『武士道ジェネレーション』(誉田哲也/文藝春秋) | 有川ひろと覚しき人の『読書は未来だ!』

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大好きなシリーズです。
何が好きかって、キャラクターの瑞々しさ。
しかも、男性作家が書いているのに、一歩間違えるとあざとくなりそうな女の子が、実に自然!
戦国時代の武士のように剣の道を邁進する香織と、試合で香織に勝ったふわっとフェミニン系の早苗。
この二人がとにかく真っ直ぐでかわいくて、二人の思い悩む青春を見守り、応援したくなります。

男勝り女子と、フェミニン系女子。
一歩間違えるとあざとくなって、女性から総スカンを受ける双璧のようなキャラクターを、これほどまでに自然に、魅力的に書ける男性作家が、未だかつていたでしょうか。
キャラクターの書き方については、私もかなり評価されていますし自信もありますし(好き嫌いの問題はあれど、ですが)、おさおさ人に遅れを取るつもりはありませんが、誉田哲也だけは……!
強敵! という感じです。
勝てん! と思わされることもたびたび。

誉田さんといえば警察小説が有名ですが、実は青春物やお仕事物が、とてもいいんです。
特に女子が! ね!(好きすぎて言葉にならない)
私は『幸せの条件』も好きです。
感情移入して、頑張れ頑張れと応援して、ぐいぐい最後まで連れて行かれます。

ちなみに、『武士道』シリーズは、既刊に
『武士道シックスティーン』
『武士道セブンティーン』
『武士道エイティーン』
があり、文庫版『武士道エイティーン』の解説は私が書いております。

その解説で、「誉田哲也は心に少女を飼っている」と書きました。
そうとしか思われないほど、少女たちが実に自然に乙女なのです。
ほんとに私は誉田さんの書く等身大の女の子たちが大好きです。

そしてまた、その解説で「『武士道ナインティーン』を書いてくれ」と書きました。
完全にファンとしてのコールでしたが、そして、そのコールに応えてもらえたと思うのは調子に乗りすぎだと思いますが、『エイティーン』の続きとして、『ジェネレーション』が出たのです。
タイトルもまた、いい!
『武士道ジェネレーション』! 武士道の世代!
何て、未来を感じさせるタイトルでしょう!
嬉しくて、発売当日に即買い。
買った数日後に、誉田さんから献本をいただいてずっこけました。
私が『武士道』を即刻捕獲しないわけがないでしょう!
でも、読者として売上げに貢献できたので、これもまたよし!
というわけで、うちには『武士道ジェネレーション』が2冊あるのです。

二人の選んだ未来を、しっかり見せてくれました。
真っ直ぐ進んでいってくれ、と応援しながら本を閉じました。
少女の成長物語でありながら、日本人へのエールも詰まっていました。
「僻むな。驕るな。そして誇りを取り戻せ」と、読む人に穏やかに活を入れてくれているような本でした。

このblogを開設するときに、絶対に紹介しようと心に決めていた本です。
今日は、『武士道ジェネレーション』の発売を、心から祝うただのファンの一人として、書いています。