父の運転を止めてくれた天国の祖父母の計らい | misaのブログ

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高齢者による交通事故が連日のようにテレビで大きく取り上げられ、運転免許証を自主返納する方が増えていると何度も耳にする昨今です。

我が家でも、令和になったばかりの5月に88歳を迎えた父親が、まだ車を毎日のように運転していたのです。

俳句の選者もやっていて、会報誌も作っている父は、遠方の印刷所や郵便局によく出向きます。

最近は、シルバー人材から頼まれて、俳句教室の講師もやり始めたので、車の運転もまだ大丈夫かなとは思っていました。

母とは、時々自主返納の話題が出るのですが、父親の生きがいを取り上げてしまう問題には、慎重になっていて、父とはなかなか話し合えないでいました。

私たちはあくまでも父の意思を尊重したく、父から自主返納したいと言ってくるのを待っていました。

田舎では車がないと何かと不便であり、自分で何処へでも好きな時に出かけられる上で、父にとって車は欠かせないものだったのです。

それはよく分かるのですが、やはり何かあったら、と心配はしていました。


ある日、私は父の夢を見ました。

父の夢など、ほとんど見た記憶がないにもかかわらず。。

外出した父から、携帯に電話がかかって来たのです。

「◯◯◯、、、」

ひとこと、私の名前を呼んだその声は、悲しみに沈んでおり、私は胸がしめつけられるようになりながらも、瞬時に全てを悟りました。

「とうとう、起きてはいけない事が起きてしまったんだ。。」

そこで、ぱっと夢から目覚めました。

とても嫌な予感がしました。

父の夢などほとんど見ないので、事故に重々氣をつけるように、とのお告げのように感じました。

その日は、父の運転がとても氣になり、両親がスーパーへ買い物に出かけるや否や、仏壇の前に座り、亡き祖父母とご先祖様へ一心にお願いをしました。

「どうか、父が事故を起こしませんように。加害者にも被害者にもなりませんように。父をどうかお守りください。」

あまりお願い事をしない私ですが、今回ばかりは真剣に祈ったのでした。

その後、無事に何事もなく帰って来た両親を見て、その日はホッと胸を撫で下ろした私でした。

だけど、これから毎日心配していなきゃいけないなあ。。と考えていたのですが、突然転機はやって来ました。

その翌日のことです。

我が家は、玄関前に父の車と私の車を縦列駐車しているのですが、父がいつでも出かけられるように、私の車は後方に停めていました。

夕方、車で外出していた私は、家の近くまで来た所だから、すぐに車を入れ替えられるように、父に車を外に出しておいてと電話をかけておいたのです。

家に到着した頃、ちょうど家の門から父の車が出て来ましたが、近所の家の車が私道に停まっていた為、父はいつもとは違う方向に車を待機させました。

私がお庭の奥に車を入れ、荷物を玄関に運びながら、ふと父の車を見たら、門柱スレスレの所で動こうとしているではありませんか!

「お父さん、ストップ!!門にぶつかる!」

なのに、父は止まりません。無理に車を前後させ門に車体を擦り付けた挙句に、まだ動こうとしていて、サイドミラーがもげてしまう寸前まで行っていました。

「ダメダメ!無理無理無理!!止まってー!!」

私は車体をバンバン叩きながら、近所中に聞こえるくらいの大声で叫んでいました。

そしてようやく車を止めた父。。

「なんで、大回りしなかったの!何故すぐに止めなかったの!」

そう言っても後の祭りなのは分かっていますが、言わずにはおられず、憤慨しながらも父と運転を代わり、駐車場に入れました。

母も私の声に驚いて、家から飛び出して来ていました。

道路に停めていた近所の人も、慌てて自分の駐車場に車を引っ込めていました。

隣りの家の人もちょうど2台の車が帰って来た所でしたが、我が家の車が駐車場に無事に納まるまで、黙って待っていてくれました。

家に入ってから、私と母に代わる代わる色々言われている中、父はずっと新幹線の時刻表を眺めていました。

見ているふりをしているといった感じ。

そして、やはり流れは運転免許証自主返納の方向に向かっていました。

「人に迷惑をかける前に返そうよ。」

黙って色々考えていた父も、ようやく観念せざるを得ない状況を迎えたのでした。

自分の運転技術の衰えを感じないではいられない出来事が、父に「もう乗らない。。」と言わせました。

「私たちも、これでようやく安心して暮らせるよ。間違いがあってからじゃ取り返しがつかないからね。」

本当に良かったです。「今後は私が家にいる日は出来る限り車を出すから」と言うと「そうかい、頼むよ」と。

ついでに父に「何歳まで車に乗るつもりだった?」と聞いたら、90歳と答えたのにはさすがに驚きました。

それはいくら何でも。。

だけど、前日に夢を見てからの急展開は、天国の祖父母の計らいと思わずにはいられません。

わざと、ご近所さんの車を配置させたり、父の思考回路をにぶらせて門にぶつけさせたのですよね。

こんな出来事がなければ、おおごとが起きるまで父は返納のきっかけを持つ事は無かったでしょう。

でも、何かあってからじゃ遅いのです。

おじいちゃん、おばあちゃん、本当にありがとうございます!!

父は本当に守られてるなあ。いつも不思議なことをしてくれる祖父母です。

そして、昨日さっそく両親と一緒に警察署に行って運転免許証を自主返納して来ました。

その際、身分証明書となる「運転経歴証明書」というカードを発行してくれるのですが、写真を撮影してから1分もたたずに出来上がったのにはびっくりしました。

そして、市役所にも行って、自主返納した人への特権である「交通利用料金助成金」5,000円分の回数券も頂いて来ました。

あんまり利用できる交通機関が無かったですが。。

その後、自宅から片道30分もかかる印刷所に寄ったり、郵便局に行ったりスーパーへ買い物に行ったりと、私の新車は久々にフル稼働でした。

(新車になってから1カ月間、一度もガソリンを入れなかったくらい車に乗る機会のない私。。)

だけど、父は高齢なのに、こんなに重たい印刷物をかかえていたんだと初めて知り驚きました。

これからは、娘にまかしとき!!

両親と暮らしていて役に立てて良かったです。

両親には、まだまだ元氣で長生きしてもらいたいですから。

天国の祖父母に大感謝です。