作:木原音瀬
日高ショーコ
蒼竜社(ホーリーノベルズ)
2009.11
超個人的評価:★★★☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


営業をしている河瀬の上司、柴岡は人当たりもよく仕事もできる男だ。
ふとしたことから柴岡と個人的に親しくなったことにこっそり優越感を感じていた河瀬だが、ある日そんな彼をどん底に突き落とすようなできごとが起こる。
柴岡が河瀬の人事異動をたてに体の関係を要求してきたのだ。
そんなこと到底受け入れられるはずもない。そうは思うものの、ほんの少し我慢すれば手に入る未来に負け、嫌々男を受け入れる。
しかし、河瀬の異動は叶えられず……


赤字の注意書きとは矛盾しますが、とりあえずBLだと思って読まない方がいいと思います。


人事をタテに体の関係を迫る上司というイメージからはかけ離れた儚げで壊れ系の魔性のオジサマと、そのオジサマを憎んで憎んでいるうちになんだかよくわからない情をはぐくんでしまった哀れな青年の話。


色々なものに対する嫌悪感や介護疲れなど、負の感情がかなりしっかり書き込まれているので読んでいてちょっと消耗する。
しかし未だかつてこのジャンルでメインキャラが介護疲れするのをを見たのは初めてかもしれない。
介護BL。何それ新しい。

愛でも恋でもないけれど、捨てることのできない不思議な情。
根本的に壊れてしまっている柴岡がもう少しまっとうな生活と幸せを手に入れられるといいよね。


ラストシーンはとにかくは印象的で幻想的でした。

内容は色々アレですが(笑)木原作品にしてはかなり救われていると思います。

夜をわたる月の船 (Holly NOVELS)/木原 音瀬
¥900
Amazon.co.jp

作:松岡なつき
イラスト:川上ちけ
プランタン出版(ラピスキュリオ)
2004.8
超個人的評価:★★+☆☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


16世紀の地中海。
ヴェネツィア海軍に席を置くリカルドは味方からも敵からも一目置かれる存在だった。
そんなリカルドに誠実に仕えながら熱い視線を送る従僕の美少年、ユーニス。
ふとしたことをきっかけに想いを通じ合わせた二人だが、その矢先にユーニスが敵対するトルコ海賊に掠われてしまい……


16世紀のヴェネツィアを舞台にした時代もので、ご主人様×従者。
古い作品でも視点の移り変わりとか、キャラクターの心情の描き方はやっぱり松岡さんだなあと思いました。ただ今よりも少しクセが強いので好き嫌いは別れそうかも。


前半のユーニスの片思い部分がしっかり書き込まれている割には後半の劇的な展開が妙にさくさく進んでしまってちょっともったいない。

王道ドラマチックが妙にチープに安易に見える気がして。
これ、文庫本一冊のボリュームに収めるのはちょっと苦しいかな?

2冊3冊と続いていい展開だと思いました。


獅子の旗のもとに (ラピス文庫)/松岡 なつき

¥580
Amazon.co.jp

作:月村奎
イラスト:佐倉ハイジ
新書館(ディアプラス文庫)
2008.7
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


大好きだった祖母を亡くしたことがきっかけで引きこもりになってしまった健太。
元は住居兼店舗だった祖母の自宅でたった一人レース編みをする毎日だ。
ある日代わり映えのしない生活をする健太の元に一人の男がやってきた。
宇佐見と名乗る男は、健太の家を間借して焼き菓子専門店を開きたいと言うのだが……


菓子職人×ひきこもりの青年。
家族へのコンプレックスと、受験の失敗、祖母の死が重なってひきこもりになってしまった基本ネガティブでマイナス思考の主人公が陽性の攻に惹かれていく過程が自然で安心して読めた。
はじめのうちは、夢に向かってがんばっていて顔よし、性格よしでどんなパーフェクト王子様やねんって思っていた攻が後半下ネタ発言を連発しだすあたりでああこの人も普通の人なんだと妙に安心した。

ほどよい葛藤成分とぐるぐる具合でさらりと読めます。


しかも出てくるお菓子がまたおいしそうなんだ。
甘いモノが食べたくなる一冊でした。

ビター・スイート・レシピ (新書館ディアプラス文庫)/月村 奎
¥588
Amazon.co.jp

作:崎谷はるひ
イラスト:志水ゆき
幻冬舎(ルチル文庫)
2010.9
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


リラクゼーション系の会社を営む綾川は、訳あって子持ちの女装社長としてお茶の間でちょっとだけ有名な存在。
最近やっとそんなイロモノ路線から離れ始めた綾川が、仕事で出会ったのが音叉セラピストの白瀬だ。
接待の飲み会の後、突然キスして迫ってきた白瀬に綾川は自分はゲイではないと告げる。
以降友人としての関係を続ける二人だったが、綾川は白瀬の純粋さや、息子に見せる楽しそうな表情に惹かれていき……


子持ち女装社長×訳ありセラピスト。
世間からはイロモノ扱いされているけど実際は男気あふれる社長が、クールビューティな見た目に反して不器用で情の厚いセラピストを落とすまでの話。
ほどほどに現実感のあるキャラクターたちの恋模様は安心して読めるし、応援したくもなるけれど、今まで亡くなった妻一筋だった綾川が唯一白瀬だけには……っていうにはちょっと説得力が足りないかなあという気はしないでもない。


しかしある意味こんなにまっとうにオトコらしい攻は久しぶりに見た気がします。
中盤以降、腹をくくった綾川は本当に男前。
無茶苦茶な環境で育ってきた白川を息子ともども幸せにしてあげて欲しいです。

静かにことばは揺れている (幻冬舎ルチル文庫)/崎谷はるひ
¥680
Amazon.co.jp

作:恒川光太朗
角川書店
2010.2
超個人的評価:★★★★☆


一家心中をしようとしている両親に連れられて湘南の海にやってきたタカシは、そこで不思議な雰囲気を持つ女性と出会った。
彼女に連れられてやってきた島、トロンバス島。
近くて遠いこの島で起こる数々の不思議の物語。


いつも印象的な異界を書かれる恒川さん。
の作品でもそれは健在だけれど、またいつもとは少し違うテイストな気がする。

現実に存在しそうな不思議な島で暮らす人たちのゆるやかな繋がりを持った連作短編集です。
時間も空間も善悪さえも入り乱れた世界でおこるできごとには、その文章もあいまって独特の酩酊感を覚えます。
話にオチというオチはなく、ストーリーというよりは恒川ワールドを楽しむ一冊かも。


余談ですが、『雲の眠る海』の「シシマデウさん」を終盤まで「シンデマウさん」と誤読していたとかいないとか。我ながら酷い。


南の子供が夜いくところ/恒川 光太郎

¥1,470
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作:椹野道流
イラスト:草間さかえ
二見書房(シャレード文庫)
2010.8
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


一目惚れの末、泣き落としで楢崎先生のマンションで暮らすことにあったまんじくん。
一緒に暮らして、家事労働にいそしむ毎日だけど今だ二人の関係は「恋人」ではない。
それでもなんとか楢崎先生に必要とされたくて奮闘するまんじくんだったが、ある日珍しく出席した飲み会で携帯電話を紛失してしまった。これじゃあ先生に連絡がとれない。焦るまんじくんにさらなる不幸が降りかかり……


亭主関白で時々自分勝手な楢崎先生はまんじくんにもう少し優しくしてあげてもいいんじゃないかなあと思わなくもないけれど、先生のそんな素直じゃないところが可愛いのもまた事実。


しかしメイン四人がそろうとイラストのメガネ率の高さがすごいです。
四人中三人がメガネ。75%メガネ!!わーい!!
草間さんのメガネキャラにトキメキはノンストップ。
腹黒メガネに天然メガネにツンデレメガネ。
なんてメガネスキーに優しい作品なんだ。


けなげさが先にたつまんじくんだけど、冷静に考えれば彼がやっていることも結構あれだ(ストーカー後押しかけ女房)と思わなくもない。
なんだかんだ二人はいいコンビですね。

楢崎先生とまんじ君2 (二見書房 シャレード文庫)/椹野 道流
¥650
Amazon.co.jp

作:バーバラ片桐
イラスト:門地かおり
プランタン出版(プラチナ文庫)
2007.1
超個人的評価:★★+☆☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


華族の光亨は借金のカタに軍人の久嗣に買われた。
自分のプライドをへし折り、従順な性奴になることを要求され憤慨する光亨だったが、行為の間にみせる久嗣の優しさに徐々に惹かれ始める。
そんな矢先、久嗣が自分を買ったのは権力者への貢ぎ物にするためだと知ってしまった光亨は……


バーバラさんのミラクルジパングで調教モノ。
調教に次ぐ調教で、エロに次ぐエロ。
登場人物の関係や、色々な理由付けが後半怒濤のごとく展開するので、若干の都合の良さというかとって付けた感というかを感じてしまった。

久嗣の幼馴染みとか……そんなんいたなら初めから出せやと思わなくも、ない。

いくらちょっといい人かも?って思っても自分に無茶な調教をしてくる人間を好きになるのは難しいよなあなんて、思った時点で私の負け。
BLミラクルはいっぱいです。

いけにえの華族 (プラチナ文庫)/バーバラ 片桐
¥580
Amazon.co.jp

作:木原音瀬
イラスト:依田沙江美
蒼竜社(ホーリーノベルズ)
2007.7
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


大学で助手をしている亮一郎は、口のきけない年上の使用人・徳馬に心を寄せている。
幼い頃から一緒に育った徳馬は、亮一郎の癇癪をも受け止めてくれるかけがえのない存在だ。
亮一郎は知らないが、徳馬が声を失った事情には、亮一郎が深く関わっているらしい。
想いを告げて関係を壊すよりも、今のままの関係を選んだ亮一郎にある日徳馬が暇を願い出て……


明治時代が舞台の主従モノ。
ワガママでまっすぐな坊ちゃん×口のきけない使用人。
そういえば多少年下攻め。
妖怪成分、切なさ成分含有でおもしろかった。
安心して読み終えることのできる木原さんにしてはめずらしい話です。


甘やかされて育った亮一郎は、まっすぐだけど融通が利かなくてワガママ。
最初なんじゃこいつはと思ったんだけど、亮一郎の癇癪にはちゃんと理由があって、どっか憎めません。子供っぽくて、弱くて、時に強くてとっても人間らしい主人公です。

対する徳馬はしっかりもの時々乙女。年上なのになんかかわいいです。


時代背景のせいでキスが接吻って表記されているんだけど、接吻って書くとなんかより
エロい気がするのは私だけでしょうか(笑)


一話目が二人がくっつくまで。
二話目はカップルが主役の妖怪話になるんですが、この二話目が楽しかった。
BLってジャンルからはちょっと逸れるかもしれないけど。
普段は猫に擬態している徳馬の鬼、桑葉のキャラがナイスです。
結局語られることのなかった徳馬に鬼が着いている理由も含めて、シリーズ化してくれたりとかしないかな。
してくれたら絶対買うのに。


あとすごく個人的な感想なのだけれど、この作品、あとり硅子さんのイラストで見たかったなあ。

牛泥棒 (ホリーノベルズ)/木原 音瀬
¥900
Amazon.co.jp

作:月村奎
イラスト:佐久間智代
新書館(ディアプラス文庫)
2000.2
超個人的評価:★★★-☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません


人に言えないある事情を抱えながらも、明るくて楽天的なごくフツーの高校生を演じている朔矢。
一人で暮らす朔矢の葛藤と孤独に唯一気づいたのは隣に暮らすクラスメイトの二階堂だった。
優等生の二階堂とお馬鹿なグループに属する朔矢は本来相容れない存在のはずだったのだが……


超優等生で包容力もあるけれど、少し言葉の足りなくて俺様?な攻と、ぐるぐる自己犠牲系受。
良い感じに切ないんだけれど、二人がくっつくまでがちと急だったかもしれません。
しかし朔矢の父親の態度があまりにもあまりにもで読んでいてぐぎぎぎってなります。
よく考えてみればお兄ちゃんも被害者なのかもしれないなあ。


believe in you (ディアプラス文庫)/月村 奎

¥588
Amazon.co.jp

作:梨屋アリエ
金の星社
2005.11
超個人的評価:★★+☆☆☆


14歳になった初音のところに届いたのは8歳の自分からの手紙だった。
そこに書いてあった懐かしい名前。
半ば忘れていた幼い頃の友人を尋ねて初音は小さな旅に出る。
けど、そこで出会ったのは記憶とはぜんぜん違う美凪の姿だった。
変わってしまった美凪とケンカしながらも、彼女の夢のため協力することにした初音だったが……


中学三年生、毎日に余裕の持てない女の子の元に届いた過去の自分からの手紙。
そこから始まるさわやかな物語……なんだけれど、主人公の初音の年相応の自分勝手さや自意識過剰さにちょっとイライラした。
ただあの頃の空気感とかはすごくリアルで、だからこその感情なんだろうなという気はする。


後半の親の手のひら返しっぷりにはちょっと驚いた。
あれだけ娘を自分のレールに乗せることだけを考えていたみたいな親だったのに、あなたの好きにすればいいってそんな。

14歳の主人公から見たらわかっていなかったといえばそれまでなんだけれども。

ただこれは今、14歳からは遠く離れてしまった私の感想で、きっと主人公と
同じ年頃で読んだらまた違った想いを抱くだろうなあという気がします。


余談ですが、本編を読み終えた後のあとがきの作者のテンションにびっくりしました。

ありりんって呼んでねって。そんな。

空色の地図 (ハートウォームブックス)/梨屋 アリエ
¥1,365
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