落武者寸前から凱旋帰国へ | 中尾 あきら 「和の道」

落武者寸前から凱旋帰国へ

Yelpで全米一評価の高いオーガニックヴィーガンレストランVegiLiciousのオーナーシェフを12年しておりました 中尾あきら です。

VegiLiciousは7月8日に最後の営業を終え、アメリカでの12年間の歴史に幕をおろし、7月14日の無料感謝イベントでお客様に最後のお別れをしました。

引き継いでくださる会社さんにレシピの伝授と、作り方や注意事項を指導し、8月20日に日本に戻ってきました。
これからは沖縄の古宇利島でやることになる自宅兼民宿Auberge VegiLicious オーベルジュべジリシャスの建設と準備です。

以下、アメリカ生活18年、レストラン経営12年の経験からお話しします。

起業するときは誰しも大きな夢や希望をもって臨むものです。

私がVegiLiciousを起業したのは、「より多くの人の健康と幸せに寄与し、世界の食糧事情と地球環境の改善、及び、動物の犠牲の縮小に貢献したい」という思いを、私の「過去の経験、得意なこと、好きなこと、楽しいこと」と適合させたものでした。

事業計画から1年半という産みの苦しみを経て開業したものの、なかなかお客様が来ず伽藍洞の日々。
開業から3年くらいは苦労の連続でした。

なんとか黒字を出していても、その程度の売上ではビザの更新は認められません。
アメリカが外国人の起業家にビザを発給するのは多額の資金をアメリカに落としたからで、それはなんとかクリアしたものの、ビザを更新させる場合は、たくさん売上を上げてたくさん税金を納めてもらわないとアメリカの利益にならないからです。

ということで、「ビザが更新できないとVegiLiciousは強制終了になり帰国せざるをえない」という厳しい現実に常に苛まれることになっていました。

幸い、4~5年目くらいからVegiLiciousはとても忙しくなり、以降5~6年、嫁さんの大火傷事故で休業するまで、そこそこの繁盛店となりました。
ビザも晴れて2回更新することができ、前述のような心配もなくなりました。

あの苦しかった頃、私は「このままVegiLiciousが強制終了となって帰国したら、俺は敗残兵か落ち武者だ。絶対そんなことにはならない! 自分たちが永久帰国するそのときはファーストクラスで凱旋帰国するんだ!」と固く心に決め、毎日VegiLiciousのSNSで自分たちの理念や料理へのこだわりを綴り、たとえ時間外でもお客様が来てくださったらお料理をお作りして、「これ以上やれることはない」というところまでやり、週休半日で毎日13〜15時間働きとおしました。

その結果、私たちには小金が貯まるようになり、2人分以上の収入が得られるようになりました。
妻が大火傷で10カ月休業しても、多くの方々が支援してくださり、また再開後も1日2時間テイクアウトのみの限定営業にもかかわらず、多くのお客様が高い頻度でしかもたくさんのお料理を注文し続けてくださったおかげで、今回、晴れて「ファーストクラスで凱旋帰国」できることになりました。

もちろん、妻の両足が大火傷の後遺症で、12時間も狭いエコノミーのシートに座らせるのはかわいそうというのはありますが、
異国で起業してまずまず成功して日本に凱旋なんて人生最初で最後ですし、私は酒もタバコもギャンブルもキャバクラとも無縁ですから、「人生最大のイベントのひとつ」にお金をかけても許されるだろう、と勝手に思う次第であります。

↓なんと空港ターミナルではなく、空港近くのこのラウンジで搭乗手続きと荷物検査を受けることができます‼️

↑↓出発前はこんなに豪華な個室で至れり尽くせり


↑駐機場までリムジンで送ってくれます。


↑ファーストクラスはとっても広いスペースです。

↓シートはもちろんベッドになります。

↑事前にアルコールは飲まないと伝えておいたら、ドイツ製のノンアルを用意してくれていました。


苦しくても夢をあきらめずに良かった、希望を捨てないで良かった、と改めて実感するとともに、これから起業される方、また起業したものの苦戦が続き心が折れそうになっている方の夢と希望が続いていつか結実されることを心から願っています。

お読みいただき、ありがとうございます。
 

Yelpで、全米一高い評価

南カリフォルニアのオーガニック・ヴィーガンレストラン

VegiLiciousのオーナーシェフ

中尾あきら


*ロサンゼルスから沖縄へは直行便はなく、大抵東京経由なのですが、台北経由那覇行きの便があるのを見つけ、迷わずそれにしました。航空会社は、台湾の新しい航空会社Starlux航空で、ロサンゼルスのラウンジから那覇の到着まで、それまでの人生で最も良い接遇を受けました。もちろん、ファーストクラスだからというのはあるのでしょうが、日系でもあそこまで出来るかな?と思うほどの細やかなサービスと愛想の良さだったので、どのクラスでもそれなりに良いと信じたいです。けっこう、日本各地から台湾に飛んでいるようで、台湾からはロサンゼルス以外にもタイやシンガポール、その他アジア路線があるようです。ぜひ調べてみてください。