今回のフライトの最後の心配事は、預け荷物を一人で受け取ることだった。
全部で大小合わせて5つの荷物があり、重いけれど通常であれば一人で持てることは持てる。
しかし今回は、赤ちゃんを抱っこしている。
そんな状態で果たしてベルトコンベアーから荷物を取り、カートに乗せることができるだろうか…。
また、一つのカートに全ての荷物も乗らないだろうから、二つのカートに分けるしか方法はない。
サムもぐずっているだろうし、どうすれば良いものか。
ああやって、こうやって…いや、ああした方がいいか…などとフライト中もずっと考えていた。
ヘルシンキで乗り継ぎ待ちをしていた時、ボーからメッセージがきた。
荷物はどれだけあるの?一人で持てる?
大きいバッグ3つと小さいボックス2つ。
一睡もしていないし、サムも絶対ぐずるから、ひとりでできる自信がない。
と私。
10分後、ボーから再び連絡がきた。
今空港に問い合わせしたら、僕がヘルプのため荷物の受け取り場まで行けるんだって。
でもろびまろのフライト情報が必要だからメールで送ってくれる?
なんと!!
そんなこと可能なの!?
正直助かるし、めちゃ良心的じゃん
そんなやりとりがあったので、ヨーテボリに着いた私は、
よし、あとはボーと合流するだけだ!
と思いながら、力を振り絞って受け取り場まで歩いたのだった。
飛行機で寝ていたところを無理やり起こされたサムは大泣きで、
私はそんなサムの手を取りながら、
「眠いよね。でも、もうすぐだからね。
お父さんもいるからね。そしたら抱っこしてもらおう。
あともう少しだよ。頑張れ、頑張れ。」
と自分自身にも言い聞かせるように、サムを励ました。
やっとこさ荷物の受け取り場まで行き、ボーの姿を探した。
・・・いない。
サムは泣きながら抱っこをせがんでくる。
早くしないと、サムも私も限界だ
ボーに連絡しようと急いで携帯に電源を入れると、ボーから長文のメッセージが届いていた。
が、疲れた私には、サムの大泣きの声も頭に響いてそれを読む気力はなく・・・。
すかさずボーに電話をした。
「今どこにいるの?」
すると、信じられない言葉が返ってきた。
「メール読んでない?そっちには行けないんだ。」
そ、そんな、バナナ!!
「なんで?こっち来てヘルプできるって言ってたじゃん!」
と半ベソになる私に、ボーが言った。
「うん、電話で問い合わせた時は中に入れるって言ってたのに、空港に着いて職員の人に尋ねたらダメって言われたんだよ。」
うん、普通に考えればおかしな話だよね。
ヘルプの為に荷物受け取り場まで入れる空港なんて、ありえないよね!
どんだけセキュリティ甘いんだ!!ってね。
でもね、この時の私は藁をもすがりたい気持ちでいっぱいで、
へぇ、スウェーデンの空港ってそんなサービスがあるんだ〜、ラッキー!としか思っておらず、
ヘルシンキからのフライトも、このフライトさえ頑張れば、あとは荷物はボーがやってくれる!と思っていたもんだから、
ボーの電話で一気に力が抜けていった。
「もう無理だよ、ボーが来てくれると思ってたから、もう力が入らないよ」
と言う私に、
「うん、でも僕もヘルプできないから。ろびまろがやらない限り、こっちに出てこれないよ。」
とこれまたど正論で返すボー。
ちっくしょーめ!!誰のためにこんな想いしてっと思ってんだ、このすっとこどっこいがぁ!!
と徐々に沸いて出る怒り。
サムは隣でずっと抱っこをせがんで大泣きしている。
1分くらい放心状態になったが、どんなに無理だと言っても私がやるしかないのだ。
サムの為に、アンの為に、そして自分の為に、最後の力を振り絞って頑張るしかない!!
砕けそうになる腰を上げ、すでに棒になってしまった足を一歩、また一歩と気力を振り絞って前に出し、カートを二つ取りに行く。
その間も泣きながら着いてくるサムに心痛めながらも、
可哀想だが、荷物を取り終わるまで泣かしておくしかなかった。
幸い荷物はすぐに出てきた。
アンを抱っこしながら荷物を持ち運べるか不安だったが、
アンを泣かすことなく、なんとか全てを取り終えた。
やはり一つのカートでは無理だったので、二つに分けることにした。
サムは荷物の上に座らせてやると、これがまた楽しかったのか、ピタッと泣き止みご機嫌になった。
さて、これからどうやって外に出ていくか。
職員にヘルプを頼もうかと思ったが、近くにはおらず、
ちょっと遠いオフィスっぽいところに数人いた。
しかし、再びサムを降ろして一緒にそこまで行くとなれば、サムは必ず泣くだろうし、
かと言って、サムをその場に待たせといて行くということもできない。
サムは今ご機嫌だし・・・、しょうがない、このまま一人で運ぶか!!
カート①を数メートル前に動かした。
その後、カート②を数メートル前に動かし、
再び①に戻って数メートル前に動かし・・・というのを繰り返した。
荷物の受け取り場から出口まで歩いて1分のところを、5分以上かけたのだった。
ようやく出口に出た。
ボーが待っていた。
サムが乗っているカート①をボーに渡し、すぐ後ろにつけていたカート②をまた運んだ。
時刻は20時15分頃(日本時間で夜中の4時15分)。
ようやく、私の長い長い子連れフライトが終わったのだった。
====================
荷物受け取りの件は、本当、今考えたらおかしな話なんですけどね。
信じた私も馬鹿でしたが
でもさー、こんないい加減な対応したの、誰よ!?って話です。
いい加減すぎて腹立つし、でも、これぞスウェーデンクオリティーよね(褒めてない)っていう呆れた気持ちも出たりして
本来なら母親込みでのフライトだったので、二人で持っていくのを前提で色々買ってしまっていて
今回、スーツケースの他に段ボールを利用しました(それについては後日またブログで綴りたいと思います)。
サイズに迷ったのだけれど、一人で持ち運びすることも考えやや小さいサイズにしました。
でも、やはり全ては入りきらず、実は実家にスーツケース1つ分くらいの荷物がまだ残っているんです。
6つはさすがに一人じゃ無理だろうと泣く泣く置いて行きました
出口で待っていたボーは、2ヶ月ぶりの子供達との再会にとても喜び、涙目になっていました。
サムは恥ずかしそうにしていたけれど、
「お父さんに会えて嬉しい?」
と聞くと、
「うん、嬉しい・・・」
と言っていたし、
アンも、週5のスカイプのおかげか、父親のことをちゃんと覚えていて、それはもう満面の笑みでした。
道中、色々思うこともあり、何度も胸が押しつぶされそうになったし、
やはり戻るべきではなかったのかもしれない、と思うことも何度もありました。
でも、父親に会えた時の子供達の笑顔を見たら、頑張って戻ってきて良かったのかもな、と思えました。
しかしながら、私の中のボーへの怒りというか憎しみというか、そういうモヤモヤイライラした気持ちは消えませんでした。
続きます。
料理をしていて、さて、テーブルを片付けようと振り返ったら、
子供にとっては、周りにある全てのものがおもちゃになっちゃう。
いつの間に!?ってな感じで思わず笑ってしまいます