アナスタシアシリーズを

1巻ごとに1章づつ

振り返る企画、

今日から3巻に入ります。

全24章、目標は9月末!

 

 

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1巻では通商のために

オビ川沿いの寒村に寄港し

老人男性2人に呼び止められ

 

特別なシダーを切り倒して

運ぶための人手を借りたい

と頼まれたメグレ氏。

 

一旦断って帰るも、

もう少し詳しく聞いて

人足を貸そうと再び船を出し

その途中で乗組員から

「そんな話は聞いていない」

と反発を受けて、やむを得ず

一人で同じ寒村に立ち寄り

そこにいた女性に声を掛ける。

 

その女性

アナスタシアに連れられて

タイガの中で3泊過ごし

様々な信じられない話を聞き

女性との間にこどもをもうけ

聞いた話を本に書くよう

頼まれる。

 

 

2巻では、タイガから

都会に帰ると何も手に

つかなくなり、

プライベートもビジネスも

すべてが行き詰まり

自殺を決意して出かけた先で

元KGBの将校に会い、彼に

それまで誰にも話さなかった

アナスタシアの話をすると

彼は本のためのエンブレムを

アパートの壁に描いている

途中で暴漢に襲われ亡くなる。

 

それから夢中で1巻を書きあげ

出版したところ、大反響で

様々な方面から本に書いた

自分の行いをバカにされ

理解力のなさを

アナスタシアに

釣り合っていない

とこき下ろされるも、

アナスタシアの祖父に

死をもたらす

プライドという大罪から

きみを守っている

と諭される。

 

そしてアナスタシアが

出産したことを聞いて

彼女のためにできることは

1巻には書かなかった

約束を果たすことだ、と

 

コーカサス地方に複数ある

石造りのドルメンに対する

周囲の人々の関心と敬意を

取り戻すため

現地に向かいます。

 

何とか約束を果たしたので

生まれたばかりの息子に

会わせてもらえるだろうと

期待を胸にタイガに向かう。

 

 

 

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3巻の最初は、再び

オビ川沿いの村に来た

シーンからです。

 

今回は自分の船を出して

来たのではなく、通常の

交通手段で終着点まで

来たとあります。

 

そこからさらにボートで

小さな村へ向かうために

近くにいた人に

「これこれの場所へ

連れて行ってくれたら

充分な謝礼を払う」と

伝えると

 

「ここでそれを

やっているのは

エゴリッチで、

料金は

50万ルーブル」

と言われます。


 

1996~1997年当時、

1ルーブル20円くらいの

相場だったようですから

約100万円!でしょうか。

 

 

超高級小型船を

出してくれるのは

エゴリッチ

かなり酒を飲んだ

推定60代

 

相棒のサーシャ

白髪が筋をなしている

30代

 

そしてエゴリッチの孫

ヴァシャーツカ12歳

 

全員男性です。

 

 

 

メグレ氏はまず孫の

ヴァシャーツカを見つけ

祖父を呼んでくれるよう

頼むのですが、

ヴァシャーツカはすぐに

「行きたいの?

アナスタシアに会いに?」と

反応します。

 

 

そして祖父を呼びに

行ってくれるのですが

メグレ氏はここから3時間ほど

川のほとりで彼らを待ちます。

 

3時間!



川幅は1kmほどもあり

その水面を見ながら考えたことを

ツラツラと8ページにわたって

書き綴っています。

 

アナスタシアが語ったことでもなく

メグレ氏が行動したことでもなく

メグレ氏が考えたこととしては

これまででもっとも長いページ

かもしれません。

 

 

その中に

メグレ氏が今回持ってきた 


「子どもの知能を伸ばす遊び」

と箱に書いてある

組み立てセットや

粉を水で溶くだけで

食べられるベビーフードや

使い捨ておむつ


さらに

読者から届いた

たくさんの手紙のことを

書いています。

 



息子のための買い物については


アナスタシアに

「彼はあなたが考えているような

物質的なものは何も必要としない。

彼は最初からすべてをもっている。

あなたは間違いなく赤ちゃんに

無意味なガラガラなどを持って

きたがるだろうけど、彼は

絶対にそれを必要としない。

あなたはそれを

"自分は子ども想いの

良い父親なのだ"

という自己満足を得るために

必要としている」

と言われたけども

 

アナスタシアの考えについては

「まったくの迷信か

少なくとも

偏屈なものだと思っている。

人類がこれまで

子どもたちのために

発明してきた

こんなにも多くの

さまざまなおもちゃが、

本当に無駄だったと?」

 

ベビーフードに関しても

「こんな便利なものを

拒絶するのはばかげている」

 

「彼女はわれわれの

技術優先世界に

なんらかの敬意を

払わざるをえないだろう。

この世界は、武器を

生み出しているだけではなく、

子どもたちのことも

考えているのだ」

 

と反発する気持ちを

書いています。

 

ですが、

読者から届いた大量の、


あまりに大量で

全てを持ってこられなかった

手紙を見て、

 

アナスタシアを理解して

彼女を親友のように

呼び掛ける人たちを見て、

 

自分の考えを

「多大な努力を払って」

再考せざるをえなくなった

とも書いています。

 

 

 



つまり、アナスタシアと

一対一で向き合っていたときは


アナスタシアのほうが

たった一人の

考えのおかしな狂人で


自分は

世間の常識をわきまえた

多数派の一般的な大人

と思っていたのが

 

 

アナスタシアに対する

あまりに多くの親愛の情を

示す手紙が

 

そうではないのかも・・・

絶対認めたくないけど

自分の考えのほうが

どこか間違っているか

もしくは

アナスタシアの言っている

ことはそれほどおかしな

ことではないのかも・・・


と考え直し始めた

ということかと思います。

 

 

 

 



それでもなお、息子に

様々なものを買ってきたのは

もちろん、

アナスタシアの祖父に

なんでも思うものを

買ってやればいい

と言われたこともあるでしょうし

 

父親が乳飲み子に

してやれることは

環境を整えることか

物質的なものを与えること 

以外に何もない、と

メグレさん自身が

思っていたからのようです。

 

 

 



さて、3時間経って

ようやく現れた

エゴリッチは

ふらふらの足どりで


メグレさんを見るなり

同じ目的で村にやってくる

すべての客に対し

悪態をつきます。






アナスタシアが招待したか?


と。



さらにこうも言います。



アナスタシアに

一人の男が会い

彼女が話したことを

本に書いた


それはいい


なぜこの場所を

はっきり分かるように

書く?

 

 




メグレさんはエゴリッチに

本を読んだのか聞きます。



エゴリッチは

自分は読まないが

相棒のサーシャが読んだ

と答え



メグレさんは

彼に自分が著者だと

気付かれなくて良かった

と安堵します。

 

 

 





アナスタシアが招待したか?

というのは

祖父が言ったのと同じこと

ですね。



メグレさんは

都会に暮らす

常識人として


森の奥深くで

世界情勢に詳しい

裸の若い女性に会って

こどもをつくった


というあまりに非日常すぎる

体験で、思考がバグったのも

あると思うし

初めて本を書くという作業を

したのもあるだろうし


何より1995年当時は

今のようにSNSやインターネットが

発達していなかったから


個人情報は晒さないもの

という一般常識はまだ

なかったかもしれません。




とにかく、メグレさんは

アナスタシアに出会う為のルートを

近くの人にははっきりと

特定出来るように書いたため


たくさんの人が本を読んで

アナスタシアに会うために

オビ川沿いの村に

押し寄せたし



それをこころよく思わない

エゴリッチが

100万円という法外な料金で

彼らを追い払おうとしている

様子が描かれているのが

3巻の1章です。





いきなりアナスタシアに

会うシーンからではなく


会いに行くための港口で

メグレ氏は今から壮大な

出来事を聞くことになります。





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