作:英田サキ
イラスト:奈良千春
太陽図書(SHYノベルズ)
2009.12
超個人的評価:★★★★+☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


江波郁彦は警視庁公安部第一課第四係の刑事である。
ある日、秘匿追尾の対象に尾行を見破られてしまうというミスをおかした郁彦は、上司に呼び出されそこで警視正、篠塚と出会う。
穏やかだが冷たい、不思議な空気を持つ男に、訳あって初め強い反感を覚える郁彦だったが……


篠塚兄さんの話と言われたら買わずにはいられなかった一冊。
BLというかドラマだなあと思った。
人と人とが紡ぐドラマ。関係性萌えの私にはたまりません。
そこにあるのは愛じゃなくてもいいんだ。人と人が関わってできる関係性にときめく。
郁彦と篠塚もそうなんだけど、郁彦の年の離れた兄と篠塚の、表面のからっとした(でもきっと裏は権力とかでどろどろした)ライバル関係とかさ。
郁彦と篠塚がウエットな感じだけに、このお兄ちゃんとの別れのシーンとの対比が心に残っている。


届かない想いだってある。
物語はあくまで番外編ってポジションだけど、こういうBLがあってもいいよなあと思う。

なんかね。今感想を書くためにあらためてずらっとページをめくっていたら、イラストの椎葉を見つめる篠崎の優しい目に泣けてきた。
奈良さんのイラストがまた憎いんだ。もう。


自分で今の行き方を選んでるような篠崎だけれど、いつか、どこかの作品の端っこでいいから、誰かと一緒に幸せそうな彼の姿を見てみたいと思ってしまった。

最果ての空 (shyノベルズ)/英田 サキ
¥903
Amazon.co.jp

作:津守時生
イラスト:藍川さとる
新書館(ウイングス文庫)
2000.7
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)ではありませんが、それに近い表現が見られます。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


空港警備の最中現われたテロリストの自爆の影響で病院送りになったルシファード。
前々から彼の正体を見極めようとしていたカジャはルシファの病室に潜り込むが、そこで彼が見たものは。
そして断片的に語られるルシファの両親の話とサラディンの過去。
彼らの歩む道は一体どこへ続いているのか……


とりあえず開いて一番初めのカラーページに吹いた。
これはどこのグラビアですか。
なんですかこのお色気?ポーズは(笑)


なんだか複雑そうな彼の両親のことが少しだけ語られました。
サラディンの過去の断片も。

なんだかんだフラグ立ちまくりのこの二人の関係をにやにやしながら眺めています。
しかし、匂い系というにはあまりにも濃すぎるBL分(ネタ含む)に、この本を自分の中でどこに分類すればいいのか未だに決めきれずにいます。とりあえず少女向けラノベ……かなあ。
だけどBL苦手な人には勧められないよなあ。個人的にはとても楽しいんだけど。


しかしほんとにルシファは天然たらしだな。
男も女もかまわずっていうところがまた恐ろしいです。

三千世界の鴉を殺し〈3〉 (新書館ウィングス文庫)/津守 時生
¥620
Amazon.co.jp



作:崎谷はるひ
イラスト:街子マドカ
幻冬舎(ルチル文庫)
2006.3
超個人的評価:★★★★☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


カフェで働く遼一の好みは父性を感じさせる優しい人。
3年前、彼は客として店にやってきた男にひと目惚れをした。
その人の名前は皆川春海。美しい妻と、愛くるしい子供と一緒でとても幸せそうだった。
実はずのない想いを抱えたまま常連となった春海を見守る遼一だったが、春海の離婚をきっかけに二人の関係は急変して……


最近お父さん属性に妙に萌えを感じる私にさりげなくクリーンヒットする作品だった。
「優しいお父さん」が好みのタイプという幸薄い青年が主人公。
こういう自分のことよりも相手のことばっかり考える馬鹿な子に弱いねん。
相手を慰めるために身体だけの関係を持ちかけるとか。
相手の幸せのために都合のいい相手になろうとする遼一が痛々しくて切ない。
丁寧な感情描写にはぐっと来ました。
しかもね、相手の春海もちょっと優柔不断だけど優しい人で。
そんな普段と、エロの時のギャップはちょっと楽しいです。


ママと息子の男前っぷりにはちょっときゅんとした。

もうみんな幸せになればいいよ。
そんな気分になる一冊でした。


恋愛証明書 (幻冬舎ルチル文庫)/崎谷 はるひ

¥580
Amazon.co.jp

作:伊坂幸太郎
徳間書店
2009.8
超個人的評価:★★★☆☆


あるキング/伊坂 幸太郎
¥1,260
Amazon.co.jp

弱小であることを運命づけられたような地方球団、仙醍キングス。
その熱狂的ファンである両親のもと王求は生まれた。
野球選手に、王になるために。
異常とも言える教育を彼に施す両親。そして彼らの思惑通りの道筋を王求はたどる。
その先にあるのは栄光か、それとも……


不思議なお話だった。
どこか実験小説のような感じがするのは、作品の王求自身の視点がほとんど描かれず、「お前は~」と二人称で語られるからでしょうか。
手にとったときはなんだこのタイトル?!って思ったけれど、読み終わってみればこれほどしっくりくるものはないなあと。
ある、キングの物語。
異常なほど仙醍キングスを愛しすぎる両親から生まれた王求。
彼の歩んだ道のりは運命か、呪いか。
わくわくするおもしろさとか続きが気になる求心力とか、そういう一般的なおもしろさとは少し違う所にあって。
伊坂氏の文章とか人間観察の観点だとか物語のとらえ方だとかがとても面白かった。
そんなinterestingな一冊でした。

作:坂井朱生
イラスト:赤坂RAM
幻冬舎(ルチル文庫)
2006.1
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


単身赴任の父親を持つ実友は、マンションに一人暮らしをしている高校生。
隣に暮らす桐沢の恋人同士になってからはお互いの家を行き来する毎日だ。
そんな時急に舞い込んできた、父親の赴任先で一緒に暮らさないかという提案。
忙しい桐沢のことを想うあまり言いたいことが言えなくなってしまった実友は……


お互いを想い合うせいで言いたいことを言えなくて。
そんなことが原因でおこるすれ違い編な2巻です。
こういうすれ違いって切ないよなあ。
でもその言葉で言い表せないことの代償を身体に求めちゃダメですよ桐沢さん。
ということ?で前回よりも多少エロ度も高めです。
不器用な実友は相変わらず愛しいんだ。
なんだかんだでお互いの気持ちを確かめあったら行き着く先は結局バカップルな二人には
とりあえずお幸せにという言葉を贈っておきます。

たとえばこんな言葉でも (幻冬舎ルチル文庫)/坂井 朱生
¥540
Amazon.co.jp

作:坂井朱生
イラスト:赤坂RAM
幻冬舎(ルチル文庫)
2005.5
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


単身赴任の父親を持つ高校生の実友はマンションで一人暮らしをしている。
ある日、家の鍵を落としてしまった実友は、ベランダ越しに自宅に入らせてもらうため、見ず知らずの隣人の帰りを待っていた。
現われたのはビシッとスーツを着こなした大人の男、桐沢。
事情を聞いた桐沢は実友を自宅に招き入れ、さらには家の鍵の交換まで手配してくれた。
以来何かと自分のことを気にかけてくれる年上の男に少しずつ惹かれていく実友だったが……


悪い大人×純情な子供。
と言い切ってしまうには桐沢さんは意外と余裕がないので、結果としてとてもかわいらしい話になっていました。
実の父親とも上手くコミュニケーションが取れなくてさみしい高校生が、お隣の包容力のある防犯会社の副社長に惹かれていくというお話。


かわいらしいメイン二人もとてもよいですが、周りの脇役も割といい味を出していました。
桐沢の同僚で警備部門の支倉と開発部門天城のコンビが好きでした。
仲が悪そうでいていざという時はちゃんと協力するとか。
こういう微妙な(笑)距離感に弱いんです。
この二人のスピンアウトが読みたいなあ。
なんて、別にカップルとしてくっつかなくてもそれはそれで全然かまわないのですけど。
ののしりあってるけどいいコンビっていうのがなんともツボを刺激してくれるんだよなあ。


朝を待つあいだに (幻冬舎ルチル文庫)/坂井 朱生

¥560
Amazon.co.jp

作:七地寧
イラスト:石川理
笠倉出版(クロスノベルズ)
2004.11
超個人的評価:★★☆☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


FBIと公認会計士の二つの顔を持つ淳はマフィアの金の動きを掴むため、マダック&オニール事務所で働いている。
そんな時仕事を通じて出逢ったシチリアンマフィアの若きボス、ジュニアに興味を持たれ強姦された上に軟禁されてしまった。
しかし、次第にジュニアの強引な執着の理由が彼の孤独な過去にあると気づき始め……


七地さんの作品が慣れるまで大変なのはいつものことですが、今回は話に入り込む前に一冊読み終わってしまいました。
思うにどんどんどんどん増えていく登場人物が整理しきれなかったのと、登場人物たちの感情にのっかれなかったのが大きな敗因かと。

結局なにがどうなったのか未だに理解できてないんだぜ。
理解力を養って出直してきます。


You might say yes (CROSS NOVELS)/七地 寧

¥900
Amazon.co.jp

作:西尾維新
イラスト:VOFAN
講談社(講談社BOX)
2008.5
超個人的評価:★★☆☆☆

傷物語 (講談社BOX)/西尾 維新
¥1,365
Amazon.co.jp

少々ヒネた高校生、阿良々木暦はある日美しい金髪の吸血鬼に出逢った。
どんなに美しくてもそれはまさしく”化物”で血を吸われた暦も人から外れた存在になってしまう。
そんな時現われたおっさん、忍野の助けを借りて元のごく普通のありふれた
一般的な人間に戻ろうとするが……


前作(でも時系列的には今回の後の話だけど)が面白かったので買ってみたけれど、ずいぶん長い間積んであった一冊。

正直ちょっとうーんという感じです。
なんていうか少年系ラノベだなあというか。
全体的に主人公の暦に都合の良すぎる展開。
委員長にしろ吸血鬼にしろ忍野にしろ(笑)みんなから愛されすぎだろうと。
特に委員長なんなの。
なんであんなに都合のいい女なの。
萌えキャラ☆めっ!!って割り切れればいいんだろうけど、私にはそのスキルはまだなかった。
前回楽しかった言葉遊び的な部分も少なかったし。
ちょっと物足りなさが残りました。

作:崎谷はるひ
イラスト:佳嶋
太陽図書(SHYノベルズ)
2007.11
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


多忙な両親を持つ由宇は、親代わりにかまってくれる義理の叔父、匠が大好きだった。
高校生になった由宇はいつまでも匠に甘えていられないことと共に、自分の中に眠っていたある嗜好と想いに気づいてしまった。
勢いで罪を犯してしまった由宇に優しく理由を尋ねる匠。
そして、二人の新しい関係が始まる……


なんかいろんな所で異質だ異質だ言われていたのを目にしていたせいか、とても身構えて読み始めた一冊でした。
だけど読み始めると色々そんなに気にならなかったというか、ごく自然に読めました。

たしかにエロの長さと濃さはもうお腹いっぱいです。
精神的調教はいいよね。
肉体的に痛い話は見ていてもしんどいけれど、こういうのならぜんぜん抵抗はなかった。


主人公の由宇が女の子になりたいという出発点は、結局のところ「好きな人に似合う人物になりたい」だと思うし。
個人的にはネタとしての女装よりもこれくらい倒錯感がある方が楽しいなあと。

お互いにお互いしか見えていない二人の関係はどこか歪んでいるけれど、だからこそ美しい。

確かに万人受けする話ではないかもしれないけれど、私は楽しかったです。

少年人形 (SHYノベルス194)/崎谷 はるひ
¥1,250
Amazon.co.jp

作:三浦しをん
新潮社(新潮文庫)
2009.7
超個人的評価:★★★★+☆

風が強く吹いている (新潮文庫 み 34-8)/三浦 しをん
¥860
Amazon.co.jp

足を痛めて陸上から遠ざかっていた灰二は、一人の天才ランナー走と出逢った。
静かな野望に燃えた灰二は策略を巡らし自らの暮らす竹青荘の住人達を巻き込んで駅伝へ向けたトレーニングを開始する。
個性豊かなメンバーたちのほとんどが陸上未経験者ばかり。
こんな素人ばかりで、箱根に出られる訳がない。
次第に苛立ちを募らせていく走だったが……


たぶん三回目くらいの再読です。
毎年駅伝のころに読もうと思うのだけれど、気づけば季節外れになっているという。
でも一応今年は一月のうちに読みました。
今が何月かは……知ってるよ!


ほとんどが素人の、しかも補欠もいないようなチームで箱根を目指す。
そんな無茶苦茶なストーリーと個性豊かな登場人物たちが楽しいです。
や、実際はこんなもんじゃないんだろうということはわかるんだけど、
エンターテイメントとしてのおもしろさがあるよね。
なんていうか少年マンガみたいな。
天才肌だけど時々天然な走や、完璧かと思いきや時々?変人なハイジとか、
二人だけじゃないんだけど、それぞれのキャラの欠点の作り方が上手いのかも。
ピントのずらしかたというかさ。


まあそんな理屈は所詮後付けで、読んでいる最中はにはみんなと一緒に走っている気分になって、ほんとどきどきしながらページをめくった。

何度もこういう気持ちになれる本って素敵だと思います。