作:朱川湊人
カバー・扉イラスト:朝野いにお
角川書店(角川文庫)
2009.2
超個人的評価:★★★★☆


昭和30年代。
変わっていく世界の中を精一杯生きていた姉さまと私。
病弱だけど美人だった姉さまには不思議な力がありました。
人や物がもつ「記憶」を読み取る能力。
その力は難しい事件を解決したり、役に立つこともありました。
だけどその光景に姉さまはいつも傷ついていたのです……


文庫版購入のため再読。
昭和30年代が舞台の連作短編集。
元気でお転婆な主人公の女の子と、美人で不思議な力をもつ彼女の姉はじめに、大きく変わって行く時代の中を生きる個性的な人々や事件は愛しくも切ない。


百合丸さんかわいいよ百合丸さん(笑)
かわいらしい名前と、鋭い雰囲気を持つ刑事さんで、時々姉さまに事件に協力を求めくる人です。
最初怖い人かと思いきや以外と話がわかる熱い人で、いい年のおっさん(失礼)が女の子たちと一緒にいて時々振り回されているのはなんともほほえましい。


作品冒頭から所々に現われる終わりの気配がなんとも切なくて、終わりや別離が訪れるにしてもどうなるのかが非常に気になります。


続きも早く文庫化されないかなあ。

わくらば日記 (角川文庫)/朱川 湊人
¥580
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作:沙野風結子
イラスト:高宮東
太陽図書(SHYノベルズ)
2010.11
超個人的評価:★★★+☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。


臨床心理士の幸成には、人間の背中に翅が見える。
翅を見ればその人の状態がわかって便利な一方で、満月の度に人間の心臓を貪りたい衝動に駆られる。

幼い頃に一度死にかけた幸成は「天使憑き」になってしまった。
そんな幸成の秘密を知るのは、同じ施設出身で神父になった幼馴染みの慎だけ。
ある時、ふとしたことから幸成は生きたまま慎の心臓を味わってしまう。
その日から周りの人間が餌にしか見えなくなり、追い込まれていく幸成だったが……


天使という言葉のイメージを裏切る妖怪天使憑きのいる世界観の設定がおもしろかった。さすが沙野さん。
天使というよりも、人の罪を喰らい快楽を得るというのは吸血鬼に近いかも。
羽根や心臓が性感帯という特殊な状況でのエロスは大変においしゅうございました。


羽なしと天使憑き。
お互いがいないとまっとうに生きていけない相依存気味の二人にはときめかずにはいられません。


続編というかスピンアウトで悪魔憑きサイドの話があるそうなので、次はそちらを探して来ようと思います。

天使憑きの男 (SHYノベルス)/沙野 風結子
¥903
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作:李丘那岐
イラスト:麻生海
リブレ出版(ビーボーイノベルズ)
2008.7
超個人的評価:★★★☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。


交番に勤務する警官の虎太郎は、ある事件をきっかけに高校の頃、剣道でライバルだった久竜と再会した。
かつて憧れ、淡い想いを抱いた久竜はあの頃と変わらず、まっすぐに虎太郎のことを見てくれた。強く心を惹かれる虎太郎だが、辛い過去が彼のことを縛る。
そんな時、手が足りないからと虎太郎が刑事課に貸し出されることが決まった。
しかもパートナーは久竜で……


昔のトラウマのせいで、久竜に自分の気持ちが告げられず、ごく普通の友人として振る舞おうとする虎太郎が切ない。
自分の気持ちを隠してごく普通に振る舞おうとする虎太郎と久竜の会話がすごく普通で、その普通であることにとてもきゅんとする。


ただ彼が過去に遭遇した事件で彼に非があるとはまったく思えず、それなのに自分を責てばかりの虎太郎の正義の味方っぷりがちょっとひっかかったりもした。


自分があの時ちゃんとしていれば今回の事件は起きなかったって、さすがにそこまで思いこまなくてもいいんじゃないかなあと。

罪に眠る恋 (ビーボーイノベルズ)/李丘 那岐
¥893
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作:本多孝好
講談社
2008.12
超個人的評価:★★★★-☆


誰からも必要とされず、ただ社会の歯車として働くごく普通のOLだった彼女は日常の積み重ねですべてが嫌になり死のうと思う。
そんな彼女の前に不思議な人物が現われ、もし死ぬのを1年待ったら、楽に死ねる薬をくれるとささやいた。
死への希望。矛盾した感情を胸に彼女は残された1年を過ごすが……


取り立てて辛いことがなくても、いやなにもないからこそ死にたくなる。そんな事もあるだろう。
死ぬほど辛いことがあった人。生きたくても生きられない人。ただ毎日を必死に生きている人。
そんな人たちと主人公である彼女の姿を描きながら、肯定も否定もしない自殺へのスタンスが心地よい一冊。


ラスト、こういうことだったのかーと。
思わず頭から読み返しました。

きっと人はみな、誰でもいいから誰かに必要とされたいんだよね。

色々考えさせられる部分もあり、おもしろかったです。

チェーン・ポイズン (100周年書き下ろし)/本多 孝好
¥1,680
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作:池永陽
集英社(集英社文庫)
2005.6
超個人的評価:★★☆☆☆


小さな町の小さなコンビニ、ミユキマート。
オーナーの幹郎は事故で妻子を亡くし、彼女たちを幸せにしてやれなかったことを悔いていた。
オーナーの孤独に引き寄せられるように、コンビニにはどこかさみしい人たちが集う。
小さなコンビニと、それを取り巻く人々の連作短編集。


妻をなくしたコンビニ店長……
あらすじからもっとさらっとしてさわやかな話を想像していたんですが、どの話も最後はじめっとした男女の関係に行き着いてびっくりした。
どこか歪んでいたり不器用だったりする登場人物たちも良い感じだったのに、そんなに誰も彼もを官能方面に引っ張って行かなくてもいいだろうに。


読み終わった後、あれ私何を読んでいたんだっけと遠い目をしてしまいました。

男女のどろどろした感情やら関係やらの話はどうも苦手です。

コンビニ・ララバイ (集英社文庫)/池永 陽
¥630
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作:榎田尤利
イラスト:奈良千春
太陽図書(SHYノベルズ)
2010.12
超個人的評価:★★★★☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。


芽吹ネゴオフィスのアルバイト、キヨは時々事務所を訪れるトモのことが大好きだ。
本人には禁句だけれど小さくて可愛い。そのくせ頭は切れるし、男前。
男は人から恐れられなければならない、そう信じているトモは自分のことを可愛いなどと言ったキヨ相手に素直になれるはずもなく……
ある日、キヨの特殊清掃のアルバイトの手伝いをしていたトモは、物置小屋で眠っていた子供を見つけて……


無口キャラで押さえる所は押さえるいい男だと思ってたキヨの内面が見られる素敵なスピンアウト。
キヨ、お前なんてカワイソ……いやカワイイヤツなんだ!!
口には出さないけれどいろいろなものが漏れ出している彼視点はにやにやしてしまう。

逆にトモ視点で見るとキヨのワンコっぷりが際だちます。
トモ、ちっちゃいけれど男前で、これからもどんどん成長してくれるんだろうなあ。
彼がちゃんと芽吹を尊敬しているのが見えて色々きゅんとした。

普段ワンコな攻が夜はケダモノっていうのにはときめきます。


ちょこっとだけ顔を出している兵頭が相変わらず大人げない(笑)


これから何があってもこの二人なら大丈夫。
そんな風に思わせてくれるお話でした。


スウィーパーはときどき笑う 交渉人シリーズEX. (SHYノベルス)/榎田 尤利

¥903
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作:崎谷はるひ
イラスト:梶原にき
幻冬舎(ルチル文庫)
2005.5
超個人的評価:★★★★☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。


高校二年の佳弥は幼馴染みの元就が苦手だ。
幼い頃、憧れのお兄ちゃんだった元就はさわやかな刑事を辞めて、いまではうさんくさい私立探偵になってしまった。
変わってしまった元就に、どう接するべきかわからないまま素直じゃない態度ばかりとり続ける佳弥のまわりで、立て続けにものがなくなる事件が発生する。
どうやらこれはストーカーに狙われているらしい。
それじゃあ元就が側に居るのは仕事だから?
ますます頑なに元就を拒む佳弥だったが……


元刑事の探偵×ストーカー被害にあう高校生で幼馴染みもの。
崎谷さんお得意の執着攻です。
生まれた時からってすごいな元就さん。

基本的に出来た人が部分的にすごくダメだったりすると萌えるので、個人的にはとても楽しかったです。

今回なんといっても犯人の描写がとことん気持ち悪くて、そこまでやるかと逆にちょっと尊敬した。
だけど佳弥が最後までやられなかったところに作者の優しさを感じたような気も……
ってかここまで気持ち悪い人に最期までされたらもう立ち直れないよなあ。


さりげなくママ最強でした。

いつでも瞳の中にいる (幻冬舎ルチル文庫)/崎谷 はるひ

¥650
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作:入間人間
メディアワークス(メディアワークス文庫)
2009.12
超個人的評価:★★-☆☆☆


迷子の犬猫探しが本業で、浮気調査が大事件、そんな事務所で探偵として働く花咲太郎はロリコンである。
わけあって一緒に暮らしているトラブル体質の美幼女、トウキ。
彼女には理屈をすっとばして事件の真相がわかってしまうという不思議な力があった。
しかし真相がわかってもその道筋がわからないと意味がない?!
殺人事件に遭遇してしまった二人。

まわりのみなさんの視線が探偵だと名乗った太郎に集まるが……


最初からミステリ風味のラノベだと自分に言い聞かせて読んだのでそこはノープロブレム。

お話はロリコン探偵の一人称で進むのだが、この趣味志向全開の語りをおもしろがっていたのは一話だけで、だんだん目が滑るようになってきた。


キャラクターは確かに面白いけど、事件自体にそんなにオチとかインパクトがないのでちょっと肩すかしをくらったような。

話事に路線というか終着点が違うので、正直どこを目指して居るんだろうという気はする。


探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)/入間 人間

¥557
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作:いおかいつき
イラスト:山田ユギ
ワンツーマガジン社(アルルノベルズ)
2008.9
超個人的評価:★★+☆☆☆


この本はBL(ボーイズラブ)です。苦手な方もしくは言葉の意味がわからない方は見ない方が良いかもしれません。


何でも屋で働く朝陽の元に高額の依頼が舞い込んだ!
期限は二週間、隠された財産を探すために豪邸に住み込んで捜査を始めた朝陽たちだが、捜索初日の夜与えられた部屋で一人休んでいた朝陽は突然しらない男の襲撃で目を覚ます。
ここにいる目的を問う男に、守秘義務を貫こうとすると、男は予想外の方向で朝陽を苛んできた。
翌日ふらふらの朝陽が目を覚ますと、なんと仲間の一人が無惨な姿で殺されていた。
警察の事情聴取に現われたのは昨日の男。
彼こそがこの屋敷の真の相続人だというのだが……


俺様相続人×何でも屋。
さらっと読めるミステリ風味……はいいんだけど、自分の相続した家に侵入者が!お前ら何者だ?本当の事を答えない。よし!!で押し倒すってなんて無茶を。


そこから恋が生まれる過程がまたいろんなものをぶっ飛ばしていてさ。
あれ?あれれ?と思っているうちに読了。

まあこういう世界感だと思って諦めるのが一番いいのかもしれないな。

相続人と蜜月 (アルルノベルス)/いおか いつき
¥900
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作:榎田ユウリ
イラスト:カトーナオ
角川書店(ビーンズ文庫)
2010.12
超個人的評価:★★★★☆


陰謀渦巻く王宮で、対立することを強いられた二人の王子。
奇跡の慧眼児、天青と神官の鶏冠にとっては二人とも大事な仲間だ。
見守ることしかできないことに苛立ちを感じているところに、突如近隣の大国、陶の大使が国を訪れることが決まった。
大使をもてなすため二人の王子にもそれぞれ役目がかせられるが……


続きが気になって一気読み。
とりあえず兄弟対決は一段落だけれど、まだまだ諦めていないらしい敵方とあらたなる波乱の予感。
藍晶王子と鶏冠の苦労はまだまだ続きそうです。


っていうか黒幕はあの人なんだろうか。
鶏冠に対する妙な執着も気になるし。うーん。


しかし天青はもともと良い子だけれど本当に成長したよね。
なんだか近所のおばちゃんモードでしみじみしてしまいました。


次は短編集かー。櫻嵐が好きなので楽しみです。

宮廷神官物語 鳳凰をまといし者 (角川ビーンズ文庫)/榎田 ユウリ
¥540
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