みなさんこんにちはイベントレント部丹治です。
今回のブログでは映像の技術的な部分について触れようと思います。

イベント現場ではプロジェクターやモニターをデジタルビデオ機器に接続した際に「入力信号無し」「プロジェクターのブルーバック表示」になり正常に映像が表示されないといったトラブルがあります。

私は何度も経験がありますが、とても怖いです。
時間のない現場だと非常に焦ります。
この問題は送出機器側と表示機器側の双方向で情報をやり取りする「EDID」という通信方式が原因になっていることが多いようです。

今回はこのEDIDについて少し詳しく調べてみました。
ブログなのでなるべく簡単な言葉でまとめます。



①そもそも「EDID」って何でしょう。

・元々は1994年にディスプレーとPCを接続するだけで自動で簡単に使用できるようにするために開発されたもの

・接続機器同士でケーブルを介して推奨解像度、リフレッシュレートなどを通信している

・HDMI、DVI、DispleyPortの接続端子に組みこまれている

・送出機のブルーレイデッキやモニター・プロジェクターの他に、分配器やスイッチャーなどもEDIDを通信している


なるほど・・、ここまではよく聞くので理解していました。
通信の内容についてもう少し詳しく知りたい。

EDIDが正常に認識されない問題を「ハンドシェイク問題」というらしい。
双方向の握手ということでしょうか。
「ハンドシェイク問題」にはEDIDに加えてHDCPの問題が含まれているため余計わかりづらい。

※HDCPとは、コンテンツがコピーガードのために,暗号化されている場合にEDIDとは別にHDCP認証が必要になる(ややこしいな・・)


②EDIDはどうやって通信をしているのか?

EDIDはHDMIやDVIのコネクタにある3つのピンを使用して通信しているとあります。
3つのピンの内訳は2つの信号と+5Vの電源で構成されている。・・・※1
このピン構成に「DDC(ディスプレイデータチャンネル)」というVESA規格があり、ディスプレイや接続機器が対応している。


③通信順序はどうなっているのか?

1)各機材を接続して送出機器側の電源を入れると、表示機器にDDCのピンから5Vの電源が送られてディスプレー側の電源を入れなくてもEDID通信を行っている。・・・※2

2)EDIDの回路に電源が入ると「HPD(ホットプラグダイレクト)」ピンというDDCとは別のピンを使い信号を送る。
HPD信号がローからハイに変化することで機器を接続したことを知らせる。・・・※3

3)HPDの変化を確認すると送出側が必要な情報(EDID)を表示機器側に要求する

4)表示機器側が情報(EDID)を送る。

5)HDCPが含まれる場合HDCPのキーを交換する

6)すべて完了すると送出側が適切な解像度で表示信号を送る



わかりやすく言えば↓


1)接続
2)接続確認信号の交換  
3)データーの交換 
4)HDCPの認証
となります。


ようやく少し理解出来ました。
よくある疑問点と照らし合わせ考えてみます。



①HDMI-DVIの変換コネクタって使用して大丈夫?
※1にあるDDCピンの配列がVESA規格で統一されているので基本的に大丈夫ですが、HDMIにはハイビジョンテレビの推奨解像度、DVIにはコンピューターの推奨解像度が設定されている事が多くその機器同士では設定を合わせないと各機材が正常に認識しない場合がある。

②長いケーブルを使用している事がトラブルの原因では?
長いケーブルを使用すると※3にあるHPD信号が減衰してしまい、機器が接続された事を正常に認識しないことがある。

①の変換コネクタを使用する場合にも信号が減衰するため同様の現象が起きる場合がある。

③電源の投入順序や接続順序は関係ある?
※2にあるように送出側からディスプレイ側に信号が送られるため、基本的に信号の流れで言うところの川上から川下の順に電源投入していくほうが良さそう。
マルチモニターなど複数台をカスケード(直列)接続する場合には送出側から順に管理していく方が良い。

④スイッチャーなどの切り替えが安定しない。
表示機器に複数のHDMI(DVI)端子がある場合、一台に複数の接続を同時に行うとEDIDが誤認識を起こす。


なるほどそうだったのか・・・
これでトラブルの際には落ち着いて対処出来そうです。


少しはお役に立てたでしょうか。
さらに詳しく知りたい方はEXTRON社からEDIDに関するホワイトペーパー作成されており、
ネットで見れますのでご確認ください。

またご報告します。丹治でした。