10年以上も前になるだろうか。
韓国を代表するシンクタンクのトップを最後に現役を退いた友人が、ソウルでの酒宴の席でおもむろに言い出した。
日本にはすばらしい人がたくさんいる。
そんな一人に、今、感動をもらっている。
そう言って、ナプキンにボクなどよりも達筆な日本語で何やら書き出した。
そして
言った。
ご存じでしょ、柴田トヨさん。
今、韓国でも大変なブームなんです。
彼は淀みなく柴田トヨさんの言葉を書き連ねた。
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私ね 人から
やさしさを貰ったら
心に貯金をしておくの
さびしくなった時は
それを引き出して
元気になる
あなたも 今から
積んでおきなさい
年金より
いいわよ
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恥ずかしながら、ボクは彼女を知らなかった。
彼はもう一つ、彼女の言葉を披露してくれた。
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ねえ 不幸だなんて
溜息をつかないで
陽射しやそよ風は
えこひいきしない
夢は
平等に見られるのよ
私 辛いことが
あったけれど
生きていてよかった
あなたもくじけずに
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帰国して、彼女の本を二冊買い、母の土産にしたことを覚えている。
彼と知り合ったのは、1985年の夏。
30名ほどの幹部社員を引率し、わが社の研修を受けに訪日した。
あれから、もう40年近いが、付き合いは今に続く。
さて
手術が延期になりました。
この日に備えて自分なりにスイッチを入れてきただけに、これにはひどく落胆。
ドッと疲れが出て、仕切り直しなんて考えられないほど消耗し、いかに自分が弱いかを思い知らされています。
それが分かるカミさんからきつい一言。
憎まれ口を叩かれなくなったらお終いよ。
今のあんたじゃ文句を言う張り合いも無い。
男なんでしょ、しっかりしなさいよ。
たしかに
オレが落ち込んでいたら、カミさんを不安にする。
人は誰でも人に言えないような弱みや負い目を持っている。
そして
それを克服しようとするとことに進歩もあるのではないか。
苦言は肥やし。
空威張り、カラ元気でもいいから、もう少し頑張れるところを見せ、安心させよう。