魔神の消滅ということだから、どれも真理ではある。
上古魔神の意思と戦う澹台燼は、映像では二人だが、実際は自身の心と戦っているため、端から見ると、おそらく一人芝居のようになっているのだろう、などと考えていたら、魔神の意思をはねのける凄くいい場面なのに、ちょっと笑ってしまった、、、すまん澹台燼。
結局、澹台燼の心のまま完全な魔神と成ってしまった彼は、かつて婚礼の日に心臓に釘を打ち込まれた時のように、自分を憎ませ、黎蘇蘇の手で魔神の自分を滅ぼすよう仕向けるしかなくなったようである。
知らぬ間に、魔神に嫁ぐ話になっていた黎蘇蘇は、やはりこの人は魔神になってしまったのだ、と澹台燼の思惑通りの心情を抱くこととなる。
自分のためなのか、黎蘇蘇のためなのか、500年前の葉家屋敷で過ごす家族との幻想世界へ彼女をいざなう澹台燼は、黎蘇蘇へのちょっとした記念にと言っていたような気がするが、いや、これはやはり自分のためなのだろう。
初めて街へ出て、衣服を見繕ってくれたあの日の姿のまま、死にゆく前に、澹台燼として彼女と過ごしたかったのかもしれない。
騙されていることに気付いていない黎蘇蘇の言葉は辛辣だったが、背中をぎゅっとする手には、希望は無くなっても愛が残っているのだな。
残酷じゃないか。おそらく全てが終わった後に、彼の想いや成したことに気付く時が来るのに、こんな思い出を残されては、生き続けるのが辛いのでは。
※ここで「まだくだらないことをやる時間はあるな。」って言ってた件、何をやったのか気になる。
婚礼の日に、仙人たちにも魔門が開かれるこの機会を逃すまいと、公冶寂無を始め仙人衆は、かつての十二神が魔神を滅ぼした時のように、星罰大陣を魔神にぶち込むことになるのだと思う。
これもおそらく澹台燼のシナリオ通り、、、
残り1話。
つづく
追記ネタバレ 第40話(最終話)。
終わってしまった。最後の二日間は1話ずつの更新だったため、結構じらされてしまった。
黎蘇蘇が無情道を極め、神明(真神)へ覚醒させることに成功した澹台燼は、これで彼女に魔神の自分を滅ぼす準備が出来たと安堵するが、どうやら黎蘇蘇は、彼のこの計画を分かっていたようである。
魔神のように振る舞っていたのも、黎蘇蘇を騙して、その手で滅ぼされるためだった訳だが、それを知られていては芝居を続ける必要もなく、これが本当に最後の別れだと静かにその瞬間を迎える。
「魔神が存在しなければ、神明の存在も必要ない。」
そう言って、共にこの世を去る覚悟の黎蘇蘇だったが、ここに護心鱗が登場する。黎蘇蘇を生かすため、修復した護心鱗を彼女にあずけて、この輪廻を絶つため一人で逝ってしまった澹台燼、、、
魔胎として生まれた澹台燼は、結局のところ、力も神器も、妻さえも、何もその手には残さず、この世界を守るため己を消滅させてしまったが、消えゆくときの表情は穏やかであった。
言葉通りのハッピーエンドではなかったが、この二人に関しては、これで良かったのではないかと思う。
「你要走了嗎」(もう行くの?)
「是啊、我要走了」(うん、もう行かないと。)
「那我就在這裡等你回來、你要早點回來啊」(じゃここで待ってるから、早く戻って来てね。)
「好、我很快就回來」(わかった、すぐに戻ってくるよ。)
「你不要難過、你不是魔神、不是殺人兇手、也不是帶來災禍的怪物」(そんなに悲しまないで。あなたは魔神じゃないし、人殺しでもない、それに禍をもたらす怪物でもないよ。)
「你叫澹台燼、是我最喜歡的人」(あなたは澹台燼で、私の大好きな人。)
護心鱗には、まだ澹台燼の魂が残っていたようだし、墓の前での幻想黎蘇蘇との会話でも言っているように、いつか戻ってくるかもしれないという希望は持てる。
或いは、かつて冥夜が「神は、死んでしまったら完全に消滅して、どこを探しても見つからない。」と桑酒に答えたことに対し「彼らを覚えている人がいる限り、消滅することはないよね。」と言っていた桑酒の言葉を借りるとすれば、澹台燼は魔神ではなく神となり、伝説となって永遠に存在することになるのではないか。
たんたいじん いぇしーうーが呪文のように頭に残る。