オーディション
社会人になってからティップネスでしか仕事をしたことがなかった私が
はじめて外の世界へと足を踏み出すきっかけをいただくことになった
スタジオ ビーキューブのインストラクターオーディション。
マットワークとリフォーマーを使ったプライベートセッションを
クライアント役の方をお相手に指導させていただいたのですが、
今思えば、無難で万能なエクササイズばかりをセレクトした、
とても消極的な内容だったような気がします。
フィットネスインストラクターとしては15年以上のキャリアがあっても、
ピラティスのインストラクター経験はほとんど無いに等しかった私は、
そのときまだ自分では「ピラティスインストラクター」と名乗れないほど、
知識にも指導技術にも自信を持てずにいたんです。
そんな私をwataru先生はちゃんと「ピラティスインストラクター」として
審査してくださいました。
「エクササイズは教科書を見ればわかること。
たくさんのエクササイズを知っていることよりも、
もっと大切なことがあると思っています」
オーディションのあと、wataru先生はそうおっしゃいました。
そして、
「ぜひいっしょにお仕事しましょう」
と言ってくださったのです。
叶った夢と現実と
私がビーキューブでインストラクターとしてデビューしたのは、
スタジオが現在の場所に移転したのと同じタイミングでした。
最新設備が整った本格的なピラティススタジオで
ピラティスインストラクターとして働くという夢が
有難いことにあっさりと叶ってしまったわけなのですが、
自分の実力がその恵まれた環境に追いついていない、
という自分の現実に、大いに苦しむことになります。
ビーキューブでは定期的にインストラクタートレーナーの先生方が
知識や技術を高めるための研修会を行なってくださいました。
医療分野出身の先生方から教わるカラダに関するあれこれは、
それまでの学びをはるかに超える広さと深さ。
元々解剖学や姿勢分析に対し苦手意識が強かった私は、
学べば学ぶほど自分のふがいなさを目の当たりにすることとなり、
いつまでたっても自分の指導に自信を持つことができずにいました。
そんなある日のこと。
あれは確かビーキューブのスタッフが集合して
会食していた場での出来事だったと思います。
何かの話の流れで、
「ピラティスインストラクターとしては私はまだまだ全然ダメ」
と、何の気なしに自分を卑下するような発言をしてしまった私に、
wataru先生がおっしゃった一言が、私の転機のきっかけでした。
つづく・・・